泳心一路
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、“フジヤマのトビウオ”こと古橋広之進氏が、亡くなりました。
氏のご冥福をお祈り致します。
氏の活躍について、ここでお話しするまでもありませんが、今朝の新聞報道の中に、心動かされる記事があったので、今日はそんなお話しをしたいと思います。
“泳心一路”
氏の座右の銘です。
この言葉が、“泳心一路”の意味するところですが、この言葉に、“熱血料理人”の自分の魂は揺さぶられました。
さらに、『文化勲章受賞を祝う会』での氏の言葉です。
ここまでくると、最早KO寸前です。
氏の半分ほどの年齢の自分ですが、どこまで出来る分かりませんが、これからも日本料理の伝統と発展、そして何よりもお客様のために、料理を作り続けることを、思わずにはいられませんでした。
そんな自分が、今思うのは、不惑を前にして、やっと料理人のスタートに立てたと思っています。20代の頃は、不惑というものは、それこそ“おっさん”でした。
修業時代出会ったフレンチの料理人の方(当時30代後半)に、「料理人というのは、40代を過ぎると脂が乗ってきて、50代になると、自分のスタイルが出来上がる。」と言われたことがありました。
当時は、そんなものかと思いましたが、今になってみると、おぼろげながら、その言葉が分かりかけてきました。
どこまで出来るか分かりませんが、これからも不肖・志村をどうぞ宜しくお願い致します。
追伸 古橋広之進氏は、自分と同じ静岡県出身です。静岡県出身の著名人は、あまり目立たないような気がしませんか?その中でも、突出した人(正確には二人ですが)がいます。そうです。
“ピンク・レディー”です。突出というより、稀代のスターと言っても、いいかもしれません。
自分より少し上の世代の方を虜にした“ピンク・レディー”。懐かしいですね~。
【季節限定 鱧づくしランチ】
お知らせです。
只今、7月・8月の限定コースとして、鱧づくしのランチ『鱧御膳』をご用意して、皆様のお越しをお待ち申し上げております。
この時期美味しい鱧の味を、是非ご賞味下さいませ。
詳細は『鱧御膳』のページをご覧下さい。
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店主 志村
娘の仕入れは・・・。
今日は定休日だったのですが、仕込みの都合で、沼津の魚市場に行って来ました。普段は、一人で行くのですが、今朝は上の娘も一緒に行って来ました。
そんな娘の目的は、絵日記ネタの仕入れです。市場の構内に入るには、こんな風に、ネックストラップをしなければなりません。
何度か行ったことのある娘ですが、何となく緊張ぎみでした。
娘は、何か買ってもらいたい素振りを、何となくちらつかせながら、歩いていました。
自分が思うに、娘が欲しいものは、浅蜊か、蒲鉾などの練り製品なので、貝類を扱う問屋の前に来ると、立ち止まりました。
「浅蜊欲しいの?」と聞くと、
娘は「うん。」と答えました。
「じゃぁ、『浅蜊下さい。』って、頼んできな。」と言うと、
娘は、「だって・・・。何かさ・・・。」と照れくさいようでした。
こんなところで、時間をつぶしている暇のない自分は、「1キロ頼むよ!」と伝えると、
「はいよ。もしかして、季凛さんの娘?」
「そうだよ。」
「じゃ、おまけしてやるから。」
と、“おまけ”と聞いた娘は、ニンマリでした。
そうこうしているうちに、セリが始まりました。
何度か市場に来たことがあっても、せりの様子を間近で見るのは、初めてらしく、かなり驚いていました。
セリが終って、魚を積み終え、「お腹すいた?」と聞くと、
「うん。」
「お寿司でも食べる?」と聞くと、
「うん。」と、今朝一番の返事。
食べ終えてから、車に乗って、走り出すと、
慣れない早起きだったらしく、すぐに寝てしまいました。
それでも、“佳肴 季凛”兼自宅に戻ると、
「お土産だよ。ほら。」と、浅蜊と蒲鉾を、留守番していた真由美さんと妹に、これ見よがしに、見せびらかせていました。絵日記ネタ、浅蜊、蒲鉾と、娘にとっては、最高の仕入れのようでした。
「また、市場に行くかい?」と聞くと、
「かんがえておくよ。」
「・・・・・。」
そんな言葉を、一体どこで覚えたのやら・・・。
というより、子供の成長は、大人が考えているよりも、ずっと早いものなのかもしれません。
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店主 志村
聖徳太子の一万円札
これがお分かりになる方は、それなりの年齢です。
かつての一万円札です。聖徳太子の一万円札です。裏側は、
こんな感じです。久しぶりに見ると、懐かしいですし、このお札が普通に使われていた頃は、小学生でした。というよりも、小学生の自分にとっては、大金も大金でした。
でも、この一万円札が自分の手元にあるのには、訳があります。
先日、自分の友人が結婚することになり、そのお祝いとして、包んだからです。ちなみに、この一万円札は、知人に交換してもらいました。
