三宅島産の真梶木(まかじき)
今朝は、沼津魚市場に仕入れに行ったのですが、その帰りに、
宅配便の営業所に立ち寄り、
東京・豊洲から届いた和歌山県那智勝浦産の生の本鮪を受取り、『佳肴 季凛』に戻りました。
そんな今朝、魚市場には、
千葉県産の真梶木(まかじき)が、
入荷していました。
フィレというのは、卸した状態のもので、塊の大きさはまちまちで、
10キロを越えるものもありました。
真梶木を時々仕入れる自分としては、素通り出来ない魚の一つですが、真梶木というより、カジキ類はマグロ類の仲間と思われていますが、全くの別もので、それについては、こちらをお読み下さい。
ただ、このように切り分けた状態ではなく、丸つまり、1本のまま取り引きされることもあるだけでなく、水産関係者の間では、マグロ類と見なされており、それらは、大物(おおもの)や太物(ふともの)などと呼ばれています。
ところで、昨日も魚市場に行って来たのですが、昨日は、
三宅島産の真梶木が売場に並んでいました。
ただ、三宅島は漁場で、水揚げ地が沼津ですので、正確には、沼津産ということになり、先程の千葉県産の真梶木の漁場は、意外とインドネシアやバリ島などの南方であることもしばしばです。
売場に並んでいたのは、全部で7本で、尾びれを見ると、
血合いの部分が鮮やかゆえ、鮮度は良さげですが、身そのものは、脂が薄く感じられ、冬場が旬の魚ゆえ、ピークを過ぎた感じは否めず、大型の魚ですので、卸してから、時間が経たないと、実際の身質は分からないものですが、期待出来そうもない理由は、後ほどお話しします。
それぞれの目方ですが、一番大きいもので、
115キロで、これ以外には、
55キロのものが、
3本あり、
65キロのものが、
1本ありました。
そして、
残りの2本が、
75キロのものでした。
そして、これら7本の真梶木の中には、
頭が傷ついていたり、
吻(ふん)と呼ばれる尖った部分が傷ついているものがあり、このような傷がなくても、旋網漁のものとなると、期待薄の可能性が高いのは否定出来ず、これが先程お話しした理由です。
魚の中でも、マグロ類やカジキ類のように、30キロを越える大型のものは、その道の専門家の目利きが物を言うので、 餅は餅屋ならぬ、鮪は鮪屋で、どんなものでも経験値こそに敵うものはありません。
料理の世界に身を置き、四半世紀が経ちましたが、未知の部分は多く、というよりも、そのことの方が多いかもしれず、未知にして、道半ばゆえ、精進の余地は大いにありです。
2019年3月の鮪(まぐろ)コレクション
今日で、3月が終わりです。ということで、月1恒例の鮪コレクションが、今回のお話しです。
いつものように、鮪は、全て東京・豊洲から入荷した生の本鮪(天然)でしたが、オープン参加で、川崎北部市場から真梶木(まかじき)も入荷したので、一緒にお話しさせて頂きます。
3月のトップバッターは、
千葉県銚子産で、この次が、
宮城県気仙沼産で、最後が、
千葉県銚子産でした。
この時季の太平洋で水揚げされる本鮪らしく、赤身と中とろのバランスが黄金比率としか言い様がなく、 どれもこれも完璧に近いレベルで、 甲乙つけるのが難しくらいで、そっくりそのまま年間ランキングに入れてもいいかもしれません。
ところで、最初の銚子産の本鮪の次に、同じく銚子産の真梶木が入荷したのですが、
冬が旬の魚とはいえ、名残のものらしく、なかなかのものでした。
先日お話ししたように、かじきまぐろなどと呼ばれていますが、梶木は鮪ではありません。
今回お話しした産地は、銚子と気仙沼でしたが、どちらも東日本有数の漁港の一つで、マグロ類に限らず、他の魚も良い物が多く、個人的には、好きな産地でもあります。
さらに、この二つに並ぶのが、宮城県塩釜で、秋口に水揚げされる目鉢(めばち)鮪は、東物とも呼ばれており、これまでに何度も仕入れています。
例年4月は、和歌山県那智勝浦などの太平洋産のものが入荷することが多いのですが、どこの産地であれ、3月のように、良質なものが入荷するのを期待するばかりでなりません。
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毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
