ふぐラッシュは、とらふぐ、さばふぐ、しょうさいふぐの3種類
今朝、
沼津の魚市場に行くと、
野締めのとらふぐ(天然)が、2ケース入荷しており、
山口県産のもので、9本で8,6キロでした。活きていないので、唐揚やふぐちり用に、仕入れることにしました。
【佳肴 季凛】に戻り、卸し終え、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、
水洗いをしてもらっていると、宅配便で2つの荷物が届きました。そのうちの1つが、
東京・築地から届いた長崎県壱岐産の生の本鮪で、もちろん天然です。そして、もう1つが、
しょうさいふぐと、
さばふぐで、どちらも三重県産の天然でした。
このまま一気に、ふぐの仕込みを終えたかったのですが、ランチの営業の準備もしなくてはならないので、とりあえず、3種類のふぐの仕込みは、一時中断しました。
ランチの営業も終わり、仕込み再開。先ずは、頭の付け根に切り込みを入れておいたしょうさいふぐとさばふぐの頭を、
真由美さんにとってもらいました。その間、自分は、水洗いしたとらふぐを仕上げると、、
そのとらふぐを、真由美さんに、
ふき取ってもらい、とらふぐの仕込みは完了。同じ様に、しょうさいふぐとさばふぐも、
仕上げ、ようやく3種類のふぐの仕込みは終わりました。ちなみに、今日卸した3種類のふぐですが、とらふぐが9本、しょうさいふぐが12本、さばふぐが25本の合計46本で、“ふぐラッシュ”となり、休憩時間は殆どなくなってしまいました。
しかしながら、自称“富士市でふぐが一番好きな料理人”の自分を支えてくれる真由美さんは、意外と自称“富士市で一番ふぐが好きな日本料理店の女将”と思っているのではないかと、期待するのは、都合が良過ぎるのでしょうか?
世界無形文化遺産登録された和食文化について思うこと
去年の暮れに、和食文化がユネスコの世界無形文化遺産登録されたことは、広く知られていますが、その数日後、
自分の下に、
こんなものが届き、中を開け、
広げると、
こんなポスターが入っていました。こんなポスターが、富士市で日本料理店を営む自分のところに届くのは、
去る平成23年に、静岡県から「ふじのくにの食の都づくり仕事人として、表彰されたからです。
そんなポスターをみてみると、
に始まり、
と続き、
と書かれています。ちなみに、真ん中にある料理の写真は、
自分もお付き合いがあり、静岡県の日本料理をリードすると思しき方です。
思しきとは書いたのは、日本料理以外のジャンルは、大して分かりませんが、料理というのは、作る人のスタイルが如実に現れるものです。そのスタイルの違いこそが、お店の違いであり、それこそが、オリジナルのはずです。
昨今では、ネットを通じて、良き悪しきの記事を目にしますが、この違いを気付かず、知らずして、我がもの顔で、日本料理をはじめ、色んな料理を、匿名で語ることを見ると、日本料理の存族を望むのかどうか、疑わざるを得ません。
食べたものについて、どう思うかは、それこそ自由ですが、感想どころか、誹謗中傷の域を超え、その店の存続を望まぬような記事すら見ることもありますが、逆に、書かれた人の仕事が失われるということを顧みないことを考えたことがあるのでしょうか?そこまでして、個人の感覚を、声高に言う必要性とは、何なのでしょう?
