ダイナンウミヘビ
今日の昼間、友人から、こんな写真が、
送られてきました。
彼によれば、かなり長く、鱧らしいとのことでしたが、実物を見るまでは、正解は保留となり、到着を待つことにしました。
袋から取り出し、
顔を見ると、似てはいるものの、明らかに、鱧とは違いましたし、異常なほど、
細長く、
2メートル近くありました。
これまで、色んな魚を見てきましたが、この魚は初めてで、名前すら分からなかったので、自分がふぐや鱧を仕入れている三重県熊野の魚屋さんに、メールを転送し、正解を待つこと数分、この魚が、“ダイナンウミヘビ”なる魚というこことが分かりました。
“ウミヘビ”と名がつく以上、「毒があるのか?」、それとも「魚なのか?」でしたが、魚にして、毒もなく、普通に食べられるとのことでした。
となれば、早速卸すことにしたのですが、鱧、鰻(うなぎ)、穴子(あなご)同様、ヌメリが多かったのですが、長いので、ヌメリを取るのに、かなり手間取りました。
はらわたを抜き、卸した始めたものの、まな板には乗りきらないので、途中まで開いた時点で、
このように、まな板から下ろし、
開きました。
ようやく、3分の2まで開いても、まだ、
最後の3分の1は、開くことが出来ないくらいの長さでした。
この時点では、まだ半身は、骨に付いているので、今度は、完全に身と骨を切り離したのですが、先ほどと同じく、長すぎるゆえ、かなり手間取り、胴体を、半分にしてから、
卸し終え、このように、4つの柵が出来ました。
鱧に似ていることもあり、身を触ってみると、
骨切りが必要ということが分かり、
骨切りをしました。魚体もそれなりでしたので、骨の太さを感じました。それでも、食べられない程度のものではないような感じだったこともあり、
適当な大きさに包丁してから、天ぷらにし、食べてみると、
おかずレベルでは、まずまずでした。また、皮も、少し硬かったのですが、骨同様、セーフでもありました。
自分は、骨切りをしながら、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、揚げてもらい、腹骨の部分も、
素揚げしたところ、
骨っぽいながらも、まずまずでしたので、
一緒に盛り付け、友人の夕飯というか、晩酌の共に、持たせてあげました。
自分に限らず、料理人が扱う魚は、意外と限られていて、それ以上に、食べることが出来ても、知らない魚が、あるものだと、再認識させられました。
もっと言えば、料理というよりも、料理を取り巻く環境は、かなり広く、深過ぎるゆえ、まだまだ大いに、勉強の余地ありです。
★☆★ 夏期限定 鱧(はも)料理 ☆★☆
只今、夏期限定コースとして、鱧料理をご堪能いただけるコースをご用意して、皆様のお越しをお待ち申し上げております。
『鱧彩々』 (おひとり 6,000円)と銘打ちました。この時季の美食の極みでもある鱧の味を、是非ご賞味下さいませ。
詳細は、【鱧料理】のページをご覧下さい
魳(かます)の利休焼
一昨日、沼津の魚市場に行った時のことです。
南伊豆・妻良産の魳(かます)が、
入荷していました。鮮度も良く、型も大きかっただけでなく、
そこそこ数も出ていたので、仕入れられそうな予想はしていたものの、あえなく撃沈の憂き目に・・・。
どうしても必要なものではなかったとは言え、自分としては、ちょっとしたストレスになっていました。そんな昨日、ふぐ類の仕入れ先の一つの富山県氷見で、水揚げがあったという連絡があったので、
送ってもらうことにしました。
そして、あくる日の今日、仕込みをする前に、
宅配便の営業所に、
荷物を取りに、行って来ました。【佳肴 季凛】に戻り、
予定通り、魳が入っており、どれも、
これぐらいの大きさのもので、
1本あたりの目方は、
300グラムでした。
その後、
鱗を取り、頭を落としてから、
水洗いしました。
鮮度も良いので、刺身にも使えるのですが、焼物にするため、三枚に卸してから、
