コラーゲン豊富な鱧(はも)
Vol.3767
“身体に優しい、美味しい日本料理”を、
信条とする『佳肴 季凛』店主兼
熱血料理人の志村弘信です。
今日から、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3506.jpg)
9月。
いつものことですが、
「月が替わったら、ツキを変える!」と、
いつの頃からか、月初めに思っている自分ですが、
今月はいかに・・・。
そんな月初めの今日は、
沼津魚市場で、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3447.jpg)
山口県産の鱧(はも)を、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3449-1.jpg)
仕入れました。
骨切りをしたら、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3492-1.jpg)
鱧の下拵えは、FINISH。
鱧に限らず、魚を卸した時の
副産物の頭や骨などのあらを
ごみ箱に直行させるのは、
犯罪そのものですし、
どんなものでも、
粗末にすることは出来ません。
あらは、身と同じくらいの
使い道があり、
ぬめりや汚れを、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3454.jpg)
落としておきました。
すると、ミニふぐ達が、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3455.jpg)
「親方、これはどうするの?」
「焼いてから、出汁を取るんだよ。」
「出汁を取る前に、焼くの?」
「そうそう。
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3453.jpg)
今朝仕入れた鯵だけど、
同じ様な使い方をするよ。」
「どうして、最初に焼くの?」
「焼けば、余分な水分と生臭さが落ちるし、
香ばしさも出て、
取った出汁も、美味しくなるんだよ。」
「へぇ~。」
「フランス料理でも、
こういう仕込みをして、
フュメ・ド・ポワソンって呼ばれているよ。」
「親方から、フランス語が出て来るなんて、
ビックリ!」
「それくらいならね~。
フランス語だけは、勘弁してよ。」
「勘弁って?」
「大学1年の時、第二外国語で
フランス語を取ったんだけど、
前期の試験で、
100点満点中5点を取って、即不可。
結局3年生で再履修して、
クリアしたけど、
それ以来、フランス語はもう・・・。」
「5点って、凄くない?」
「限りなく、0点に近いからね~。」
「人に歴史ありだね。」
「まぁね。」
あらを焼き終えると、
![画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: s-RIMG3483.jpg](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3483.jpg)
再び、ミニふぐがやって来て、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3485.jpg)
「親方、焼けたね。」
「そうだけど、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3484.jpg)
ほら。」
「あっ、くっついている!
どうしてなの?」
「鱧は、ゼラチン質が豊富だから、
こんな風になるんだよ。」
「ゼラチン質が多いってことは、
お肌ツルツルになるってことじゃん!」
「まぁ、すぐってことはないけど、
身体に良いのは、確かだよね。」
今日の鱧ではありませんが、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3227.jpg)
出汁を取る時は、
一番出汁を取った後の
鰹節、宗田節、昆布、椎茸の足と共に、
野菜の皮などを、
煮立たせることなく、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3264.jpg)
長時間煮出してから、
漉すと、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3263.jpg)
このような出汁が取れます。
鱧の量にもよりますが、
この出汁が冷えると、
煮凝りのようになります。
煮凝りになるのは、
ゼラチン質が豊富だからで、
ゼラチンは、コラーゲンが
熱で分解されたものですので、
基本的には、同じものです。
鱧は天然の魚で、
成長するにあたって、
成長ホルモンや抗生物質などの
いわゆる薬とは無縁ですので、
自然素材にして、
安全、安心ということになります。
また、ごく一部を除き、 鱧に限らず、
当店で使っている魚は、
天然もので、それらのあらは、
鱧のあらと同じ様に使っており、
一番の使い道は、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG3399.jpg)
小鍋の出汁で、
こちらの小鍋は、
めかぶと野菜の小鍋仕立てです。
中には、9種類の雑穀
(玄米、押麦、黒米、小豆、
もち麦、あわ、ひえ、きび)をはじめ、
野菜など、約20種類くらい食材が
入っており、
小鍋は、ランチや会席料理などで
お召し上がり頂けます。
天然の魚の出汁ゆえ、
薄い味付けでも、
滋味深い味わいです。
高級食材や料理の類(たぐい)は、
カロリーやコレステロールが
高いものが多く、
食べる時に、妙な後ろめたさを
感じないわけでもありません。
逆に、身体に良いものは、
粗末というか、さっぱりしたものが多く、
何となく、もの足りない感じが
してしまうような気がします。
でも、鱧の場合、
そのようなことはなく、
美食にして、ヘルシーとなると、
完璧な食材とも言えます。
“身体に優しい、美味しい日本料理”が、
料理スタイルの自分にとっては、
願ったり、叶ったりの食材ですので、
その素晴らしさに、
惹かれて止まないのです。
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