誕生日プレゼントの鰍(いなだ)の刺身
Vol.4320
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
今日(3月7日)は
誕生日プレゼントの
鰍(いなだ)
についてお話しします
「おはよう、親方🐡
ブリみたいだけど
この魚は?」
と、熱血君が訊いてきました
「おはよう🐡
鰤の幼魚の
鰍(イナダ)だよ」
と、自分
「魚へんに秋って
書くんだね」
「そうだよ
たださぁ、カジカって
淡水魚も
鰍って書くんだよ」
「えっ!?
それじゃ
区別がつかないじゃん」
「さらに、厄介なのが
海水魚にも
カジカっているんだよ」
「ますます複雑じゃん!」
「これが
淡水魚のカジカで
海にいるカジカは
何とかカジカって言って
50種類くらい
いるようだよ」
「へぇ~」
「山育ちの自分は
子供の頃
川でカジカを取りに
行ったことがあるから
馴染みがある魚なんだよね」
「そうなんだぁ
何だか話が
複雑になりつつあるけど・・・」
「そうだね
まぁ、この辺にしておくよ」
「でも、気になるのが
魚へんに
春、夏、冬がつく魚もいるの?」
「どれもこれも
いるんだよ」
「やっぱりね」
「春がサワラ(鰆)で
夏がワカシ(魚夏)
冬がコノシロ(鮗)
ただ、ワカシは当て字だから
一つの漢字では
無いみたい」
「へぇ~
で、ワカシって?」
「ワカシも
鰤の幼魚で
イナダよりも
小さいものだよ
夏の後が秋だから
意味としては
合っているよね」
「うまく出来ているね~」
「その次に大きいサイズが
ワラサで
鰤の手前だから
稚鰤って書くんだよ」
「漢字って
頭がいいね
生成AIにも勝てるんじゃね?」
「どうなんだろうね
鰤の呼び名についても
話したいけど
この辺にしておくね」
「うん♬
鰤を仕入れて来るのは
よく見るけど
イナダは
あんまり仕入れて来ないよね?」
「そうだね
ただ、今朝は
由比(注)のが
結構あったんだよ」
「わぁ、沢山!」
(注)由比(ゆい)
桜海老で有名な漁港で
沼津から40キロくらい
西に位置しています
コンテナに入っていたのは
各2、3本ずつで
それでは多いので
この1本を
フライングゲットさせてもらいました
「しずまえって
書いてあるけど
これって
どういう意味なの?」
「 静岡市には
用宗(もちむね)、清水、由比の
3つの港があって
この海沿いの地域で
水揚げされる魚介類を
しずまえ鮮魚って
呼ぶんだよ」
「へぇ~」
「色んな魚が水揚げされるけど
さばふぐを仕入れることが
一番多いね」
「で、イナダは
何に使うの?」
「常連さんの誕生日プレゼント!」
「わぁ~っ
いいじゃん、いいじゃん!」
いつもながらの下処理をし
柵取りしたら
皮に包丁目を入れたら
バーナーでFIER🔥
炙ったら
皮目を下にして
冷まします
腹の方は
切身にしたら
塩、胡椒をし
フライにするため
パン粉をつけておきました
いなだのフライと言うと
聞き慣れないかもしれませんが
アジ科ということで
大きめの鯵フライ
と言った感じで
少なくとも
フィッシュバーガーの
フライとは別物ですし
刺身で食べるよりも
おすすめです
いなだの刺身を盛付けると
「んまそう~🤤
このお皿って
季凛のじゃないんじゃね?」
「そうだよ
近所の常連さんだから
器を借りて来たんんだよ」
「言われてみれば
『何か作った時に
鍋とかタッパ持参で
来てね』って
よく言っているもんね
使い捨ての容器だと
面倒だったりするしね
ただ、わさびが無かったけど・・・」
「チビッ子がいるから
無しにしたんだよ」
「ふぅ~ん
で、これって・・・?」
「自分達のお昼だよ」
「やっぱ、来たか・・・
で、フライは?」
「フライは、明日だよ」
「いいなぁ~🤤
ねぇ、親方
僕の誕生日にも
何か作って欲しいんだけど・・・」
「もちろんだよ」
「わぁ~い!」
イナダに限らず
魚市場に行くことで
色んな魚を目にすることが出来るだけでなく
今日のような余興が
楽しむことが出来ます
というよりも
本業よりも
こちらの方が
楽しかったりして・・・
「明日のバスの席は
グループごとなんだね
そんじゃ、また🚌」
by ミニふぐちゃん
肩星鰯(かたぼしいわし)のような小魚が好きな理由
Vol.4314
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
今日(3月1日)は
肩星鰯(かたぼしいわし)に限らず
小魚が好きな理由について
お話しします
今朝、沼津魚市場に行くと
沼津市西浦の
定置網漁船・冨久豊丸(ふくほうまる)が
水揚げをしているところでした
台の上に乗っているのは
鯵(あじ)です
鯵以外で
目に付いたのが
肩星鰯(かたぼしいわし)でした
朝獲れと言うより
今朝獲れですので
死後硬直はしていません
鱗(うろこ)も
びっしり
好みのサイズを
1キロ分
選(よ)り
【佳肴 季凛】に戻ると
ミニふぐちゃんがやって来ました
「おはよう、親方🐡
カタボシイワシ、久々じゃね?」
