鯒(こち)
これから夏にかけて、旬を迎えるのが、“鯒(こち)”です。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、“鯒”は、普通の魚のような形をしていません。もう少し、近くで見てみます。
頭は、踏みつけられたような形をしています。シャベルのようです。姿全体は、爬虫類のわにのようでもあるので、“わに型”の魚とも言ったりもします。以前お話しした“ほうぼう”も“わに型”の魚の一つです。もっとも、この二つは同じ仲間ではありません。
“鯒”は、姿、形も変わっているだけでなく、骨の構造も変わっています。特に、肋骨の部分に特徴があります。
三枚に卸したものです。その後、肋骨を取り除きます。
ちょっと見づらいかもしれません。締めたばかりなので、身がまだ透き通っているからです。
普通の魚でしたら、この後皮を引くだけでいいのですが、“鯒”は違います。お腹の身から、皮目に骨が入っているので、抜かなくてはならないのです。
この骨も、まっすぐではないので、抜くのが厄介です。自分の性格と同じ位、ひねくれて、曲がっています。
長さもまちまちだったり、時には折れてしまうこともあります。ここにはありませんが、二股に分かれているものもあります。
二股の文字は、料理一筋にして、“佳肴 季凛”の女将にして、愛妻の真由美一筋の自分には、当てはまりません。
皮を引いた身です。
上が“鯒”です。参考のために、下に置いたのが、“平目”です。同じ白身でも、これほど違うのです。ですから、味が違うのも頷けるはずです。
素人の人で、皮を引いた白身を見ただけで、魚の種類が分る方がいたら、かなりのツワモノです。もっと言えば、プロでも分らない人もいるとは言っても過言ではないと思います。
“鯒”は、白身の中でも、身の持ちが良いもの一つです。ものによっては、明くる日も薄造りでお出しすることも出来ます。
ただ、骨を抜いたお腹の部分の身は、どうしても持ちが悪くなってしまいます。ですから、“鯒”は面白いことに、尾の方を重宝します。
冒頭でお話ししたように、“鯒”は夏が旬ですが、特に真夏の暑い時季には、“日照り鯒”とも呼ばれ、夏が旬の数少ない魚の一つです。これからの時季、度々入荷しますので、“佳肴 季凛”にいらしたら、是非味わってみて下さい。
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店主 志村
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