次回は、4月7日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
サメ食いの生の本鮪(銚子産)
今朝、東京・豊洲から、
千葉県銚子産の生の本鮪が入荷したのですが、
実は、“サメ食い・有り”と書かれたメモが入っていました。
皮目を見ると、
サメにかじられた穴が、ポッカリと・・・。
皮と身を分け、
身を見ると、このような痕があり、
皮目の穴を計ると、
横が5センチ、
縦が3,3センチで、面積にすると、横の半径が2,5センチ、縦のそれが1,65センチとなるので、楕円形の面積の公式にあてはめると、6,28平方センチとなり、500円玉より少し大きめの感じです。
サメにかじられたとはいえ、身の質はかなり良く、鮪屋の社長も、それを承知で仕入れており、この旨を伝えられた上で、自分も仕入れているので、その辺りは、何ら問題ありません。
また、以前お話ししたように、皮の部分は、焼いてから出汁を取り、その後は、カレーに入れるので、
いつものように焼いたところ、
フルーツトマトのお浸しに仕込むため、皮剥きをしている女将兼愛妻(!?)の真由美さんの姿を、
眺めることにしてみました。
冗談はさておき、柵取りしたところ、
サメ食いの箇所は、思ったよりも大きくなく、それほどのダメージはありませんでした。
長く取引をしていると、このようなこともあり、それを承知で仕入れるざるを得ません。
しかしながら、それを理解し、その信頼の上にこそ成り立つのが、商売であり、そういう関係を築き合えることは、何よりも尊いことで、それを忘れないようにしたいものです。
カジキとマグロの違い
今日、川崎北部市場から、
千葉県銚子産の真梶木(まかじき)が届きました。
ところで、昨日、新聞の折り込みに入っていた広告を見ると、
かじきまぐろと書かれ、
値段が載っていました。
ただ、タイトルにもあるように、カジキはマグロではなく、別の種類の魚であるのにもかかわらず、 生息域や魚体の大きさが似ていることだけでなく、扱うのが鮪屋であるので、そのように呼ばれるようになったと言われており、魚市場ではカジキの名称で取引されていることから、カジキマグロは一般消費者に出回るときの名称です。
また、多くの方が誤解されていることもあり、Instagramで検索すると、#カジキの方が、#カジキマグロよりも、数が1、2割多いことを見ると、混同されていることがよく分かります。
当然、分類上も別物で、
『日本産魚類大図鑑』という専門書を使って、お話しさせて頂きますが、この本に載っている全ての魚は、日本近海、国内に生息しているもので、この本に載っていない場合、新種となります。
一介の料理人である自分が、このような専門書を持っているのは、10年くらい前に、水産学部卒の友人にもらったからで、ちなみに、その同級生は、現在は全くの畑違いの仕事をしています。
《解説》の方を開くと、
カジキは、メカジキ亜目で、その中に、マカジキ科とメカジキ科があり、《図版》を見ると、
カジキの仲間が載っており、カジキという名前がつく魚は、マカジキ、フウライカジキ、クロカワカジキ、シロカワカジキ、バショウカジキ、メカジキがおり、メカジキはメカジキ科で、それ以外はマカジキ科です。
一方のマグロですが、
マグロ目やマグロ亜目という名前はなく、マグロはサバ亜目に属するサバ科の魚で、このことは意外と知られていません。
魚へんに有と書き、刺身というか魚の代表格のような存在にしては、不思議というか、納得出来ないような感があり、似たようなものが、ブリ(鰤)で、ブリはアジ科です。
サバ科のページを開くと、
マグロ類が載っており、サバ科の仲間には、
カツオだけでなく、
サワラ(鰆)の仲間もいます。
カジキとマグロが別物であるのは、ご理解頂けたと思いますが、昨今では、食品の表示法の関係もあるので、カジキマグロと表記するのは、流通上の理由とはいえ、今後取り沙汰されるかもしれません。
いずれにせよ、正しい名前を知って頂き、その美味しさの違いを知り、魚食文化の良さを多くの人に知って欲しい限りですし、そのために、自ら魚市場に出向くだけでなく、全国各地の市場の人達とコンタクトを取るようしているのです。
魚の美味しさこそ、日本料理の良さであるゆえ、日本料理に携わる身としては、その魅力を後世に伝える努力を怠るわけにはいきません。