出汁、薄口醤油、日本酒、赤酒を同割にしたものに、10分程漬け込みました。ちなみに、日本料理では、この漬け地のことを、若狭地と呼んでいます。調味料の割合は、料理人によって、様々ですし、使う魚によって、割合を変えたりもします。
漬け地から取り出したら、
中骨を抜き、
皮目に包丁を入れ、
串を打ち、焼きます。このまま、焼き上がったものをお出しすれば、“魳の若狭焼”となるのですが、今回は、途中で、胡麻を振り、
焼き上げ、赤紫蘇の酢に漬け込んだ牛蒡をあしらい、
“魳の利休焼”が仕上がりました。
利休とは、安土桃山時代の茶人・千利休のことで、千利休が、胡麻を好んだことにちなんで、胡麻を使った料理に、利休とつけられるのですが、彼の死後、名付けられたというのが、実際のところのようで、休という字を忌避して、久という字があてられることもあり、利が久しく続くことの願いを込めて、利久という縁起を担いだ表記されることも、あります。
胡麻の香ばしい香りと、魳の上品な脂の具合が、何とも言えません。魳は、小型の魚で、水分が多いのが特徴で、焼くことで、その真価が発揮されます。食材には、それぞれの得意分野があり、それを最大限に引き出すのが、料理人の役目です。
ところで、日本料理の焼物は、余分な水分、脂を落とした料理で、旨味が凝縮されたもので、ふっくらとした味わいは、日本料理特有のもので、健康的な調理法とも言えます。
それに対して、フレンチやイタリアンのようなフライパンのソテーには、何かしらの油を使い、油の美味しさは加わるものの、後味として、どうしても、その油が残ってしまうのです。
また、昨今では、脂が乗っていることが、美味しさの基準のように思われていますが、脂も油も、美味しさを引き出すための要素であるに過ぎないと、自分は思っています。
先ほどお話ししたように、美味しさを引き出すのが、料理人の役目で、そこを一途に、全うするよう、日々、精進するのみです。
★★★ 佳肴季凛謹製 西京漬 ★★★
当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な【西京漬】をご用意いたしております。
銀鱈、サーモン各3切入 3,480円 ※クール便にて発送可
店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
嗚呼、鰹(かつお)
“ふぐに魅せられし料理人”の自分が、刺身で一番好きな魚は、
天然のとらふぐではなく、
ブランド中のブランドの“大間の鮪(まぐろ)”と同じ生の本鮪でもなく、
夏の美食の鱧(はも)でもありません。では、一体・・・?
何を隠そう、ありとあらゆる刺身の中でも、一番好きなのが、
鰹(かつお)です。自分が通う沼津の魚市場に限らず、魚市場では、魚は、1本とか、1ケースとか、それなりの単位で、買わなくてはなりませんし、
このように、山積みにされています。
ただ、市場内の売場には、小売り店に近いような問屋もあり、
そういう問屋では、
色んな魚が、所狭しと、並べられています。並べ終わった発泡スチロールの中を見ると、
既に卸した状態の鰹の柵が、
ありました。鰹は、色変わりが激しい魚ですので、1本で仕入れても、使いきれなので、割高を承知で、買う人達も多いのです。
割高とは言っても、鰹に限らず、魚の値段は相場次第ですので、かなりのお値打ちの値段の時もあります。そんな時は、迷わず仕入れ、自分のおかず行きです。この日は、そんな状況で、願ったり叶ったりの状況となりました。
卸してあるとは言っても、下拵えは必要で、
バーナーで、皮の部分を、一気に炙ります。あとは、もう好き放題です。
鰹丼にしたり、
晩酌の肴にもし、それでも余った場合、
次の日のお昼のおかずとなります。傍で見ている女将兼愛妻(!?)の真由美さんも、最初の丼は喜びますが、鰹が続くと、飽きてしまいますし、これが、普通の人です。
飽きるというより、飽きれてしまうのは、自分の様子を見れば、言わずもがなですが、真由美さんが、飽きれてくれたとなると、自分の食い分が増えるので、しめたものです。
これまでに、
