お弁当の煮物のポイントあれこれ
Vol.4256
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(1月3日)は
お弁当の仕込みについて
お話しします。
「おはよう、親方🐡
真由美さんがセットをしているけど
いつの予約なの?」
と、ミニふぐちゃん
※真由美さんと
女将兼愛妻(!?)のことです。
「明日(4日)の夜だよ。」
「えっ!?だって
昨日のバスは特別として
明日まで休みになっているじゃん。」
「そうなんだけど
暮れの27日に
問い合わせがあったから
(予約を)受けたんだよ。」
「ふぅ~ん。
時々、定休日の月曜日も
受けているけど
受ける基準みたいなものってあるの?」
「特に無いけど
ランチなら、7~8人
夜なら、5人とか・・・。
まぁ、前もって
言ってもらえれば
出来る限り対応しているよ。
そういうのが出来るのも
夫婦二人+α(アルファ)で
やっている店の売りかな。」
「そうだよね。」
そういう小回りが利くのも
個人店の売りだしね。」
「まぁ~ね。
そんなに訊くってことは
予約でもしてくれるの?」
「予定は未定って感じかな・・・。」
「気の利いた言い回しを
覚えたねぇ
知らないうちに・・・。」
「親方と話していれば
嫌でも覚えるよ。」
「褒められているのか
貶(けな)されているのか・・・。」
「そりゃ~
褒めているに決まっているじゃん!」
明日の御席の隣で用意しておいたのが
5日のお弁当の折です。
その後、真由美さんに
お弁当の煮物の人参の皮を剥いてもらい
包丁すると
「どうして🥕
こういう形に切ったの?」
「こういう切り方を
乱切(らんぎ)りって言うんだけど
表面積が大きくなって
味がしみやすくなるからだよ。」
「へぇ~。
形は違っても
大きさは同じだよね。」
「そりゃ、そうだよ。」
包丁し終えたら
下茹でをします。
「空のざるを茹でて
どうするの?」
「あはは・・・。
これだけ見ていると
そうかもしれないけど
少し待っていなよ。」
「ふぅ~ん。」
「あっ、ごぼうだ!
でも、どうして
こんな風に下茹でしているの?」
「火の通り方が
違うからだよ。」
「だから、人参から
先に茹でたんだね🥕」
「そういうこと。」
「そう言えば
水から茹でていたけど
どうしてなの?」
「根菜は
火が通りにくいからだよ。
地面の下にあるものは
水からで
上にあるものは
沸騰した状態で
湯がくのが
基本だよ。」
「だから、葉物は
沸騰したお湯の中で
茹でるんだぁ~。」
「例外もあるけど
基本は、👆の感じ。」
「そうなんだぁ~。」
先に茹で上がったごぼうの下に
ざるを置き
しばらくすると
人参が茹であがりました。
空のざるを下に置くことで
簡単に水切りが出来ます。
水が切れたら
鍋に移し
一番出汁、日本酒を注ぎ
煮含めていきます。
この時、下茹でをしたお湯をかけた
鶏肉の皮とつくねも
一緒に煮ます。
鳥皮を入れるのは
味にコクをつけるためです。
人参、ごぼう、つくね
こんにゃくも同じ要領で
煮含めておくと
「こんにゃくは
色が濃いけど・・・。」
「蒟蒻は濃い目の
味付けにしてあるからだよ。」
「ふぅ~ん。
煮汁が多いけど
このまま、お弁当に入れるの?」
「まさか!
火入れを兼ねて
煮上げるんだよ。
お弁当に入れる料理は
汁気を出来るだけ
飛ばすのが基本だからね。」
「なるほど~♬」
「にんじんの皮は
どうするの?」
「切り落としの部分も
小さく包丁したら
賄い用のカレーの鍋行きだよ。」
「おまけアイテムの王様のカレーだね🍛」
「そうそう。」
「これは?」
「玉子焼の出汁。
一番出汁に、てん菜糖、薄口醤油
日本酒、みりん
赤酒(あかざけ)を合わせ
沸かしたものだよ。」
「海老は汁が入っているけど
このままなの?」
「盛付ける時に
キッチンペーパーで
汁気をふき取るし
仕込みの時点で
煮汁だけ煮詰めてあるから
いたみにくようにしてあるんだよ。」
「へぇ~。」
「どんなものでも
煮汁の方から傷むからね。」
「そうなんだぁ。」
最後に
サーモンの西京焼に
串を打ち
煮物と共に
冷蔵庫へ。
基本的にお弁当の
煮物の仕込みと串打ちは
前日か前々日にするようにしておきます。
明日の仕込みは
揚物の粉打ちなどです。
「お弁当の仕込み方って
どこで覚えたの?」
「東京の和食屋で
覚えたんだよ。
その店は、土日以外
殆ど毎日、お弁当だけでなく
テイクアウトの注文があって
多い時だと
200人前くらいあったよ。」
「マジ!?
板前さんは何人いたの?」
「合計で20人くらいいて
交替で出勤して
日によって
10~15人くらい出ていたかな。」
「大きな店だったんだぁ~。」
「あと、めちゃめちゃ多い時は
400人前くらいの
注文がある時も・・・。
そういう時は
泊まり込みだよ。」
「凄過ぎ!」
「その時は大変だったけど
今になってみれば
いい経験だったし
どんな経験もしてみるもんだよ。」
「ふぅ~ん。
また、色々教えてね。」
「はいよぉ~。」
当時の経験が
今の自分の血となり
肉となっており
それをバージョンアップして
今の自分があります。
その経験を忘れることなく
日々の仕事に臨み
さらなるバージョンアップのために
気を抜くことは出来ません。
「明日まで市場は
休みなんだね。
そんじゃ、また🐡」 by 熱血君
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