久々の目鉢鮪(めばちまぐろ)は、和歌山県那智勝浦産
今朝、東京・築地から入荷した鮪は、
和歌山県那智勝浦産の目鉢鮪(めばちまぐろ)でした。目鉢鮪が入荷するのは、かなり久しぶりのことで、自分の記憶の中では、2年以上経っているはずです。
また、目鉢鮪は、一年を通じて、水揚げされますが、美味しいとされる時季は、秋頃ですので、春先に入荷するのは、初めてのことでした。
淡い味わいながらも、鮮やかな色合いは、鮪らしい鮪とも言えます。今夜の【ふぐ料理】のコースの先付で、お出しした中とろの部分は、
こんな感じで、【会席料理】では、
このような四種盛りとして、お出ししました。目鉢鮪以外のものは、帆立(北海道)、小肌(佐賀)、湯葉です。
時季外れとはいえ、ちゃんとしたものは、間違いないということを、今日の目鉢鮪で、再認識することが出来ました。自然素材は、どこまでいっても、奥深いものです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
沼津産のあぶらぼうず
二日連続で、今朝も、
沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。構内を歩いていると、
かなり大きい魚が4本、並んでいました。近付いて、見てみると、
このうちの3本は、
30キロ前後のもので、もう1本は、
85キロの超特大サイズのものでした。この魚は、“あぶらぼうず”と呼ばれる魚で、南伊豆産のものでした。
これだけ大きい魚ですので、【佳肴 季凛】のようなところでは、使い切ることが出来ませんので、入荷があっても、普段は素通りするのですが、どんな食材でも、知りたがりの自分ですので、色々と調べてみることにしました。
その名の通り、身にかなりの脂肪分があるのが特徴です。また、沼津近辺では、“おしつけ”と呼ばれてもいます。“おしつけ”という名前を、初めて聞いたのは、とある飲食店だったのですが、その店のお勧めの一品を、強くセールスしたいがための名前だと、自分は思ったことがあります。
色々と調べてみると、元々、おしつけという言葉は、宮中などのお屋敷で、女中が毒見をすることを意味し、脂が多い“あぶらぼうず”が、食べると、お腹がGuruGuruをする場合もあることから、毒見を要する魚の意味が、一つの説のようです。
GuruGuruの意味するところは、このブログには相応しくない言葉ですので、ご察し下さい。
“あぶらぼうず”は、当店のでもお出ししている【西京漬】の“銀鱈”と同じギンダラ科の魚であるので、脂が多いのも、納得がいきます。
ただ、そのような“あぶらぼうず”ですが、食品衛生法によって、市場や魚屋では販売禁止となっている“ばらむつ”や“あぶらそこむつ”のワックスエステル(蝋)とは違う脂質のトリグリセリドなので、流通が可能なのです。
また、“あぶらぼうず”は、神奈川県小田原市で多く消費されることもあり、“小田原のソウルフード”とも呼ばれており、スーパーなどの鮮魚コーナーでも、売られているようです。刺身だけでなく、脂もあるので、煮たり、焼いたりするには、恰好の魚で、近い将来、もっとメジャーになる可能性もあるかもしれません。
今日のお昼の賄いは、沼津産の歯鰹(はがつお)の丼
今朝、沼津の魚市場に行くと、
市場専用のコンテナに、
地物の歯鰹(はがつお)が、入荷していました。昨日の午後水揚げされたので、今朝のセリにかけられました。また、この売場だけでなく、
別の売場にも、かなりの数の歯鰹が、入荷していました。これだけ入荷していたので、お値打ち価格で、仕入れることが出来ました。
【佳肴 季凛】に戻り、
まな板に乗せ、卸すことにしました。このように、顔が長いことから、“キツネ”とも呼ばれていますが、歯鰹という名前は、歯が犬歯状で鋭いことから、付けられたようです。
卸すと、
身は、このような淡いピンク色をしています。
お腹の部分は、バーナーで炙り、
背の部分と、盛り付けました。淡い色と変わらない味わいは、春の訪れの気配を、感じぜずにはいられません。
また、今朝は、予想外のお値打ち価格で、仕入れることが出来たので、
お昼の賄いを、はがつお丼にしました。赤身の魚でありながらも、淡白な味わいですので、酢飯と合うこと、この上なく、こんな賄いが出来るのも、市場に通う者の特権ですし、“早起きは三文の得”とは、よく言ったものです。
また、頭などのアラの部分は、
こんがり焼いて、出汁を取るように、しておきました。
明日も、市場に行きます。思う魚が仕入れられ、今日のような賄いにありつけられたら、三文が倍でなく、2乗となり、九文となるでしょう。
3打数2安打のうちの1安打は、内野安打
今朝は、三重県から、天然のとらふぐが、
届くことになっていたので、宅配便の営業所に、
取りに行きました。最初の写真は、発送前に、送り主の魚屋さんが、撮影したものです。荷物を受け取り、
【佳肴 季凛】に戻り、
3本の無事を確認し、そのまま卸しました。3本のうち、
2本がオスで、こんな白子が入っていましたが、そのうちの1本は、小さめでした。結果として、3打数2安打ということにはなりましたが、
2安打のうちの1安打は、内野安打のような感じでした。
静岡、愛知、三重の東海三県のふぐの延縄漁も、今月末までですが、5月半ばまで、定置網などにかかるものの中には、十分過ぎるほどまでに、成長した白子をお目にかかることも、例年あり、産地は、全国各地ですが、今年はどうなることでしょう?