こんな食べ方をしたのは、
何度もあり、
鰹の味に酔いしれたことか・・・。
嗚呼、鰹・・・。
酸味すら感じる赤身の味わいが、堪りませんし、秋口になって、脂が乗る“戻り鰹”よりも、この時季の鰹の方が、自分は好きです。
嗚呼、鰹・・・。
GWということもあり、市場も休みになるので、鰹を味わうことは出来ませんが、それ以降、再三再四どころか、再百くらいまで、味わいたいものです。
嗚呼、鰹・・・。
今季2回目の岩牡蠣は、宮崎県産の特大サイズ
昨日、
沼津の魚市場の貝類を扱う売場に行くと、
宮崎県産の岩牡蠣が、入荷していました。先月から、入荷はあったものの、仕入れたのは、3月の最初に入荷した宮崎県産のもので、一回だけでした。というのも、それほど大きいものでもなかったからです。
ただ、昨日は、
こんな大きさのものでしたので、迷わず仕入れることにしました。
また、昨日は、『特別会席』のお客様にお出ししたのですが、
一番大きいものは、
こんな感じですので、
4つに包丁しました。
また、小さいものとの差は、
明らかですので、お出しする時は、
全体のバランスがとれるようにしています。
このように、生でお出しすることが、多いのですが、焼いたものも、捨てがたいものですし、個人的には、焼いた方が、好きです。もちろん、生でも、食べることは出来ますが・・・。
4月も終わりになり、夏の味覚の一つでもある岩牡蠣が、ようやく美味しくなってきました。少し前まで、冬の寒さが残っていましたが、季節は、夏間近です。
鯵(あじ)な一日
今朝は、沼津の魚市場へ、仕入れに行って来ました。仕入れた魚の一つが、
三重県産の鯵でした。この鯵は、
ランチの【季】(おひとり 1,500円)の主菜の“鯵と茄子の揚げ出し”などの揚物に、使うためのものですが、刺身でも十分食べられるほどの鮮度のものです。それくらいのものでないと、食べて美味しくありません。
鯵の下拵えですが、鱗を包で取ったら、“ぜいご”と呼ばれる尻尾の付近の硬い棘の部分を、
取ります。その次に、
頭を落とします。落し終えたら、
身(胴体)と、
頭に分けます。頭の部分は、通常なら捨ててしまうのですが、自分は、
半分に割ります。この後、きれいに掃除したら、こんがり焼いて、出汁を取るためです。身の方は、
きれいに水洗いしてから、三枚に卸します。卸し終えたら、バットに並べるのですが、
その時、氷が入ったバットの上に、
卸したものを入れるバットを重ねます、こうするのは、身が冷たい状態を保ち、鮮度が落ちるのを防ぐためです。バットに、
キッチンペーパーを敷いたら、
卸しながら、並べ、一杯になったら、キッチンペーパーを、再び敷いて、
卸します。全て卸し終えたら、冷蔵庫にしまいます。
頭と中骨は、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、
いつものように、掃除してもらい、
終わったものは、
それぞれ、
網に乗せ、弱火で、焦がさぬように、
出汁を取るために、焼きます。
捨ててしまうような部分も、ひと手間を惜しまぬことで、一つの食材に、することが出来るのです。ちなみに、このような下拵えは、他の魚でもしており、もうじきすると、入荷してくる鱧についても、お話ししたことがあります。
そうこうしていると、ランチの営業も終わり、お昼を食べることしました。そんな今日のお昼の賄いは、
もちろん、鯵丼です。生姜の風味で、鯵の美味しさが、一層引き立てられ、つい食べ過ぎてしまいました。
また、毎週水曜日は、下の娘が、スイミングスクールに通っていて、お弁当持参ですので、
そのお弁当にも、鯵をフライにして、入れました。
使いきれないものは、
真空パックして、冷凍しておきました。こうすることで、入荷が無い時や、急なご予約にも、ちゃんとしたものをお出しすることが出来ます。
こんな風に、鯵に始まり、鯵に終わった一日の〆は、
揚げたての熱々の鯵フライを肴に、再び鯵の美味しさを、堪能し、“鯵な一日”は、終わったのでした。
今シーズン初入荷の岩牡蠣は、宮崎県産
