石垣島産の生の目鉢鮪(めばちまぐろ)
今日は、バスツアーの団体のお客様がお見えになることになっていたので、
7時前から仕事を始め、ある程度の目途がついたら、
宅配便の営業所に行き、
川崎北部市場から届くことになっていた荷物を取りに行って来ました。
その荷物とは、
沖縄県石垣島産の生の目鉢鮪で、
沖縄県というか、沖縄本島産の生の本鮪はこれまでに、何度か仕入れたことがあり、先月の最初に、
東京・豊洲から入荷しました。
一般の方には、沖縄産というと、ピンとこないかもしれませんが、それなりの水揚げもあり、マグロを扱う人にとっては、 周知の産地、漁場でもあります。
当然、マグロ漁を行う漁師も多く、今日入荷した目鉢鮪は、その地域の漁師が合同会社を立ち上げ、
出荷したもので、黒い点がついているように、
征徳丸という船が水揚げしたものでした。
さらに、漁師と船の名前を見ると、
恵美丸という船の漁師の名前が具志堅用治さんなる方で、ボクシングの世界チャンピオンだった具志堅用高氏と一文字違いということもあり、
気になったので、鮪屋の社長に訊くと、従兄弟とのことでした。
今でこそ、バラエティー番組に登場し、芸人のような感すらしますが、自分が子供の頃、氏の強さは驚くほどで、その凄さを見たいがため、テレビに釘付けになり、最後の試合で、セコンドからタオルを投げられたのは、衝撃的なシーンで、今でも覚えています。
お話しを本題に戻しますが、秋口に宮城県塩釜で水揚げされる東物と呼ばれる目鉢鮪とは異なり、脂の乗り、色目も、
薄めですが、柔らかな舌触りにして、軽めな味わいは、いくらでも箸が進みそうで、そんな勢いで、バスのお客様が到着し、戦争状態になる前に、
腹が減っては何とやらということで、
早お昼にし、蛸、小肌の切り落しと共に、クオリティ・チェック。
器の準備、腹ごしらえも終わり、程なくすると、
バスが到着し、戦場と化したものの、無事に全ての料理をお出しし終えることが出来、
お帰りの際には、皆でお見送りをしました。
その後、店内は再び、
後片付けの戦場と化したのですが、無事に終わり、休憩を取り、夜の営業に備えたのでした。
★★★ 佳肴季凛謹製 鰯の丸煮 ★★★
当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な【鰯の丸煮】をご用意いたしております。
5パック(10本)入 2,250円 ※クール便にて発送可
“大羽(おおば)”と呼ばれる大きめの真鰯を使用し、店主の“熱き想い”と共に、煮詰めた逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
外国産の生の鮪で作った丼
昨日、外国産の生の鮪について書きましたが、今回はその続篇で、それらで作った賄いの丼についてのお話しで、日が新しいものから遡っていきます。
先週の土曜日に入荷したのが、
ボストン産の本鮪で、その切り落しや手くずで作ったのが、
釜揚げしらす(愛知産)とのハーフ&ハーフ丼で、食べる時に、しらすには大根卸しを添えるだけにし、しらすの部分には、醤油をかけず、酢橘(すだち)を搾りました。
その前の鮪も、ボストン産の本鮪で、
この前の日に、
神奈川県横須賀・佐島の知人から、色々と頂き、その中にあった蛸(たこ)と共に、
ハーフ&ハーフ丼にしました。
三浦半島に位置する佐島は、蛸の産地としては、東日本ではトップレベルで、佐島産の蛸については、こちらをお読み下さい。
連続で入荷したボストン産の前が、
同じく本鮪でしたが、ニュージーランド産で、
この時は、【鰯の丸煮】を仕込む時に失敬した真鰯を酢締めにして、これまたハーフ&ハーフ丼で、酢締めにした魚は、そのままでも美味しいのですが、鮨屋の仕事ゆえ、やはり酢飯に合わせてこそ、真価を発揮するものです。
料理の世界に転がったのが鮨屋だったこともあり、光物は避けて通れませんし、小魚や貝類の仕込みを覚えられたのは、今となっては、大きな財産以外の何ものでもありません。
そして、グアム産は、
〆鯵と共に、ハーフ&ハーフ丼で、〆鯵を使った丼については、以前お話ししたので、こちらをお読み下さい。
今回お話しした丼の中で、優劣をつけることは出来ません。というのも、魚には、それぞれの美味しさがあるからで、それこそが魚の魅力で、魚は肉と異なり、生食も可能です。
