ニューバージョンのお子様用のお弁当
先日お話ししたように、夕方、お弁当のご注文を頂いていたので、
ランチの営業時間を、30分早めに、切り上げさせて頂きました。
営業時間中、お客様の料理をお出ししながら、
サーモンの西京焼や、
揚物を、仕上げました。営業時間中ということもあり、お弁当だけに、取り掛かることが出来ないので、
金曜日のお弁当の煮物の野菜を、包丁しておきました。
また、お子様用のお弁当のご注文もあったので、
海老フライも、揚げましたが、丸くなっているのは、盛り付けの都合があるからで、
つま楊枝を刺して、揚げました。
お客様がお帰りになると、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんは、お弁当を盛り付けるため、テーブルをつなげ、
折を並べました。隣には、
お子様用の折も、並べました。
その頃には、
殆どの準備が出来、
最後に、煮物が仕上がりました。
ここからは、
真由美さんの出番となり、盛り付け始めました。
その頃、自分は、
お子様用のお弁当の盛り付けに、取り掛かり、御飯を盛り付ける器に、抜型をおきました。
ご覧のように、ミッキーマウスのものです。この時点では、ミッキーマウスの予定でしたが、仕上がりは、別ものになってしまいましたが、間違っても、ドナルドダックや、プーさんになっていないことだけは、お話ししておきます。
軽く握った白御飯を、
隙間なく詰め、
型を外したら、軽く塩を振り、
丸く切り抜いた海苔を、耳の部分につけました。この時点では、まだミッキーマウスです。
その後、海苔を切り抜くため、
このようなものを準備し、
海苔を挟むと、
切り抜いた海苔が出来ました。これを、
御飯に貼り付けたら、完成です。ミッキーマウスと言えば、ミッキーマウスですが・・・・・。犬の型ということにすれば、犬ですし・・・・・。ここからは、解釈の問題ですし、個人的には、犬としました。
最終的に、お子様用のお弁当は、
このように仕上がり、真ん中には、
鶏肉の照焼を入れ、右側のマスには、
海老フライ、サーモンの西京焼、玉子焼、つくねの蕃茄煮を入れました。蕃茄とは、トマトのことで、ケチャップ味で、煮たものです。また、お子様が召し上がるので、サーモンは、骨の無い腹や尾の部分を、盛り付けました。
その頃には、
大人のお客様というより、通常のお弁当も、
このように、
仕上ったら、
それぞれを重ね、
紐を掛け、
お手元を置きました。
一方、お子様用のお弁当は、
このように、出来上がりました。
最後に、
動かないように、箱詰めをして、お客様が取りに見えるのを、待つばかりとなりました。
お子様用のお弁当とはいえ、初めて作る料理というのは、どんなものでも、工夫しがいがあり、自分自身の勉強にもなるので、有難いものでもあります。そう思うと、料理というものは、どこまでいっても、お客様があってのこで、我々料理人は、あくまでも裏方でしかありません。
また、こういう機会に遭遇すると、まだまだ未熟であることだけでなく、日々、精進すべき余地が、大いにあることを、感じずにはいられません。料理の道は、あな険し。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
おでん&白子豆腐の仕込み
定休日の今日は、朝一番に、厨房に行き、
夕飯のおでんの仕込みを、始めました。これらを、鍋に入れたら、
つくわぶを、投入。ちくわぶの存在を、初めて知ったのは、東京で学生生活を始めた20歳の頃、屋台のおでん屋でした。
それまでは、竹輪(ちくわ)しか知らず、食べてみると、何とも言えない食感が、どうも苦手で、今でも、殆ど食べることはありません。それでも、入れるのは、志村家の“女三羽烏”の強い要望があるからです。
また、おでんと言うと、ゆで玉子を入れるのが、一般的ですが、自分の場合、
出汁巻玉子を入れます。今日のは、ひじき、葱、しらすが、中に入っており、時には、桜海老だったり、三つ葉だったりすることもあります。
層になっているので、食べると、ジュワっと、出汁が口中に広がるので、出汁巻玉子らしからぬ味わいで、基本的に、玉子料理を好まない自分でも、美味しいと感じるほどなのです。
その後、
キッチンペーパーをかぶせ、
蓋をして、
超弱火にしておき、あとは時間が経つのを、待つのみとなりました。