「どうかなぁ
ただ、ここ最近
水揚げが増えてきたような
気がするけどね」
「親方って
こういう小魚
意外と好きじゃね?」
「そうだね
色んな意味で好きだよ」
「色んな意味って?」
「料理の道に
転んだきっかけが
鮨屋だったことかな」
「鮨屋と小魚って
どういう繋がりなの?」
「鮨屋って、最初に
貝類とか小魚の仕込みを
覚えなくちゃならないんだよ」
「寿司を握る前に?」
「そうだよ
鮨ねたが無きゃ
握れないじゃん
だから、その前に
魚の仕込みを
覚えなくちゃならないんだよ」
「言われてみれば
そうだよねぇ
で、どうして
小魚とかが
最初なの?」
「包丁を使う
基本の仕込みだからだよ」
「へぇ~」
「特に、貝類は
開き方、下処理が
それぞれに違うからね
お陰で
貝類の仕込みって
ほぼほぼ覚えたよ」
「鮨屋で使う貝類って
沢山あるよね?」
「主なところだと
赤貝、青柳(あおやぎ)、鮑(あわび)
北寄貝(ほっきがい)、鳥貝(とりがい)
海松貝(みるがい)、白みる
帆立(ほたて)、平貝(たいらがい)、蛤(はまぐり)
知っているとは思うけど
鮨ねた以外にも
貝類は沢山あるからね」
「アサリとかでしょ?」
「そうそう
貝類の話は置いといて
鯵、小肌(こはだ)とかの
仕込みを覚えたら
穴子を覚えて
その後に
普通の魚の三枚おろしを
やらせてもらえるようになるんだよ」
「そんなに順番があるの!?」
「そうだよ
で、最後が
鮪(まぐろ)の柵取り」
「長っ!」
「あくまでも
鮨屋の話だよ
和食っていうか、日本料理は
こういう小物を
沢山使うことは少ないからね」
「そうなの!?」
「鮨屋と和食って
似ているけど
実は、別物なんだよ」
「ふぅ~ん」
「鮨屋時代の先輩に
『お前は鮨屋が
最初だったから
細かい仕事に
抵抗が無いんだよ』
って言われたことがあるんだけど
確かにそうなんだよ
『だから、フグ類の
水洗いも嫌がらないんだよ』
とも言われたよ」
「フグって
親方の仕込みしか
見たことないから
よく分かんないんだけど・・・」
「とらふぐに限らず
ふぐ類って
身欠(みがき)って言って
卸した状態のものが
売られているんだよ
だけど
人が触った魚を扱うのは
たぁ~っまんなく嫌だから
仕入れることはしないけどね」
「言われてみれば
どんなに小さいフグでも
そのまんまを仕入れているもんね」
「小物の仕込みが
料理人としての始まりだから
それをパスするってことは
自分自身を否定するようなものだから
それは出来ないんだよ」
「へぇ~
人に歴史あり
って言うもんね」
「ってことだから
仕込みを始めるよ」
「はぁ~い♬」
肩星鰯は
鱗を取ったら
頭を落とし
はらわたを取ります
鱗が残っていることもあるので
丁寧に水洗いをしなくてはなりません
その後
三枚に卸すと
鮮度バリバリですので
中骨が
そり返っていました
「こんなの初めて見たよ!」
「実は、自分も初めてなんだよ」
「マジで!?」
「でも、自分が仕入れた魚が
ここまで新鮮だと思うと
してやったりの気分だね」
「👏👏👏」
卸し終えた身に
塩をあてること20分
塩が溶けたら
水洗いします
二番酢(一度酢〆に使った酢)に
くぐらせたら
新しい酢に漬けること5分
酢から上げたら
昆布で挟んでおきました
「これはこれいいんだけど
さっきよりも
量が少なくね?」
「あはは、バレた?」
「そりゃ、わかるでしょ」
小さめのところを
たたきにして
昨日仕入れた
葉血引(はちびき)と共に
オン・ザ酢飯
昨日の葉血引については
こちらを👇
「やっぱ、こう来たか・・・🤤
真由美さんは
食べ過ぎちゃうから
別盛なんだよね
しっかし
親方の盛が凄過ぎ!」
「この時間(2時過ぎ)まで
特に食べていないからね」
「そうかもしんないけど・・・。」
「今夜の予習だよ」
「予習!?」
そして、今夜の会席料理の刺身👇
葉血引、肩星鰯、湯葉の
三種盛です
「確かに、予習だけど・・・」
「でしょ」
「湯葉は抜きにしても
こういうのが
地魚の刺身だよね
それもだけど
今日のお昼こそ
地魚丼だね」
「まぁね
折角、魚市場に
自分で行っている以上
鮮度バリバリの魚を仕入れて
魚の美味しさを
知って欲しいからね」
今朝の肩星鰯に限らず
魚市場で仕入れるのも
料理人としての原点でもあります
最初の鮨屋は
今は無き築地に
仕入れに行ってました
当時は、注文した魚を取りに行くのが
基本でしたが
そういう中でも
自分の練習のために
色んな魚を仕入れたものです
その時も
店で使わないような
小物が殆どでした
仕入れることも
仕込むことも
小物が原点で
今でも、その習慣は
変わりません
“三つ子の魂百まで”
“雀踊り百まで忘れず”
とは、よく言ったものです
そういう気持ちと姿勢を
忘れることなく
日々の仕事に
臨み続けます
「明日はお弁当があるんだね
そんじゃ、また🐡」
by 熱血君
底物船(そこものせん)水揚げの葉血引(はちびき)
Vol.4313
