グローバルナビゲーション
  • 昼席
  • 夕席
  • ふぐ料理
  • はも料理
  • 西京漬
  • 鰯の丸煮
  • マクロビオティック
  • ブログ

もっとおいしいお話し

HOME ≫ ブログ

さばふぐの唐揚げ

 昨日、“佳肴 季凛”はお休みだったのですが、沼津の魚市場が、今日休みなので、市場に行ってきました。
 休みの日に市場に行くと、つい悪いクセが出てしまい、安くて良い魚があると、つい沢山仕入れてしまいます。ただ、自分の気持ちとしては、そういう魚がなければ、休めるという考えもあるので、ある意味複雑な心境です。
 そんなことを思いながら、市場の中を歩いていると、そんな魚がありました。
 s-画像 194.jpg
 
 “さばふぐ”(和歌山県産)です。“さばふぐ”は、秋から冬にかけて入荷するのですが、ここ最近、入荷があります。先週も、仕入れました。
 時季外れでは、ありますが、味が落ちることはありません。かえって値段も安いので、こちらとしては好都合でもあります。
 昨日の入荷は、8ケースありました。ちなみに、大きさはまちまちでしたが、1ケースに4キロ入っていました。ただ、そのうちの一つは、2,7キロでした。
 全部まとめてしまえば、安くセリ落すことが出来ます。そのことを伝えると、自分の仲買人が、案の定、安くセリ落としてくれました。合計で8ケース、30,7キロです。
 s-画像 195.jpg
 ただ、いざ買って、こんなに沢山卸すことを考えると、何となく憂鬱な気持ちがないわけでありません。が、買ってしまった以上、もう後には戻れません。
 しかも、今日は助っ人である真由美さんは、家のことをやるので、頼めません。前もって言っておけば、手伝ってくれるのですが・・・。
 そんなことを思っていても、仕事は終わらないので、店に戻るとすぐに卸し始めました。
 s-画像 196.jpg
 まず、背びれと尻びれを落とします。
 s-画像 197.jpg
 その後に、頭の付け根に包丁をいれ、切れ込みを入れます。この作業をやってから、頭と皮を取ります。
 s-画像 198.jpg
 頭ごと皮を引っ張ります。
 s-画像 199.jpg
 そうすると、こんな簡単に、皮を剥ぎ取ることが出来ます。このように、ふぐの頭と皮をつけたまま卸すことを、“ぐるむき”と言います。
 写真では素手ですが、これほどまで沢山あるとすべってしまうので、あとは手袋をしてやりました。剥きおえたら、今度は水洗いです。
 これだけでも、1時間半かかってしまいました。
 s-画像 200.jpg
 さらに、これをきれいに布巾でふきます。
 s-画像 201.jpg
 ふき終えたものがこちらです。全部で94本ありました。
 この“さばふぐ”は唐揚げに使います。単品としてもお出ししますし、会席コースの揚物としてもお出しします。
 唐揚げにする時は、骨ごとぶつ切りにしてから、薄口醤油と日本酒の中に、10分程つけておきます。
s-画像 202.jpg
その後、片栗粉をつけて、揚げます。
 s-画像 203.jpg
 こちらが、会席料理の揚物の“さばふぐの唐揚げ”です。ちなみに、単品ものですと、一人前5個になります。
 94本の“さばふぐ”から、294個の身が取れました。これほど沢山のものが、いくら“さばふぐ”だからといって、すぐに“さば”けるわけがありません。
 使う分だけは、別にしておいて、残りは真空しておきます。
 s-画像 204.jpg
 さらに、真空し終えたものは、冷凍しておきます。
 s-画像 205.jpg
 予約が入ったら、その都度、解凍して、味をつけて、揚げます。真空してあるので、味は全く変わりません。
 “さばふぐの唐揚げ”のようなものですと、変化があり、なかなか食べる機会も少ないようなので、お客様も喜んでくれます。また、そんな反応を見ると、作る側の自分としても嬉しい限りです。
 こんなこともなせるのも、休みの日に市場に行くからこそのこと。だからと言って、行き過ぎると、多く仕入れてしまい、休みがなくなってしまいます。でも、これが好きだから、仕方がありません。
 志村