お祝いとして、包むのですから、当然新券です。
これまでにも、自分は友人の結婚式に出席する時、何度か包んだことがあります。これ受け取った人は、皆驚いてくれました。
そういう自分も、自身の結婚式で、お祝いとして聖徳太子の一万円をもらいました。そういう経験もあるので、機会がある時は、こんなお祝いを包むことにしています。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この一万円札は、今のものよりも、一回りほど大きいです。
今回のお祝いに限ったことではありませんが、こんな遊び心を、持ち続けられるよう、いつまでもいたいものです。
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店主 志村
夏のさなかに・・・
沼津の魚市場には、沢山の飲食店が隣接しています。魚市場ということもあって、殆どの店は魚料理をメインにしています。
ですから、店の入口には、凄いものが置いてあったりしています。
そんな一つが、この大海老です。
“海老大明神”と書かれています。・・・、確かに、大明神です。
さらにその下には、“御神体”とまで書かれています。・・・、これまた確かに。
横から見ると、こんな感じです。
今の魚市場は、観光スポットと化しているので、こんな置物もありなのかもしれません。
ところで、先日の19日(日)は、土用の丑の日でした。
その日は、こんな感じのスーパーのチラシがいくつもありましたが、その中でも自分の目を引いたのが、この見出しです。
確かに、牛の日ですから、間違っていません。というより、こういう発想もありなんだと、関心してしまいました。
ご存知のように、土用の丑の日に、うなぎを食べるようになったのは、江戸時代のことです。当時は、牛肉を食べる食文化はなかったので、丑の日に牛肉を食べることなど、思い浮かぶ余地もないはずです。
ただ、現代にあっては、丑というより、牛の日のほうが、しっくりしているかもしれません。
あと言えるのは、スーパーはやはり、商魂逞しいということです。自分も商売をしている身ですから、少しはそういう部分もなくてはならないと思うものの、商魂以上に、料理人としての熱血魂の方が、自分にとっての拠所です。
また、うなぎや牛肉を食べなくても、その熱き想いで、夏を乗り切るのが、熱血料理人の真骨頂なのです。
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店主 志村
新笹
料理に使うのは、食材だけではありません。盛り付けをする時、その季節ごとに、いろいろと飾りになるものを使います。これを、”あしらい”と言います。
そんな一つが笹の葉です。先週の休みの日に、取りに行って来ました。
笹の葉は、この時季になると生え変わり、新笹が生え始めてきます。見にくいので、もう少し近づいて見ます。
去年生えた笹は、右側のもので、周りが白く枯れています。左側が新笹で、青々としています。
新笹が生え始めてから、まだ日も浅いので、数も少ないのですが、あと二週間もすると、殆ど新笹に生え変わります。
この笹のことを、日本料理では、“やま”と呼んでいます。理由は単純です。山に生えているからです。
ちなみに、日本料理では“やま”には、もう一つの意味があります。売り切れになることも、“やま”と言います。山の頂上に上れば、お仕舞ということが、語源のようです。
笹の葉の使い道は、焼物の下に敷くことが殆どです。時には、弁当などの折り詰めに使うこともあります。
一年を通じて、笹の葉を使うのですが、秋には、色づいた柿の葉、紅葉、いちょうを使ったりもします。
季節を味わうのが、日本料理ですから、こういう自然のものを使って、料理に華を添えるのも、プロならではの料理ですし、それこそ、目で楽しむことも出来ます。
“佳肴 季凛”にいらしたら、こんなところにも、気付いていただければ、料理人として、嬉しい限りです。
志村
奇石博物館
今月の“旬の素材”をアップしました。とりあえず、こちらをお読み下さい。
ところで、昨日は、お休みさせて頂き、子供を連れて、富士宮市にある“奇石博物館”に行って来ました。
“奇石博物館”はその名の通り、珍しい石が展示されています。これが奇人でしたら、自分も展示されているはずです。
館内に入ると、こんな化石が展示されていました。帆立のような二枚貝の化石です。仕事柄、ついこういうものに、目がいきます。
その傍で、上の娘は学芸員の話しを、おとなしくきいていましたが、下の娘は、全く興味などなく、館内をうろうろしていました。
館内を見終わると、今度は“宝石探し”をやることにしました。“宝石探し”とは、水槽の中にある石の中から、宝石を見つける遊びです。
上の娘は真剣そのものですが、下はただの砂利遊びと勘違いしているようでした。
そんな場所の傍にこんな石がありました。
“燃える石”・・・・・。熱血料理人の自分が、こんなものを見れば、熱き血潮がほとばしります。でも、“燃える石”って?