超弱火にすることで、出汁も澄んだままで、濁ることはありませんし、おでんは、煮込むというよりも、つゆの味を、じんわりと含ませると考えた方が、きれいに、美味しく出来ます。
その後、
先付の“白子豆腐”を仕込み終えたら、
明日炊く米を研ぎました。
御覧のように、3種類ありますが、その3種類は、
白米、
雑穀御飯、
白米を中心に、押麦、もち米を入れたものでした。これは、“松前御飯”用のものです。お話しが前後してしまいますが、雑穀御飯には、玄米、押麦、黒米、粟、ひえ、きび、小豆が入っています。
これで、仕込みは、完全に終わり、夕方になって、
これまた、“女三羽烏”のお気に入りの白はんぺんを、
投入。白はんぺんは、食べる前の2時間くらい前に入れます。というのも、味を含めるというよりは、温める程度で十分なのと、火が入り過ぎると、すが入るからです。
自分にとっては、白はんぺんも、全くもって、ちくわぶ同様のおでん種で、ちくわぶよりも、食べる機会がありません。あのフワフワとした食感が、どうも駄目だからです。
それ以外のおでん種は、どれも好きなのですが、一番が、がんもどきです。その次が、厚揚げです。となれば、口開けのビールと共に、食すのは、
がんもどき、厚揚げ、出巻玉子。
シフトチェンじてからの熱燗と共に、
再び、がんもどきと厚揚げ。
もちろん、これ以外のおでん種も好きですので、真夏でも、おでんを作り、食べることも、よくあります。ただ、夏は、練り物の種類が少ないのが、唯一の欠点かもしれません。
傷ありの鱧
魚の仕入れ先でもある沼津魚市場に着くのは、
余程のことがない限り、5時過ぎで、今朝も然りでした。今朝のような天気ですと、
この先には、富士山を見ることが出来ます。
そんな風景を尻目に、向かった先は、
生簀のある活魚売場で、
自分の買い番である【47-9】が書かれた札が置かれた生簀には、昨日の時点で、
注文しておいた3本の鱧(中国産)が、入っていました。
鱧が、市場に入荷して来たのは、金曜日だったこともあり、
鱧同士が、噛み付きあったり、生簀の壁や底に触れることで、3本のうち、2本の鱧に、傷がありました。こういうものは、当然、お値打ち価格となります。
その後、ひと通りの仕入れを終え、活魚売場に戻り、
3本の鱧を、
持ち帰ることにしました。
『佳肴 季凛』に戻り、
傷のついていない1本を、
ザルに移し、
御予約の鱧料理の“落とし”に使うため、水槽に入れておきました。ちなみに、鱧の隣りにあるのは、
鹿児島産の鯵です。
残りの2本も、
取り出し、
すぐに締めてから、
卸すことにしたのですが、傷がついているだけでなく、1本は、お腹から、卵や内臓が出ており、弱っているのは、明らかで、こういう時は、出来るだけ早く締めないと、不都合なのです。
卸してみると、
1本は、
このような傷で、もう1本は、
このようなものでした。
ここまでの状態ですので、
身の部分にも、血が回っており、1本は、
このようになっており、もう1本は、
最初のものよりは、ましでしたが、血が回っていました。
これらの部分は、使えないので、
アラと一緒に、
出汁を取るために、しまっておきました。鱧の出汁については、こちらを、お読み下さい。
そして、夕方になり、夜の営業時間前に、
水槽に入れておいた鱧を取り出し、
卸してから、骨切りをしました。
一口サイズに、
包丁したら、
塩を一つまみ入れたお湯で、
花が咲いたように、白く開いたら、
氷水に落とし、冷めたら、
軽くしぼり、
鱧料理の刺身でお出しし、鱧以外は、生の本鮪(那智勝浦)、小肌(佐賀)、湯葉でした。
また、今朝の2本の鱧は、
天ぷら、
鱧しゃぶで、お出ししました。
そして、これら以外の身は、
串を打って、
照焼にし、
包丁してから、
味を調えた鱧の出汁をはり、天に生の本山葵を盛り付けて、鱧茶漬として、お出ししました。
鱧は、白身でくせも全くないので、どんな料理に仕立てることも出来、淡白でありながらも、深い味わいは、他の食材には、代え難いものにして、数少ない夏の御馳走でもあります。
そんな今夜は、一日というか、休み前ということで、一週間の労をねぎらい、
今朝仕入れた鱧と鯵、そして生の本鮪と湯葉で、一献を傾けました。やはり、この時季、鱧は、一番の食材かもしれません。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