あかめふぐのたたき

 ちょっと前に、“あかめふぐ”のお話しをしました。
 s-画像 158.jpg
 この“あかめふぐ”も、南伊豆・妻良(めら)の定置網にかかったものです。先週の金曜日も、一本だけ入荷がありました。
 このように活きているので、いわゆる“ふぐ刺”のように、薄造りにしますが、ちょっと趣向を変え、会席のコースの酢の物に使ったりもしています。
 s-画像 168.jpg
 卸した“あかめふぐ”です。尾びれを取ってあるのは、食べられないからです。つまり、毒があります。もっというと、皮が食べられないふぐは、ひれも食べられません。ですから、そういうふぐのひれは、ひれ酒にはなりません。
 これを、三枚におろしてから、氷の上にのせ、バーナーで焼き目をつけ、“たたき”にします。
 s-画像 159.jpg
 焼き目がついたら、氷水に落とし、余分に火が入らないようにします。それを、小さく包丁します。
 こちらが、本日の酢の物の“あかめふぐのたたき”です。
 s-画像 165.jpg
 “あかめふぐ”の下に敷いてあるのが、こちらです。
 s-画像 160.jpg
 黒いのが、若布で、透明なのと、紫色をしているのが、“海藻クリスタル”というものです。紫色をしているのは、紫キャベツの色素で色をつけているからです。
 s-画像 161.jpg
 “海藻クリスタル”とは、海藻のエキスである“アルギン酸”から作られたなんちゃって海藻です。プチプチした食感が特徴で、サラダに入れても、美味しく召し上がれます。
 今が旬の新玉ねぎを使ったドレッシングを、かけてお出ししています。酢の物というと、蛸や胡瓜を使い、土佐酢や三杯酢をかけたものを思い浮かべがちですが、“佳肴 季凛”の酢の物は、こんな風に、サラダっぽく仕立てています。
 今の時代、会席料理に限らず、コース料理はそれほど決まりごとに制約されなくなりましたが、自分の個人的な意見として、食事の前の一品は、酢の物だと考えています。
 これは、昔からのスタイルでもあります。ですから、会席料理を食べていて、酢の物が出てくると、料理も終盤ということを、意味しています。
 また、「酢の物を見れば、その料理人の腕が分かる。」という人もいます。何故そんなことが言われるのかは、分かりませんが、思うに、創意工夫が出来るからだと思います。
 料理の格言に、「素材に勝る味付けなし。」とあります。刺身は、普通に醤油、魚によっては、ポン酢などが、一番美味しく食べられます。
 焼物は、素材が良ければ良いほど、オーソドックスなもの(塩焼、照焼、西京焼)に限ります。ですから、この二つの献立は、余分に手を加える必要はないと、思っています。
 だからこそ、酢の物に工夫が出来ると、自分は思っています。まだまだ、勉強中ですが、酢の物は自分なりに、工夫しているつもりです。面白そうな酢の物があったら、是非教えて下さい。
 志村

”ひがんふぐ”と”あかめふぐ”

 今日は、仕事そっちのけで、外へ行きたくなる天気ですね。そういうわけにもいかず、”佳肴 季凛”に幽閉されています。
 一昨日の金曜日、沼津の魚市場の活魚のセリ場にこんな、札が貼ってありました。
 s-画像 220.jpg
 ”フグ 2(本)”と書かれています。もう少し、近づいてみます。
s-画像 219.jpg
 この2本が、その”フグ”です。色が黒っぽいのと、茶色っぽいのがいます。
 s-画像 222.jpg
 右側の茶色っぽいのが、”あかめふぐ”で、左側の黒っぽいのが、”ひがんふぐ”です。
 どちらも、食べることが出来るふぐで、天然の”とらふぐ”には劣りますが、十分美味しいふぐです。
 ご覧のように、活きているので、刺身でも食べられます。また、唐揚げでも、美味しく食べられます。
 どちらも、昨日の朝卸したのですが、普通の魚と違って、この類のふぐは、水槽ならぬ”私設富士市ふぐ水族館”には、入れません。
 というのも、この時季、猛毒である卵巣が成長していて、卵を出してしまう可能性があるので、こんな風に発砲スチロールに、”ブクブク”を入れて、隔離しておきます。
 s-画像 221.jpg
 ろ過装置もないので、水もすぐに汚れてしまいますが、明くる日には、卸すので、全く問題ありません。
 ところで、この”あかめふぐ”と”ひがんふぐ”は、3月ぐらいからこの時季にかけて、時々入荷してきます。南伊豆・妻良(めら)の定置網にかかることが、大半です。ちなみに、今回のは、どちらも妻良産でした。
 明後日、沼津の魚市場は休みなので、明日は休日出勤ならぬ、”休日市場”です。こんな変り種を見つけに行って来ます。
  志村
 

