『佳肴 季凛』のすっぽん料理
『佳肴 季凛』のお品書きを開くと、
コース料理のページに、
すっぽん料理があり、
料理内容が書かれているのですが、料理内容が、今日のお話しです。
そんな今日は、すっぽん料理の御予約を頂いていたこともあり、以前お話ししたように、すっぽん料理の御予約がある時は、ランチの営業時間を短縮することが殆どで、
今日も然りでした。
お客様の料理をお出しし終えたら、まな板周りを養生し、
すっぽんを卸すことにしたのですが、今日のすっぽんは、
昨日、沼津の魚市場で仕入れてきた佐賀産のもので、
2ハイで2,5キロの大きさのものです。
首が出て来たところを掴み、首の付根に包丁を入れるので、卸すところは、かなりグロテスクなので、割愛させてもらいます。
さて、今夜のすっぽん料理のコースですが、
先付二品のうちの一品が、南京豆腐(南瓜で作った豆腐)で、もう一品が、
生の本鮪(銚子産)でした。
ここからが、すっぽん料理のコースで、最初が、
活血(いきち)で、血だけでは固まってしまうので、
果汁100%のりんごジュースで割っており、血1に対してりんごジュースが3ぐらいの割合で、お店によっては、日本酒や赤ワインで割るところもあります。
また、滋養強壮の効果があるような気がするだけでなく、即効性があるように思われる方も多いかもしれませんが、そのようなことは全くなく、もしこの一杯で、精がつくとしたら、怪しい薬と変わらないかもしれません。
活血の次が、
すっぽんの刺身です。
白っぽいのが、腸で、その上に乗っているのが、心臓で、
つつくと、動きます。
その隣の赤い色をしているのが、
身で、その隣が、
脂身で、どちらも生のままです。
脂身の左側が、
肝臓で、軽く火を通してあります。
そして、最後が、
胃袋(白)と腎臓(赤)ですが、胃袋は腸とつながっているので、同じ様な色で、どちらも火が入っており、腎臓と心臓は、生のままです。
刺身の次が、
唐揚げで、後ろ足の部分を、薄口醤油と日本酒を同割りにしたものに、10分ほど漬けてから、片栗粉をつけて、揚げてあります。
そして、メインはすっぽん鍋ですが、
すっぽん料理の象徴とも言うべき料理で、すっぽんを味わうための料理と言っても過言ではなく、お出しする直前に、生姜の絞り汁を加えると、その風味で、食欲がそそられます。
すっぽん以外の具材は、くずきり、焼葱、豆腐だけで、芹と牛蒡が、相性が良い野菜ですが、あえて入れないのは、すっぽんそのもの美味しさを味わってもらいたいからです。
鍋の後は、
もちろん雑炊で、卵をとじずに、凝縮されたすっぽんの旨味だけを、味わってもらうことにしており、
そえるお新香は、浅漬(キャベツ)、糠漬(大根、胡瓜、人参)、キムチです。
コースの締めくくりの今夜のデザートは、
林檎のアイスでした。
お品書きにもあるように、当店のすっぽん料理のコースは、すっぽんの美味しさを堪能して頂くため、所謂すっぽん尽くしです。
すっぽんという素材は、肉でもなく、魚でもなく、ましてや野菜でもなく、他の食材にはない味わいがあり、すっぽんはすっぽん以外の何ものでもありません。
仕込み方も、他の食材とも異なり、どこまでいっても、すっぽんはすっぽんなのです。
しかも、日本料理ならではの食材にして、美食の一つでもあり、日本料理の世界に身を置き、かなりの月日が経ちましたが、最初にすっぽんの美味しさを知った時の感動は、今でも覚えており、すっぽんに限らず、日本料理の魅力を伝える努力を怠るわけにはいきません。
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毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
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