天然の本鮪と養殖の本鮪の違い
今日、東京・築地から入荷した鮪は、
先週入荷した京都・伊根産のような養殖ではなく、高知県産の天然で、延縄漁で、水揚げされた
この時季の太平洋側で水揚げされる本鮪の典型で、自分好みのものでしたし、会心の一撃とは、まさにこのことです。包丁を入れる瞬間は、
前回の憂さを晴らすような気分のあまり、ドキドキしました。やはり、天然は、違います。昨日の朝、
築地の鮪のセリ場は、こんな様子で、この高知県産のものは、
一番左のもので、拡大すると、黄色い札には、高知と思しき文字が、見えます。ちなみに、この2枚の写真は、facebook友達でもある築地の荷受の方から、借りたものです。
さて、天然と養殖の違いの一つが、言うまでもなく、味です。養殖は、どうしても脂が強いのが、一番の特徴で、強いだけなら、まだしも、どうしても、独特のクセ、つまり養殖魚特有の臭いがあるのです。
また、脂が強いので、どうしても色変わりが早いのです。特に、皮ぎしのとろの部分は、それが、顕著です。先週の金曜日に入荷したものでも、土曜日の夜には、
中トロの柵は、こんな風に、色が変わってしまいました。本鮪の標準和名でもある“クロマグロ”とは、まさにこのことです。
さらに、あくる日の日曜日には、
こんな風になってしまいました。それでも、赤身の部分は、無事にお出しすることが出来ましたが、そのまま月曜日までおいていたら、やはり“クロマグロ”になっていたはずです。天然の本鮪も、時間が経てば、色が変わりますが、「やばい!」と感じても、踏ん張りがきくのです。
先程お話ししたように、金曜日に、宅配便で、入荷したので、卸したのは、木曜日でした。養殖の本鮪が、まともに使えるのは、せいぜい3~4日程度なのです。ただ、伊根産のものは、養殖の中でも、一番質が良いので、ここまで持つのですが、他の産地は、もっと持ちが悪いはずです。
そして、天然と養殖の最大の違いが、自分のモチベーションなのです。これは、本鮪に限ったことではなく、どんな魚についても当てはまることなのです。
先ほどお話ししたように、良い素材を目にし、手に取れば、否が応でも、モチベーションは、高まります。さらに言うと、これだけは、どんな高い値段でも、仕入れることは出来ません。
これまで、何度もお話ししているように、水産資源の枯渇や、漁師の後継者の減少など、本鮪に限らず、天然の魚を取り巻く環境は、非常に厳しいものがありますが、可能な限り、それらを追い求める姿勢を、持ち続けられるよう、努力していきたいものです。
★☆★ 日本料理の匠 ★☆★
【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、
このように紹介されております。ご興味、ご関心のある方は、上の写真をクリックして、ご覧下さい。
コメントを残す