”天然のふぐ”と”養殖のふぐ”の違い

 4月も半ばを過ぎました。この時季になると、沼津の魚市場へ着く頃には、夜も明けています。
 s-画像 204.jpg
 市場につくのは、5時前後です。今朝は、沼津魚市場のランドマークでもある”びゅうお”も、朝日に照らされています。行き慣れた場所の見慣れた風景とはいえ、何だか妙にすがすがしいものです。
 市場に着いて、先ず足を向けるのが、活魚のセリ場です。この時季になると、”鱧(はも)”の入荷も始まっています。
 s-画像 207.jpg
 この”鱧”は、写真に写っているように、中国産です。今朝は入荷していませんでしたが、国産の”鱧”も、ここ最近入荷しています。市場の暦は、すでに初夏です。
 そんな生簀の隣に、”鱧”とは正反対の時季の魚の”ふぐ”が、一本いました。自称”富士市でふぐ一番好きな料理人”の自分が、近寄らないわけがありません。
 s-画像 205.jpg
 ”養ふぐ”と書かれています。養殖のとらふぐのことです。気になったので、市場のセリ人に、聞いてみました。
 「何で、(ふぐが)一本しかないの。」
 「それが、おしまい(のふぐ)でさぁ、今シーズン最後の一本。」
 「ふーん。」と、その場を立ち去ろうとしました。”佳肴 季凛”で使うふぐは、天然ものだけですから、あえて仕入れるまでもありません。
 「親方、やってよ。つきあってよ。」
 ここからは、駆け引きです。
 「いくら?」
 「○○(円)で。」
 「うーん・・・。」
 「じゃ、△△(円)で。」
 「それで、いいよ。」
 交渉成立です。それこそ、安い買い物です。
 その後、一通りの仕入れが終わって、帰ろうとすると、今度は”天然ふぐ”が、一本だけいました。値段も、そこそこで仕入れることが出来ました。こちらも、安い買い物です。
 今朝は、偶然にも”天然のとらふぐ”と、”養殖のとらふぐ”を仕入れたので、両方の違いを、ご覧下さい。
 s-画像 206.jpg
 一番の違いは、尾びれで、上が養殖もので、下が天然ものです。養殖ものは、生簀のなかで他のふぐに、尾びれをかまれるので、こんな風にすり切れてしまいます。
 また、泳ぐこともそれほどないので、尾びれも発達しません。これは、ふぐに限ったことではありません。一方、天然ものは、泳ぎ回るので、自然と尾びれも発達します。
 ところで、”養殖のふぐ”を仕入れたのは、いいのですが、”佳肴 季凛”で使うのは天然ものだけです。実を言うと、その使い道に、今悩んでいるところです。
 だからと言って、天然ものと偽装して、お出しすることはありませんので、どうぞご安心を。もし、養殖ものを使う時は、ちゃんと養殖ものと、申し上げます。自分に限りなく甘く、正直な性分ですから。
 志村
 