2019年2月の鮪(まぐろ)コレクション
3月になりましたが、今回のお話しは、月1恒例の鮪コレクションについてです。
2月のトップバッターは、
島根県出雲産の生の本鮪で、定置網で水揚げされたものですが、定置網のものとは思えないほど身質が良かっただけでなく、延縄や釣のものと全く変わらないどころか、それ以上のものでした。
それほどまで良かったのは、個体差によるものですが、仕入れ先の豊洲の鮪屋に社長によれば、海水温も低いのも、その理由かもしれないとのことで、本鮪に限らずマグロ類は、色んな意味で、難しいというか、奥深い魚なのは確かです。
その次に入荷したのは、
千葉県銚子産の生の本鮪で、前回同様、豊洲からでした。
年間ランキング入りは必至レベルで、文句のつけようもなく、マグロ類に限らず、魚全体の入荷が芳しくない2月にしては、予想外とも言っても過言ではありません。
この次は、
川崎北部市場から入荷した千葉県勝浦産の真梶木(まかじき)でした。
真梶木に限らず、カジキ類は、“カジキマグロ”など呼ばれているものの、マグロ類とは縁もゆかりもありませんが、鮪屋が扱う魚ということもあり、当ブログでは、鮪(まぐろ)のカテゴリーに入れています。
真梶木は、時季的には、そろそろ終わりですが、この時の真梶木はかなり良く、仕入れてから10日以上経った今でも、全く問題ありません。
真梶木は、鮪ランキングでは、オープン参加ではありますが、魚の美味しさという点で言うならば、この真梶木は、滅多に目にすることが出来ないほどでした。
また、今回お話しした本鮪と真梶木は大当たりで、大満足の一言に尽きます。
自然相手ゆえ、3月の入荷はどうなるかは分かりませんが、2月のようになってくれるのを期待するばかりでなりません。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
3月は、7日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
真梶木(まかじき)の皮も、三次利用
冷凍の目鉢鮪(めばちまぐろ)の皮について、お話しをしましたが、さらなる続篇です。
生の鮪の入荷状況や、こちらの使い勝手に応じて、
生の真梶木(まかじき)を使うことがあり、真梶木は、冬が旬の魚です。
カジキマグロと呼ばれたりもしますが、マグロ類ではなく、別の種類ですが、魚市場では、太物(ふともの)や大物(おおもの)などと呼ばれ、扱うのが鮪屋ということもあり、このように言われるようになったかもしれません。
そんなこともあり、当ブログでも真梶木は、鮪のカテゴリーに入れております。
写真のように、塊で入荷してくるので、
血合いと皮を外してから、
使います。
通常、血合いも皮も捨てられてしまうのですが、
もったいないので、
両面を、
遠火の弱火で、こんがり焼きます。
焼いたら、
一番出汁を取った鰹節、宗田節、昆布、干し椎茸の足、野菜の手くずなどともに長時間、弱火で煮出し、
漉します。
加熱することで、正確なことは分かりませんが、経験上の個人的な見解として、
棘のような鱗があり、これを取り除いたら、
適当な大きさに包丁し、冷凍しておき、賄い用のカレーに使っていますが、マグロ類の皮ほど、ゼラチン質は少ないのですが、旨味があります。
ただ、煮込んでいるうちに溶けてしまい、最終的には影も形もないものの、旨味を加えてくれていますし、料理人である以上、どんな素材でも、使い切る姿勢は、これからも持ち続けたいものです。
冷凍の目鉢鮪(めばちまぐろ)の皮も、三次利用
昨日のお話しの続篇です。
身を取った皮は、
出汁を取るため、遠火の弱火で、こんがりと焼きます。
焼いたら、
一番出汁を取った鰹節、宗田節、椎茸の足、昆布をはじめ、野菜の皮などの手くずと一緒に、
長時間かけて、弱火で煮出したら、
キッチンペーパーで漉すと、
このような出汁が取れるのですが、色はついていても、濁っていないのは、弱火で煮出すからです。
出汁を取った昆布と皮は、包丁してから、
賄い用のカレーに入れ、以前お話ししたように、結果として、三次利用したことになりました。
三次利用とはカレーにすることで、すき身にしたのが一次利用で、出汁を取るのが二次利用です。
どんな食材でも、工夫次第ではいろんな使い方が出来ますが、四次利用となると、想像もつきませんが、機会を見て、チャレンジしてみようと思っています。