ところで、和食文化の世界文化遺産登録について思うのが、90%というより、殆どの日本人の人が、そのことについて、歓迎しているにもかかわらず、実際の食生活は、想像を絶するものがあります。具体例を挙げると、枚挙にいとまはありませんが、青息吐息そのものです。だからと言って、そのままにして、見過すことなど、自分には出来ません。
前回のお話しではありませんが、日本人が日本文化を守ってこそ、全てが始まると思います。いざ守らん和食にして、日本。
幸福な時には、ふぐ
先週は、志村家の家族それぞれに、ちょっとばかり良いことがあったので、昨日の夕飯に、
ふぐを食べました。幸福な時には、ふくとも呼ばれるふぐ。何と素晴らしい言い回し。ちなみに、このふぐは、三重県産の天然のとらふぐでした。
下の娘は、
ふぐ刺が、一番のお気に入りです。写真NGの上の娘は、ふぐ刺はさることながら、ふぐちりがお気に入りで、中でも、
くちばしの部分に、目がありません。これ以外の部分も、食べるのですが、その度に、「ふぐは、お鍋が一番だよね。唐揚は、本当の味が分からないしね。」と、言います。さすが、自称“富士市でふぐが一番好きな料理人”の娘にして、恐るべし、DNAの力。
そうこうしていると、
白子も焼き上がり、熱燗もいい具合に・・・。となれば、
“King of ふぐ料理”の出番です。さらに、鍋には、
アラを、追加で投入し、しばらくすると、
こんな風に、プリップリッ。真空して、冷凍してあったものでも、こんな風に仕上がるのは、さすが天然のとらふぐ。本物は違います。これまで、何度もお話ししているように、【佳肴 季凛】では、一年を通じて、ふぐ料理が召し上がれるように、このように仕込んでいるのです。
ところで、上の娘は、小学6年生ですが、これまで何度もふぐを食べているので、先程のようなことを言うのは、至極当然のことで、前回の記事で、養殖のとらふぐを試食したことをお話ししましたが、その時に、言ったのが、「このふぐは、味がしないし、いつものふぐとは違う臭いがするね。」でした。
刺身では、状態によっては、それほどわかりませんが、加熱することで、その違いは、はっきりと現れます。加熱することで、素材の水分が抜け、旨味とか本来の味が残るのです。これは、ふぐに限ったことではなく、どんな魚にも当てはまることで、当店で【贈答用西京漬】に使っている銀鱈も然りで、以前、養殖の銀鱈についてお話ししたときにも、同じことを書いたことがあります。
そんな風に、味が抜けたというか、旨味を感じることが出来ないものをお出しして、美味しく感じるというより、美味しくなったように錯覚させるために使うのが、旨味調味料とか、化学調味料で、商品の名前が会社の名前になっている白い顆粒を使うのです。言うまでもありませんが、【佳肴 季凛】には、ありません。
ですので、
ふぐちりには、
北海道産の昆布と伊豆産の干し椎茸の足で取った 出汁を使っています。淡白な味ですが、天然のとらふぐの味を最大限に引き出す脇役です。この出汁に、粗塩、日本酒、薄口醤油を加え、
鍋に注ぎます。これが、養殖のとらふぐだったら、例の顆粒を加えます。
お話しが少し逸れてしまいましたが、宣伝文句では、さとうきびから作った天然素材と謳っていますが、それこそ化学的に合成されたもので、自然素材ではありません。これを使うと、どんなものでも同じ味になるだけでなく、味覚障害を生んでしまい、淡白な味の違いを見分けることが不可能になってしまいます。
本当かどうかは分かりませんが、そのような調味料は、麻薬のような常習性を生んでしまうような説もあるようで、自分もそう思いますし、そうでなければ、冷凍食品をはじめとする既製品が作られ、売られているわけがなく、成分表示を見ると、必ずアミノ酸、つまり自然で無いものが添加されているのです。
また、養殖ものは、味だけでなく、独特の臭いがするのです。そうなるのは、餌に原因があるのです。とらふぐに限らず、養殖の魚は、死んだ魚や飼料を食べるので、独特の酵素臭が出てしまうのです。一方、天然の魚は、活きた魚や自然のものを食べるので、どこまでいっても、そのようなことはありません。
だからといって、自分は養殖というものを否定するつもりはありません。天然ものでは賄いきれないのは、事実ですし、そういう技術も必要だと思います。商売とか経営面から見て、養殖ものを使うのは、間違ってることとは思いません。