今朝は、沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。
構内にある貝専門の売場に行くと、
三重県鳥羽産の牡蠣をはじめ、
蜆(しじみ)や、蛤(はまぐり)、
北海道産の北寄(ほっき)貝、
“カラホ”と呼ばれている殻付の帆立や、“ムキホ”と呼ばれる殻を外した帆立が、並んでいました。どちらも、産地は、三陸や北海道です。
これらは、この時季の定番のものですが、その中に、あるものが、
目に留まりました。
御覧のように、宮崎県産の岩牡蠣です。
例年、3月になると、九州などから入荷してくるのですが、今シーズン初めてということもあり、自分好みの良さそうなものを、
選り抜き、この5個を仕入れることにしました。
そんな今夜、お品書きには書きませんでしたが、5個のうちの2個を剥き、
常連のお客様に、
お出ししました。剥いた時点で、大体の様子は分かっていましたが、営業終了後に、
残りの3個を剥きました。“走り”とはいえ、3個とも、
このような感じでした。写真のような乳白色が、濃いほど、味も濃厚になります。
試食したところ、幾分早いような感じはしましたが、岩牡蠣特有の風味と旨味を味わうことが出来ました。自分が市場に行って、良さそうなものがあれば、仕入れてくるつもりですが、恥ずかしくないものとなると、夏が旬の鱧(はも)の入荷が、増えてくる頃になりそうです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
沼津産のあぶらぼうず
二日連続で、今朝も、
沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。構内を歩いていると、
かなり大きい魚が4本、並んでいました。近付いて、見てみると、
このうちの3本は、
30キロ前後のもので、もう1本は、
85キロの超特大サイズのものでした。この魚は、“あぶらぼうず”と呼ばれる魚で、南伊豆産のものでした。
これだけ大きい魚ですので、【佳肴 季凛】のようなところでは、使い切ることが出来ませんので、入荷があっても、普段は素通りするのですが、どんな食材でも、知りたがりの自分ですので、色々と調べてみることにしました。
その名の通り、身にかなりの脂肪分があるのが特徴です。また、沼津近辺では、“おしつけ”と呼ばれてもいます。“おしつけ”という名前を、初めて聞いたのは、とある飲食店だったのですが、その店のお勧めの一品を、強くセールスしたいがための名前だと、自分は思ったことがあります。
色々と調べてみると、元々、おしつけという言葉は、宮中などのお屋敷で、女中が毒見をすることを意味し、脂が多い“あぶらぼうず”が、食べると、お腹がGuruGuruをする場合もあることから、毒見を要する魚の意味が、一つの説のようです。
GuruGuruの意味するところは、このブログには相応しくない言葉ですので、ご察し下さい。
“あぶらぼうず”は、当店のでもお出ししている【西京漬】の“銀鱈”と同じギンダラ科の魚であるので、脂が多いのも、納得がいきます。
ただ、そのような“あぶらぼうず”ですが、食品衛生法によって、市場や魚屋では販売禁止となっている“ばらむつ”や“あぶらそこむつ”のワックスエステル(蝋)とは違う脂質のトリグリセリドなので、流通が可能なのです。
また、“あぶらぼうず”は、神奈川県小田原市で多く消費されることもあり、“小田原のソウルフード”とも呼ばれており、スーパーなどの鮮魚コーナーでも、売られているようです。刺身だけでなく、脂もあるので、煮たり、焼いたりするには、恰好の魚で、近い将来、もっとメジャーになる可能性もあるかもしれません。
今日のお昼の賄いは、沼津産の歯鰹(はがつお)の丼
今朝、沼津の魚市場に行くと、
市場専用のコンテナに、
地物の歯鰹(はがつお)が、入荷していました。昨日の午後水揚げされたので、今朝のセリにかけられました。また、この売場だけでなく、
