紀州・熊野より、朋来る
先週の金曜日のことです。仕事が終わった後、久し振りに、お出掛けをしました。お連れさんは、自分が天然のとらふぐをメインにふぐ類を仕入れている三重県熊野市の魚屋さんです。
良き理解者でもある朋ですので、乾杯直後の自分は、
自分とは思えぬ笑顔をしていたようです。乾杯を終えると、焼肉を肴に、
ふぐに限らず、色んな魚の話と、
話題は尽きず、否が応でも酒は進みました。
そこそこで、お開きとなった明くる日のお昼、彼が、【佳肴 季凛】に来て、食事をしてくれました。その日の料理については、こちらを、ご覧下さい。
食事を終わった頃、下関から、ふぐが届きました。嬉々としながら、
蓋を開け、
“ジャンボちゃん”を取り出した自分の様子を、写真を撮っていたようで、昨日になって、メールと共に、こんな写真が送られてきました。前の晩の焼肉を前にした笑顔よりも、嬉しかったのは、自分自身、否定の余地はありません。
そうこうしていると、帰る時間となり、
店先で、記念撮影をし、「“ジャンボ”ちゃんを、送りますから、待っていてください!」と告げ、富士市を後にしたのでした。
一年振りの再会は、まさに、“朋あり、遠方より来る 亦楽しからずや”の言葉通りで、また会える日も、さることながら、彼が送ってくれる“ジャンボちゃん”が、待ち遠しい限りです。
今年初の外国産は、ニュージーランド産の生の南鮪(ミナミマグロ)
今日、東京・築地から入荷した鮪は、
ニュージーランド産の生の南鮪(ミナミマグロ)でした。ご存じの方も多いかもしれませんが、南鮪は、インドマグロとも呼ばれており、その味わい、市場価格は、本鮪と同格のものです。
例年、ニュージーランドなどの南半球の地域から、良質の生の天然の鮪が入荷するのは、梅雨前ぐらいからですが、今年は、3月半ば前の今日でした。
また、3月に入荷してくる外国産のものは、ギリシャ、スペインなどの地中海産の本鮪が多いのですが、今年は、その前に、ニュージーランドからの入荷でしたし、今年初の外国産でもありました。
天然ものつまり、自然素材というものは、その時々の状況に、左右され、目安こそがあっても、断定は出来ないものなのです。
そんな今日の南鮪は、
ふぐ料理の先付の一品として、お出ししました。ちなみに、今日のふぐ刺は、
卸してからというより、締めてから、4日経っていますが、まだまだのような感じがし、本当の美味しさを味わえるのは、明後日ぐらいだと思います。
はっきりしたことが言えないのは、先ほどお話ししたように、自然素材ゆえのことで、どこまでいっても、本物は、深いものです。
お弁当の準備を少々
今日は、定休日でしたが、
先付の“南京豆腐”を仕込んだ後、
お弁当の御飯のお新香をカップにつめ、焼物のあしらいのはじかみを用意しました。ご覧のように、これらは、【佳肴 季凛】で使っている唯一といっていいほどの既製品です。そんなことについて、以前お話ししたことがあります。
その後、
本鮪の南蛮漬も、カップに盛り付けたら、揚物の豚かつにパン粉をつけ、
お米を研いで、仕込みは終わりました。
これらの仕込みは、昨日でも可能なのですが、出来立ての料理こそが、一番美味しく感じられるので、あえて、今日仕込みました。仕上りまでの時間を、ギリギリまで縮めれば、否が応でも、美味しさは増しますし、料理の生命線は、どこまでいっても、美味しいことに尽きるのです。
若かりし頃、というより、20代の頃、自分が師事した親方に言われたのは、料理人の仕事は、料理を作ることではなくて、美味しい料理を作ることだということでした。自分のように、一人仕事をしていれば、いくらでも、手抜きや楽が出来ますし、全てが自分次第です。
だからといって、本当の意味での料理人の本分だけは失いたくないし、それこそが、自分の立ち位置にして、拠り処なのです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
下関産の“ジャンボちゃん”こと、特大の天然のとらふぐ
昨日、ランチの営業時間が終わると、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、
宅配便の営業所まで、荷物を取りに行ってもらいました。下関から、
送られてきたものです。中を開けると、
天然のとらふぐが、入っていました。目方は、
5,8キロでした。かなり大きいもので、自分は、これぐらいのものを、“ジャンボちゃん”と呼んでいます。
久々の“ジャンボちゃん”ですので、
一緒に、記念撮影しました。否が応でも、萌え燃え・・・❤
その後、まな板に乗せ、
卸すことにしました。頭の部分には、
締めた後があり、出荷前は、
このような状態でした。
卸すと、予想通り、
メスで、このような真子(卵巣)が入っていました。予想通りと書いたのは、4キロ以上の天然のとらふぐは、メスが多いからです。
卸して、水洗いを終えたのが、
こちらです。
これまで何度もお話ししていますが、大きいからと言って、大味と思われるかもしれませんが、その味わいは、天然のとらふぐの繊細さを束ねたようなもので、“ジャンボちゃん”を食したら、天然のとらふぐが、魚を超えるものだと、感じることが出来ます。