しょうさいふぐの唐揚げ

 今朝、沼津の魚市場のセリ場には、こんなふぐが並んでいました。
 s-画像 100.jpg
 ”しょうさいふぐ”という名前のふぐです。以前のブログで、”しょうさいふぐ”に似ている”こもんふぐ”のお話しをしましたが、今日のは、正真正銘の”しょうさいふぐ”です。
 ”佳肴 季凛”に戻ってきてから撮った写真をご覧下さい。
 s-画像 101.jpg
 ”しょうさいふぐ”は、小型のふぐで、食べられる部分は、”身”と”白子”だけです。
 皮などは食べられないので、卸し方も”とらふぐ”の時とは、若干違います。
 s-画像 102.jpg
 小型で、皮も食べれないので、こんな風に、頭と皮と内臓を全部一緒にしたまま、身の部分と分けるのです。この卸し方を、”ぐるむき”と呼んでいます。
 参考になるかどうか分かりませんが、”とらふぐ”の卸し方と見比べて見てください。
 今朝仕入れた”しょうさいふぐ”は、野締めのものなので、刺身でなく、唐揚げでお出ししています。
 s-画像 104.jpg
 ”とらふぐ”の唐揚げよりは、幾分味が劣りますが、ふぐ独特の味わいがあります。単品ものだけでなく、会席のコースの一品としても召し上がれます。
 早起きして、富士市から沼津の魚市場まで仕入れに行くのですから、”しょうさいふぐ”のように、珍しくて美味しい魚を、見つけて、お客様に食べて貰えるのが、自分にとっては、最高の喜びです。
 志村
 追伸 ”しょうさいふぐ”に関しては、ひと足先に、携帯会員の方にはお知らせしました。時々、”しょうさいふぐ”のような変り種の入荷情報をはじめ、お得な情報を送らせて頂きますので、是非登録してみて下さい。
 各ページにあるQRコードから、登録のページに入って、空メールを送ってください。

ふぐの卵巣

 s-画像 066.jpg
 3月になると、ふぐの入荷も少なくなってきますが、昨日久しぶりにふぐを卸しました。
 この時季になると、生殖腺である白子や真子(まこ)は、かなり大きくなっています。お腹が大きいふぐを見ると、「白子か真子か?」と、思わざるを得ません。
 昨日のふぐもお腹が大きかったので、多少期待していたのですが、残念なことに、真子でした。真子、つまり卵巣は、猛毒なので、食べられません。
 s-画像 065.jpg
 
 自分の手で持っているので、その大きさもお分かり頂けると思います。
 猛毒のふぐの卵巣ですが、石川県ではふぐの卵巣を、糠漬け及び塩漬けにすることで、毒素を消失して、食べられるようにして、売られているのです。
 また、いつ頃から作られ始め、食べられるようになったのかは定かではないと言われています。
 その期間は、2,3年にも及ぶのです。自分も詳しいことはよく分からないのですが、ある微生物がふぐの毒である”テトロドトキシン”を分解すると、言われているそうです。いろいろ検索していたら、その作り方が書かれていました。
 作り方は、こちらを。
 石川県だけが、この糠漬けを作ることが許可されていて、出荷の際には、 石川県予防医学協会という、公的機関の検査を受けなくてはなりません。
 猛毒であるふぐの卵巣を、こんな形で食べること出来るようにした先人の知恵には、感心させられます。
 ふぐを卸している時に、卵巣や肝臓を見ると、食べてみたくなる気がします。それくらい、美味しそうに見えるのです。同じように思ったからこそ、先人も糠漬けにしたはずです。
 自分は、まだ食べたことはありませんが、今度取り寄せて食べてみます。感想はその時に。
    志村
 
 