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
今日(2月29日)は
について
お話しします
漁港が併設されている
沼津魚市場には
その日の入船状況が書かれた
ホワイトボードがあります
そんな今朝の入船状況👇
🐟定置網
・山下丸(東伊豆・稲取)
・網代(東伊豆・熱海)
この2つ以外には
南伊豆や沼津・西浦の定置網で
水揚げされた魚も
入荷して来ます
🐟底物船(そこものせん)
底物船とは
深場の魚がメインの漁船で
金目鯛(キンメダイ)、黒ムツ
目鯛(メダイ)が代表的な魚です
今朝の入船予定では
赤サバも書かれていました
赤サバというのは
沼津界隈での地方名で
正式には
葉血引(ハチビキ)と呼ばれています
お気に入りの魚の一つの
葉血引を期待しながら
入荷を待つことにしました
また、ホワイトボードにある
巻網船は
今日はノーマーク
というのも
巻網船で水揚げされるのは
アジ、サバなどで
今日の狙い目ではないからです
最初に仕分けていたのは
目鯛でした
次が
胡麻鯖(ゴマサバ)で
丸サバとも
呼ばれることもあります
そして
金目鯛が2回連続で続きました
今日の金目鯛は
どちらも小ぶりです
この他には
真鯵(まあじ)もありました
お目当ての葉血引は
なかなか出て来ません
予定はあくまでも
予定ですので
無い場合に備えて
他の売場で
色々とチェックをしておきました
そして、ようやく
葉血引の赤い魚体が
現れました
300キロの予定でしたが
どう考えても
50キロにも満たない程度
それでも
良さげなものを選り
秤にかけてもらうと
1,8キロで
今日はバスツアーのご予約があるので
これに撤収です
【佳肴 季凛】に戻ると
ふぐとらちゃんがやって来ました
「おはよう、親方🐡
バスが来る日の仕入れって
焦ったりしない?」
「おはよう🐡
焦るっていうか
出来ることなら
行かないで済ませたいけど
そういうわけにも
いかないからね」
「そうだよね~」
「だから、今日は
魚は後回しだよ」
バスツアーのお客様が
お帰りになったら
葉血引の下処理をすることに
しました
水洗いをし
半身だけ卸したら
骨付の身の中骨に
針金を通し
血抜きをしました
血は内臓の一部ですので
残っていると
生臭みの原因になるだけでなく
鮮度も落ちるので
片身を残す場合には
血を抜いておかなくてはなりません
卸した片身は
キッチンペーパーに挟み
骨付の片身は
キッチンペーパーに包んだら
弱めの真空パックをし
氷詰にし
冷蔵庫へ
「今日はバタバタで
大変だったね」
「確かに大変かもしれないけど
自分が気に入った魚じゃなきゃ
やる気が起きないし
市場に行くのは
食材だけでなく
料理へのモチベーションを
仕入れるようなのだから
大変も何もないよ
たださぁ・・・」
「たださぁって・・・?」
「早起きすると
寝不足になるのが
悩ましいんだよね」
「そりゃ、そうだよ
そうは言っても
明日も行くんでしょ?」
「そうだよ
でも、明日は
ランチの営業を休むから
少しは気が楽だよ」
「そうなんだぁ
あんまり無理をしないでね」
「はいよぉ~」
昨日までの風も止んだので
明日は今日よりは
魚がありそうです
魚だけでなく
モチベーションも
仕入れに行って来るので
この辺で・・・
「明日のランチはお休みなんだって
そんじゃ、また🐡」
by ミニふぐちゃん
★☆★ 【コエタス】 ★☆★
当店のお取り寄せや
通販の商品などを召し上がった方々が
投稿して下さっています
ご興味、ご関心のある方は
御覧ください
黒鯛の薄造りと刺身の三種盛
Vol.4307
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
今日(2月23日)は
黒鯛の薄造りと
刺身の三種盛について
お話しします
「 今日のランチの刺身
んまそう~🤤
内容は?」
と、ミニふぐちゃん
「黒鯛(くろだい)
尾赤鯵(おあかあじ)
湯葉の三種盛だよ」
と、答えると
「昨日は
黒鯛の薄造りだったけど
どうして違いがあるの?」
「昨日、薄造りにしたのは
魚市場で仕入れた
活きた黒鯛だったからだよ」
「じゃ、今日は
薄造りには
出来ないの?」
「出来ないわけじゃないんだけど
正確に言うと
不向きってことかな」
「不向きって・・・?」
「魚の種類にもよるけど
薄造りにする時って
身が活きた状態
要は、活〆にしてから
時間が経っていない状態じゃないと
歯応えが味わえないんだよ」
「時間が経つと
どうなるの?」
「時間が経つと
歯応えがなくなる代わりに
旨味が出てくるんだよ」
「じゃ、どっちが
美味しいの?」
「好き好きだから
どっちがどうとは
言えないね。」
「そうなんだぁ~
あと、オアカアジって
言ってたけど
これはいつ仕入れたの?」
「尾赤鯵も昨日なんだけど
酢で締めてあるから
今日の方が
味が馴染んで
美味しいんだよ
折角だから
黒鯛も尾赤鯵も
仕入れの様子を話そうか?」
「わぁ~い♬」
ということで