思案中のお子様用のお弁当は、新バージョン
今週は、水曜日と金曜日にお弁当のご注文を頂き、御用意したのですが、水曜日のお弁当が、
こちらで、金曜日のものが、
こちらでした。
来週も、お弁当のご注文を頂いているのですが、火曜日は、お子様用のそれのご注文もあるので、通常のものと一緒に、御用意します。
これまでに、御用意したお子様用のお弁当は、
このようなものでしたが、
今回は、もう少し年齢が高いお子様ということで、マスも、
3つにするのですが、料理のバランスと量を考えると、
中の器を、どのようにするのか、迷ってしまいました。
真ん中のものには、鶏肉の照焼を入れるのですが、赤一色の器に、御飯を入れると、大人のお客様が召し上がるのと同じ量になり、多いはずですし、俵型のおにぎりでは、面白味もないので、型押しの御飯にすることにしました。
その型は、
ミッキーマウスで、耳の部分に、海苔を使い、顔は、
このような形で、切り抜いた海苔を使うことにしました。
ただ、赤一色の器に、ミッキーマウスの型を入れてみると、
隙間が出来てしまい、赤絵の方に入れると、
いくらか窮屈な感じですが、ちょうど収まりました。
お弁当は、折詰とも呼ばれるように、隙間があると、美味しそうに見えないだけでなく、持ち運ぶ際に、中の料理がずれてしまうので、隙間を作らないのが、基本です。
お子様ということで、御飯は、白い御飯にする予定ですので、赤絵の器では、白い部分が多いこともあり、他の器に、変える予定です。
また、御飯が、ミッキーマウスというだけで、所謂キャラ弁ではなく、日本料理店らしい感じに、仕上げる予定です。お子様用のお弁当は、火曜日に御用意するので、仕上がりは、それまでお待ち下さい。
生垣の撤去
『佳肴 季凛』の駐車場に、ベニカナメモチの生垣があるのですが、
そろそろ寿命らしく、
病気に罹っているので、撤去することにし、今日は、その作業をやってもらいました。
ベニカナメモチは、漢字で書くと、紅要黐で、まるで中国人の名前のような感じです。また、レッドロビンという似た品種もあるとのことで、言うまでもありませんが、ベニカナメモチという名前は、今日の今日まで知らず、どちらも、植木屋さんに教えてもらい、今日までの呼び方は、“駐車場の植木”でした。無知というものは、こんなものです。
撤去作業は、もちろん植木屋さんに、
お任せし、さすがに、その道の専門家ですので、
手際良く、仕事をこなしていきます。
どの職種について言えることですが、プロは腕は良いところだけでなく、道具も良いものを使うので、嫌が応でも、仕事がはかどります。「餅は餅屋」とは、よく言ったものです。
引き抜いたものは、
トラックに乗せるのが、普通なのですが、
細い枝を切り落として、
冬季に使う薪ストーブ用の燃し木にしてもらいました。
薪ストーブユーザーの多くは、割り箸であれ、流木であれ、木という木を見ると、何でもかんでも、燃し木にしたがる“薪ストーブ症候群”という不治の病に、罹っているというのが、業界筋での噂で、自分も、御多分にもれず、8年来の患者です。
また、手の力で抜けないようなものは
ユニックと呼ばれる小型のクレーンで、
引き抜いていました。繰り返しになりますが、さすがにプロの仕事は、違います。
こんなことを眺めていると、ランチの開店時間となったのですが、営業が終わった頃には、
完全に撤去されており、
燃し木用に、
チェーンソーで、小さくしてくれ、幸か不幸か、降り始めた雨の中、
自分、女将兼愛妻(!?)の真由美さん、アルバイトの3人で、
運んだのですが、軒下は一杯なので、このように、置いておきました。
そして、撤去したところには、
このように、パイロンが立てられ、後日、フェンスの工事をしてもらうまでは、のっぺらぼう状態です。
大きめの鱧
今朝は、沼津の魚市場に行って来ました。いつものように、最初の行先は、
生簀のある活魚売場でした。
並べられている発泡スチロールを見ると、自分の市場の買い番である【47-9】と書かれた札と共に、
0,9キロの鱧(中国産)が、ありました。普段自分が仕入れる鱧の大きさが、0,5~0,6キロですので、約倍ほどです。
その後、別の売場に向かうことにし、
色々と仕入れ、『佳肴 季凛』に戻ったのでした。
ひと通りの仕込みを終え、鱧を卸すことにし、表面のぬめりを取り、お腹を開くと、