除毒所こと、ふぐ専門の施設

今回も、築地でのお話しです。
築地に入荷してくる魚の量、種類は、世界一と言われています。自分が普段通っている沼津の魚市場とは、比べ物になりません。
例えば、ふぐにしても、一軒のお店で、何本も扱っています。
s-画像 082.jpg
この水槽に入っているふぐは、”あかめふぐ”と言います。沼津の魚市場にも、入荷はありますが、一日というより、一週間に一本あるかないかといった感じです。
さらに水槽の手前にいるのが、”とらふぐ”です。
別のお店では、こんな風に、ふぐの白子が袋につめられて、売られています。
s-画像 077.jpg
また、”身欠き(みがき”といって、卸した状態で売られています。その種類も、”とらふぐ”だけでありません。ちなみに、上の写真の”正才”というのは、”しょうさいふぐ”のことです。
s-画像 076.jpg
こちらの箱入りのが、養殖の”とらふぐ”の”身欠き”です。しかも、”大サービス”と書かれています。確かに、この値段は、大サービスです。
これだけ沢山のふぐが、扱われているわけですから、当然、内臓などの有毒部位も、同じように出ます。
各都道府県の条例によっても異なりますが、ふぐを卸すには、その施設ごとに、所轄の保健所に届出を出さなくてはなりません。”佳肴 季凛”の場合ですと、富士市の保健所に、ふぐ営業所としての届出をしてあります。
これほど規模の大きい築地の市場の場内には、ふぐの毒を処理するための、専門の施設があるのです。
s-画像 078.jpg
”除毒所(じょどくじょ)”といいます。築地の市場のふぐ取り扱い業者は、ここでふぐを卸さなくてはならないのです。とくに、秋から春にかけてのふぐのシーズンには、毎日沢山のふぐを卸しています。
この日は、まだ朝早かったのと、ふぐのシーズンも終わり間近ということもあり、中は静かでした。
s-画像 083.jpg
この”除毒所”は、シーズンでない春、夏なると、もう一つの役割を果たすのです。
東京都のふぐ調理師免許をとるための講習所になるのです。ふぐの卸し方を中心に、ふぐに関する知識を教えてくれます。
静岡県にはこのような施設はないので、自分はふぐの免許を取るため、休みの日に、富士市から築地の”除毒所”まで、何度か通っていました。6,7年前のことです。先日のように、朝4時に起きで、通っていました。
講習を受けに来るのは、東京都内の日本料理店に勤めている人が殆どで、自分のように他県から来るのは、年に一人いるか、いないかのことでした。ですから、当然顔と名前もすぐ覚えられました。もっとも、この無理強引にして、自己中心極まりない性格ゆえ、覚えられたのが、本当なのかもしれませんが・・・。
それでも縁あって、今でもおつき合いさせてもらっているので、築地に行くときはいつも、立ち寄ることにしています。
”もっと美味しいお話し”の築地編は、今回が最後ですが、築地にはこれからも行くので、料理人の側から見た築地も、またお話しさせて下さい。
志村

ふぐの入荷は終わっても・・・

 寒い日もあったりもしますが、少しずつ、春が近づいています。何度かお話ししているように、沼津の魚市場も同じです。
 冬が旬のふぐの入荷も段々少なくなってきました。昨日の入荷は、2本でした。そのうちの一本は、3,1キロもある大きなふぐでした。
 この大きさのふぐですと、刺身で10人前位出来ます。
 s-画像 055.jpg
 ふぐの大きさは、1キロから1,8キロくらいが殆どですから、倍以上の大きさです。
 ちなみに、”佳肴 季凛”で仕入れるふぐは、1キロ前後が殆どです。ただ予約の状況やふぐの質によって、大きさを変えることもあります。
 このふぐは、傷もなく、良さそうなので、仕入れてきました。”セリ”ですから、値段もその時によって、まちまちです。
 ラッキーなことに、高値もつかず、仕入れることが出来ました。
 s-画像 054.jpg
 自分の”セリ”を担当している秋山さんの札がついています。
 「志村さん、今日のふぐは安くて良かったですね。」と秋山さん。
 後は、自分で発砲スチロールに入れ、活きたまま持って来ました。
s-画像 056.jpg
 今朝、このふぐを卸したのですが、例の如く真空して、冷凍庫へ。ふぐの入荷が少なくなるこれからの、時季に備えてのことです。
 以前にもお話ししたように、”佳肴 季凛”では、一年を通じて、ふぐ料理を食べることができます。
 真夏にクーラーを、ガンガンきかせた部屋で、ふぐ料理を食べるのも、なかなかです。以前、自分も食べましたが、結構いけました。
  志村
 
 
 

