今日のお昼の賄いは、沼津産の歯鰹(はがつお)の丼
今朝、沼津の魚市場に行くと、
市場専用のコンテナに、
地物の歯鰹(はがつお)が、入荷していました。昨日の午後水揚げされたので、今朝のセリにかけられました。また、この売場だけでなく、
別の売場にも、かなりの数の歯鰹が、入荷していました。これだけ入荷していたので、お値打ち価格で、仕入れることが出来ました。
【佳肴 季凛】に戻り、
まな板に乗せ、卸すことにしました。このように、顔が長いことから、“キツネ”とも呼ばれていますが、歯鰹という名前は、歯が犬歯状で鋭いことから、付けられたようです。
卸すと、
身は、このような淡いピンク色をしています。
お腹の部分は、バーナーで炙り、
背の部分と、盛り付けました。淡い色と変わらない味わいは、春の訪れの気配を、感じぜずにはいられません。
また、今朝は、予想外のお値打ち価格で、仕入れることが出来たので、
お昼の賄いを、はがつお丼にしました。赤身の魚でありながらも、淡白な味わいですので、酢飯と合うこと、この上なく、こんな賄いが出来るのも、市場に通う者の特権ですし、“早起きは三文の得”とは、よく言ったものです。
また、頭などのアラの部分は、
こんがり焼いて、出汁を取るように、しておきました。
明日も、市場に行きます。思う魚が仕入れられ、今日のような賄いにありつけられたら、三文が倍でなく、2乗となり、九文となるでしょう。
仮説『鯵(あじ)の不漁と鰤(ぶり)の豊漁の相関関係』
2月10日(火)の【産経新聞】に、
こんなことが書かれており、
そのページを開きました。そこには、
「消える?アジフライ」という見出し共に、鯵(アジ)の水揚げ減少について、書かれていました。冒頭に、漁獲量のグラフがあり、
その説明と、
考えられる原因が、書かれていました。結論としては、不明ということでした。ただ、自分としては、これまでに何度もお話ししていように、水産資源そのものの枯渇ということが、一番の原因としか考えられません。
改めて、このような記事を目にすると、週に何度か、沼津の魚市場に通っている自分としては、すんなり納得出来ませんし、とかくマスメディアは、誇張した記事を書くのも、どうかと思います。
鯵に限らず、市場で取り引きされる魚は、セリによって取引され、入荷が少なく、欲しい人が多ければ、値段は上がります。逆の現象も、あります。また、前日まで、安かったものが、次の日には、倍以上の値段がつくこともしばしばで、気象条件、曜日、季節など様々な要因が絡んで、値段がつくものなのです。
そんな記事を読んでから、鯵については、多少気にかけていたところ、昨日、市場に行くと、
セリが終わったにもかかわらず、鯵がこんなに残っていました。産地も、
神奈川県・真鶴をはじめ、
島根県・浜田、
富山県・新湊、
鹿児島県、
千葉県・銚子と全国各地のものでした。セリで売れ残ったとは言え、浜値(水揚げされた漁港での値段)があるので、それ以下で、買うことは、不可能です。これらの行先は、ともかく、鯵の不漁が、本当かどうかが、疑わしくなると思わざるを得ないと一般の方は、思うかもしれませんが、自分としては、これが、自然相手にしている相場ものの一面なのです。
ただ、鯵の不漁に関して、市場で、色んな人と話をしていると、ある仮説が成り立ちました。それは、ここ2、3年、豊漁の鰤(ぶり)に原因があるということでした。そんな鰤の漁獲高の推移については、こちらをご覧ください。
今朝の市場には、
この写真の端まで、鰤の発泡スチロールが並んでしました。産地は、
三重県・志摩、
同じく尾鷲、
長崎県・松浦、
同じく長崎市、
高知県と、並んでいました。また、別の売り場にも、
長崎県・壱岐のものが、
入荷しており、産地だけでも、日本全国のかなりの広範囲でした。しかも、魚体は、10キロ弱から、15キロUPまでのかなりの大型のものばかりでした。
鰤は、鰯、鯵などの小魚をエサにしているのですが、中でも鯵を好むらしく、それが、鯵の不漁につながっているのですが、さらに、その原因は、鰤の養殖と関係があるのです。
ちなみに、鰤の若魚を、関西では、はまちと呼びますが、関東では、養殖の鰤を、はまちと呼んでいます。関東でいうところのいなだが、関西のはまちサイズのもののことです。ただ、ここでは分かりやすくするため、鰤のまま、お話しします。
鰤を養殖する場合、もじゃこと呼ばれる稚魚を獲り、それを生簀に入れ、成長させていきます。何年か前までは、養殖魚の代名詞みたな存在でしたが、勘八(かんぱち)や、縞鯵(しまあじ)が、人気になり始めました。
さらに、養殖魚の中で、赤丸急上昇的に、人気が出て来たのが、
当店の【西京漬】でも御用意しているサーモンや、その仲間でもあるトラウトサーモンなどです。