卵が、出て来ました。卵は、“鱧の子の煮凝り”としてお出しするので、このまま取っておきました。
水洗いし終えた鱧は、
卸してから、
骨切りをしたのですが、大きめの鱧でしたので、案の定、骨が硬かったので、
皮を引き、
身と皮の部分に、分けておきました。身の部分は、“鱧しんじょう蒸し”用です。
皮は、
出汁を取るため、頭や骨のアラと一緒にしておきました。ちなみに、鱧のアラで取った出汁は、このようなものです。
そして、身の部分は、
専用の袋に入れ、
秤にかけると、
360グラムでした。その後、
日付と目方を書き、真空パックし、冷凍しました。
そして、卵である真子は、“鱧の子の煮凝り”にするため、
鍋に移し、
火にかけ、その後、
筋や血の部分を掃除し、身と同様、
専用の袋に入れ、
日付、目方を書いて、真空パックして、冷凍しておきました。“鱧の子の煮凝り”を作るには、量がまとまらないと出来ないからです。また、下拵えの仕方は、こちらをご覧下さい。
鱧に限ったことではありませんが、自ら納得した食材でなければ、料理に仕立てる気もありませんし、ましてや、お客様にお出しすることも出来ません。
それが、自分の料理人としての矜持であり、立ち位置なのです。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
今日から、夏季限定ランチ『涼し夏(すずしげ)』
『佳肴 季凛』のランチメニューのお品書きは、
このようなもので、コーズ仕立てとなっており、一年を通じて、
【季】と、
【凛】のお二つのコースが、基本です。ただ、御要望があれが、御予算の応じて、可能な限り、対応させて頂いております。
これらの下には、
夏季限定メニューの【涼し夏】が、
書かれています。具体的な料理の内容は、このようなものですので、御覧下さい。
ここ最近、初夏というより、夏と言っていいくらいの陽気となっただけでなく、ましてや、昨日(23日)は、
全国各地で、30度を超える真夏日となったこともあり、定休日明けの今日から、御用意することにしました。期間は、あえて決めておりませんが、例年通り、秋のお彼岸が過ぎる頃までを、予定しています。
暑くなると、のど越しのいい冷たい麺類だけとなってしまい、夏バテの原因になることもしばしばですが、【涼し夏】のように、冷たいものが殆どでも、蒸物という温かいものを召し上がるだけでも、ちょつとした満腹感も得られます。
また、量は少なくても、色んな料理というより、食材を召し上がることで、身体の負担も軽くなります。今年の夏は、どのようになるかは分かりませんが、くれぐれもご自愛下さい。
辞書を片手に、ふぐ
明日(24日)は、
沼津の魚市場が、
休みということもあり、今日は、定休日でしたが、
沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。着くと、
水揚げされた地物の鰹を、
箱に入れ、秤にかけ、セリの準備をしているところでした。以前、お話ししたことがありますが、自分は、ありとあらゆる刺身の中でも、鰹が一番好きですので、素通り出来ず、
1,8キロのものを、1本仕入れることにしました。仕入れとは言っても、定休日ですので、今夜のおかず用で、言わば“休日出勤手当”のようなものです。
その後、生簀のある活魚売場に行き、
生簀を物色すると、
地物のしまふぐ(0,6キロ)が、
1本入荷していました。
“ふぐに魅せられし料理人”である以上、素通りは出来ず、それなりの強気で、セリに臨んでもらうことを、仲買人に伝え、別の売場に、向かいました。ある理由については、後ほどお分かりになるので、とりあえずこの場では、お話ししません。
そうこうしていると、セリの時間となったのですが、
最初に物色した時には、気付かなかったひがんふぐ(0,5キロ)が入荷していたので、
運良く、セリ落としてもらうことが出来ました。このひがんふぐは、南伊豆の妻良(めら)の定置網にかかったものです。
札には、赤目(ふぐ)と書かれていますが、ふぐ類の中には、標準和名と地方名が、混同されているものもあり、これも、その一つです。
その後、
しまふぐもセリ落としてもらうことが出来、2本共、活かしたまま、持ち帰ることにしました。
市場を後にし、途中、
