平成30年の鮪(まぐろ)の年間ランキング
先日、平成30年の鮪の年間ランキングを選考しているとのことをお話ししましたが、その結果が出ました。
鮪は、全て生の本鮪(天然)で、築地と豊洲から入荷したものです。
1位は、昨年最後に入荷した宮城県気仙沼産のもので、
これまでに、自分が仕入れた生の本鮪の中でも、一番良いか、それに準ずるものです。
赤身は、正月過ぎまで、色目が変わらないぐらいで、どの程度まで、色目が持つのか、試したいくらいでした。
入荷したのが、27日でしたが、この鮪の仕入れに関しては、紆余曲折というか、入荷に到るまで、前置きがありました。
例年、12月半ばを過ぎると、生の本鮪をはじめ、多くの魚の値段が高騰し始め、今年も然りでした。
ですので、豊洲の入荷状況、相場、自分の方の予約の状況などを鑑みながら、いつも以上に、鮪屋の社長とコンタクトを取るようになります。
22日に、とりあえず連絡を入れたところ、この気仙沼産のものが、既にあったものの、24日が月曜日つまり、定休日だったこともあり、とりあえず、仕入れることはやめました。
その後、26日に連絡を取ると、これと千葉県勝浦産のものがあり、単価、身質を訊いたところ、単価こそ高いものの、先に仕入れたこの気仙沼産の補が、良いとのことで、気仙沼産を仕入れたのです。
つまり、27日から逆算すると、水揚げされたのは、20日ぐらいになります。
ただ、これはあくまでも、自分に知る範囲のことで、実を言うと、さらに、その前置きがあったのです。
それを知ったのは、先日、東京で鮪屋の社長と食事をした時で、鮪をはじめとする魚の話をしていると、「季凛さん、暮れの気仙沼産あったでしょ。あれって、実は、あの一週間前に仕入れて、氷詰めにして、冷蔵庫にしまっておいたんですよ。」
それを聞いた自分は、「え゛っ!?」と、絶句。
確かに、良いものとなると、そのようなものは、いくらでもあり、後でお話しする銚子産も、その典型です。
「ってことは、結果的に、20日くらいは、(色、身質など)が変わらないってこと?まぐろ30日なんて、言葉もあるけど・・・。」
「そうなんです。正月用の出前を用意する鮨屋さんから注文があるので、それを見越して、仕入れたんです。知っているように、暮れは、(値段が)上がるから、ピンポイントで狙うことにしてるので・・・。」
「でも、あんな魚自体、少ないでしょうに・・・。」
「季凛さんも知っているように、20年くらい前までは、あんな感じの魚がいくらでもあったんですけど、ここ何年かは・・・。ただ、気仙沼の延縄で揚がるものには、そういうのがあるんですよ。」
「それにしても、社長の目は凄いよね~。でも、ババを引くこともあるし、それに付き合わされたこともあるけど、こればかりは、仕方ないよね~。」
「自然相手だから、ハズレも引いたことはいくらでもあるし、こればかりは、どうしても・・・。何はともあれ、これからもよろしくお願いします。」
と、このようなやり取りをしたのでした。
ちなみに、この気仙沼産に匹敵するものも、
そして、2位と、
3位は、
どちらも、1月に入荷した千葉県銚子産のもので、実は、全く同じ魚、つまり“連れ”同士です。
ですので、2位も3位も同着ということになり、この銚子産のものについての詳しいことについては、こちらをお読み下さい。
そして、4位は、
1月に入荷した和歌山県那智勝浦産のものです。
脂こそ薄いものの、自分好みのものでしたが、脂の薄さが幸いし、延着で届いたにも関わらず、色目が全く変わらない身質のもので、それについては、こちらをお読み下さい。
そして、5位は、12月半ばに入荷した青森県竜飛産のもので、
時季、漁場(ぎょば)を考えると、津軽海峡産のものらしくなく、太平洋産のもののような身質でした。
年間ランキングは、上位5位までですが、次点のものが、
宮崎県油津産のものでした。
油津は、同じ宮崎県の川南と並び、大正から戦前にかけて、マグロ漁で賑わった漁港で、マグロ類を語る上では、避けては通れない産地で、春先には、黄肌(きはだ)鮪の水揚げが、多くあります。
この油津産のものは、身質だけでなら、4位あたりに、ランクイン出来るのですが、皮目に傷があったので、ランクインとならず仕舞いで、その時のことについては、こちらをお読み下さい。
ところで、年間ランキングはベスト5ですが、ワースト5とまではいかなくても、ワースト1のものも、勿論あります。
それが、3月半ばに入荷した銚子産のもので、
魚体も小さく、お客様にお出し出来るものとしては、ギリギリのレベルで、一刻も早く使い切りたいものだったこともあり、この場を借りて、お詫びしたいくらいです。
生の天然ものという自然条件に大きく左右されるものですので、同じ銚子産といっても、大きな違いがあり、産地は、あくまでも目安でしかないのです。
また、生の本鮪に関しては、漁獲枠や保護など、それを取り巻く環境も複雑で、一筋縄でいかない面も多くあります。
そのような状況ですが、ピカイチとまでいかなくても、年間ランキングを書くにあたって、四苦八苦するような質のもが、多く入荷してくるよう、期待するばかりです。
★☆★ 日本料理の匠 ★☆★
【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、
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