魚の消費を肉のそれを越えて、10年ぐらいになりますが、 四方を海に囲まれた日本に住み、 日本料理を生業としている以上、その美味しさを多くの人に再認識してもらい、日本人こそ、魚食文化である日本料理文化を重んじてもらいたい限りでなりません。
2連続でボストン産にして、4連続で外国産の生の鮪(まぐろ)
今朝、東京・豊洲から入荷したのが、
ボストン産の本鮪でした。
早速、
今夜のふぐ料理のお客様に、
先付の一品として、中とろと赤身の部分をお出し、鱧料理のお客様にも同様で、
本鮪以外は、鱧(淡路島)、小肌(佐賀)、湯葉をお出ししました。
ところで、先週の土曜日に豊洲から入荷したものも、
同じくボストン産の本鮪で、2週連続ということになったのですが、良質なものになると、まぐろ類は一週間経っても、色変わりすることはありません。
ですので、御予約の状況にもよりますが、インド鮪とも呼ばれる南鮪、目鉢鮪(めばちまぐろ)、黄肌鮪(きはだまぐろ)を仕入れる時も、それぐらいのものを仕入れるようにしています。
さらに、ボストン産の前は、
ニュージーランド産の本鮪が豊洲から入荷し、その前は、
グアム産の目鉢鮪が、川崎北部市場から入荷しました。
今日のボストン産の次は、どこの産地になるかは分かりませんが、今日入荷したものの目方と御予約の状況からして、5連続の可能性は薄そうです。
いずれにせよ、どこの産地であれ、良質なものが入荷するのを期待するばかりでなりません。
2019年6月の鮪(まぐろ)コレクション
今日から、7月ですので、今年も半分終わってしまったわけで、ともかく、年齢を重ねるにつれ、時が経つのを早く感じてなりません。
そんなことはさておき、今回のお話しは、月1恒例の鮪コレクションで、6月は、初めて入荷する産地あり、久々の産地ありでした。
6月のトップバッターは、
沖縄県産の生の本鮪で、東京・豊洲から入荷したものです。
沖縄県周辺は、4月の終わりから6月の初めくらいまで、本鮪の水揚げが多いだけでなく、良質なものも多く、この本鮪も然りでした。
また、この辺りは、黄肌鮪(きはだまぐろ)などのマグロ類も多く水揚げされてているのですが、台湾や韓国船も操業しており、領海としても、政治的に微妙な部分があります。
そのため、国際問題になりかねないことも生じているのですが、マスコミも取り上げ、もう少し、水産業の現場を伝えて欲しいものです。
この次に入荷したのが、
秋田県産の生の本鮪で、初めて入荷した産地です。
この時季、延縄漁の国産の本鮪の水揚げが少なくなるのですが、そんな状況の中では、まずまずのものでした。
前回同様、豊洲からでしたが、この本鮪を産地から仕入れた荷受(にうけ)と呼ばれる水産会社は、
『築地魚市場株式会社』で、豊洲に移ったからといって、名前を変える理由がないでしょうし、やはり築地は、今でもブランドだと言えるかもしれません。
秋田産の本鮪の次は、川崎北部市場から入荷した生の目鉢鮪(めばちまぐろ)で、
初めて入荷した産地のグアムでしたが、この鮪については、こちらをお読み下さい。
そして、6月の〆は、
豊洲から入荷したニュージーランド産の生の本鮪でした。
南半球に位置するニュージーランドは、真冬が近づいていることもあり、脂が乗り始め、本鮪の旬とも言えます。
また、ニュージーランドやオーストラリアでは、本鮪や、インド鮪と呼ばれる南鮪も水揚げされているだけでなく、養殖もされており、国外のマグロ類の産地としては、広く知られているところでもあります。
例年なら、6月は、南鮪が入荷してくるが多いのですが、今年は時季が遅れているようなことも耳にしました。
7月の入荷は、どうなるかは分かりませんが、どんな種類の鮪が入荷するにせよ、6月のように、初めての産地も見てみたい気もしますし、それよりも、良質なものを期待するばかりです。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
グアム産の生の目鉢鮪(めばちまぐろ)
昨日、
宅配便で川崎北部市場から届いたのが、
グアム産の生の目鉢鮪で、自分も初めて仕入れる産地でした。
国産の目鉢鮪の旬が秋から冬で、それに比べれば、劣るのは否めませんが、軽い脂の乗りは、目鉢鮪らしく、さっぱりとした味わいは、十分な合格点をつけることが出来ます。
ところで、グアムと聞いても、ピンと来ないかもしれませんが、日本の漁船は世界中の海で、マグロ類やカツオを 獲っており、特に漁獲量が多いのが、南太平洋の排他的経済水域(EEZ)なのです。