宅配便の営業所に立ち寄り、三重県から届くことになっていた2本のとらふぐを受け取り、『佳肴 季凛』に、戻りました。
戻ると、
とらふぐの入った発泡スチロールを開け、
取り出しました。これら4本のふぐは、全て天然ものです。となれば、気分は、萌え燃え・・・❤
しまふぐとひがんふぐは、
とりあえず、水槽に入れておくことにしました。
仕込みをするための準備をし終え、程なくすると、
1台の車が、駐車場に入って来ました。降りてきたのは、見づらいかもしれませんが、2人のドイツ人でした。
おふたりは、昨日、日本人の2人の友人と一緒に、
当店で、ふぐ料理を召し上がった方で、御予約の際に、ふぐを卸すところを見て、撮影したいということを、伝えられていたので、そのために、今日、再び、当店に見えたのです。これが、先ほどお話ししたある理由です。
店内に入り、撮影の準備が出来たら、
水槽のしまふぐとひがんふぐを、取り出すと、即座に、写真を撮り始めました。
そして、
卸すことにし、まな板に乗せると、
再び、写真を撮りました。
その後、自分が卸したのですが、ただ黙々と卸すわけにはいかず、ふぐについの知識を、教えなくてはなりませんが、おふたりは、日本語が全く出来ないので、会話は、自分の拙い英語力に頼るしかありませんでするしかありません。
見られているだけでなく、英語での説明となれば、普段の倍以上に、神経を使うのは、当然のことで、嫌が応でも、時間が掛かってしまいそうなので、
水洗いだけは、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、お願いすることにしました。というより、いつものことですが・・・。水洗いする様子も、おふたりは、逃すことなく、写真に収めていました。
また、有毒部位や、
試験の際に、
識別するための札や、
テキストを取り出し、説明してあげたのですが、訳せない単語もあるので、
和英辞典を片手に、説明することにしました。当然、様々なことを、質問されるのですが、分かりづらい時は、ゆっくり話してもらい、どうにかこうにか、返答し、理解してもらうことが、出来ました。
ちなみに、ふぐという魚を食べるのは、日本と韓国だけで、日本のふぐ料理と韓国のそれは、かなり違いがあるというのを、かつて、本で読んだことがあります。
また、欧米では、有毒部位を取り除いてあっても、流通させることは出来ません。というのも、有毒な魚として、扱われているからです。さらにいうと、そこまでして食べる日本人を、奇異の眼差しで、見る人もいるようです。
とは言っても、中には、美味しいという話を耳にして、日本に来たら、食べたいと思う外国人も多く、このおふたりも、そんな方達で、日本人の友達にお願いして、当店のふぐ料理を召し上がったのでした。
日本料理の中でも、特殊ジャンルとも言えるふぐ料理を、海外の人に、このように評価され、興味、関心を持ってもらえたということは、ふぐを愛してやまない自分としては、この上なく、嬉しかったのはこの上ありませんでした。
ふぐの仕込みを終えたら、
外に出て、
3人で、記念撮影をしました。そして、
車に乗り込み、『佳肴 季凛』を後にし、明後日、ドイツに帰るとのことです。
おふたりは、プロのカメラマンで、日本文化を紹介するため、約一ヵ月間、日本に滞在し、東京、長野、富山、岐阜、京都、姫路、広島などを訪れ、このレンタカーで、約6000キロも走り、滞在中に撮影した写真は、秋頃、ドイツ国内の幾つかの場所で、展示会を開き、その資料が出来上がったら、送ってくれるそうです。
その後、自分は、
先付の白子豆腐、小肌を仕込んだり、
米を研いだりしましたし、肝心のおかず用の鰹も、
仕込みました。
繰り返しのようなことになりますが、海外の人に、日本料理文化が、少しでも知れ渡り、そんな担い手めいたことが、実際に出来たことが、今日は、非常に嬉しかったので、大好きな鰹と共に、一献を傾ける次第です。(笑)
初夏に、昼ふぐ
5月も半ばを過ぎ、初夏というより、夏を思わせる陽気ですが、そんな今日は、ランチタイムに、
ふぐ料理の御予約を、頂きました。以前お話ししたことがある“昼ふぐ”なるものです。
料理内容は、基本的には同じで、ふぐ刺の他のふぐ料理は、
ふぐちり、
唐揚をお出ししました。
この時季ですので、先付でお出しした生の本鮪(那智勝浦産)は、