昨日の沼津魚市場です
🐟黒鯛
黒鯛は、産卵が近づく
冬から春にかけて
脂が乗り
浅場にも出て来るので
入荷が増えてきます
昨日の黒鯛は
いわゆる地物で
この中から仕入れたのが
2,3キロのものでした
黒鯛のサイズとしては
やや大きめになります
生簀から取り出したら
動かないように
目を隠します
えらと
尾の付根に
包丁を入れたら
血抜きのため
氷を入れた海水で
一気に冷やし込みます
しばらくしたら
海水から上げます
氷を入れておくのは
締めた時に
体温が上がり
それによって
身が焼けるのを防ぐためです
身が焼けると言っても
加熱されるわけではありません
身が白濁したり
柔らかくなってしまい
使いものにならなくなってしまいます
🐟尾赤鯵(おあかあじ)
尾赤鯵の漁場(ぎょば)は
沼津近隣で
大型船の巻網漁で
水揚げされたものです
尾赤とあるように
尾をはじめ
ひれが赤いのが特徴で
正式には
オアカムロと呼ばれています
競り前の仕分け中だったので
好みのものを選り
3,5キロを
フライングゲット
毎回毎回、フライングゲットが
出来るわけではありませんが
「早起きは三文の得」
「早いもの勝ち」
とあるように
市場に早く来ることが
美味しい料理の近道なのは
言うまでもありません
「っていう感じで
仕入れて来たんだよ」
「そうなんだぁ」
沼津魚市場は
他所から送られて来る魚だけでなく
漁港が併設されている魚市場なので
地魚を仕入れるという
合わせ技が為せるのです
いわゆる朝獲れの魚の中には
マイナーな魚も多く
魚屋ですら
その味を知らない魚も
多いのです
なので、自分のように
変わり種を仕入れていると
奇異の目で見られることも
珍しくありません
そういう時に言うのが👇
折角、魚市場に来ているんだから
変わり種を仕入れて
その美味しさを
お客さんに伝えるのも
ありだと思っているからね
魚屋は、品揃えというハードルがあるので
万人受けして
それなりの量を扱わなくてなりません
しかしながら
自分の場合
気に入った魚を
気に入った分
使い切れる分だけを
仕入れれば
事足ります
もっと言えば
お客様のことだけを
考えておけば
いいだけのことなのです
食べることが出来る魚の種類は
恐らく天文学的な数字レベルのはずで
美味しくない魚を探すのは
難しいとも言われています
日本料理が魚菜食文化である以上
多くの魚の魅力を伝えるのが
料理人の役目で
それと同時に
魚を獲ってくれる漁師だけでなく
野菜の生産者たる農家
つまり、一次産業の
代弁者でなくてはならないのです
「相変わらず
熱いねぇ、親方は・・・♬
その想いが
余りに余って
ついついおかず行きなんだよね」
「何だかんだ言っても
自分が食べなきゃ
説得力ないじゃん
この尾赤鯵じゃないけど
味と値段が比例しない魚って
意外と多くて
さっきの話の繰り返しになるけど
その美味しさを伝える使命が
料理人にはあるんだよ」
「なるほどねぇ
でも、美味しさが広まって
値段が高くなったら
仕入れが困るんじゃね」
「ただ、ある程度
高くならないと
漁師が困るじゃん
さっきも言ったように
漁師の代弁者に
ならなくちゃならないんだよ
料理人は!」
「そっか~」
明日は土曜日ということで
沼津魚市場は休みなので
早起きをしなくて済むのが
ひと安心です
「今日の娘ちゃんランチは
天ぷらじゃん🤤
そんじゃ、また明日🐡」
by ふぐとらちゃん
風の吹き方次第で、東伊豆と西伊豆では、魚の水揚げが異なる理由
Vol.4300
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
東伊豆と西伊豆とでは
天気次第で魚の入荷が異なります。
そんなことについて
今日(2月16日)は
お話しします
ホームグランドの沼津魚市場がある
静岡県沼津市は
伊豆半島の付根の西側に位置し
沼津魚市場は
漁港が併設されていることもあり
西伊豆だけでなく
東伊豆の魚も入荷して来ます
西伊豆は駿河湾
東伊豆は相模湾
に面しているので
同じ伊豆でも
獲れる魚には大きな違うだけでなく
自分の中では
西伊豆=駿河湾=静岡県
東伊豆=相模湾=神奈川県
の図式なのです
また、伊豆半島は
海のイメージがあるのですが
真ん中には天城山(あまぎさん)があり
海と山のコラボレーション半島
とも言えます
ちなみに、天城山は
日本百名山の一つです
このような地形のため
風の吹き方次第で
魚の水揚げに
大きな違いが生じます
そんな今朝の入荷状況は
それを象徴するような感じでした
こちらの売場が
沼津近隣(西伊豆)で水揚げされた
魚が並ぶ売場です
この手前には
西伊豆・戸田(へだ)の
トロール漁の売場があり
今日の水揚げは無く
漁船の名前だけが
ひっそり・・・
早朝とは言え
黄昏れています
一方、東伊豆の付根の
熱海・網代(あじろ)からは
鯵(あじ)や
鯖(さば)を中心に
入荷がありました
また、伊豆半島の南東部の下田からは
金目鯛(きんめだい)や
目鯛(めだい)などが入荷し