サーモンは、鮮やかなオレンジ色をしており、盛り付けた時の色目も良いのが特徴で、色が変わりにくいのも、使う側にとっては、都合が良いのです。それに対して、鰤は、色が変わるのが、かなり早く、刺身でお出しするには、時間的な制約が、生じてしまうのです。
色目と言えば、赤い色が特徴の鮪類は、刺身になくてはならない魚でしたが、原価率を押し上げることもあり、サーモンの使用頻度が、高くなり始め、今では、鮪以上の人気もあるのが、実状です。
また、日本人の食生活が欧米化したことにより、魚本来の味よりも、脂の乗りを求める傾向が強くなったことも、サーモンの人気に拍車を、かけました。
つまり、鯵の不漁は、鰤の豊漁の裏返しでもあり、自然現象のように見えるのですが、その背景には、日本人の食生活の変化という人為的なものが、大きく関与しているとも言えます。
ただ、どんな魚でも、所謂“当たり年”と、そうでない年がありますが、市場という現場に通うことによって、本当の状況を見て、考える姿勢は、今後、食に携わる者にとっては、ますます重要かもしれません。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。

先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
ミハラハナダイ
今朝は、
沼津の魚市場に、行って来ました。いつものように、構内を歩いていると、
こんな風に並べられた魚が、目に入って来ました。しばらく、この場に立っていると、売場の担当者が、やって来て、「季凛さん、この魚って、知っています?」と、訊かれました。
「知らないし、初めて見たよ。」と、応えると、担当者は、「もしかすると、分かるかと思ったけど・・・。この魚の名前を知っていたのは、一人だけでしたよ。」と、言いました。
「それはそれとして、何て名前なの?」と、自分が訊くと、「ミハラハナダイっていう魚です。」と、応えてくれました。
その後、一通りの仕入れを終え、【佳肴 季凛】に戻ると、『日本産魚類大図鑑』という本を取り出し、
“ミハラハナダイについて、調べることにしました。この本は、日本近海に棲んでいる全ての魚類が載っている学術書で、これに載っていない魚は、新種のものとされると、言われています。一介の料理人の自分が、何故持っているのかというと、水産学部を卒業したものの、現在は、違う分野の仕事をしている友人にもらったからです。
先ずは、図版の方を開くと、
このページの上に、
写真があり、
ページの一番下に、“ミハラハナダイ”と、書かれています。 その次に、解説の方を開くと、
こんな記述がありました。ただ、これだけでは、分からないので、こちらのサイトも、読んでみることにしました。
今朝の時点で、仕入れて、試食してみたかったのですが、既に、売れてしまっていたので、出来ず仕舞いでしたが、機会があれば、次回は是非、仕入れてみたいと思います。とは言っても、先ほどのサイトにもあるように、珍魚のレベルで、流通することは、ごく稀とのことですので、いつになるのやら・・・。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★

(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は六周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた夜の会席コースを御用意致しました。
なお、お召し上がり頂ける期間は、10月5日(日)までとなっております。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。
鯖(さば)の味噌煮
【佳肴 季凛】でお出ししている鯖を使った料理は、
鯖の西京焼は、鯖と味噌がメインの食材で、この二つを使ったもう一つの代表的な料理が、鯖の味噌煮です。そんな鯖の味噌煮の作り方が、今回のお話しです。ちなみに、鯖の味噌煮は、何年か前に、ランチメニューでお出ししたことがあります。
使う鯖は、先程のリンク先同様、ノルウェー産の冷凍のもので、
このように、卸した状態になっています。このまま、常温で解凍してから、
半分に包丁してから、煮た時に、皮が破れにくくなるだけでなく、仕上がった時の見た目もあるので、皮目に包丁を入れます。
再び、バットに移し、
熱湯をかけ、霜降りをします。こうするのは、生臭みを取り除くためです。その後、氷水に落とし、汚れを取り除いたら、鍋に、鯖、鰹出汁、水、日本酒を入れ、
強火で、一気に加熱します。しばらくすると、
アクが浮いてくるので、丁寧に取り除きます。この作業を怠ると、仕上がりに、大きな差が出るので、注意が必要です。しばらくして、アクが出なくなったら、