ただ、“ジャンボちゃん”の入荷する時季は、春先から梅雨までが多く、ふぐ料理のオフシーズンですが、天然のとらふぐの真の美味しさを味わうなら、“ジャンボちゃん”しかありませんし、一度でも食せば、本物のふぐの虜になることは、確実です。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
今シーズン初入荷の岩牡蠣は、宮崎県産
今朝は、沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。
構内にある貝専門の売場に行くと、
三重県鳥羽産の牡蠣をはじめ、
蜆(しじみ)や、蛤(はまぐり)、
北海道産の北寄(ほっき)貝、
“カラホ”と呼ばれている殻付の帆立や、“ムキホ”と呼ばれる殻を外した帆立が、並んでいました。どちらも、産地は、三陸や北海道です。
これらは、この時季の定番のものですが、その中に、あるものが、
目に留まりました。
御覧のように、宮崎県産の岩牡蠣です。
例年、3月になると、九州などから入荷してくるのですが、今シーズン初めてということもあり、自分好みの良さそうなものを、
選り抜き、この5個を仕入れることにしました。
そんな今夜、お品書きには書きませんでしたが、5個のうちの2個を剥き、
常連のお客様に、
お出ししました。剥いた時点で、大体の様子は分かっていましたが、営業終了後に、
残りの3個を剥きました。“走り”とはいえ、3個とも、
このような感じでした。写真のような乳白色が、濃いほど、味も濃厚になります。
試食したところ、幾分早いような感じはしましたが、岩牡蠣特有の風味と旨味を味わうことが出来ました。自分が市場に行って、良さそうなものがあれば、仕入れてくるつもりですが、恥ずかしくないものとなると、夏が旬の鱧(はも)の入荷が、増えてくる頃になりそうです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
五十肩ノ痛ミニモマケズ
今日の仕込みは、昨日入荷した三重県産のとらふぐ(天然)を、最初に、卸す予定でしたが、ここ最近、右肩の辺りに、痛みを感じていたので、近所の整形外科に行きました。
行く前に、ネットで、“予習”をしていったので、大方の予想はついており、診断結果は、
五十肩で、痛み止めの注射をしてもらっただけでなく、肩周辺を温めるリハビリを受けました。
ふぐの卸し過ぎなのが、原因の一つだとは、自分は思っており、facebookの友達からは、お酒の飲み過ぎだとか、ふぐの崇りだとかのコメントをもらったりしましたが、実際のところは、どうなんでしょう・・・。五十肩と言っても、自分は、まだ44歳なので、この名前に、老いを感じてしまうのは、妙な寂しさがあります。
診察、リハビリの後、
痛み止めのくすりと、
湿布をもらいました。また、これらと一緒に、五十肩の説明と、
症状を改善する体操のやり方が、
書かれたリーフレットをもらい、【佳肴 季凛】に戻り、ランチの営業の準備をしました。
ランチの営業が終わったので、
まな板周りを養生し、
水槽から、3本全て取り出し、
卸すと、2本がオスで、十分に成長した白子が、入っており、五十肩の痛みに、耐えた自分は、こんな詩を詠んでいました。
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
五十肩ノ痛ミニモマケズ
・・・・・
天然ノトラフグヲ愛シ 卸シ続ケル料理人デアリタイ
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
今シーズン最終便
今日は、定休日でしたが、
7時前に、宅配便の営業所に行きました。というのも、三重県から、天然のとらふぐが、届くからで、いつも以上に早く、目が覚めてしまったのは、言うまでもありません。
着くと、
荷物の仕分けの真っ最中で、ブクブク付きですので、音を頼りに、
探り当てました。
そのまま受け取り、【佳肴 季凛】に戻り、
中を開けると、3本共無事でした。何度見ても、この姿には、萌え燃え・・・。
そのまま取り出し、
状態を確認したところ、明日まで、十分元気でいてくれそうでしたので、
水槽に入れておきました。
ところで、一昨日の28日が、静岡、愛知、三重の東海三県の天然のとらふぐの延縄漁の最終日でしたので、この3本が、10月からのシーズンの最終便ということになりますが、ふぐ料理は、お彼岸前後までは、ご予約なしも、お召し上がり頂けます。
春が近付き、気分も浮かれがちになるのが、人情なのかもしれませんが、“ふぐに魅せられし料理人”の自分としては、春の訪れは、寂しいこと、この上ありません。
とは言っても、天然のとらふぐの入荷がなくなることはなく、梅雨前までは、自分が“ジャンボちゃん”と呼んでいる、4キロ以上の大型のとらふぐが、定置網などにかかって、入荷することもあり、シーズン中の入荷よりも、楽しみではあります。
そして、そんな今日、
庭先の梅と共に、ふぐのひれを写真に、収めました。