最終的に
東伊豆方面の魚が並ぶ売場は
沼津近隣の売場とは大違いでした
そんな今朝仕入れたのが
網代産の鯵(あじ)で
2、3時間前に水揚げされた
いわゆる朝獲れにして
死後硬直前なので
身はクニャクニャ
【佳肴 季凛】に戻り
鯵を見ると
ミニふぐちゃんが
「今日の市場の様子って
へぇ~、ほぉ~
って感じの言葉しか出ないよ」
と、言ってきました
「そうでしょ
市場に通い始めた頃は
風と地形なんて
全く気にしていなかったけど
こういうことを知った時は
黙って頷くしかなかったよ」
「やっぱ、そうなんだぁ」
「そりゃ、そうだよ
普通に生活していれば
晴れか雨までは気にするけど
風の吹き方なんて
関係ないしね」
「分かる分かる
降水確率が
一番気になるもん」
「まぁ、沼津は
富士山からの風だけじゃなく
駿河湾からも風が吹くから
干物が有名になったんだよ」
「そうなの!?」
「全国的にも
40%ぐらいのシェアがあって
全国1位なんだよ」
「マジで!」
「マジな話だけど
ただ、魚の消費量そのものが
肉の消費量よりも
少ないから
1位とは言ってもねぇ・・・」
「そうなんだぁ~」
「ただ、前から言っているけど
日本料理って
魚菜食文化だから
その美味しさを伝えるのが
和食の料理人の
役目だと思うんだよね
それだけじゃなく
漁師の代弁者として
魚の美味しさの魅力を
伝えなきゃいけないんだよ
だから、自分で魚市場に行って
気に入った魚を仕入れて
それを料理してこそ
本当の意味の地産地消で
それって
マクロビオティック(玄米菜食)の
身土不二(しんどふじ)の
考え方なんだよね」
「そうなんだぁ
今言ったことって
【西京漬】(※)のページの
写真と文章を
言い換えたんだじゃね?」
「そうだよ
やっと分かったの?(笑)」
「だから、店じゃなく魚市場で
腕を組んで立っているんだぁ!」
「そうだよ」
「深過ぎだよ、親方!」
「まぁ、この続きは
どっかで話すけど
とりあえず
【鰯の丸煮】(※)を仕上げなきゃなんないから
「仕込みはいいんだけど
アジの隣のサバは
【西京漬】用なの?」
「いや、風が吹いていたから
おかず用」
「風とおかず・・・?」
「まぁ、見てなよ」
鯖は解凍したら
腹骨の一部をすき取ります
こうするのは
苦玉とも呼ばれる
胆のうの一部が残っていると
食味を損ねるからです
皮に包丁目を入れたら
日本酒と濃口醤油を同割にしたものに
漬けること20分
「わかった!
干すんだね」
「BINGO!」
残った醤油は
【鰯の丸煮】の鍋の中へ
煮詰まってきたら
残りの鯖を鍋に入れます
【鰯の丸煮】と共に
鯖の煮付が出来上がりました
「うひょ~
この照りがいいじゃん!
オンザライスしたい🤤」
「でも、今日のお昼は
こっちだよ
鯖の醤油干し御膳!」
「何、これ~
ず~っりぃ~🤤
親方は2枚で
真由美さん(※)は1枚なの?」
「そうだよ
『2枚だと食べ過ぎちゃうから』
だって」
※真由美さん
女将兼愛妻(!?)のことです
「焼魚がご飯のおかずには
一番だね」
「親方達のお昼って
大体、こういうのだもんね」
「魚って
それぞれに美味しさの違いがあるのが
一番の魅力だからね」
「そうだよね♬」
ちなみに、ご飯は
玄米ベースの雑穀御飯です
この昼ごはんだけで
20種類以上の食材を
味わうことが出来る
典型的な魚菜食文化の食事にして
このような美味しさこそが
和食の魅力なのです
贅沢な料理と言うと
高カロリーだったり
妙な罪悪感を
感じることもあります
今日のような昼ごはんこそが
自分のスタイルの
“身体に優しい
美味しい日本料理”なのです
これなら
何ら罪悪感を
感じることはありません
色んなタイプのご馳走がありますが
どこまで言っても
ストイックにならないご馳走こそが
自分の目指す料理で
それを支えてくれるのが
沼津魚市場で仕入れて来る
天然の魚の面々なのです
「親方のお気に入りの天然の魚は
当然、とらふぐなんだよね
そんじゃ、また🐡』
by ふぐとらちゃん
★☆★ 【コエタス】 ★☆★
当店のお取り寄せや
通販の商品などを召し上がった方々が
投稿して下さっています
ご興味、ご関心のある方は
御覧ください
冬から春にかけて美味しくなる黒鯛(クロダイ)
Vol.4296
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
今日(2月12日)は
これからの時季
美味しくなる黒鯛(クロダイ)
についてお話しします
3連休最終日ですが
ホームグランドの沼津魚市場は
開市日でした
東京・豊洲をはじめ
全国各地の魚市場の多くは
今日のような日は
休市日になるごとが殆どです
そんな状況でも
開市日なのは
非常に助かります
しかも、今日は
月曜日ですが
通常通り営業するので
尚更です
いつものように
最初に活魚売場に行くと
沼津市内浦産の黒鯛(くろだい)が
多く入荷していました
仲買人と作戦を立て
競りに臨むと
2,2キロのものを
2枚GET!