砂糖を入れます。ちなみに、マクロビオティック(玄米菜食)を基本に据えている当店ですので、使う砂糖は、てん菜糖です。てん菜糖については、こちらをご覧下さい。
この時も、火は強火のままですが、
てん菜糖のアクも少しですが、出てくるので、こまめに取り除きます。ある程度に煮詰まってきたら、
ボウルに、2種類の味噌と濃口醤油を入れ、
鯖の煮汁で、
これらを、混ぜ合わせ。均一に混ざったら、
煮汁に入れますが、この時の火の状態は、中火程度です。
味噌、醤油のアクを取り除きながら、煮汁も詰まってきたら、
千切りにした生姜を入れ、
さらに煮詰めていきます。ちなみに、手前にあるのは、生姜を入れた後に入れた大根で、あしらいに使います。
煮汁もなくなってきたら、照りを出すために、味醂を加え、煮詰まったら、火を止め、
盛り付けます。最後に、白髪葱を添えて、ようやく仕上がりました。ご覧頂いたように、アクをこまめに、取り除いてあるので、生臭いこともなく、鯖本来の美味しさが、凝縮した一品です。
鯖の味噌煮に限らず、料理というのは、作り方は、人それぞれで、自分のやり方が、必ずしも正しいとは限りません。もっと言うと、料理の正解というものは、食べた方が決めることですので、そこに料理の難しさがあり、その答えを見つけることが出来ないゆえ、精進する余地は、まだまだ大いにありです。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★

(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は六周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた夜の会席コースを御用意致しました。
なお、お召し上がり頂ける期間は、10月5日(日)までとなっております。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。
続・徳島県産の超特大の岩牡蠣(いわがき)
今夜、カウンターに座った常連のお客様が、前回お話しした徳島県産の超特大の岩牡蠣をご注文され、その大きさに驚き、自分が殻を開けようとすると、煙草とスマートフォンを取り出し、
写真を撮りました。撮り終えると、自分が殻を開けると、
位置を変え、
再び、写真撮影。
その後、殻とつながっている柱の部分を取り外すと、、
肉厚にして、プリップリッの身が、
現れました。
これほどまでに大きいので、
5つに包丁しました。殻ごとの目方は、市場で量ったように、1,3キロぐらいでしたが、身の重さが気になったので、
秤に乗せると、110グラムを指していました。この後、
殻に身を戻し、レモンをあしらい、氷を敷いた器に盛り付けました。今夜の常連さんは、生のままのものが、お好きなので、このようにお出ししましたが、軽く焼いてお出しすることもあります。
自分は、どちらも好きな食べ方ですが、あえて言うなら、焼いたものの方が、味が凝縮され、岩牡蠣特有のクセもなくなるので、“焼”をおすすめします。ただ、美味しいものを沢山食べたいのが、本心ですので、自分だったら、どちらも注文するつもりです。
とは言っても、これほどまでの大きさの岩牡蠣に出くわすことは、滅多にないことですし、水産資源が枯渇しつつあるゆえ、これからは、徳島県産でなくても、ジャンボサイズの岩牡蠣の入荷があること自体こそが、千歳一隅だと思っても間違いはないので、躊躇なくご注文されたほうが、いいかもしれません。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。

当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
徳島県産の超特大の岩牡蠣(いわがき)
今朝、沼津の魚市場に行くと、
“徳島県産 天然岩ガキ”と書かれた箱が目に入り、
発泡スチロールの上に書かれていた“超特 14入”の蓋を開けると、
その表示に違(たが)わぬ大きさの岩牡蠣が入っていました。14個のうち、
大きさと質感を確かめながら、
5個を選り抜きました。市場に並んでいる魚介類の殆どは、キロ単価で、取引されるのに対し、岩牡蠣は、1個とか、1ケースの単位で、取引されるので、目方については、無頓着なのですが、すぐそばに、
秤があったので、それぞれ量ってみることにしました。手に取ったものから、秤にかけると、
1,26キロ。その次は、
1,3キロで、その次は、
1,34キロでした。4個目は、
1,44キロで、これまでの中で、最大でした。そして、最後は、
1,42キロでした。平均すると、1,352キロとなりました.
