バージョンアップ
“佳肴 季凛”のお弁当は、こんな感じのものです。内容については、以前お話ししました。
初めて注文を頂いたお客様にお出しする時は、大体このような感じですが、今日のお弁当は、先日に引き続いての注文だったので、内容もがらりと変えました。バージョンアップってやつです。
料理そのものは、当然ですが、中の器(紙製)も、変えます。これが、今日の器です。
一方、こちらが前回のものです。
料理内容が違うわけですし、召し上がる方が同じですから、変えるのは当然ですし、かの有名な魯山人が言っているように、「器は料理の着物」である以上、二回目の訪問をするのに、同じ着物というわけにはいきません。
「そこまでもしなくても、いいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、料理を変えれば、及第点はもらえます。いつも、そんな時思うのは、「自分がお客さんだったら、どうなのか?」ということです。
そこまで、気を配ってもらえたら、さぞかし嬉しいと、自分は感じます。だからするのです。というより、これがおもてなしの基本だと思っているからです。
さらについでに、折を結ぶ紐も変えます。
青が今日のもので、緑が前回のものです。ここまでやって初めて、お客さんからお金を頂けるのですし、それがプロとしての本分です。
さて、肝心の中身がこちらです。
先ずは、左手前の御飯からです。今日のは、“ひじき御飯”です。ひじきを戻してから、味を含め、その出汁で炊いたものです。
右手前が、煮物です。今回は“炊き合わせ”です。南瓜、里芋、さつま揚げ、白滝、人参(今回は鮎の形に抜いてあります。)、隠元です。ちなみに、“炊き合わせ”という料理は、それぞれの材料を違った味付けで煮たものです。
右奥が、焼物です。“鶏ものの塩焼”です。粒辛子のドレッシングをつけてあります。
最後が、“口取り”です。う巻き玉子(鰻入りの玉子焼き)、つくね串、鱧の新挽き(しんびき)揚げ、帆立の含め煮です。“口取り”は普通奇数なのですが、今日は器の都合で偶数(四種)になってしまいました。
このように、献立を変えるのは、食べ手のお客様のことが、第一義なのですが、献立を変えることで、自分自身のモチベーションも上げることも、出来ます。
また、違ったものを召し上がって頂くことで、その方の好みも知ることが出来ます。そうすれば、段々と良いお弁当が出来るはずです。
これは、何もお弁当に限ったことではありません。“佳肴 季凛”にいらして、召し上がって頂く時も、同様です。
店と料理人というものは、お客様が作って頂くものです。もちろん、料理人にはそれぞれ、主義、主張があります。もっとも、自分はその二つの塊ですが・・・。
“佳肴 季凛”は、まだ赤子同然の店です。料理に限らず、様々な面で、ご要望を仰って頂ければ、有難い限りです。
最後までお読みいただきまして誠に有り難うございました。
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店主 志村
う~ん
お見事です。ご主人の考えかたがとても素敵です。
お料理の内容は勿論のこと。容器・包み紐etc
細部にわたり、心が伝わります。
嬉しい限りです。
「思ったことは言う、言ったことは必ず実行する」それが商売人には特に求められる。
近年それが出来ない者が多いのが気になっていますが、流石熱血料理人
自分の思いをぶれずに有言実行しているところが大変宜しいですね。
ついでに繊細さも持ち合わせているところもグー。
おばさん様
人の心を動かすものは、物ではありません。心です。
心が伝わって初めて、感動が生まれるはずです。。
そう思いつつ、作り続る料理人でありたいと思っています。
富士のマク様
ぶれるとか、ぶれないでなく、そうさせてくれる環境があることに、感謝しています。