生の天然の本鮪(まぐろ)の色持ち
前回、三重県から、天然のとらふぐが入荷したことをお話ししましたが、その日は、
クール便で、
東京・築地から、生の本鮪が届きました。【佳肴 季凛】に戻り、
両雄を並べてみました。御覧のように、鮪は、
高知県産の生の本鮪(天然)で、水曜日(18日)に入荷したものと同じ鮪なのです。
ここからが、タイトルにもある本題です。水曜日着ということは、火曜日に卸したものですので、卸してから、4日目ということになります。それでも、
脂が強い皮ぎしの部分は、
全く変色していません。中とろの部分を柵どりしてみると、
こんな感じですが、よく見ると、
真ん中は、赤くないように見えますが、空気に触れることによって、鮮やかな赤い色になるのです。つまり、身の質と鮮度が良いことの証明なのです。
ただ、脂のある中とろの部分は、色変わりが早いのは、天然も養殖は同じです。養殖のそれについては、先ほどのリンクをお読み下さい。
ですので、中とろの部分を、先に使うようにしているので、日曜日に、無くなったのですが、赤身の部分は、
今日の時点でも、鮮やかな色をしていました。
このような色持ちは、天然の生の本鮪全てに言えることではなく、良質なものだけで、特に釣りや延縄漁で、水揚げされたものに限ったことなのです。結果的に、これが値段の違いで、言い換えると、味の違いですし、高いには高いなりの理由があり、逆も然りなのです。
さらに言うと、本物の証なのです。
2本とも白子入りのとらふぐは、三重県産の天然
今日は、朝一番に、
近所の宅配便の営業所に、行きました。着くや否や、
三重県から届いた荷物を、営業ドライバーが、持って来てくれました。お分かりの方も多いかと思いますが、この中には、天然のとらふぐが、活きたまま入っています。
荷物を受け取り、【佳肴 季凛】に戻り、取り出し、
そのまま卸し終えると、
2本共、白子入りでした。その後、水洗いをし終えたのが、
こちらです。
今度の土曜日(28日)までが、静岡県、愛知県、三重県の東海三県のとらふぐの延縄漁の漁期ですが、“ふぐに魅せられし料理人”の自分としては、、4月いっぱいとまではいかなくても、あと半月ぐらいは、延長して欲しいものです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
仮説『鯵(あじ)の不漁と鰤(ぶり)の豊漁の相関関係』
2月10日(火)の【産経新聞】に、
こんなことが書かれており、
そのページを開きました。そこには、
「消える?アジフライ」という見出し共に、鯵(アジ)の水揚げ減少について、書かれていました。冒頭に、漁獲量のグラフがあり、
その説明と、
考えられる原因が、書かれていました。結論としては、不明ということでした。ただ、自分としては、これまでに何度もお話ししていように、水産資源そのものの枯渇ということが、一番の原因としか考えられません。
改めて、このような記事を目にすると、週に何度か、沼津の魚市場に通っている自分としては、すんなり納得出来ませんし、とかくマスメディアは、誇張した記事を書くのも、どうかと思います。
鯵に限らず、市場で取り引きされる魚は、セリによって取引され、入荷が少なく、欲しい人が多ければ、値段は上がります。逆の現象も、あります。また、前日まで、安かったものが、次の日には、倍以上の値段がつくこともしばしばで、気象条件、曜日、季節など様々な要因が絡んで、値段がつくものなのです。
そんな記事を読んでから、鯵については、多少気にかけていたところ、昨日、市場に行くと、
セリが終わったにもかかわらず、鯵がこんなに残っていました。産地も、
神奈川県・真鶴をはじめ、
島根県・浜田、
富山県・新湊、
鹿児島県、
千葉県・銚子と全国各地のものでした。セリで売れ残ったとは言え、浜値(水揚げされた漁港での値段)があるので、それ以下で、買うことは、不可能です。これらの行先は、ともかく、鯵の不漁が、本当かどうかが、疑わしくなると思わざるを得ないと一般の方は、思うかもしれませんが、自分としては、これが、自然相手にしている相場ものの一面なのです。