ただ、殻付きのままで、こんなに大きくても、肝心の身は、どれほど大きく、どのような身質にして、どんな味なのか、全く分かりません。殻を開ける自分が、先ず大方の判断が出来るとはいえ、最終判断は、召し上がったお客様に委ねるしかありません。この先の様子は、5人+自分のみぞ知る・・・。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。

当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
まだら模様の平目(ひらめ)
いつものように、沼津の魚市場で、仕入れる予定があろうとなかろうと、一番最初に向かうのが、
活魚の生簀で、今朝も然りでした。生簀を除くと、
こんなまだら模様の平目(ひらめ)が、入荷しており、
南伊豆の妻良(めら)の定置網にかかったものです。ご覧のように、黄色と黒のまだらですが、ごく普通の平目は、
黒や茶色を帯びた褐色をしています。
この平目は、黄色になり切れなかったので、このようになったのだと、思われます。というのも、平目は、ごくまれに黄色や黄金色のものがいて、どんな理由でそうなるかは、一介の料理人の自分には、全く分かりませんが、4年ほど前に見たことがあります。
今朝の平目に限らず、漁港が隣接している沼津の魚市場に通っていると、時には、水族館さながらの珍しい魚を見ることが出来ます。そんな様子は、こちらをお読み下さい。色んな魚を目に出来るのも、市場へ行っているからこそのことで、これも、市場へ行く楽しみでもあります。
去年同様、初めて仕入れた岩牡蠣(いわがき)は、大分県産
今朝は、
沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。
構内にある貝類の売り場に行くと、
3月の終わり頃から、ようや入荷し始めた岩牡蠣(いわがき)がありました。ただ、これまで何度か見たものは、大きさもイマイチでしたので、素通りしていましたが、今朝の岩牡蠣は、それなりの大きさでしたので、確認してみることにしました。
入荷していたのは、
大分産のものと、
宮崎産のものでした。
宮崎産のものの大きさは、こんな感じで、一方の大分産は、
これぐらいの大きさでした。殆ど変らないのですが、大分産のいくらか大きいのと、持った感触も良かったので、
気に入ったものを8個だけ選り抜きました。ちなみに、去年初めて仕入れたものも、大分産でした。
【佳肴 季凛】で、岩牡蠣をお出しする時は、
生のまま、ぽん酢と一緒にお出しするか、
軽く焼いたものです。個人的には、焼いたものの方が、岩牡蠣の旨味が凝縮され、食べやすくなるので、焼いたものをお勧めしておりますが、お好みのお召し上がり方を、お申し付けください。
例年に比べ、幾らか入荷が遅かった岩牡蠣ですが、季節は少しずつ、変化して、冬から春、春から夏へと向かっています。
真空調理で仕込む蛸(たこ)・後編
前回のお話しの続きです。1本ずつ包丁した蛸の足は、
お茶、塩、濃口醤油を入れた熱湯で、軽く湯がきます。このような仕込み方を、“茶ぶり”と呼んでいます。こうすることで、お茶に含まれるポリフェノール(カテキン類、フラボノイド類)によって、臭みを取り除くことが出来ます。蛸自体の身は、淡白でクセが無いのですが、ヌメリには独特の臭みがあるので、“茶ぶり”をするのです。
このまま茹でる仕込み方が一般的なのですが、自分の場合、
表面の色が変わったら、
氷水に落とし、余分に火が入らないようにします。冷めたら、
ザルに上げます。頭の部分は、
薄皮を取り除きます。ここまでが、仕込みの第二段階です。
その次に、それぞれを、真空パック用の袋に入れてから、
アルコール分を飛ばした日本酒と薄口醤油を入れ、
真空パックします。頭と足は、形が違うのは言うまでもありませんが、8本の足のうちの4本は、
太さと長さが違うので、

3つの部分に分けておきます。ここまで準備したら、以前お話しした帆立の仕込みと同じ様に、スチームコンベクションオーブンを使って、加熱します。
その時の温度は、
60度です。頭、細い足、太い足と3つの部分があるので、加熱する時間は、少しずつずらします。最初に仕上がるのは、
頭の部分で、この日は、15分加熱しました。取り出したら、
氷水で、一気に冷まします。
その10分後に、細い足が仕上がり、
同じ様に、氷水に落とし、最後に仕上がるのは、
太い足の部分で、細い足の7分後でした。同じ様に、
