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真空調理で仕込む蛸(たこ)・後編

前回のお話しの続きです。1本ずつ包丁した蛸の足は、

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お茶、塩、濃口醤油を入れた熱湯で、軽く湯がきます。このような仕込み方を、“茶ぶり”と呼んでいます。こうすることで、お茶に含まれるポリフェノール(カテキン類、フラボノイド類)によって、臭みを取り除くことが出来ます。蛸自体の身は、淡白でクセが無いのですが、ヌメリには独特の臭みがあるので、“茶ぶり”をするのです。

 

このまま茹でる仕込み方が一般的なのですが、自分の場合、

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表面の色が変わったら、

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氷水に落とし、余分に火が入らないようにします。冷めたら、

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ザルに上げます。頭の部分は、

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薄皮を取り除きます。ここまでが、仕込みの第二段階です。

 

その次に、それぞれを、真空パック用の袋に入れてから、

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アルコール分を飛ばした日本酒と薄口醤油を入れ、

真空パックします。頭と足は、形が違うのは言うまでもありませんが、8本の足のうちの4本は、

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太さと長さが違うので、

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3つの部分に分けておきます。ここまで準備したら、以前お話しした帆立の仕込みと同じ様に、スチームコンベクションオーブンを使って、加熱します

 

その時の温度は、

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60度です。頭、細い足、太い足と3つの部分があるので、加熱する時間は、少しずつずらします。最初に仕上がるのは、

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頭の部分で、この日は、15分加熱しました。取り出したら、

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氷水で、一気に冷まします。

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その10分後に、細い足が仕上がり、

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同じ様に、氷水に落とし、最後に仕上がるのは、

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太い足の部分で、細い足の7分後でした。同じ様に、

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氷水で冷まし、ようやく仕込みは終わりました。このまま冷凍しておくことも可能ですので、刺身に使う魚の入荷が無い時や、急なご予約にも対応することが出来ます。

 

何よりも、肝心の味です。見た目は生のような感じですが、加熱してあるので、甘味が感じられ。蛸特有の歯応えも残りながらも、柔らかい仕上りになっています。また、真空調理で仕込んであるので、蛸の美味しさが逃げることなく、旨味が凝縮されています。

 

蛸という素材は、大きさの割りに、個体差が激しい素材であるだけでなく、その仕込み方には、料理人によって、千差万別です。仕事の仕方には、正解がありません。あるのは、召し上がったお客様が、美味しいということです。

 

料理人の想いと、お客様の好みが、即座に合うとということは、なかなかありません。何となく合いそうな気配を感じながら、歩み寄っていき、惹かれていくのが、奥ゆかしさだと思います。一度だけで、その味、店を判断するのは、大人の仕草ではなく、無粋にして、野暮としか言い様がありません。お互いの良い関係こそが、日本料理という文化を作ることが出来、後世のためになるのです。

“真空調理で仕込む蛸(たこ)・後編” への2件のフィードバック

  1. ゆういち より:

    この記事を参考にタコの低温調理してみました。
    蛸のボイルはちょっと火を通し過ぎると硬くなってお年寄りが噛み切れない半生だと生がダメなお年寄りが食べれない
    この方法なら勘に頼らず蛸のボイルむらが極力少なく生ものがダメで歯の弱い母も「これなら食べれる」とお墨付きを得られたのでパクらせてもらいます(笑)有難うございました。

  2. 志村 より:

    ゆういち様
    良いものは、皆で共用しましょう。ご参考にして頂き、有難うございました。

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