”ショウサイフグ”でなく・・・

 2月も半ばを過ぎると、ふぐ(特にとらふぐ)の入荷も少なくなってきました。今朝の沼津の魚市場には、とらふぐは一本だけでした。
 そんな今朝の入荷状況でしたが、活魚のセリ場の生簀に、こんなふぐが入荷していました。こういう珍しいふぐがいる時は、「早起きして、富士市から沼津の市場まで来た甲斐があった。」と思い、小躍りしたくなるものです。
 s-画像 036.jpg
 札には、こんな風に”ショウサイフグ”と書かれていました。ちなみに、この写真は、”佳肴 季凛”に戻ってきてからのものです。
 s-画像 037.jpg
 ”ショウサイフグ”は入荷量の少ないふぐ(特に活きたまま)です。また、自分も食べたことがないので、仕入れてみました。
 ”ショウサイフグ”のように普段目にしないふぐを扱う時は、万が一があるといけないので、こんな本を必ず開くことにしています。
 s-画像 039.jpg
 いろんなふぐの特徴が書かれています。有毒な内臓の部位、有毒なふぐの種類に関する記述を確認するための手引き書で、ふぐ免許の試験の時に、買ったものです。
 自分の記憶の中では、”ショウサイフグ”は、ふぐ特有のトゲがないのですが、この”ショウサイフグ”には、トゲがあるのです。ということは、”ショウサイフグ”ではないことになります。新種のふぐ!?
 ふぐには、似たような姿、形をしているのも多く、その時は、ひれの形状やトゲの有無を見ながら、確認するのです。そうして、確認したところ、このふぐが、”コモンフグ”というふぐであることが分かりました。
 何故、こんなことになるのでしょうか?
 ふぐは、その地方ごとによって、呼び名が変わることが非常に多い魚なのです。だから、こういうことになるのです。ただ、ふぐの場合、命に関わることなので、本来は呼び名を統一する必要があるべきなのですが・・・。
 s-画像 038.jpg
 これが、”コモンフグ”に関する記述の一部です。赤線を引いてあるのは、試験勉強の時のものです。
 ”一般には食用とはしない”と書かれています。食用可能なふぐなのですが、三陸の一部で獲れる”コモンフグ”は、食用禁止とされているのです。つまり、ある海域では有毒で、ある海域では無毒ということです。
 この”コモンフグ”は沼津産なので、食べられることは出来るはずですが、もしかすると、毒があるかもありません。
 食べて、お腹の具合が悪くなる程度なら、いいのですが、身体がしびれて、命を落としたら、シャレにもなりません。
 ですから、今日は、卸さずに、そのまま処分しました。先日の”ふぐの白子”のお話しのようなことも、あるからです。
 ちなみに、”ショウサイフグ”は食用可能なふぐです。今度入荷したら、仕入れて来るつもりです。また、もう少しすると、”アカメフグ”や”ヒガンフグ”といった変り種のふぐも、入荷してくるので、機会があれば、是非試してみて下さい。

”ふぐの・・・。” by 富士市保健所

今日、富士市の保健所から、こんな通知が来ました。
 s-画像 011.jpg
 ”ふぐの白子”に関するもので、ご覧のように、”注意喚起”とまで書かれています。さらに、こんな目立つチラシというか、ポップも同封されてきました。
 s-画像 012.jpg
 何故、ふぐの白子に注意しなければならないのでしょうか?
 ふぐの白子は、ふぐの内臓の中で、唯一食べることの出来る部位(=無毒)で、”美食の極み”とも言える食材で、かなり高価なものです。
 ただ、ごくまれに、”両性ふぐ”という、雌雄同体のふぐがいます。つまり、生殖腺が、二つあるのです。白子と真子(まこ)が、一緒になっているのです。
 s-画像 013.jpg
 先程の紙にも、写真が付いています。もう少し近くで見ます。
 s-画像 014.jpg
 黄色いのが、真子(=卵巣)です。この真子を取り除いても、食べることは出来ません。この白子と真子のついている生殖腺は、不可食部分と決められています。
  
 というのも、この白子はふぐ毒である”テトロドトキシン”に汚染されているからです。
 何となくもったいないような気がします。最初から、メスと分かっていれば、あきらめがつくのですが、・・・。
 富士市内でふぐを取り扱っている日本料理店などで、昨年の秋から今年にかけて、両性ふぐが幾つか見られたと、この通知には書かれていました。
 ”佳肴 季凛”では、まだお目にかかったことは、ありません。何でも知らないと気が済まない自分としては、いつか見てみたいものです。
 

このページの上へ戻る