生簀から取り出したら
その場で締め
氷入りの海水の中で
血抜き完了
氷を入れて
一気に冷やすのは
締めた時に
体温が上昇して
身が焼けてしまうのを
防ぐためです
身が焼けるというのは
焼魚になるのではなく
白く茹でたようになってしまうことです
身焼けすることを
白太(しらた)とか
ふけるとも呼んだりもします
【佳肴 季凛】に戻ると
ミニふぐちゃんがやって来ました
「おはよう、親方🐡
クロダイって
臭いがして
あんまり美味しくないって
言う人がいるんだけど・・・」
「悪いんだけど
そういう人って
ちゃんとした黒鯛を
食べたことがないんだよぇ~。」
「やっぱ、そうなんだぁ。
親方が変な魚を
仕入れてくるわけないもんね。」
「ただ、河口辺りとか
工場地帯で獲れたものは
良くないよ」
「それなら
美味しくないはずだよね」
「河口とか工場地帯とかで
味が落ちる魚で
代表的なのが
鱸(すずき)だよ」
「スズキも!?」
「鱸のことは置いといて
黒鯛の続きだけど
産卵を終えた夏場は
身が痩せて
味は落ちるよ
ただ、美味しくないとまでは
いかないだろうけど・・・」
「で、今日のは
どんな感じなの?」
「卸すまでは
分かんないけど
この漁師が獲って来た
他の魚を見れば
どこで獲れたかが
予想はつくから
良し悪しの目安にはなるよ」
「チェック厳しいねぇ~」
「そりゃ、厳しいさぁ
魚の美味しさこそが
魚菜食文化の日本料理なんだから
真剣勝負だよ」
「そうだよねぇ~」
女将兼愛妻(!?)の真由美さんに
鱗を取ってもらい
頭を落とすと
内臓脂肪があったので
身にも脂あることが判明
春に産卵するので
卵も入っていました
まだ小さく
身が肥えている状態なので
味の期待値UPにして
いわゆる旬の
一番美味しい時季なのです
三枚に卸すと
案の定、身に薄っすらと脂あり
早速、今日のランチに
黒鯛のカルパッチョに仕立て
掛かっているドレッシングは
締めてから
数時間足らずなので
かなり薄めに引きました
また、今夜の会席料理の刺身にも
お出しし
黒鯛以外は
真鰯(まいわし)、湯葉で
真鰯は、酢で締めてあります
「クロダイって
皮目が赤いから
見た目もきれいだよね」
「実は、そういうところも
黒鯛が気に入っている理由でも
あるんだよ」
「見た目って
大事だもんね
見た目って言えば
まだ透き通っているような・・・」
「透き通っているのは
身がまだ活きている状態で
歯応えがある証拠で
薄造りのも仕立てられるよ」
「薄造りかぁ~
んまそう🤤」
黒鯛に限らず
美味しくないと思われている魚は
意外と多いのが
実情です
商売としての仕入れが
市場に行く一番の目的であるのは
言うまでもありません
また、それと同じくらいに
大事にしているのが
魚の本当の美味しさを
伝えることです
さらに、今日の黒鯛のように
旬の素材に真摯(しんし)に向き合い
料理に仕立てることは
季凛の語源でもある
“季を尊(たっと)び、凛とす”
を意味しています
それは、魚菜食文化である
日本料理の魅力を
伝えるためであるだけでなく
マクロビオティック(玄米菜食)を
ベースにした
“身体に優しい、美味しい日本料理”で
荒廃している
日本人の食生活に
喝を入れるために
他ならないのです
「明日はバスが来るんだね
そんじゃ、また🐡」
by 熱血君
★☆★ 【コエタス】 ★☆★
当店のお取り寄せや
通販の商品などを召し上がった方々が
投稿して下さっています
ご興味、ご関心のある方は
御覧ください
蝉魴鮄(セミホウボウ)の味
Vol.4285
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
今日(2月1日)は
蝉魴鮄(セミホウボウ) の
味について
お話しします
今回のお話しを
初めて読まれる方は
過去3回のブログを
お読み下さい👇
初めて仕入れた
セミホウボウですので
当然のことながら
味は未体験です
そんな時は
知り合いの三重県の魚屋さんに
訊くことにしています
この後、直接電話をすると
笑いながら
「普通に食べられますよ」
の一点張り
そもそも、こんな事を訊いたのは
ネット上での評価が
様々だったからです
◆低評価
・大して美味しくない
・酸味を感じる
・5段階評価の2
・喜んで食べるほどの味ではない
◆高評価
・味が濃厚
・食感、味共にGOOD
書き込みはあくまでも
書き込みですので
実食してみなければ
