打ち身だけでなく、身割れしていた【西京漬】用の銀鱈(ぎんだら)
これまでに
何本卸したかは不明の銀鱈ですが
こういう銀鱈に出くわすと
凹みます
Vol.4330(3月17日)
いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です
「親方、昨日の銀鱈は
ちょっとヤバかったよね」
と、ふぐとらちゃん
「そうだよ
あういうのは
かなり焦るよ」
と、答えました
銀鱈とは
【西京漬】に仕込んだ銀鱈のことで
昨日は
鯖(さば)も仕込みました
銀鱈は
前日のうちに
冷凍庫から出しておき
自然解凍しておきます
「冷凍ものを
流水で解凍するって
よく聞くけど
それって、どうなの?」
「最悪だね
水に浸けておけば
味はどんどん抜けちゃうからね」
「ヤバっ
親方が言う通りだよね」
完全に解凍したら
鱗(うろこ)を取ります
その役目は
ほぼほぼ
女将兼愛妻(!?)の真由美さんです
ひれ際(ぎわ)などにも
残っているので
包丁を使って
取り除きます
鱗は生臭さの原因になるからで
これは
銀鱈に限ったことではありません
魚=生臭い
という意味不明な等式がありますが
それは
いい加減な下処理をした
ということに過ぎないのです
腹を裂き
水洗いを終えたら
三枚に卸します
片身を卸したら
尾の先端に串を打ち
中骨と共に
試し焼きをします
試し焼きをするのは
銀鱈の中には
ジェリーミート(ゼリーミート)
と呼ばれる身質のものがあるからです
ジェリーミートとは
加熱すると
身が溶けて流れてしまう現象のことで
銀鱈以外の魚でも
見られます
この“儀式”が終わるまでは
銀鱈は待機しなくてはなりません
4本全てクリアしたら
切身にしていきます
この片身を見た時
ただの打身(うちみ)
と思っていました
ちなみに、打身とは
泳いでいる時に
何かしらに触れた際に
生じた内出血した部分です
腹骨を欠くと
万事休す
頭から一番いい部
身割れしていたのです
しかも、上身(うわみ)でした
上身とは
頭を左にして
上になる身で
切身にした場合
身割れしにくいので
コース料理やランチメニューの
西京焼に使うことが多いのです
「結構ひどいね」
これが、冒頭でもお話しした
ヤバかった部分なのです
血の塊のような部分ですので
焼くと変色するだけでなく
味も血生臭いにので
使うことは出来ません
おおよその目星を付け
包丁しても
まだ打身の部分が
残っていました
最後の一太刀で
打身と
訣別(けつべつ)
ここからは
普通に切身にしていきました
切身にしたら
脱水シートに挟みます
「この切身は
少し小さい感じでも
きれいに揃っているけど・・・?」
「この切身は
バージョンアップした
ランチの西京焼に使うからだよ」
「このことが
さっき言ってたことなんだね」
「そういうこと」
「バージョンアップした
ランチの西京焼で
一番人気は、どれなの?」
「オーソドックスの鯖(さば)だけど
西京焼=銀鱈って
思う人も多いみたいで
銀鱈と鰤(ぶり)が
2位の座を争っているね」
「じゃ、サーモンは?」
サーモンは刺身の
イメージが強いみたいで
4種類の中では
頭半分リードされているね」
「へぇ~」
ちなみに、ランチメニューは
「で、打身の切身は
どうするの?」
「背のきれいな部分を
包丁して
お弁当用の切身にしたよ」
「とりあえずは
良かったじゃん」
「とりあえずは
・・・・・ね」
この後
鯖も【西京漬】用に
上(かみ)と下(しも)に
包丁して
銀鱈と共に
脱水シートに挟み
冷蔵庫へ
打身の部分や
切落としは
身と
皮に分け
皮は中骨と共に
出汁を取るため
焼いておきました
身は、再生用に
真空パックして
冷凍庫へ
今更ですが
銀鱈に限らず
どんな魚でも
最後まで使い切るのが
自分流です
命ある食材を無駄にしないのは
料理人としては
基本中の基本であるのは
言うまでもありません
それだけでなく
魚を獲って来てくれる
漁師のことを思うのは
料理人として
非常に大事なことです
何度もお話ししているように
料理人は
農林水産業つまり
一次産業の代弁者でなくてはなりません
そこが出来てこそ
一端(いっぱし)の料理人です
そこを目指すための
努力を怠るわけにはいきません
「銀鱈多めの【西京漬】じゃん
そんじゃ、また🐡」
by ミニふぐちゃん
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