氷水で冷まし、ようやく仕込みは終わりました。このまま冷凍しておくことも可能ですので、刺身に使う魚の入荷が無い時や、急なご予約にも対応することが出来ます。
何よりも、肝心の味です。見た目は生のような感じですが、加熱してあるので、甘味が感じられ。蛸特有の歯応えも残りながらも、柔らかい仕上りになっています。また、真空調理で仕込んであるので、蛸の美味しさが逃げることなく、旨味が凝縮されています。
蛸という素材は、大きさの割りに、個体差が激しい素材であるだけでなく、その仕込み方には、料理人によって、千差万別です。仕事の仕方には、正解がありません。あるのは、召し上がったお客様が、美味しいということです。
料理人の想いと、お客様の好みが、即座に合うとということは、なかなかありません。何となく合いそうな気配を感じながら、歩み寄っていき、惹かれていくのが、奥ゆかしさだと思います。一度だけで、その味、店を判断するのは、大人の仕草ではなく、無粋にして、野暮としか言い様がありません。お互いの良い関係こそが、日本料理という文化を作ることが出来、後世のためになるのです。
真空調理で仕込む蛸(たこ)・前編
【佳肴 季凛】でお出ししている蛸(たこ)の刺身は、
このような感じのもので、会席料理の“凛”(おひとり 4,200円)では、
四種盛りの一品として盛り付けてあります。どちらの蛸も、自分が沼津の魚市場で仕入れてくるものです。
沼津の魚市場では、
こんな風に、生簀に入っています。その時、札に目方が書かれています。入荷してくる数や大きさは、その日によって、まちまちで、この日は、愛知産もので、沼津の魚市場では、一番多く入荷してくる産地でもあります。
その中から、自分が選ぶのは、最低でも2キロを超えるもので、この日は、上の写真の3,1キロのもの以外に、2キロを超えるものは、
この2,4キロのものだけでした。生簀の中の蛸に直接触れ、足の太さや締まり具合を確認しながら、気に入ったものを仕入れるのですが、その時の相場や、在庫状況なども考えなくてはならないので、気にいったものがあっても、仕入れることはしません。
ただ、この日は、入荷量も比較的多かったので、相場も安定していたので、
3,1キロのものを、仲買人にセリ落としてもらうことが出来ました。ちなみに、58という番号が書かれているのが、自分の仲買人です。
あとは、ブクブクをセットした発泡スチロールに、
海水を入れ、
活かしたまま、【佳肴 季凛】のある富士市まで、戻ります。活きているからといって、そのままにしたり、水槽に移すことなどせず、仕込みの準備にかかります。
ネットから出したら、
くちばしを取り除くため、
くちばしを取ったら、今度は、頭をひっくり返し、内臓を外します。この蛸は、メスでしたので、
卵が入っていました。前回のお話しでもふれたとらふぐの卵巣と違い、毒があるわけではないので、食べることが出来ますが、お話しが逸れてしまうので、ここでは素通りさせて頂きます
また、蛸のオスとメスの違いは、足についている吸盤の並び方で、区別がつきます。メスは、
吸盤が、整然と並び、大きさも揃っています。内臓を取ったら、
包丁で、頭と足の付け根にある眼を取り除くと、万事休す。先ほどまで、茶色をしていた表面の色は、
生気を失い、白っぽくなってしまいました。その次に、蛸をボウルに入れ、
大根卸しと炭酸を入れます。この時の大根卸しは、皮も葉っぱも一緒です。そうしたら、
ヌメリを取るために、ひたすら揉みます。蛸の状態によっては、15分くらいで取れることもあれば、30分以上かかることもあります。この仕事をしてくれるは、殆どの場合、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんです。一般的には、塩でヌメリを取るのですが、塩でやると、時間はかからないのですが、味がついてしまうだけでなく、身も締まり、結果的に、仕上りに大きな差、つまり味の差が生じてしまいます。
ヌメリが取れたら、大根卸しをきれいに洗い流したら、足は、
1本ずつ切り離し、先端の部分を、
切り落とします。頭は、
4つに分けます。これで、仕込みの第一段階は、ようやく終わりました。
第一段階とお話ししましたが、蛸の仕込みは、この後、第二、第三段階と続きます。続きは、次回となります。






































































































