こういうものを食べて、美味しく感じるのは、人それぞれで、“蓼食う虫も好き好き”ではありませんが、自分には、とやかく言ったり、否定する権利もありません。ただ、食べた人の好み、憶測、偏見だけで、真実が分からないままに、判断するのは、かなり危険なことですし、真っ当な人間のすることではありません。
自分は、本物の美味しさを、沢山の人に知ってもらいたいだけでなく、日本料理の素晴らしさを、後世に伝える使命を、感じているので、このスタイルを貫くだけです。
天然のとらふぐの白子と養殖のとらふぐの白子の違い
今朝は、定休日でしたが、仕込みの都合もあり、
沼津の魚市場に行って来ました。市場に着くのは、
5時前後で、着いてから、最初に向かうのが、
活魚の生簀で、セリの始まる1時間ぐらい前なので、殆ど人もいません。また、一番最初に向かうのは、この時季なら天然のとらふぐ、夏なら鱧の入荷が、気になるからです。生簀ですので、中に入っているのは、文字通り活きた魚で、
今朝は、鯛や、
平目に始まり、
ナヌカサメなる変り種も、入荷していましたし、この他には、ひら鱸、高足蟹などもありましたが、残念なことに、自称“富士市でふぐ料理が一番好きな料理人”である自分のお目当ての天然のとらふぐはありませんでした。活魚の生簀とは言っても、
生簀の前には、発泡スチロールに入った魚介類が並べられており、
鮟肝や、箱に入って、卸した状態になっている“身欠き(みがき)ふぐ”と呼ばれる養殖のとらふぐも並んでいる時もあります。別の日に並んでいたものは、
こんな箱に入っており、
愛媛県産のもので、別の売り場にも、
幾つか“身欠きふぐ”が並んでいました。何故このようなふぐが入荷しているのかというと、他の魚に比べて、ふぐは仕込みに、非常に手間がかかるからです。ふぐを卸すのが、いかに手間がかかるのかは、こちらをご覧下さい。
売り物ですので、中を開けることは出来ないのですが、内臓を取ってあり、
このような状態になっているものを想像して下さい。この写真は、先日自分が卸した三重県産の天然のとらふぐです。
ところで、一年のうちに、活きた養殖のとらふぐを勧められることもあり、勿論断るのですが、担当者に、「ここ何年かで、養殖のとらふぐも、かなり質が良くなってきたので、試しに1本だけでもいいから。」という理由で、去年の暮れに、養殖のとらふぐを仕入れてみました。
確かに、以前に比べ、質は良くなっていたのは、卸していても感じられたのものの、刺身だけでなく、ふぐちりにして、試食してみたのですが、比べる余地というより、天然のとらふぐと同じ土俵で、勝負するのは、天然ものに失礼にあたるとしか言えませんでした。
また、その時の養殖ものは、オスだったので、白子も入っていました。ということで、前置きがかなり長くなりましたが、ここからが本題です。これが、養殖のとらふぐの白子を焼いたもので、
こちらが、
天然のそれです。どちらも、焼く前に、
霜降り(熱湯で湯がいて)から、塩をして焼いたものです。見た目は、殆ど違いが無いようですが、指で触ると、
養殖の方は、指でつまむと。弾力がなく、一方の天然は、
弾力があるのです。力のかけ方は、自分の感覚なので、数値化したものではありませんが、明らかに違いを感じることが出来ました。
また、完全に冷めたものを見ると、
右側の天然の白子と左側の養殖のそれとは、張りの違いがお分かり頂けると思います。これだけ違うのですから、食べれば、その違いは一目ならぬ一口瞭然です。
天然の白子は、濃厚でありながらも繊細にして、クリーミーな味わいで、“白いダイヤ”の称号そのもので、その値段は、ありとあらゆる海産物の中でも、群を抜き、生の天然の本鮪の大トロが取れる腹上(はらかみ)と呼ばれる部位よりも、高いのですが、暮れや年明けのような通常ではない相場の条件は除きます。
さてさて、最初にお話ししたように、今朝の沼津の魚市場には、天然のとらふぐの入荷はありませんでしたが、市場の帰りに、
宅配便の営業所に立ち寄り、
三重県から届いた天然のとらふぐを、引き取って来ました。【佳肴 季凛】に戻り、
中を開ける瞬間が、いつも緊張します。発送時には、
活きていても、道中どうなるか分からないからです。どちらの箱も、お腹に入っていた餌を吐き出したりして、
海水が、多少汚れてはいるものの、4本全てスイスイと泳いでおり、
そのまま締めてから、卸しました。このうちの2本がオスで、
見事な白子が入っていました。卸している時から、美食のオーラは、手のひらを通じて、 既に感じずにはいられませんでした。何度見ても、この眺めだけは、惚れ惚れしてしまいます。卸している時ですら、こんな気分ですので、試食という言い訳を口にしたくなるのですが、そんな言い訳が通じるのは、一年のうちに、片手で数えられる程度です。
