身は無毒でも、食用不可のフグの北枕(キタマクラ)
Vol.4087
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(7月18日)は
キタマクラというフグについて
お話しします。
昨日、沼津魚市場で仕入れた
肩星鰯(カタボシイワシ)は
近隣の西浦(にしうら)の定置網漁で
水揚げされた魚の一つで
定置網漁とは
海中に網を設置し
網に誘導された魚を獲る漁法です。
👆の説明では分かりにくいので
【網代漁業】のホームページ内の
👆定置網に魚が入る仕組みを御覧になると
定置網漁なるものが
説明されています。
また、【網代漁業】は
沼津魚市場にも
魚を卸しており
「網代定置」として
呼ばれています。
定置網で水揚げされた魚は
その場で
魚種ごとに
仕分けられていきます。
網に入ってきた魚なので
魚の種類は様々です。
中には
売り物にならないものもあり
最近、これらは
未利用魚とも呼ばれています。
未利用とは言っても
完全に利用されないわけではなく
水族館の生き物の餌(えさ)行です。
👆の写真にもあるように
それこそ種々雑多。
昨日、その中にいたのが
キタマクラなるフグでした。
キタマクラの名前は
亡くなった人を寝かせる時の
北枕に由来しています。
キタマクラの写真を見ると
「おっ、キタマクラじゃん。
懐かしいなぁ、海にいた頃
時々見たことがあったよ。」
と、ミニふぐ。
「へぇ、初めて聞いたよ。」
「親方だって
話題にすることがなかったじゃん。」
「確かに、そうだったね。
食用不可のフグ類ってことまでは
知っていたけど
気になって
調べてみたんだよ。」
「“ふぐに魅せられし料理人”の親方でも
知らないことが
あるんだぁ~。」
「そりゃ、あるさ。
だから
本で
調べたんだよ。」
「筋肉が無毒ってことは
身は食べられるってことなの?」
「そうだよ。」
「なのに、食用不可って・・・?」
「気になって、調べたら
皮っていうか
皮膚の周りの粘液に毒があって
素手で触るのも
NGなんだって。」
「ヤバッ!」
「話は変わるけど
ハコフグって知ってる?」
「知っているよ。
ハコフグがどうしたの?」
ちなみに、
こちらがハコフグです👇
「ハコフグって
一般的なフグ毒の
テトロドトキシンは無いんだけど
パフトキシンっていう毒があるんだよ。」
「三回続けると
呪文みたいじゃん。」
「ハコフグに刺激を与えたりすると
この毒を出して
ハコフグ自身だけじゃなく
他の魚も死んじゃうんだよ。」
「え゛~っ、超ヤバいじゃん。」
「実はさぁ
ハコフグを触ったら
手が痒(かゆ)くなったことがあるんだけど
多分、この毒が原因だと思うんだよね。」
「最近なの?」
「15年くらい前かなぁ。
それ以来
ハコフグは触らないようにしているよ。」
「市場に行ったり
色々と調べているから
変わった経験をしているよね、親方は。」
「まぁね。
漁港がある沼津の魚市場ならではの話だね。」
「他には、面白エピソードはある?」
「すぐには思い浮かばないけど
あるはずだよ。」
「そん時は、また話してよ。」
「はいよぉ~。」
「あとさぁ
この本は?」
「この本は
『ふぐ調理師教本』っていって
ふぐ免許を取るためのテキストだよ。」
「へぇ~。
そんな本もあるんだぁ。」
「ふぐ免許を取る時に使ったんだよ。
でも、今は
目にすることが少ないフグを仕入れた時に
確認するのに使っているよ。」
「特殊な魚だけに
こんなのもあるんだね。」
「そういうこと。
ネットの情報だと
怪しいものもあるからねぇ。」
「ふぅ~ん。」
キタマクラのような珍しい魚を
目に出来るのも
自ら魚市場に出向いているからで
自分にとっての魚市場は
仕入れ先であると同時に
教科書であるのです。
「こんだけ暑いと
アイスが恋しいねぇ~🍨
そんじゃ、また🐡」 by ふぐとらちゃん
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