別の売場にも、かなりの数の歯鰹が、入荷していました。これだけ入荷していたので、お値打ち価格で、仕入れることが出来ました。
【佳肴 季凛】に戻り、
まな板に乗せ、卸すことにしました。このように、顔が長いことから、“キツネ”とも呼ばれていますが、歯鰹という名前は、歯が犬歯状で鋭いことから、付けられたようです。
卸すと、
身は、このような淡いピンク色をしています。
お腹の部分は、バーナーで炙り、
背の部分と、盛り付けました。淡い色と変わらない味わいは、春の訪れの気配を、感じぜずにはいられません。
また、今朝は、予想外のお値打ち価格で、仕入れることが出来たので、
お昼の賄いを、はがつお丼にしました。赤身の魚でありながらも、淡白な味わいですので、酢飯と合うこと、この上なく、こんな賄いが出来るのも、市場に通う者の特権ですし、“早起きは三文の得”とは、よく言ったものです。
また、頭などのアラの部分は、
こんがり焼いて、出汁を取るように、しておきました。
明日も、市場に行きます。思う魚が仕入れられ、今日のような賄いにありつけられたら、三文が倍でなく、2乗となり、九文となるでしょう。
仮説『鯵(あじ)の不漁と鰤(ぶり)の豊漁の相関関係』
2月10日(火)の【産経新聞】に、
こんなことが書かれており、
そのページを開きました。そこには、
「消える?アジフライ」という見出し共に、鯵(アジ)の水揚げ減少について、書かれていました。冒頭に、漁獲量のグラフがあり、
その説明と、
考えられる原因が、書かれていました。結論としては、不明ということでした。ただ、自分としては、これまでに何度もお話ししていように、水産資源そのものの枯渇ということが、一番の原因としか考えられません。
改めて、このような記事を目にすると、週に何度か、沼津の魚市場に通っている自分としては、すんなり納得出来ませんし、とかくマスメディアは、誇張した記事を書くのも、どうかと思います。
鯵に限らず、市場で取り引きされる魚は、セリによって取引され、入荷が少なく、欲しい人が多ければ、値段は上がります。逆の現象も、あります。また、前日まで、安かったものが、次の日には、倍以上の値段がつくこともしばしばで、気象条件、曜日、季節など様々な要因が絡んで、値段がつくものなのです。
そんな記事を読んでから、鯵については、多少気にかけていたところ、昨日、市場に行くと、
セリが終わったにもかかわらず、鯵がこんなに残っていました。産地も、
神奈川県・真鶴をはじめ、
島根県・浜田、
富山県・新湊、
鹿児島県、
千葉県・銚子と全国各地のものでした。セリで売れ残ったとは言え、浜値(水揚げされた漁港での値段)があるので、それ以下で、買うことは、不可能です。これらの行先は、ともかく、鯵の不漁が、本当かどうかが、疑わしくなると思わざるを得ないと一般の方は、思うかもしれませんが、自分としては、これが、自然相手にしている相場ものの一面なのです。
ただ、鯵の不漁に関して、市場で、色んな人と話をしていると、ある仮説が成り立ちました。それは、ここ2、3年、豊漁の鰤(ぶり)に原因があるということでした。そんな鰤の漁獲高の推移については、こちらをご覧ください。
今朝の市場には、
この写真の端まで、鰤の発泡スチロールが並んでしました。産地は、
三重県・志摩、
同じく尾鷲、
長崎県・松浦、
同じく長崎市、
高知県と、並んでいました。また、別の売り場にも、
長崎県・壱岐のものが、
入荷しており、産地だけでも、日本全国のかなりの広範囲でした。しかも、魚体は、10キロ弱から、15キロUPまでのかなりの大型のものばかりでした。
鰤は、鰯、鯵などの小魚をエサにしているのですが、中でも鯵を好むらしく、それが、鯵の不漁につながっているのですが、さらに、その原因は、鰤の養殖と関係があるのです。
ちなみに、鰤の若魚を、関西では、はまちと呼びますが、関東では、養殖の鰤を、はまちと呼んでいます。関東でいうところのいなだが、関西のはまちサイズのもののことです。ただ、ここでは分かりやすくするため、鰤のまま、お話しします。