ただ、鯵の不漁に関して、市場で、色んな人と話をしていると、ある仮説が成り立ちました。それは、ここ2、3年、豊漁の鰤(ぶり)に原因があるということでした。そんな鰤の漁獲高の推移については、こちらをご覧ください。
今朝の市場には、
この写真の端まで、鰤の発泡スチロールが並んでしました。産地は、
三重県・志摩、
同じく尾鷲、
長崎県・松浦、
同じく長崎市、
高知県と、並んでいました。また、別の売り場にも、
長崎県・壱岐のものが、
入荷しており、産地だけでも、日本全国のかなりの広範囲でした。しかも、魚体は、10キロ弱から、15キロUPまでのかなりの大型のものばかりでした。
鰤は、鰯、鯵などの小魚をエサにしているのですが、中でも鯵を好むらしく、それが、鯵の不漁につながっているのですが、さらに、その原因は、鰤の養殖と関係があるのです。
ちなみに、鰤の若魚を、関西では、はまちと呼びますが、関東では、養殖の鰤を、はまちと呼んでいます。関東でいうところのいなだが、関西のはまちサイズのもののことです。ただ、ここでは分かりやすくするため、鰤のまま、お話しします。
鰤を養殖する場合、もじゃこと呼ばれる稚魚を獲り、それを生簀に入れ、成長させていきます。何年か前までは、養殖魚の代名詞みたな存在でしたが、勘八(かんぱち)や、縞鯵(しまあじ)が、人気になり始めました。
さらに、養殖魚の中で、赤丸急上昇的に、人気が出て来たのが、
当店の【西京漬】でも御用意しているサーモンや、その仲間でもあるトラウトサーモンなどです。
サーモンは、鮮やかなオレンジ色をしており、盛り付けた時の色目も良いのが特徴で、色が変わりにくいのも、使う側にとっては、都合が良いのです。それに対して、鰤は、色が変わるのが、かなり早く、刺身でお出しするには、時間的な制約が、生じてしまうのです。
色目と言えば、赤い色が特徴の鮪類は、刺身になくてはならない魚でしたが、原価率を押し上げることもあり、サーモンの使用頻度が、高くなり始め、今では、鮪以上の人気もあるのが、実状です。
また、日本人の食生活が欧米化したことにより、魚本来の味よりも、脂の乗りを求める傾向が強くなったことも、サーモンの人気に拍車を、かけました。
つまり、鯵の不漁は、鰤の豊漁の裏返しでもあり、自然現象のように見えるのですが、その背景には、日本人の食生活の変化という人為的なものが、大きく関与しているとも言えます。
ただ、どんな魚でも、所謂“当たり年”と、そうでない年がありますが、市場という現場に通うことによって、本当の状況を見て、考える姿勢は、今後、食に携わる者にとっては、ますます重要かもしれません。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
今度は、ラジオエフ
昨日、静岡県富士市、富士宮市を放送エリアとするコミュニティFM局の【ラジオエフ】から、
こんなFAXが、届きました。
1枚目には、
明後日の土曜日(21日)、『ふじさんコンパス』という番組での、電話インタビューの依頼と、その質問内容について、書かれており、ラジオ出演と言えば、先月も、そのような機会を頂きました。
また、2枚目にも、
その続きが、ありました。
自分がインタビューを受けるのは、午後1時半過ぎから、5分程度の予定です。放送エリアは、限られていますが、お時間がある方は、是非お聴き下さい。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
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天然の本鮪と養殖の本鮪の違い
今日、東京・築地から入荷した鮪は、
先週入荷した京都・伊根産のような養殖ではなく、高知県産の天然で、延縄漁で、水揚げされた
この時季の太平洋側で水揚げされる本鮪の典型で、自分好みのものでしたし、会心の一撃とは、まさにこのことです。包丁を入れる瞬間は、
前回の憂さを晴らすような気分のあまり、ドキドキしました。やはり、天然は、違います。昨日の朝、