グアムの近くのパラオでも水揚げがあるのですが、 2020年の来年、外国船の操業が禁止され、日本の食卓への影響は必至で、漁業者は他の水域への波及も懸念されています。
マグロ類に限らず、水産資源の枯渇は進んでおり、気を揉むばかりで、こればかりはどうにもならない部分があり、一介の料理人として出来ることは限られていますが、魚に限ったことだけでなく、一人でも多くの方が、食材を無駄にしない姿勢を持ちたいものです。
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当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な【鰯の丸煮】をご用意いたしております。
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“大羽(おおば)”と呼ばれる大きめの真鰯を使用し、店主の“熱き想い”と共に、煮詰めた逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
秋田県産と沖縄県産の生の本鮪(ほんまぐろ)
今朝、東京・豊洲から入荷したのが、
秋田県産の生の本鮪で、自分も初めて仕入れる産地ということもあり、備忘録ということで、今回お話しすることにしました。
本鮪の産地として有名なのが、青森県大間で、同じ青森県の竜飛(たっぴ)や三厩(みんまや)、北海道の戸井などの津軽海峡で、生の本鮪が水揚げされるのは、夏過ぎです。
意外と、このことというより、回遊魚であるマグロ類は、時季により、水揚げされる場所が異なり、先週入荷した生の本鮪の産地は、
沖縄県でした。
沖縄県というと、秋田県以上に聞き慣れない方も多いかもしれませんが、春の終わりから梅雨入り前ぐらいまで、水揚げが多くあり、本鮪に限らず、黄肌(きはだ)鮪も多く水揚げがあります。
また、この海域は、台湾や韓国の漁船が操業しており、政治的に複雑な側面もあるので、これ以上お話ししませんが、国や行政も、然るべき措置を講じて欲しい限りでなりません。
これまでに何度もお話ししていますが、大間は有名な産地ですが、一番ではありませんし、産地はあくまでも目安の一つで、簡単に言えば、巨人は球界の盟主と言われていますが、(というか、今でもこれが通用するのかは分かりません。)ペナントレースの覇者とは限らないと同じことです。
とかく、日本人は産地、ブランドなどの名前を有り難がる傾向もあり、それにより、産地や食材の偽装が行われることも多く、マスコミの報道でも目にしています。
うわべである産地ではなく、本質つまり、味そのものを見極めることが出来れば、そのようなこともなくなるはずです。
静岡県富士市のような地方都市であるからと言って、その土地のものに固執する必要はなく、地方にいながらにして、本物を少しでも、垣間見てもらいたいのが、自分の考えで、そのために、魚市場に通うだけでなく、全国各地の魚屋さん達と繋がるようにしています。
勿論、このことは魚に限ったことでなく、様々な食材についても言えることで、興味があると、色々と取り寄せており、料理人は生涯勉強というのを感じずにはいられませんし、そのための努力を怠るわけにはいきません。
★★★ 佳肴季凛謹製 西京漬 ★★★
当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な『西京漬』をご用意いたしております。
銀鱈、サーモン各3切入 3,480円 ※クール便にて発送可
店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
2019年5月の鮪(まぐろ)コレクション
今日から6月で、今月が終われば、半年終わったことになりますが、それはそれとして、今日のお話しは、月1恒例の鮪コレクションについてです。
今年の5月の始まりは、10連休ということもあり、5月最初の鮪が入荷したのはゴールデンウィーク明けの10日で、その時の鮪は、
和歌山県那智勝浦産の本鮪で、豊洲の鮪屋の社長が絶賛するほどで、その時のことについては、こちらをお読み下さい。
この次に入荷したのが、
宮崎県油津産の生の本鮪で、前回のものと遜色ないというよりも、同じくらいで、入荷した時に、「前の勝浦よりも、いいんんじゃない?個人的には、こっちの方がいいかも・・・。」と、豊洲の鮪屋の社長に伝えたほどでした。