そうです。石炭のことです。
“宝石探し”を終え、帰ることにしたのですが、駐車場まで行く途中、“奇石博物館”ならではの、面白い看板を見つけました。
駐車場内での注意が、書かれているのですが、富士山に近いだけあって、「“富士山噴火”と、“隕石落下”の際には、責任は負えません。」のようなことが書かれていました。
実際こんなことになれば、とんでもないのですが、面白半分で書いたのか、真面目に書いたのか、気になって仕方がありませんでした。というより、こういうどうでもいいことに、つい興味を奪われてしまいます。
休みの日でも仕込みに追われる自分も、たまには父親としての役目をすることもあるのです。ただ、慣れないので、疲れることこの上ありません。
志村
ランチが飲み会
昨日は、先週お話ししたように、東京へ行ってきました。
自分が所属している調理師会の正友六進会(せいゆうろくしんかい)の役員会があったからです。
役員会とは、名ばかりで、”飲み会”が実際のところです。(笑)
こちらの二人が、当会の代表と会長です。左側が自分が師事した親方で、代表の岸外志氏で、浜松の舘山寺レイクホテル花乃井の料理長をしています。
右側が、会長の齋藤章雄氏で、コンラッド東京の和食部門の料理長をしています。
席に着いたら、早速乾杯です。ランチなのに飲みながら、年間の予定を決め、後は雑談会です。
料理も次々に出され、写真を撮る余裕などないのは、当然です。と言うよりも、飲むの精一杯だったのが本当のところです。そんな合間に撮ったのが、こちらの料理です。
日本料理の献立の中で、”八寸”と呼ばれるもので、酒の肴を盛り合わせたものです。
その内容は、”鱒の塩焼き”、”小鮎の南蛮漬け”、”合鴨”、”出汁巻き玉子”、”空豆の蜜煮”、”花びら百合根”、”こしあぶらの天婦羅”、”蒟蒻の白和え”、”飯蛸”、”車海老の芝煮”、”酢取り茗荷”でした。
メインは”しゃぶしゃぶ”でした。
こんな肉が出てくれば、以前は小躍りしたものでしたが、マクロビオティックが食生活の基本となって以来、食べたいと思わないどころか、昨日も野菜にしか、目がいきませんでした。
地元の富士市にいるだけでは、同業の人たちと、接する機会も殆どありません。また、昨日の出席者(全部で5人)の中で、自分が一番若いので、気楽ですし、こういう集まりに参加することで、いろんな情報を得ることも出来ます。
こういう集まりや、つき合いは今の時代、敬遠されがちですが、今の自分があるのは、諸先輩に教えてもらったからですし、こういう古臭いつき合いは、いつまでも大切にしたいものです。
志村
来週のお休みは・・・。
明日は、沼津の魚市場が休みなので、定休日の今日は、沼津の魚市場へ行ってきました。ですから、”お約束”の休日出勤でした。
時間も気にせず、仕事をしてしまうので、仕込みが終わったのは、夕方でした。
そんな今日、こんな手紙が届きました。差出人は、自分の所属する調理師会の”正友六進会(せいゆうろくしんかい)”からで、ご覧のように、総会の案内でした。
さらに、読み進めると、こんな内容です。
来週の今日=月曜日=”佳肴 季凛”の定休日に、東京へ行けるのです。
東京。とうきょう。トウキョウ。TOKYO。tokyo。・・・・・東京だらけ。
東京、東京、嗚呼、東京。恋焦がれてやまない、嗚呼、東京。
体の中のアドレナリンが、ほとばしります。
そして、先月に引き続いての東京。
今回は、新幹線で行くので、お酒も飲めます。また、昼から行くので、夕飯も東京。東京ランチに、東京ディナー。
う~ん。今から楽しみです。実を言うと、そんな浮かれ気分で仕込みをしたので、遅くなってしまったのでした。
♪♪ は~やく、来い来い、月曜日!
