パイナップルのアイス
これまで、色んなアイスを作り、お出ししていますが、
今日は、パイナップルのアイスを、初めて作りました。
昨日のうちに、ある程度まで、下拵えをしておきました。皮を剥いたら、
このように包丁をしました。これとは別に、パイナップルの缶詰を用意し、
シロップと果肉の部分に分け、シロップを、
包丁したパイナップルの入ったバットに入れました。シロップだけでなく、
パイナップルのリキュールも、
注ぎ、
蒸し煮にしました。
パイナップルは、ブロメラインというタンパク質を分解する酵素が含まれており、加熱することによって、その酵素を壊し、アイスの素を作るときに使うゼラチンの凝固力を、弱めないために、このようにするのです。
ゼラチンは、動物性のタンパク質を原料にしているので、パイナップルのようなタンパク質分解酵素の含まれる果物は、加熱してからでないと、ゼラチンは、固まりにくいのです。ただ、加熱しないままでも、生のものを、固めることの出来る凝固剤もあります。
この酵素の働きで、パイナップルを、酢豚などに入れることで、肉が柔らかくなり、タンパク質が分解され、胃腸の負担を軽め、消化吸収を高めることが出来ます。また、パイナップルを食べ過ぎると、舌がビリビリするのも、ブロメラインによる刺激が原因なのです。
このような酵素を含む果物は、パイナップル以外にも、、キウイ、マンゴー、パパイヤ、メロン、無花果(いちじく)などがあり、特に強い酵素を持つのが、パイナップル、キウイフルーツ、無花果などです。
蒸し煮にしたパイナップルは、
リキュールとシロップに分けてから、
フードプロセッセーにかけ、
再び、シロップとリキュールと合わせました。これで、
パイナップルの下拵えが終わりました。
ここまでを、昨日までやっておき、明くる日の今日は、アイスに仕上げるように、仕込みをしました。先ず、
鍋に、クリームチーズ(写真・左)とマスカルポーネチーズ(同・右)を入れ、よく混ぜ合わせたら、
卵黄を入れ、さらに混ぜ合わせます。そこに、
上白糖、
豆乳を入れ、伸ばしていきます。牛乳でも構わないのですが、マクロビオティックを基本に据えていることもあり、出来る限り、このようにしています。
豆乳を入れ終えたら、
水でふやかした板ゼラチンを入れ、
火にかけ、ゼラチンが溶けたら、
濾してから、
下拵えの時に使ったパイナップルのリキュールと、
パイナップル味のカルピスを加えました。どちらも、風味づけのためですが、カルピスを加えたのは、甘味を、さらに加えるためです。
氷水の入ったボウルで、冷ましながら、よく混ぜ合わせます。
冷めたら、ホイップした卵白(写真・左)と、生クリーム(同・右)を、
加え、さらに混ぜ合わせます。この時、味を確認したところ、甘味が足りなかったので、
再びカルピスを加え、
アイスの素が、95%出来上がりました。
最後に、昨日シロップだけ使った缶詰の果肉を、賽の目に包丁し、
アイスの素に入れ、仕上がりました。今度は、これを、アイスクリームマシンにかけ、
固まったら、
バットに移し、ようやくパイナップルのアイスが、仕上がりました。
お出しする時は、ディッシャーで、形をとってから、
このように、盛りつけます。
これまでに、何度もお話ししていることですが、日本料理店のデザートといえば、かつては、時季の果物を切って、盛り付けるだけのものでした。時が流れ、スイーツやパティシエという言葉を、よく耳にする現在では、そのようなものは、通用しなくなってしまいました。
かといって、日本料理らしさを逸脱したものを、作ることには、常々疑問を持っています。このことは、デザートに限ったことではなく、伝統を受け継ぎながら、時代に合い、お客様に喜ばれる料理をお出しする必要があります。
日々、厨房で、仕事をしていても、なかなか答は出ません。それどころか、答の出ない問題を、自ら作ってしまうというのは、まだまだ努力不足であることだけは、現時点での正解であることは、間違いありません。
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