冷凍の目鉢鮪(メバチマグロ)の皮の身で作った鉄火丼
冷凍であれ、生であれ、鮪(まぐろ)の皮は、利用価値がないものと思われていますが、そのようなことは一切なく工夫次第では、二次利用、三次利用までが可能で、以前それについて、お話ししたことがあります。
今回のお話しは、以前お話しした生の本鮪ではなく、一般に流通している冷凍の目鉢鮪(めばちまぐろ)の皮についてです。
利用価値がないと思われているだけあって、
破格とも言うべき値段で、
手に入れることが出来、
背の部分もあれば、
腹の部分もあります。
身が厚く残っている部分は、
包丁で身をそぎ、
取り切れなかったら、
スプーンなどで、こそげ取ります。
取った身は、
すき身丼というか、
鉄火丼に仕立て、賄いになることもしばしばで、皮ぎしの身ですので、脂もあり、賄いのレベルを越えていると言っても、過言ではありません。
この丼を、柵であれ、ぶつのような切り落しであれ、、パック詰めされ、値札のついたもので作ったら、ちょっとした贅沢なものになってしまいますが、皮についた身で作ると、懐に優しい金額で作ることが出来ます。
皮が売場に並ぶことは、殆どないと思われますが、予め頼んでおけば、手に入れることが出来るはずですし、刺身や丼ものだけでなく、工夫次第では、鮪のつみれ鍋、鮪のメンチカツなど、色んな料理に仕立てることが出来るので、機会があれば、是非試して欲しいものです。
鉄火丼がメインのお子様料理
『佳肴 季凛』で御用意しているお子様料理は、
このようなもので、海老フライ、鶏の唐揚、フライドポテト、つくね、おにぎり、お菓子を盛り付けたもので、ご予算に応じて、茶碗蒸し、刺身なども御用意することもございます。
お子様料理は、要予約となっており、昨日御用意したものは、
鉄火丼をメインにしたものでした。
鉄火丼は、
冷凍の目鉢鮪(めばちまぐろ)で仕立て、
蜆(しじみ)の味噌汁、
茶碗蒸し、
揚物(鶏の唐揚、フライドポテト)と共に、定食のような感じにして、お出ししました。
茶碗蒸しの中身は、鳥肉、海老、帆立、エリンギ、三つ葉で、揚物のフライドポテトは、生のじゃが芋を蒸してから、揚げたものです。
最後に、
デザートの桃のアイスをお出ししました。
ところで、お子様料理と言えば、これまでに、
豚カツ入りのものなども、御用意したこともあるように、ご要望に応じて、可能な限り対応させて頂きますので、御予約の際に、お申し付けください。
2019年1月の鮪(まぐろ)コレクション
2月も、一週間以上経ってしまいましたが、今回のお話しは、月1恒例の鮪コレクションで、1月に入荷した鮪についてです。
昨年の10月から、豊洲市場だけでなく、川崎北部市場からも仕入れるようになったこともあり、1月は、どちらからも入荷しました。
1月、つまり新年最初に入荷したのは、
千葉県銚子産の生の真梶木(まかじき)で、川崎北部市場からでした。
カジキ類は、カジキマグロと呼ばれていたりしますが、あくまでも、これは俗称で、サバ科であるマグロ類とは別の種類で、マカジキ科とメカジキ科に属します。
カジキは、水産業界では大物とか太物と呼ばれているように、鮪屋が扱う魚で、鮪コレクションには、オープン参加ということで、お話しさせて頂くます。
この真梶木の次が、1月最初の鮪で、
北海道・松前産の生の本鮪で、豊洲から入荷したものでした。
この次も、鮪でしたが、鮪は鮪でも、
千葉県銚子産の生の目鉢(めばち)鮪で、銚子産の真梶木同様、川崎北部市場から、入荷したもので、秋が旬の目鉢鮪ではありますが、なかなかのものでした。
目鉢鮪の次は、豊洲から入荷した生の本鮪で、
産地は、宮城県塩釜で、1月の最後は、トップバッター同様、
川崎から届いた千葉県銚子産の真梶木でした。
二つの市場を使い分けるのは、献立の内容と、その時の魚の状態によるものですが、魚の状態というのは、電話でのやり取りゆえ、難しいものがあります。
ただ、豊洲の鮪屋の社長と川崎の鮪屋の社長とは、実際の知り合いということもあり、お互いが変な牽制をする理由もないので、自分としては、仕入れの幅が広がり、それは、昨年の秋から始まったことです。
特に、1月、2月は、時化により、マグロ類に限らず、魚自体の水揚げが減るので、このような仕入れの仕方が、これからも功を奏して欲しい限りでなりません。