ただ言えるのは、ひとたびこれを食せば、恍惚の域に達するということだけです。
追伸 これまで、900以上の記事を書きましたが、写真が一番多いものであるでなく、単発ものでは、一番長いもののはずです。やはり、ふぐについては、書かずにはいられません。
天然のとらふぐの白子が、一年を通じて食べられる理由
今週は、
月曜日(20日)に、三重県から3本のふぐが入荷し、一日空けて、水曜日(22日)に、同じく三重県から、
2本、あくる日の木曜日(23日)にも、
2本と合計7本入荷しました。言うまでもありませんが、全て天然のとらふぐです。実を言うと、平成26年になって初めての入荷が、月曜日のことでした。言うなれば、“ふぐの初卸し”でした。
だからと言って、この間、ふぐ料理を召し上がるお客様が、全く無かったわけではなく、ごく普通にお出ししていました。卸していないのに、ふぐ料理をお出し出来る理由は、去年の10月から、卸してから、真空して、マイナス40度で、冷凍したものを、
その時の状況に応じて、解凍してから、使っていたからでした。いくら自称“富士市でふぐが一番好きな料理人”と言えど、天然のとらふぐのコレクターではないので、仕入れたものを、お金に代えなければ、意味がないのは、言うまでもありません。
この中には、10月31日の“天然とらふぐラッシュ”に始まり、11月6日まで、連続7日間、親の仇にして、憑りつかれたように卸したものも、“お寝んね”しています。しかも、この7日間は、それに連動して、ブログも更新していたので、これらの記事をお読みになると、何本卸したか分かるので、お時間に余裕のある方は、数えてみて下さい。
そんなわけですので、ある時は、
去年の10月16日に卸した0,9キロの三重県産のものを使ったり、別の日には、
2本使ったこともありました。産地の書いていないものは、御前崎、吉田、用宗などの静岡県産のものです。
冷凍というと、味が落ちると思われるかもしれませんが、天然のとらふぐについて言えば、そのようなことは全くないと言っても、過言ではありません。これについての詳しいことは、以前の記事をお読み下さい。
ところで、お話しは前後しますが、月曜日の3本は、全てメスでしたので、白子は入っていませんでしたが、水曜日の1本には、
十分なほどに成長した白子が入っており、木曜日も同じように、
このような白子が入っていました。これだけ大きいと、鮮度が良いうちに、使いきるのはなかなか難しいので、
お出しする大きさに包丁します。この大きさは、アイスの“ピノ”と同じくらいです。
専用の袋に、卸した日付を書き、
袋に入れてから、
真空して、ふぐの卸し身同様、マイナス40度で冷凍しておくので、白子の入っていないとらふぐが入荷した時というより、一年を通じて天然のとらふぐの白子が、鮮度が殆ど落ちない状態で、味わうことが出来ますし、お客様のご注文に応じて、その場で解凍してから、お好みの調理方法で、お出ししています。
一番多いのが、
焼白子で、その次に多いのが、
湯がいてから、ポン酢ともみじ卸しでお出しするものです。他には、天ぷらをご希望されるお客様もいらっしゃいますが、個人的には、“King of ふぐ料理”しかありません。ただ、この時のお話しでは、湯がいていますが、焼いた方が、白子の旨味は凝縮され、口に入れた暁には、恍惚の彼方に葬られるのは、必至です。
ふぐの白子は、ふぐ料理のコースに入っていないので、別途にて、ご提供させて頂いておりますし、このように、1個ずつストックしてあるので、お好きな分量を、お好きなお召し上がり方で、ご堪能頂けますが、時節柄一番美味しく感じられるのは、この時季です。
やはり旬のものの美味しさに敵うものはありませんし、ましてや、それが“白いダイヤ”とも呼ばれる天然のとらふぐの白子ですから、これ以上語るまでもありません。
日本料理店【佳肴 季凛】のボリューム重視のお弁当
今日の仕事は、ランチの営業前までに、
お弁当を仕上げることで、いつものように、女将兼愛妻(!?)の真由美さんが、盛り付けをしました。仕上がったお弁当は、
このようなものでした。御飯は、
昆布御飯にしました。昆布御飯に限らず、当店でご用意するお弁当は、このような乾物を使った炊き込み御飯が多いのですが、お客様のご要望によっては、白御飯の時もあります。そんな白御飯を使ったお弁当については、こちらをご覧下さい。