義山(ぎやまん)と呼んでいるガラス製の器に盛り付けました。山葵がないのは、お出しする時に、生の本山葵を盛り付けるからで、
引き終えてから、乾かぬようにラップをしたふぐ刺と共に、冷蔵庫にしまっておきました。
ただ、冬季というより、10月から4月半ばくらいまでは、御予約なしでも、ふぐ料理を御用意しているのですが、この時季は、要予約とさせて頂いておりますので、ふぐ料理をお召し上がるご希望がございましたら、御予約をお願い致します。そんな当店のふぐ料理は、こちらをご覧下さい。
一般的に、ふぐと呼ばれるのは、天然であれ、養殖であれ、とらふぐのことですが、とらふぐをはじめ、ふぐ類は、他の魚のように、身に脂が乗ることはなく、一年を通じて、殆ど味の差がありません。
ですので、いわゆる旬というものは、無いとは言えるかもしれません。ふぐちりをメインにし、その後、雑炊に仕立てるので、温かい料理というイメージが強いのは、事実ですが、あえて、ふぐONLYのコースにせずに、
和牛のしゃぶしゃぶを小鍋仕立てにして、御食事を、
すっぽん雑炊にするようなアレンジも、可能です。このようなコースの料理である『特別会席』(要予約)については、以前お話ししたことがあります。
ところで、明日は、
三重県から、この2本のとらふぐ(天然)が入荷するので、
まな板周りを養生しておきました。
ということで、明日は、定休日ですが、仕込みと相成りましたが、萌え燃え・・・❤の気分に浸れるので、それもまた、いとよろし。
解凍後の本鮪(アイルランド産)の赤身
今日、
東京・築地から入荷した鮪は、
和歌山県那智勝浦産の生の本鮪でした。
この本鮪が入荷する前日の昨日、お出ししたのが、
アイルランド産の冷凍の本鮪でした。【佳肴 季凛】でお出ししている鮪は、余程のことがない限り、生の天然ものですが、入荷状況などにより、冷凍ものを使うこともあります。
ちなみに、この冷凍の本鮪は、ゴールデンウィーク中、市場が休みになるので、ピンチヒッターとして、仕入れたものです。
入荷した時点で、生には劣るものの、それなりのものような気がしていた通りのものでした。それなりとは言っても、解凍の仕方で、良し悪しに差が出るのは、当然ですので、注意が必要です。
冷凍とはいっても、出来るだけ、劣化を防ぐため、真空パックして、冷凍庫にしまってあります。冷凍庫から取り出したら、
袋から取り出たら、、
海水程度の濃さの塩水で、
表面についているカスなどを、洗い流します。
その後、
キッチンペーパーで包んだら、さらに、脱水シートで包み、
このまま冷蔵庫で、ゆっくり解凍します。
この間、水分の出方によって、キッチンペーパーや脱水シートを交換することもあります。というのも、この水分の出方が、冷凍鮪の味と見た目を左右すると言っても、過言ではないからです。冷凍鮪の解凍の仕方については、以前お話ししたことがあるので、詳しいことは、こちらをお読み下さい。
解凍後、塊を柵にすると、
このような状態でした。それを、切り付け、盛り付けたのが、先ほどの写真でした。
生より劣るのは、否定出来ませんが、ピンチヒッターとしての役割を、十分果たしてくれたのが、何よりでした。ただ、かつてのように、水産資源が豊富でしたら、冷凍ものでも、生のものと遜色ないものは、沢山ありました。
また、いくら冷凍技術が進歩しても、水産資源の枯渇により、鮪そのものの質が低下しつつある以上、冷凍ものは、さらに、劣るのは、致し方がありませんし、このことは、鮪に限ったことだけでなく、ありとあらゆる魚について言えることです。
それならば、養殖で代用するのが、良いと思われるかもしれませんが、魚を養殖することについては、いろんな弊害があり、簡単なものではないのです。お話しが長くなるので、別の機会にお話ししたいと思いますが、以前お話しした『仮説「鯵(あじ)の不漁と鰤(ぶり)の豊漁の相関関係』という記事も、その例の一つです。
自分のような一介の料理人が、出来ることには、限度があり、むしろ静観せざるを得ないのかもしれませんが、現状を見極め、本物をお出しし、無駄なく使いきること姿勢だけは、貫きたいと思います。
★☆★ 日本料理の匠 ★☆★
【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、
このように紹介されております。ご興味、ご関心のある方は、上の写真をクリックして、ご覧下さい。