つまみ食い
市場に入荷してくる魚の殆どは、発砲スチロールの箱に入ってきます。
この箱に入っているのは、本鮪の幼魚である“メジマグロ”です。九州産です。
ただ、沼津の魚市場は漁港に隣接しているので、その場で揚がった魚は、こんな箱に入れられて、並べられます。
この箱に入っているのは、“しょうさいふぐ”です。
数が多いものは、こんな箱に入っています。
この魚は、“鰤(ぶり)”の幼魚の“イナダ”です。
そんな荷姿とは違うものが、時々入荷して来ます。
木の箱です。その中を見てみると、
“釜揚げしらす”です。
中は開いているので、通る人は立ち止まって、
手に取ります。手に取るだけでなく、
口に入れて、味見という名目のつまみ食いです。一人立ち去ると、
また、別の人が来て、つまみ食いです。そんな繰り返しが、セリが始まるまで続きます。
何種類もの魚が並ぶ市場で、唯一味見ができるのが、この“釜揚げしらす”です。それ以外の魚は、姿のままの魚ですから、自分の経験と勘を頼りに、仕入れるようになります。
今でこそ、経験や勘も頼りには出来るようにはなった自分ですが、魚は卸してみないことには、全く分りません。
市場に仕入れに行くだけなら、誰でも出来ます。それこそ、子供のお使いと全く変わりません。それなら、わざわざ早起きしてまで、行く必要はありません。安くて良い魚を求めて、行くのですし、それが料理人、そして商売人の原点でもあります。
また、「利は元にあり」とあるように、少しでも安いものを求めるのも当然です。
高くて、良い物を仕入れることは誰でも出来ます。安くて、良い物を仕入れるのは、なかなか難しいことですが、やはりプロである以上、そうする努力は必要です。
先ずそれが出来てこそ、お客様を喜ばせることが出来ると、思っていますし、自分の目利きで選んだもので喜んで頂ければ、料理人にとっては何事にも変え難い喜びです。そういう初心だけは、いつまでも持ち続けたいと思います。
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お知らせです。
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店主 志村
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