グローバルナビゲーション
  • 昼席
  • 夕席
  • ふぐ料理
  • はも料理
  • 西京漬
  • 鰯の丸煮
  • マクロビオティック
  • ブログ

もっとおいしいお話し

HOME ≫ ブログ ≫ 天然のすっぽん(伊豆・松崎産)の仕込み

天然のすっぽん(伊豆・松崎産)の仕込み

前回のお話しの続編で、伊豆・松崎産のすっぽん(天然)の仕込みについて、お話しします。

 

天然であれ、養殖であれ、すっぽんは、卸す時に、

s-P1163243

仰向けにして、まな板におきます。というのは、すっぽんは、裏返しにしておくと、首を伸ばし、ひっくり返ろうとするので、その瞬間に、素早く掴んだら、首の付け根に一気に、切り込みを入れ、卸します。この後の様子は、かなりグロテスクなので、割愛させて頂きます。

 

卸してから、薄皮を取り除き、

s-P1163244

下拵えが終わりました。この時点での、養殖ものとの違いは、薄皮の臭いが、あんまりしない感じでした。

 

すっぽんは色んな料理に仕立てることが出来ますが、すっぽんの美味しさは、出汁にあり、他の素材をもってしても、代え難いもので、魅惑的、官能的という言葉が、当てはまります。

 

すっぽんの出汁の取り方ですが、

s-P1163245

鍋に、身を入れたら、水と日本酒を加えます。この時の分量ですが、自分は、1枚のすっぽんの場合、目安として、水1升5合に対し、日本酒5合ほどです。今回は、天然ものの味を知りたいので、1枚でしたが、通常は、3枚ぐらい仕込みます。ちなみに、たっぷりの日本酒と水で出汁を取ることを、日本料理では、“すっぽん仕立て”と、呼んでいます。

 

また、水と日本酒の割合ですが、10:1だったり、2:1だったり、同割だったりと、使い勝手や料理人の好みによって、様々です。

 

先程の鍋に、昆布を入れたら、

s-P1163246

火にかけ、強火で、煮出していきます。沸いてきたら、昆布を取り出し、あくが、絶えず出てくるので、

s-P1163251

お玉で寄せながら、丁寧にすくい取っていきます。この作業を疎かにすると、仕上がりに決定的な差が出るので、神経を集中させます。この時も、養殖のすっぽんのような臭いは、しませんでしたし、最初心配していた泥臭さも、ありませんでした。

s-P1163252

あくが出なくなったら、強火から中火程度にし、少しずつ煮詰めていきます。中火にするのは、沸いたままだと、出汁が濁ってしまうからです。

 

頃合を見計らい、

s-P1163254

濃口醤油、薄口醤油、味醂、赤酒、塩で、味付けをしたら、弱火にします。大方の味が調い、冷めたら、バットに移し、

s-P1163255

このまま冷蔵庫にしまいます。すぐにでも、使うことは出来るのですが、1日程度、寝かしたものの方が、美味しくなります。

 

そして、昨日の夜、

s-P1183279

仕事を終えてから、晩酌の時、味を見たのですが、仕込みの段階で感じていたような臭いは、案の定ありませんでした。

 

臭いとは言っても、養殖のすっぽんでも、それは、決して味を損ねるようなものではなく、あくまでも、天然ものとの比較の上でのことですし、先ほどお話ししたように、すっぽんの出汁の美味しさは、他の食材には、無いものです。

 

また、すっぽんと言えば、豊富なゼラチン質が最大の特徴で、今回の天然ものは、養殖ものよりも、ずっと多く感じられました。特に、箸で持っているえんぺらの部分のプリプリ感は、堪りませんでした。

 

結論としては、天然の方が、上品な感じでしたが、それこそ、月とすっぽんということはありませんでしたし、今後、自分が使うのは、基本的に、入荷が安定している養殖の予定です。

 

ただ、ここ2,3年、すっぽん料理自体が、当店に限ったことではなく、人気がなくなりつつあり、実際、自分が通う沼津の魚市場でも、扱っている問屋が、扱わなくなってしまいました。一昨年の暮れに、日本料理文化が、ユネスコの無形文化遺産登録されたにも関わらず、現状というのは、日本人が日本料理を食べなくなりつつあるのです。

 

日本料理は、格式があり、供する日本料理店も、敷居が高かったりと、それこそ高嶺ならぬ高値の花のようになっていますが、家庭で作る料理も、実は日本料理であり、和食である以上、鰹節や煮干しで取った出汁で、料理を作ってもらいたいものです。

 

また、日本料理は、出汁という水を使う料理なので、その味わいは、どうしても淡白な味わいになりがちで、一度食べただけでは、その美味しさを評価しにくく、中華料理やフレンチ、イタリアンのような洋食のように、油だけでなく脂を感じる料理は、一口食べれば、その味わいを感じることが、出来ます。

 

ですので、日本料理からは、どうしても箸が、遠ざかるようになってしまうのです。そういうことには、目をつむるとしても、和食というよりも、家庭で、冷凍食品や惣菜を並べるだけでなく、ちゃんと手作りしたものを、家族みんなで、楽しく食事をしてもらいたいものです。

 

食育という言葉が聞かれるようになり、時間が経ちましたが、ちゃんとした食事をすることが、人間が生きる上では、何よりも大切なはずです。

 

実は、こんなことを、昨日ゲスト出演させて頂いたK-mixのラジオ番組『ケチャップのドバ☆ドバしずおか』で、

s-P1173263

お話ししました。そんな番組の収録の様子は、先日お話ししました。前編が、こちらで、一方の後編は、こちらです。

 

日本料理という日本文化の一端を担うことを生業とした以上、どんな形でも、その素晴らしさを後世に伝えられるよう、精進していきます。

 

★☆★ 日本料理の匠 ★☆★

【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、

s-20140826162548-550

このように紹介されております。ご興味、ご関心のある方は、上の写真をクリックして、ご覧下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このページの上へ戻る