鱧の骨切り包丁
昨日、鱧の骨切りについてお話ししましたが、今日はその続編です。鱧シリーズの第八弾です。
鱧の骨切りには、専用の包丁があります。“骨切り包丁”と呼ばれています。
刃の長さだけでも、30センチあります。専門的には、“尺(=30センチ)の骨切り(包丁)”と言います。柄の長さまで入れると、50センチほどになります。
こちらが、その刃です。今度は上から見てみます。参考のために、刃が薄い“ふぐ引き”を並べてみました。
右側が、“骨切り”で、左側が“ふぐ引き”です。厚さもこれほど違います。これだけ、厚いのですから、当然重いです。
450グラムを指しています。これまた、比較のために“ふぐ引き”を乗せた秤です。
100グラムしかありません。
何故、これほど重いのかというと、この重さで押し切るようにしないと、小骨が切れないからです。
ですから、他の包丁で骨切りをしても、上手くできません。仮に出来たとしても、スムーズにできません。ですから、速くてきれいな仕事は出来ません。
仕事というものは、速くてきれいにするものなのです。速くても、雑ではだめですし、きれいでも、遅ければ、誰でも出来ます。
プロの仕事は、きれいで速くなければ意味がありません。そのためには、包丁はいつでも切れるようにしておかなければなりません。
鎌倉武士の「いざ鎌倉」ではありませんが、咄嗟の仕事に対応できなければ、プロとして失格です。武士にとって、刀が命であるのと同じように、料理人にとって、刀とも言える包丁は命なのです。
志村
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