青魚尽くし
今朝、沼津魚市場に行くと、
千葉県銚子産の真鰯が入荷しており、
『鰯の丸煮』用に仕入れることにしたのですが、生の真鰯を仕入れるのは久々のことで、お歳暮の時季は、生の入荷が少なかったので、冷凍もので仕込んでいました。
ここ数日、銚子産の真鰯の水揚げが増え、Facebookでは、銚子産の真鰯の脂の乗り具合が、頻繁に投稿されていたので、小躍りしたくなる気分で、別の売場へ。
別の売場で、京都・舞鶴産の鯵(あじ)を仕入れた後は、
真鰯と同じ千葉県の富津産の小肌(こはだ)を仕入れたのですが、大きさを揃えたいので、
極寒の中、氷が入った海水の発泡スチロールに手を入れ、
必要な分を選りました。
慣れているというか、分かってはいても、この時季のこの作業だけは、逃げたくなるものです。
他の仕入れもしたのですが、これだけの数の小物にして、いわゆる青魚があると、仕込みに手間取ることを覚悟しながら、魚市場から帰ることにしました。
ちなみに、小物とは小魚類のことで、貝類も、この範疇に入り、日本料理よりも、鮨屋の方が、得意とする分野で、この道の始まりが鮨屋だった自分にとっては、それほど苦になりませんし、むしろ包丁使いの基本に立ち返る気になることも、しばしばです。
また、鮨業界では、青魚は光物とも呼ばれ、酢締めにして、供される魚で、その職人の技量が問われることもあり、鮨屋中退というか、卒の身にしてみると、どうしても、素通り出来ません。
『佳肴 季凛』に戻り、普段の段取りを終えたら、
小肌から仕込み、青魚尽くしのスタートです。
小肌から始めたのは、鱗を取り、頭を落とし、腹わたを抜いたら、
水洗いした後、
開いてから、
振り塩をするのですが、
塩が回る間に、
今日は、鯵でしたが、色んな仕込みが出来るからです。
鯵も、小肌同様の下処理をするのですが、水洗いは、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんにお願いし、
その頃までには、小肌の仕込みは最終段階に入り、酢の中に・・・。
鯵の下処理を終えたら、
真鰯の下処理です。
鯵同様、
水洗いは、
真由美さんの役目で、先程お話ししたように、
予想通りの脂の乗り具合でした。
ただ、脂乗り乗りの氷詰めですので、否が応でも、仕込みのスピードは落ちざるを得ず、結果として、あまりの冷たさで、手の感覚もなくなってしまいます。
そんなこともあり、
お湯を入れた鍋に手を入れながらの仕事をするのですが、あくまでも、手の感覚重視で、間違っても、魚に温かさが伝わることだけは、避けなくてはなりません。
今日の仕込みは、ともかく数仕事ゆえ、時間との闘いで、
ランチの営業時間までに、小肌も仕上がり、
下処理を終えることが出来たのですが、これだけの魚の仕込みをすると、カウンター周りの掃除は欠かせず、
急いで、
掃除をし、ランチの営業に、どうにかこうにか間に合いました。
そして、営業の合間を見ながら、
真由美さんと、
義母は、焼いてから出汁を取るために、鯵と真鰯の頭を掃除してくれ、それが終わったら、
真鰯を鍋に並べ終え、
水と酢を注ぎ、落とし蓋をし、
超々弱火で、火に掛けたのですが、『鰯の丸煮』が仕上がるのは、明日で、仕上がるのに、それこそ、丸二日かかります。
鯵は、三枚に卸してから、
“鯵と茄子の揚げ出し”として、
早速、ランチメニューでお出しし、三枚に卸した時の中骨も、
焼いておき、全ての仕込みが終了。
ランチと言えば、自分と真由美さんのお昼の賄いは、
脂乗り乗りの真鰯を塩焼にし、青魚尽くしの一日というか、半日が終わったのでした。
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