極上クラスの本鮪が続いた後に仕入れたのは、
千葉県銚子産の目鉢(めばち)鮪で、川崎北部市場から入荷しました。
目鉢鮪の旬は、秋ということもあり、時季外れという言葉を当てはめたくなるのですが、そんなこともなく、なかなかのものでした。
そして、5月の〆は、
宮崎県油津産の本鮪で、前回の油津産と同レベルのものでしたが、油津は、同じ宮崎県の川南と並び、大正から戦前にかけて、マグロ類が豊漁で賑わった漁港で、マグロ類のことを語る上では避けて通れない漁港でもあります。
ですので、川南と油津を知らなければ、モグリと言っても過言ではなく、油津、川南は、マグロ界の老舗で、大間なんぞ、まだまだペーペーの若僧に過ぎません。
5月は、銚子産の目鉢鮪以外の本鮪が非常に良く、年間ランキング入り必至レベルでした。
6月も、5月のようなものが入荷してくるのを期待してやみません。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
次回は、6月6日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
一週間の〆は、法事とバスツアー
今日は、法事とバスツアーの御席があったので、
7時前から、仕事を始めました。
出汁を引くなどのひととおりの段取りを終えたら、
蒸物の盛り付けから始めたのですが、バスツアーのお客様の蒸物は、鰯つみれ錦糸蒸し(写真 左)で、法事のお客様の方は、
昨日仕込んだ鱧しんじょう蒸しでした。
どちらも、熱々をお出しするため、あんをはり、蓋をしたら、
温蔵庫にしまっておくのですが、御来店時間の2時間半前を目安に、電源を入れます。
蒸物の後、
デザートの苺のムースを盛り付けたのですが、こちらの器の方は、バスツアーのお客様のもので、法事のお客様とは違う器で、違うのは、
法事のお客様の酢の物(ずわい蟹の辛子酢掛け)で、青の高台の器を使うからでした。
その後、刺身を盛り付けることにしたのですが、刺身を御用意するのは、法事のお客様だけで、今日は、
宮崎県油津産の生の本鮪の中とろの部分を、
御用意し、
帆立(北海道)、小肌(佐賀)、湯葉と共に盛り付け、冷蔵庫へしまっておいたのですが、山葵がついていないのは、お出しする時に、卸したての本山葵を添えるからです。
バスのお客様には、刺身ではなく、刺身替りとして、
山掛けを御用意したのですが、こちらの鮪は、
既製品のねぎとろで、すでに山葵が盛り付けてあるのは、本山葵と練り山葵を混ぜたもので、本山葵のように風味や辛味がなくならないからです。
このような違いがあるのは、ご予算によるもので、デザートのように、料理が重なる部分もありますが、
法事のお客様の献立と、
バスツアーのお客様の献立とは、このような違いがありました。
献立にもあるように、法事の御席を座敷、
バスツアーの御席をテーブルに、
御用意したのですが、全ての準備が整ったら、
バス用の駐車スペースを確保し、
打ち水をし、お客様の御来店を待つばかりとなったのですが、御来店時間も若干ずれていたことも幸いし、重なることなく、料理をお出しすることが出来ました。
そして、御食事を終えたバスツアーのお客様が出発することになったので、
お見送りをし、程なくすると、法事のお客様もお帰りになったら、
片付けを始めたのですが、定休日前ということもあり、仕込みが無い自分は、
長靴に履き替え、
ゴム前掛けをし、洗い物を始めました。
ようやく全ての片付けが終わり、
お昼御飯は、こういう時の定番のカレーで、火曜日もバスツアーのお客様がお見えになったので、
カレーで、
明くる日の水曜日も、
カレーで、
実は、今週は3回カレーを食べたことになったのです。
今お話ししたように、バスツアーで始まった一週間で、〆もバスツアーで、こうして一週間が終わり、〆の〆は、
熱燗で、“お疲れちゃん♬”と相成り、明日は、仕込みも無い完全オフです。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
次回は、6月6日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
鮪屋の社長が絶賛した那智勝浦産の生の本鮪(ほんまぐろ)
今朝、東京・豊洲から届いたのが、
和歌山県那智勝浦産の生の本鮪でした。