ところで、先日ご注文を頂いたお弁当も、
白御飯を使ったものでした。この白御飯に使っているお米は、石川県産のカルゲン栽培のコシヒカリです。
また、この日は、ボリューム重視というご要望もあったので、
揚物を、“いかフライ”(写真 手前)と“ひと口カツ”(写真 奥)にし、
“鶏肉の照焼”も、多く盛り付けました。
御飯に限らず、料理内容については、ご要望を頂ければ、可能な限り対応させて頂いておりますので、お気軽にお申し付けください。
なんだかんだで・・・
明日(21日)の火曜日が、
沼津の魚市場の定休日ですので、今日は、定休日でしたが、
仕入れに行って来ました。市場で、一通りの仕入れを済ませた後、【佳肴 季凛】の近所の宅配便の営業所に寄りました。
ドライバーが、
発泡スチロールを抱え、自分の車に、そのまま乗せてくれたのですが、この中身については、予想をつく方が多いかと思いますが、【佳肴 季凛】に着き、箱を空けると、
案の定というより、お決まりとも言えるふぐは、3本入っていました。さらに、お決まりで、三重県産の天然のとらふぐです。とりあえず、
3本全て、水槽に入れ、仕込みを始めました。市場に行ったので、どんなものであれ、魚の仕込みから始まります。
酢〆にするため、小肌(佐賀)を開き、塩をしてから、
水槽に向い、
3本全て、卸しました。卸し終え、次に仕込んだのは、
先付に使う“百合根豆腐”で、その次は、
デザートの“苺のムース”でした。さらに仕込みは続き、
お弁当の煮物、会席料理の蒸物の“雲丹(うに)しんじょう蒸し”と、
お昼御飯どころか、休憩無しでした。さらに、
刺身の妻や小鍋に使う笹がき牛蒡と、仕込みは続きます。休み無しの覚悟で、臨んでいる仕込みとはいえ、なかなか終わりの気配でしたが、ようやく包丁を使う仕事が終わると、今度は、昨日仕込んだすっぽんを、
単品ものでお出しする“すっぽん鍋”用に、
真空したり、
明日の器を出しながら、片付けの準備を始めました。そうこうして、終わりが見えた頃、薪ストーブに使う薪をもらいに、
当店をリフォームしてくれた富士市大渕の工務店【マクス】さんが管理している薪置き場に、薪を調達に向かいました。薪置き場に着くと、
陽が落ちんばかりの夕暮れ時で、気乗りしませんでしたが、休み返上で、健気に仕込みをしている自分に気付いてくれた神様が、
還暦を超えた母と、傘寿を超えた祖母を、図らずも助っ人として派遣してくれました。全くの偶然とはいえ、神様の御加護もさることながら、家族というものは、有難いものです。
【佳肴 季凛】に戻り、薪を片付け終わると、今度は、志村家の女三羽烏と共に、近所のラーメン屋さんに向かい、
お疲れちゃん。先程とは違う家族の温もりに、これまた癒されました。
なんだかんだで、バタバタとして終わった定休日でしたが、最後の一杯を味わえた以上、やはり“終わり良ければ総て良し”とは、よく言ったものです。
夏まで見納めが近い“大間の鮪”
今日、東京・築地から入荷したのが、
青森県大間産の生の本(天然)です。
部分としては、腹の真ん中より下の部分ですので、皮目を見ると、
銀色の斑点模様をしています。
腹の真ん中より下の部分ですので、
大トロの部分も、少しですが取れます。ただ、筋の強い部分は、刺身で食べるには不都合ですので、
お弁当用に、南蛮漬にしました。この南蛮漬の仕込み方については、こちらをお読み下さい。
また、仕込むには多い分は、
数を書いてから、真空して、冷凍しておきました。
タイトルにもあるように、“大間の鮪”は、夏ぐらいまで見納めというより、入荷がなくなります。確かに、今でこそ、大間はブランド中のブランドとなっていますが、津軽海峡で本鮪が水揚げされるようになったのは、1993年の奥尻島沖の地震以降のことです。
本鮪に限らず、マグロ類は、海流に乗って、移動するルートを変えることは、人為的には不可能ですが、天変地異などで、漁場が大きく荒らされると、進路を変えることもあるようで、実際、1983年の大韓航空機墜落事故以来、北海道西岸では、殆ど揚がっていません。
確かに、大間はトップブランドゆえ、高値が付くのですが、獲れる時季が、暮れにかけて、相場が高騰すること関連が強いのは、否定出来ません。また、今年はそうでもありませんでしたが、ここ何年かの年明けの相場を見ても、同じとも言えます。
さらに言うと、ブランドとか産地などばかりにとらわれていると、肝心の味について、重視しなくなり、少し前の偽装や誤表示の温床になってしまうのは、ごく自然の流れです。