始まりません。
ということで
活〆の魚ですので
刺身に仕立てました
どう見ても
ネット上の低評価は
間違いとしか
思えない見た目です
そのまま食べてみると
濃厚な味はありませんが
5段階評価で言うなら
3~4相当
一昨日、つまり締めた翌日に味見し
感想を伝えたやり取り👇
試食ですので
昼ご飯用に
真鰯(まいわし)と共に
ハーフ&ハーフ丼に仕立てました
こちらが
たたきにした真鰯で
こちらが
セミホウボウの刺身です
既に、何もつけない状態で
食べているので
ここからは
薬味を盛付けました
そのまま=素材を
料理に仕立てるのが
調味料や添える野菜です
セミホウボウには
生の本山葵
真鰯には
生姜を添えてあります
「調味料が
素材を料理に変えるんだぁ~」
と、熱血君
「そうだよ
どんなものでも
そのまま食べてみないと
本来の味が分からないからね」
「味も見ないで
醤油とかかける人を見るけど
そういうのって
どうなの?」
「どうもこうもないよ
見るだけで味が分かるなら
透視能力がある
超能力者だよ
そういう人は」
「そんなわけないじゃん!」
「食べてみて、薄ければ
醤油をかけるのは
ありだけど・・・
まぁ、色んな人がいるからね」
「そうだよねぇ~
で、肝心のセミホウボウの
総合評価は?」
「活かしのもので
それなりの大きさなら
ストライクゾーンに収まるよ」
「わぁ~、それなら
良かったね
でもさぁ
親方の投稿を見て
セミホウボウの人気が出ちゃったら
困るじゃん!」
「ぜ~んぜん
困んないよ
魚の美味しさが知れ渡るなら
大いに結構だしね」
「確かに、そうだよね
狭い了見は良くないよね」
「そういうことだよ」
食べたことがないからこそ
食べてみて
使えるかどうかを判断するのは
料理人として
非常に大事なことです
自分の場合
自ら魚市場に行っている以上
セミホウボウのような魚に
出会えるわけで
そういう魚の良し悪しを伝えることが
魚菜食文化の日本料理を
次世代に伝えることになります
さらに言うと
魚菜食文化を支えてくれるのは
漁師という存在です
彼ら無くして
料理人は料理を作ることが出来ません
だからこそ
漁師をはじめ
一次産業の代弁者として
食材の魅力を
伝え続けなくてはならないのです
「パンジーって
可愛らしいけど
寒さに強いんだね
そんじゃ、また明日🐡」 by ミニふぐちゃん
蝉魴鮄(セミホウボウ)を卸してみた
Vol.4284 (1月31日)
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
「いよいよ今日は
セミホウボウを卸す話だね♬」
と、熱血君
「そうだね
初めて仕入れた魚だから
勉強しながら
話しているから
いい勉強になるよ」
「へぇ~
“人は教えることによって学ぶ”
ってやつだね」
「気の利いたこと
知っているじゃん!」
「えへへ・・・♬」
今回から
お読みになる方は
過去2回のブログを
お読み下さい
水洗いしておいた
蝉魴鮄(セミホウボウ)です
三枚に卸すと
このような身をしています
締めてから
一日経っており
薄いピンクをしています
セミホウボウのような
紡錘形の魚は
身(内)から皮(外)に向かって
骨が入っているのが
特徴です
また、紡錘形の魚は
ワニ型の魚とも呼ばれており
ワニとは
いわゆるワニのことです
骨が入っているので
頭の方から
抜いていきます
普通の魚のように
血合い骨そのものを
切り分けないのは
身が少なくなってしまうからです
また、初めて卸す魚なので
骨の形が不明なので
手探りで
抜いていきます
結果的に
骨の先端が二股になっていませんでした
骨を抜き終えた身です👇
皮を引くと
脂が乗っているのが
わかります
引いた皮を
改めて見ると
鱗(うろこ)というより
鎧(よろい)のような感じです
実際、鱗の役割は
外敵から襲われた時に
身を守るためだけでなく
水の抵抗を減らすためや
海では水分が
出ていかないように
するためでもあります
「鱗と鎧って
似ているんだね。」
出汁を取るため
焼いた皮は
かなり脂が乗っており
締めたのが月曜日で
今日の水曜日で
三日目ですが
予想していたよりも
期待出来そうな身質でした
ということで
明日は
クオリティチェックということで
実食してみます
初めて手にした魚で
ここまで楽しめるのは
自ら魚市場に
通っているからこその特権です
明日が最終回の
蝉魴鮄シリーズに
乞うご期待!
