真空調理で仕込む鮟肝(あんきも)
今が旬の食材の一つが、
鮟肝(あんきも)で、鮟肝とは、鮟鱇の肝、つまり鮟鱇の肝臓です。
鮟肝に限らず、殆どの魚介類は、沼津魚市場で仕入れるのですが、今回のお話しは、鮟肝の仕入れ、仕込みなどについてです。
鮟肝は、魚市場にある小物屋で仕入れるのですが、
小物屋とは、小肌、貝類など、すし種に使うようなものを扱う問屋のことです。
鮟肝は、
1キロ以上の単位で、袋詰めされているのですが、割高になってしまうとは言え、
脂の乗ったものを選り、仕入れることにしています。
この鮟肝の産地は、中国ですが、中国産に限らず、その良し悪しは様々で、中国産でも、国産と同等のものもあります。
国産だから言って、必ずしも良質とは限りませんが、良質の国産のものとなると、かなりの値段です。
中国産や国産以外では、アメリカ・ボストン産もありますが、一度も仕入れたことはなく、どの程度のものなのかは、全く分かりません。
先程の鮟肝から、自分が選ったのが、
こちらでした。
袋から出した鮟肝ですが、
明らかに赤い部分が血で、薄くピンクがかったようなところが、脂で、この脂の有無が、鮟肝の良し悪しの決め手で、加熱すると、オレンジ色を帯びるようになります。
先ず、
薄皮と、
膜を取り除き、同時に、
血痕や、
血が回った部分も、取り除きます。
先程、脂とお話ししましたが、
この薄いオレンジ色の部分が脂で、
それ以上に、脂が乗っているのが、この部分で、色の違いがお分かり頂けると思います。
掃除し終えたら、臭みを取り除くため、
薄塩をし、
20分程度、このままにしておきます。
塩が溶けるのが20分の目安で、水洗いをしたら、
日本酒で、
洗います。
キッチンペーパーで水分を拭き取ったら、
丸めやすい大きさに包丁し、
アルミホイルで巻いていきます。
太さの目安は、500円玉くらいで、
巻き終えたら、
味がしみやすくするため、金串で数カ所、穴を開けておきます。
これを、
長葱の青い部分、薄切りに生姜、日本酒、薄口醤油、味醂を同割にしたものと共に、専用の袋に入れ、真空パックします。
それを、
スチームコンベクション・オーブンで、
75度で、60分ほど加熱します。
加熱し終えたら、
氷水の入ったボウルで冷ましたら、出来上がりです。
お出しする時は、
袋から出し、アルミホイルを剥がしたら、包丁し、
胡瓜、若布などを盛り付けたら、
冒頭の写真のように、ぽん酢を掛け、
打葱、紅葉卸しをあしらいます。
ちなみに、
脂の無いところは、このような色をしています。
真空調理で仕込むことによって、濃厚なしっとりとした仕上がりになり、マスカルポーネチーズのような食感は、異次元の鮟肝の味わいとも言えるかもしれません。
ただ、鮟肝に限らず、食材本来の質こそが、味の決め手ゆえ、素材の吟味が、大事なのは言わずもがなです。
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