走り、盛り、名残りと、季節の移り変わりがあるからこそ、四季の風情を愛でることが出来、それが、日本人の趣であるのは、確かなはずです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
2月に入荷した生の鮪いろいろ
今日から、
3月ですが、今日のお話しは、昨日の続編で、2月に入荷した鮪の数々で、どれも、東京・築地から入荷したものです。
例年、2月は、時化模様となることもあり、生の鮪の入荷は芳しくないのですが、今年は、泣きたくなるような2月でした。
そんな2月、一番最初に入荷したのが、
静岡県南伊豆・妻良産の生の本鮪(天然)でした。定置網漁のもので、普段なら、築地には行かず、自分が普段通う沼津の魚市場で、取り引きされるレベルのものでした。というのは、築地への入荷が、あまりにも少なかったからです。
昨今では、地産池消が、一つのうたい文句のようになっていますが、本当に良いものや高値がつくものは、東京をはじめとする大量消費地に、行ってしまうのが、実状で、地元に残るものは、それなりのものや、鮮度の落ちやすく、生産地で、消費した方が、美味しく食べれるものだけなのです。
さらに、そんな入荷状況に追い打ちをかけて、泣く泣く仕入れたのが、
京都・伊根産の養殖の本鮪でした。それについては、こちらをお読み下さい。
その次に入荷したのが、
高知県産の本鮪で、その週末に入荷したのも、
同じ鮪の“連れ”でした。妻良、伊根とは、比べものにならないもので、天然というよりも、本物の良さにして、有難さを再認識せざるを得ませんでした。
そして、2月の最終日の昨日入荷したのが、
和歌山県那智勝浦産の目鉢鮪(めばちまぐろ)でした。
例年、3月になると、地中海産のものが入荷して来ますすが、今年は、どうなるのか、気が気でありませんが、月が替わって、ツキも変わって欲しいものです。
久々の目鉢鮪(めばちまぐろ)は、和歌山県那智勝浦産
今朝、東京・築地から入荷した鮪は、
和歌山県那智勝浦産の目鉢鮪(めばちまぐろ)でした。目鉢鮪が入荷するのは、かなり久しぶりのことで、自分の記憶の中では、2年以上経っているはずです。
また、目鉢鮪は、一年を通じて、水揚げされますが、美味しいとされる時季は、秋頃ですので、春先に入荷するのは、初めてのことでした。
淡い味わいながらも、鮮やかな色合いは、鮪らしい鮪とも言えます。今夜の【ふぐ料理】のコースの先付で、お出しした中とろの部分は、
こんな感じで、【会席料理】では、
このような四種盛りとして、お出ししました。目鉢鮪以外のものは、帆立(北海道)、小肌(佐賀)、湯葉です。
時季外れとはいえ、ちゃんとしたものは、間違いないということを、今日の目鉢鮪で、再認識することが出来ました。自然素材は、どこまでいっても、奥深いものです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
沼津産のあぶらぼうず
二日連続で、今朝も、
沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。構内を歩いていると、
かなり大きい魚が4本、並んでいました。近付いて、見てみると、
このうちの3本は、
30キロ前後のもので、もう1本は、
85キロの超特大サイズのものでした。この魚は、“あぶらぼうず”と呼ばれる魚で、南伊豆産のものでした。
これだけ大きい魚ですので、【佳肴 季凛】のようなところでは、使い切ることが出来ませんので、入荷があっても、普段は素通りするのですが、どんな食材でも、知りたがりの自分ですので、色々と調べてみることにしました。
その名の通り、身にかなりの脂肪分があるのが特徴です。また、沼津近辺では、“おしつけ”と呼ばれてもいます。“おしつけ”という名前を、初めて聞いたのは、とある飲食店だったのですが、その店のお勧めの一品を、強くセールスしたいがための名前だと、自分は思ったことがあります。
色々と調べてみると、元々、おしつけという言葉は、宮中などのお屋敷で、女中が毒見をすることを意味し、脂が多い“あぶらぼうず”が、食べると、お腹がGuruGuruをする場合もあることから、毒見を要する魚の意味が、一つの説のようです。
GuruGuruの意味するところは、このブログには相応しくない言葉ですので、ご察し下さい。
“あぶらぼうず”は、当店のでもお出ししている【西京漬】の“銀鱈”と同じギンダラ科の魚であるので、脂が多いのも、納得がいきます。
ただ、そのような“あぶらぼうず”ですが、食品衛生法によって、市場や魚屋では販売禁止となっている“ばらむつ”や“あぶらそこむつ”のワックスエステル(蝋)とは違う脂質のトリグリセリドなので、流通が可能なのです。
また、“あぶらぼうず”は、神奈川県小田原市で多く消費されることもあり、“小田原のソウルフード”とも呼ばれており、スーパーなどの鮮魚コーナーでも、売られているようです。刺身だけでなく、脂もあるので、煮たり、焼いたりするには、恰好の魚で、近い将来、もっとメジャーになる可能性もあるかもしれません。