本鮪には、回遊ルートに沿った旬があり、これは他の食材についても言えることで、それを踏まえた上で、産地やブランドにとらわれない姿勢をもち、美味しいものを、自分は提供したいと思っています。
ちなみに、産地やブランドにとらわれないようにとは言いつつも、「本鮪の好きな産地は?」と、訊かれれば、自分はギリシャと答え、例年3月ぐらいに入荷し、去年もかなり良いものが入荷しました。
まだまだ厳しい寒さは続きそうですが、こんなお話しをしていると、春はそう遠くなくなって来ました。
三連休の主役は、大間の鮪
今日から、明後日の【成人の日】の(13日)まで、
日本全国津々浦々三連休です。基本的に、月曜日は、祝日でも、お休みさせて頂いている当店ですが、13日は、ランチのみですが、営業します。
そんな今日、いつものように、築地から入荷したのが、
青森県大間産の本鮪でした。言わずもがなの生の天然ものです。“大間の鮪”に限らず、このような塊を見てから、
包丁を入れていく時は、自分にとっては、まさに“聖なる儀式”としか言えません。不惑を超え、成人式を2回経験したことになる自分ですが、やはりこの儀式は、何度やっても、緊張します。
この緊張感は、何も“大間の鮪”などに生の鮪に限ったことではありません。良い素材を手にすれば、そうなるのは、ごく自然のことで、成人式を迎えた若人のように、還暦、古稀、・・・・・。というよりも、生まれ変わっても、この心持ちで、包丁と鍋を携えていたいと思っても、今の自分の不甲斐無さと未熟さを感じると、新たな道があるのかもしれません。
しかしながら、この道の終着駅に辿り着くまで、何度でも生まれ変わることの出来るチャンスがあるのなら、自分にとっては、やはり料理になってしまうでしょう。
単品のふぐ料理のお値段
コース料理をメインにしている【佳肴 季凛】ですが、お品書きには、
単品ものも、御用意しております。ここに載っていない所謂“本日のおすすめ”の料理は、
このように、カウンターに置いてあります。
ここに書かれているものは、その日の会席料理でお出ししているものが、殆どです。この時季は、
ふぐ料理も、ご予約なしでお召し上がり頂けますので、単品のふぐ料理のお値段も書いてあり、この日のふぐは、三重県産の天然のとらふぐでした。
まず、皮ですが、
このように盛り付けてあります。
ふぐ刺は、
薄造りにしたふぐの身が、23枚前後盛り付けてあり、ふぐ料理のコースでお出ししているものと同じ分量です。当店のふぐ料理については、こちらをご覧下さい。
ふぐちりは、
二人前からの御用意で、ふぐのアラと野菜を、ある程度まで煮てから、ポン酢と薬味を添えて、お出しします。最後に、
雑炊となります。
唐揚ですが、下味を付けたアラの部分を、5個を目安に、
一人前としています。ちなみに、当店のふぐ料理のコースでは、
2個お召し上がり頂けます。先程の単品の唐揚は、お品書きにもあるように、5個で5,500円ですので、1個あたり1,100円となります。以前、生の本鮪などのお値段のお話しをしたことがありますが、単品ものですと、どうしてもその料理に対してお値段を頂くようになるので、嫌が応でも、それなりの値段にならざるを得ません。
唐揚というと鶏の唐揚を連想されるのかどうか分かりませんが、当店でお出ししているふぐの唐揚は、活きた天然のとらふぐですので、どうしてもこのようなお値段になってしましますし、ふぐ料理自体が、そういうものであるのは、以前のお話しを、お読み頂ければ、ご理解いただけると思います。
皮以外の3種類の料理が、ふぐ料理の三本柱で、先程の写真のお値段を参考にして、これらを合計すると、11,800円で、その内訳は、ふぐ刺(5,600円)+唐揚(2,200円)+ふぐちり(4,000円)となります。さらに、先付二品、デザートが付くので、実際には13,000円相当のものとなるので、ふぐ料理に限らず、当店では、お値打ち感のあるコース料理をおすすめしています。
最後に書かれている白子ですが、1個からの御用意で、ふぐ料理のコースには、入っていません。
お召し上がり方は、お客様のご要望によりますが、殆どの方が焼白子で、湯がいてから、ポン酢を掛けたものや、天ぷらにしてお出しすることもありますし、ふぐちりに入れて、熱々を召し上がる方もいらっしゃいます。ちなみに、白子一個の大きさは、アイスの“ピノ”ぐらいの大きさです。
このような感じで、単品のふぐ料理をご用意していますが、その分量も、可能な限り対応しておりますので、どうぞお気軽に、ご要望をお申し付け下さい。