打ち身だけでなく、身割れしていた【西京漬】用の銀鱈(ぎんだら)
これまでに
何本卸したかは不明の銀鱈ですが
こういう銀鱈に出くわすと
凹みます
Vol.4330(3月17日)
いらっしゃいませ
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3169.jpg)
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
![画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: sRIMG3699.jpg](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3699.jpg)
「親方、昨日の銀鱈は
ちょっとヤバかったよね」
と、ふぐとらちゃん
「そうだよ
あういうのは
かなり焦るよ」
と、答えました
銀鱈とは
【西京漬】に仕込んだ銀鱈のことで
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3697.jpg)
昨日は
鯖(さば)も仕込みました
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3700.jpg)
![佳肴 季凛 謹製 西京漬け](https://www.kakoh-kirin.jp/img/saikyou/key.jpg)
銀鱈は
前日のうちに
冷凍庫から出しておき
自然解凍しておきます
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG2992-1.jpg)
「冷凍ものを
流水で解凍するって
よく聞くけど
それって、どうなの?」
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG2996.jpg)
「最悪だね
水に浸けておけば
味はどんどん抜けちゃうからね」
「ヤバっ
親方が言う通りだよね」
完全に解凍したら
鱗(うろこ)を取ります
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG2997.jpg)
その役目は
ほぼほぼ
女将兼愛妻(!?)の真由美さんです
ひれ際(ぎわ)などにも
残っているので
包丁を使って
取り除きます
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG2999.jpg)
鱗は生臭さの原因になるからで
これは
銀鱈に限ったことではありません
魚=生臭い
という意味不明な等式がありますが
それは
いい加減な下処理をした
ということに過ぎないのです
![画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: sRIMG3000.jpg](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3000.jpg)
腹を裂き
水洗いを終えたら
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3016.jpg)
三枚に卸します
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3015.jpg)
片身を卸したら
尾の先端に串を打ち
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3021.jpg)
中骨と共に
試し焼きをします
試し焼きをするのは
銀鱈の中には
ジェリーミート(ゼリーミート)
と呼ばれる身質のものがあるからです
ジェリーミートとは
加熱すると
身が溶けて流れてしまう現象のことで
銀鱈以外の魚でも
見られます
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3017.jpg)
この“儀式”が終わるまでは
銀鱈は待機しなくてはなりません
4本全てクリアしたら
切身にしていきます
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3026.jpg)
この片身を見た時
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/image-25.png)
ただの打身(うちみ)
と思っていました
ちなみに、打身とは
泳いでいる時に
何かしらに触れた際に
生じた内出血した部分です
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3027.jpg)
腹骨を欠くと
万事休す
頭から一番いい部
身割れしていたのです
しかも、上身(うわみ)でした
上身とは
頭を左にして
上になる身で
切身にした場合
身割れしにくいので
コース料理やランチメニューの
西京焼に使うことが多いのです
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3028.jpg)
「結構ひどいね」
これが、冒頭でもお話しした
ヤバかった部分なのです
血の塊のような部分ですので
焼くと変色するだけでなく
味も血生臭いにので
使うことは出来ません
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3029.jpg)
おおよその目星を付け
包丁しても
まだ打身の部分が
残っていました
最後の一太刀で
打身と
訣別(けつべつ)
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3030.jpg)
ここからは
普通に切身にしていきました
切身にしたら
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3303.jpg)
脱水シートに挟みます
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3298.jpg)
「この切身は
少し小さい感じでも
きれいに揃っているけど・・・?」
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3034.jpg)
![画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: sRIMG3032.jpg](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3032.jpg)
「この切身は
バージョンアップした
ランチの西京焼に使うからだよ」
「このことが
さっき言ってたことなんだね」
「そういうこと」
「バージョンアップした
ランチの西京焼で
一番人気は、どれなの?」
「オーソドックスの鯖(さば)だけど
西京焼=銀鱈って
思う人も多いみたいで
銀鱈と鰤(ぶり)が
2位の座を争っているね」
「じゃ、サーモンは?」
サーモンは刺身の
イメージが強いみたいで
4種類の中では
頭半分リードされているね」
「へぇ~」
ちなみに、ランチメニューは
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/image-26-351x1024.png)
「で、打身の切身は
どうするの?」
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3039.jpg)
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3037.jpg)
「背のきれいな部分を
包丁して
お弁当用の切身にしたよ」
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3041.jpg)
「とりあえずは
良かったじゃん」
「とりあえずは
・・・・・ね」
この後
鯖も【西京漬】用に
上(かみ)と下(しも)に
包丁して
銀鱈と共に
脱水シートに挟み
冷蔵庫へ
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3062.jpg)
打身の部分や
切落としは
身と
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3048.jpg)
皮に分け
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3050.jpg)
皮は中骨と共に
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3057.jpg)
出汁を取るため
焼いておきました
身は、再生用に
真空パックして
冷凍庫へ
今更ですが
銀鱈に限らず
どんな魚でも
最後まで使い切るのが
自分流です
命ある食材を無駄にしないのは
料理人としては
基本中の基本であるのは
言うまでもありません
それだけでなく
魚を獲って来てくれる
漁師のことを思うのは
料理人として
非常に大事なことです
何度もお話ししているように
料理人は
農林水産業つまり
一次産業の代弁者でなくてはなりません
そこが出来てこそ
一端(いっぱし)の料理人です
そこを目指すための
努力を怠るわけにはいきません
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2024/03/sRIMG3738.jpg)
「銀鱈多めの【西京漬】じゃん
そんじゃ、また🐡」
by ミニふぐちゃん
★☆★ 【コエタス】 ★☆★
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