築地の鮪のセリ場は、こんな様子で、この高知県産のものは、
一番左のもので、拡大すると、黄色い札には、高知と思しき文字が、見えます。ちなみに、この2枚の写真は、facebook友達でもある築地の荷受の方から、借りたものです。
さて、天然と養殖の違いの一つが、言うまでもなく、味です。養殖は、どうしても脂が強いのが、一番の特徴で、強いだけなら、まだしも、どうしても、独特のクセ、つまり養殖魚特有の臭いがあるのです。
また、脂が強いので、どうしても色変わりが早いのです。特に、皮ぎしのとろの部分は、それが、顕著です。先週の金曜日に入荷したものでも、土曜日の夜には、
中トロの柵は、こんな風に、色が変わってしまいました。本鮪の標準和名でもある“クロマグロ”とは、まさにこのことです。
さらに、あくる日の日曜日には、
こんな風になってしまいました。それでも、赤身の部分は、無事にお出しすることが出来ましたが、そのまま月曜日までおいていたら、やはり“クロマグロ”になっていたはずです。天然の本鮪も、時間が経てば、色が変わりますが、「やばい!」と感じても、踏ん張りがきくのです。
先程お話ししたように、金曜日に、宅配便で、入荷したので、卸したのは、木曜日でした。養殖の本鮪が、まともに使えるのは、せいぜい3~4日程度なのです。ただ、伊根産のものは、養殖の中でも、一番質が良いので、ここまで持つのですが、他の産地は、もっと持ちが悪いはずです。
そして、天然と養殖の最大の違いが、自分のモチベーションなのです。これは、本鮪に限ったことではなく、どんな魚についても当てはまることなのです。
先ほどお話ししたように、良い素材を目にし、手に取れば、否が応でも、モチベーションは、高まります。さらに言うと、これだけは、どんな高い値段でも、仕入れることは出来ません。
これまで、何度もお話ししているように、水産資源の枯渇や、漁師の後継者の減少など、本鮪に限らず、天然の魚を取り巻く環境は、非常に厳しいものがありますが、可能な限り、それらを追い求める姿勢を、持ち続けられるよう、努力していきたいものです。
★☆★ 日本料理の匠 ★☆★
【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、
このように紹介されております。ご興味、ご関心のある方は、上の写真をクリックして、ご覧下さい。
3打数3安打にして、全体重の6分の1の白子は、三重県産の天然とらふぐ
今朝は、仕込みをする前に、
宅配便の営業所に、荷物を取りに行きました。このシーンは何度も、登場しているので、届く荷物は、既にお分かりかと思います。
自分が着くと、配達のドライバーが、
発泡スチロールを、持って来てくれました。
【佳肴 季凛】に戻り、
中を確認すると、予定通り、三重県産のとらふぐ(天然)が、3本とも無事に、到着しました。
そのまま、まな板に乗せ、
卸すことにしました。何度見ても、この姿には、萌え燃え・・・。
お腹の張り具合から、予想していたように、
3本全てに、白子が入っていました。3打数3安打の猛打賞です。
これだけ大きいと、目方も気になったので、
秤に乗せてみることにしました。
3本分6個全て、乗せ終わると、
秤の針は、650グラムの手前を、指していました。1個あたり100グラム強なのですが、今日の3本は、合計3,7キロの目方で、どれも同じサイズでしたので、
大まかに言えば、全体の6分の1が、白子の重さとなります。
これまで、色んな種類の魚を扱ったことがありますが、天然のとらふぐのような魚は、見たことありません。しかも、これだけ生殖腺が発達しても、身の味わいが、落ちることがないのも、他に類はないような気がします。
そんな白子を味わうなら、
焼いたものが、王道です。
2月も半ばを過ぎ、春が待ち遠しい声を耳にしますが、天然のとらふぐの美味しさを味わう季節は、まだまだ続きます。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。