鰤を養殖する場合、もじゃこと呼ばれる稚魚を獲り、それを生簀に入れ、成長させていきます。何年か前までは、養殖魚の代名詞みたな存在でしたが、勘八(かんぱち)や、縞鯵(しまあじ)が、人気になり始めました。
さらに、養殖魚の中で、赤丸急上昇的に、人気が出て来たのが、
当店の【西京漬】でも御用意しているサーモンや、その仲間でもあるトラウトサーモンなどです。
サーモンは、鮮やかなオレンジ色をしており、盛り付けた時の色目も良いのが特徴で、色が変わりにくいのも、使う側にとっては、都合が良いのです。それに対して、鰤は、色が変わるのが、かなり早く、刺身でお出しするには、時間的な制約が、生じてしまうのです。
色目と言えば、赤い色が特徴の鮪類は、刺身になくてはならない魚でしたが、原価率を押し上げることもあり、サーモンの使用頻度が、高くなり始め、今では、鮪以上の人気もあるのが、実状です。
また、日本人の食生活が欧米化したことにより、魚本来の味よりも、脂の乗りを求める傾向が強くなったことも、サーモンの人気に拍車を、かけました。
つまり、鯵の不漁は、鰤の豊漁の裏返しでもあり、自然現象のように見えるのですが、その背景には、日本人の食生活の変化という人為的なものが、大きく関与しているとも言えます。
ただ、どんな魚でも、所謂“当たり年”と、そうでない年がありますが、市場という現場に通うことによって、本当の状況を見て、考える姿勢は、今後、食に携わる者にとっては、ますます重要かもしれません。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
ミハラハナダイ
今朝は、
沼津の魚市場に、行って来ました。いつものように、構内を歩いていると、
こんな風に並べられた魚が、目に入って来ました。しばらく、この場に立っていると、売場の担当者が、やって来て、「季凛さん、この魚って、知っています?」と、訊かれました。
「知らないし、初めて見たよ。」と、応えると、担当者は、「もしかすると、分かるかと思ったけど・・・。この魚の名前を知っていたのは、一人だけでしたよ。」と、言いました。
「それはそれとして、何て名前なの?」と、自分が訊くと、「ミハラハナダイっていう魚です。」と、応えてくれました。
その後、一通りの仕入れを終え、【佳肴 季凛】に戻ると、『日本産魚類大図鑑』という本を取り出し、
“ミハラハナダイについて、調べることにしました。この本は、日本近海に棲んでいる全ての魚類が載っている学術書で、これに載っていない魚は、新種のものとされると、言われています。一介の料理人の自分が、何故持っているのかというと、水産学部を卒業したものの、現在は、違う分野の仕事をしている友人にもらったからです。
先ずは、図版の方を開くと、
このページの上に、
写真があり、
ページの一番下に、“ミハラハナダイ”と、書かれています。 その次に、解説の方を開くと、
こんな記述がありました。ただ、これだけでは、分からないので、こちらのサイトも、読んでみることにしました。
今朝の時点で、仕入れて、試食してみたかったのですが、既に、売れてしまっていたので、出来ず仕舞いでしたが、機会があれば、次回は是非、仕入れてみたいと思います。とは言っても、先ほどのサイトにもあるように、珍魚のレベルで、流通することは、ごく稀とのことですので、いつになるのやら・・・。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★
(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は六周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた夜の会席コースを御用意致しました。
なお、お召し上がり頂ける期間は、10月5日(日)までとなっております。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。