志村
定額給付金
今日、ポストを開けると、こんな封筒が入っていました。
富士市役所から届いたものです。
色々と物議をかもした”定額給付金”の申請書です。その是非はともかく、とりあえず封を開けてみました。
「・・・定額給付金を希望されない場合には、・・・。」と書かれていますが、当然希望するので、申請書を出します。
ただ、何でも人に言わなければ気が済まない”口から先に生まれた”自分は、つい”佳肴 季凛”の女将にして家内の真由美さんに、話してしまいました。
ちなみに、我が家では合計で64,000円も支給されるのです。
「このお金で、今度夕飯でも食べに行こう!」
「・・・。ダメ!何でそういうことしか、浮かばないの。」
「せめて、どっかランチでも・・・。それに、富士市で食べれば、地域の経済が活性化されるし、麻生さんだって言っているじゃん。」
「駄目です。」今度は、漢字で”だめ”です。
「そんなこと言わないでさ・・・。」
「DAMEです。」いよいよ、ローマ字で”だめ”です。
万事休す。完全に諦めました。
今思うと、業者さんからの請求書の振りをしておくべきでした。世の殿方は、自宅のポストを開けることは、あまりないかもしれませんが、開けることがあっても、自分みたいなことのないようにして下さい。
志村
お土産
築地でのお話しが続きましたが、その番外編が今回のお話しです。
東京へ行くと、決まってデパートに寄ります。先ず行くのが、地下の食品売場です。惣菜コーナーや、贈答用のお菓子売り場など、一通り歩いて回ります。
一番の目的は、ランチやデザートを始め、料理の参考のためです。ただ、我が家には、女三羽烏がいるので、お土産なしで帰るわけにはいかないので、寄らざる得ないのも、立ち寄る理由の一つです。
先日は、銀座の三越に寄りました。ちょうど、開店直前で、ちょっとした行列が出来ていました。
その行列は、ロールケーキを買うためのもので、時間に余裕もあったので、自分も並んで、買ってきました。こちらが、そのロールケーキです。
”堂島ロール”というロールケーキです。
中を開けてみるとこんな感じです。
真ん中には、これでもかというくらいの生クリームです。マクロビオティックが基本の自分には、ちょっとといった感じです。それでも、一切れ食べました。
一切れで十分ですが、志村家の女三羽烏は、あっという間に平らげてしまいました。
ところで、そのロールケーキ売り場の前に、ちょっと変わったものが売られていました。
サイダーです。とは言っても、そんじゃそこらで売られているのとは、違います。
和三盆で作られているサイダーなのです。
和三盆の詳しい説明は、こちらを。
当然買ってきて、飲んでみました。和三盆の味が最後に、口に残る自然の風味が広がります。
ただ、一つ気になったことがあったので、店員の人に、ある質問というか、要望をしました。
「ここまで、素材にこだわっているのなら、水にもこだわって、倍の値段で売るのは、どうでしょう?」と伝えました。
店員さんも、少し驚いた様子でした。さらに、自分はこう続けました。
「こんなこと言う人他にも、いますよね?」
「いえ、初めてです。」
「・・・・・。」
「でも、貴重なご意見なので、上には伝えておきます。」
と、こんな風なやりとりをしたのですが、素材への飽くなき探究心というより、執念の固まりの自分としては、そんなサイダーが出来たら、買って飲まずにはいられません。
早く作ってくれないかなぁ~。というより、いつか自分で作ってしまうような気がするのですが・・・。
志村
追伸 デパートに行くのが好きな理由には、もう一つあるのです。1階の化粧品売り場の、香水の匂いが大好きなのです。嫌がる人も多いようですが、自分に言わせてもらえれば、あの匂いは、単なる香りでなく、”フェロモンの香り”なのです。