蝉魴鮄(セミホウボウ)を卸す前の下処理
Vol.4283 (1月30日)
いらっしゃいませ
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【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
「親方、今日のブログは
昨日の続きだね♬」
「そうだよ
締めて
血抜きをしたところまで
話してあるから
ここからだね」
「うん、早く話して~♬」
先ずは 、こちらをお読み下さい👇
血抜きをしたら
普通の魚と同じように
鱗(うろこ)を取ろうとしたのですが
腹側も
背側も
硬くて取ることが出来ません
これまでに色んな魚を
卸したことがありますが
初めて目にする
鱗の付き方でした
取れないということは
卸す時に身に鱗が付かないことなので
これがこれでOK
セミホウボウのような形の魚は
ワニ型の魚とも呼ばれ
ワニとは、いわゆるワニです
ワニ型の魚の一つが
夏が旬の白身の鯒(コチ)で
一般的な魚と違い
海底で腹ばいになって
生活しています
セミホウボウに限らず
ワニ型の魚は
形が変則なので
骨などの付き方も
変則です
変則と言えば
頭の付根というか
頬の部分には
突起物があります
付いているのには
理由があるのでしょうが・・・
腹を裂いていくと
三角の部分で
左右に包丁を入れます
この部分を使って歩くのですが
脚ではなく
ひれとされています
落とした頭を
色んな角度から
見てみましょう
①上
②横
③前
④斜め前
頭だけを見ると
魚というより
両生類や爬虫類のような
面立ちです
腹わたを抜き
水洗いしたら
針金を通し
残っている血を
抜いておきました
血は内臓と同じものなので
残っていると
生臭くなるからです
内臓と言えば
肝も
胃袋も
普通の魚同様
使えそうな感じで
肝は脂もありました
このまま布巾で包み
冷蔵庫へ。
「話は昨日のことでも
今日はここまでに
しておいてくれるかなぁ~」
「どうして?」
「普段、見ている魚と違うし
今日のブログを
何度か読みなおしてから
卸すところを
知りたいからだよ。」
「そうだね
話す自分も
その方が楽だし・・・」
「明日は卸すんだね
楽しみにしているよ
そんじゃ、また🐡」
初めて仕入れた蝉魴鮄(セミホウボウ)
Vol.4282
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(1月29日)は
初めて仕入れたセミホウボウ
についてお話しします。
「おはよう、親方🐡
休みだけど
市場に行って来たんだね。
お疲れ様~♬
セミって・・・?」
と、熱血君。
「おはよう🐡
これがセミだよ。
セミって言うから
虫だと思った?」
「この真冬に
そのセミは無いとは
思っていたけど・・・。」
「普通なら
魚市場にセミなんて
考えもつかないだろうしね。」
「そうだよ。
で、この魚は
何て名前なの?」
「蝉魴鮄(せみほうぼう)って
言うんだよ。」
「何だか難しい漢字だねぇ。」
「見ての通り
胸びれが
大きいんだよ。」
「これまでにも
仕入れたことあるの?」
「無いよ。」
「え゛っ!?」
「市場で見たことはあるけどね。
活きたもので
1キロなんて
あんまり見たことないし
肥えていて
興味が湧いたから
仕入れてみたんだよ。」
「味の良し悪しって
聞いたことあるの?」
「無いよ。
名前が似ている魴鮄(ほうぼう)は
何度もあるし
こっちは抜群に美味しいけどね。」
これが、魴鮄(ホウボウ)👇
「じゃあ、ホウボウに近いとか・・・?」
「それも
わかんない。」
「ないない尽くしじゃん。」
「そうだよ。
たださぁ、折角
市場に行っているんだから
珍しい魚を仕入れて
それを伝えるのも
料理人の役目だと思うんだよね。」
「確かに、そうだよね~。」
「まぁ、そんなことは置いといて
市場にいた時のことから
話すから、いい?」
「わぁ~い♬」
ということで
時計の針を
市場時間に戻します。
今朝、沼津魚市場の
活魚売場に行くと
生簀の中に
セミホウボウがいました。
セミホウボウの産地というか
漁場(ぎょば)は
南伊豆の妻良(めら)の
定置網で水揚げされたものです。
高いのか、安いのかも
全く分からないので
やや高めの値段設定の作戦を
仲買人と立て
競りに臨むことに。
その結果
無事にGET!
「っていう流れで
そのまま活かして
持ってきたんだよ。」
「ふぅ~ん。
で、これから
卸すんでしょ?」
「そうだよ。
今日は休みだから
水洗いまでしておくだけだよ。」
まな板に乗せた
セミホウボウで
ひれを広げてみると
身体の長さと
ほぼ同じです。
ホウボウのひれも大きく
鮮やかな色をしているのが
特徴です👇
「こんなひれだったら
飛べるんじゃね?」
「それはないけど
だから、セミなんじゃないのかね。」
「セミってことは
賑やかに音を立てるとか?」
「ホウボウは浮袋を使って
ブォーブォーって音を出すよ。
その音が転じて
ホウボウって呼ぶなんて
説もあるからね。」
You Tube より拝借👇
「へぇ~。
確かに鳴くね!」
「実はさぁ
市場で掴んだ時に
そんな音を出したんだよ。」
「マジで!?」
「これから
締めるから
離れていてね。」
「はぁ~い。」
頭の付根に包丁を入れたら
血抜きのため
氷を入れた海水へ。
「どうして
氷入りなの?」
「締める時に
一気に体温が上がると
身が焼けるからだよ。」
「焼けるって
加熱調理をしないのに・・・?」
「っていうか
身が白濁して
柔らかくなっちゃうんだよ。」
「へぇ~。」
「特に、マグロやカツオみたいな
赤身の魚は
運動量が多いから
ちゃんとしないと
すぐに身が焼けちゃうんだよ。」
「そんなこともあるんだぁ。」
「この後、水洗いまでしておくんだけど
今日は休みたいから
続きは明日にしてもいい?」
「うん♬
妻に良しで
妻良=良妻だから
真由美さんと出掛けて来なよぉ~🥰」
ちなみに、真由美さんとは
女将兼愛妻(!?)のことです。
そんなわけで、今日のお昼は
沼津市内にある居酒屋【きえい】さんに
行って来ました。
「仲良し子吉で
いいねぇ~。
じゃ、明日は
卸す様子を話してくれるんだね。」