宅配便で届くので、昨日の時点で、発注するのですが、実物を見ていないだけでなく、仕入れ値を考えると、博打と言っても過言ではなく、鮪屋の社長の言いなり(!?)というか、口車に乗せられてしまこともしばしばです。
冗談はさておき、社長の言葉を信じるも何も、信頼関係の上に成り立っているとは言え、実物を見るまでは、気が気ではない一日を過ごさなくてはなりません。
昨日の場合、「今回の魚(鮪)は、どう?」と訊くと、「間違いなく、年間ランキング入りは確実です!何キロくらい?」と、豪語したのです。
「またぁ~。本当に?」と言うと、「ともかく、季凛さん好みだし、楽しみにしておいて下さい!」と言われ、電話を切ったのでした。
その後、メールで目方と送り状の番号を確認し、先ほどお話したように、気が気でない一日を過ごしていたのですが、実物を見ると、社長の言う通りで、嬉々としながら、「間違いなく、ランキング入りだし、悔しいくらいに良過ぎるよ♬こういうのを、次回も頼みますよ。」と伝えると、「でしょ!でしょ♬」と返され、包丁を入れることにしました。
見た目は良くても、皮目にシミと呼ばれる血痕がある場合もあり、前回入荷した那智勝浦産の生の本鮪は、
今日ほどではなかったものの、かなり質が良かったのですが、
まさに、チ~ン・・・。(半泣)
自然相手にして、社長も卸すまでは分からないのですが、長く付き合っていれば仕方がないことで、これはこれで、大人の対応をしており、そこは我慢するしかなく、商売上の付き合いというものは、そういう部分があるもので、昨今の妙なクレーマーや口コミを目にすると、辟易としてしまいます。
一抹の不安を抱きながら、血合いを外し、身と、
皮を切り分けると、
シミもなく、100点満点中120点GETにして、年間ランキング入り候補に名乗り出ました。
刺身でお出しするため、仕入れているのですが、腹の真ん中よりやや下の部分ということもあり、
大とろの先端もあり、今夜の【特別会席】の刺身として、
小肌(佐賀産)と湯葉と共に盛り付けたのですが、空気に触れたこともあり、差お出しする頃には、
うっとりするようなピンク色を帯びており、マグロ類の赤い色は、このようにして、発色するものです。
ちなみに、【特別会席】で、お出しする刺身は、このような三種盛りとふぐ刺をコンビにすることが多く、今夜も然りで、
このふぐは、三重県熊野灘産の天然のとらふぐで、会席料理のお客様には、
とらふぐ(三重産)、蛍烏賊(富山)、湯葉と共に、四種盛りとしてお出しし、腹の下ということもあり、
筋の強い部分もあるので、
小鍋仕立ての生の本鮪のしゃぶしゃぶとして、お出ししましたが、常連さんということもあり、少しばかりバージョンアップしたのは、ご承知おき下さい。
一年間で約50回、本鮪をはじめ、マグロ類を仕入れるのですが、本当に良いものとなると、10回つまり、2割ぐらいで、自然相手の天然素材の難しさを感じざるを得ません。
しかも、自分の手元に来るものは、鮪屋の社長の目利き次第ですし、マグロ類ような大きな魚は、その道のプロに委ねた方が無難というより、間違いないのです。
昨年の10月からは、豊洲のサブとして、川崎北部市場の鮪屋とも取引を始めており、自分としては心強く、水産資源が枯渇しつつある時世ですが、その隙間をぬぐって、良質なものを仕入れたい限りでなりません。
2019年4月の鮪(まぐろ)コレクション
今日で、4月が終わりであるだけでなく、平成も終わりですが、平成はさておき、今回のお話しは、月1恒例の鮪コレクションです。
今月の鮪の仕入れ先は、いつものように、東京・豊洲で、鮪は全て、生の天然の本鮪でした。
和歌山県那智勝浦産に始まり、
この次も、
同じで、
最後も同じで、4月は全て、那智勝浦産の“ALL那智勝浦”でした。
那智勝浦は、生のマグロ類の水揚げが全国1位ですが、漁場自体は様々で、一言で言えば、太平洋沖ということになります。
著名にして、全国1位の産地だからと言って、質も一番というわけではありませんが、少なくとも、4月に入荷したものは、どれもかなりの質のものでした。
例年4月、5月は、太平洋産のものが入荷することが多く、時季的にも、脂の乗りが薄く、自分好みのものでもあります。
今年の5月の第一週は、10連休というゴールデンウィークということもあり、市場が開く日も変則的で、5月のトップバッターは、第二週ということになりますが、4月同様、良いものが入荷するのを期待してなりません。