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もっとおいしいお話し

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ダイナンウミヘビ

今日の昼間、友人から、こんな写真が、

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送られてきました。

 

彼によれば、かなり長く、鱧らしいとのことでしたが、実物を見るまでは、正解は保留となり、到着を待つことにしました。

 

袋から取り出し、

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顔を見ると、似てはいるものの、明らかに、鱧とは違いましたし、異常なほど、

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細長く、

naga

2メートル近くありました。

 

これまで、色んな魚を見てきましたが、この魚は初めてで、名前すら分からなかったので、自分がふぐや鱧を仕入れている三重県熊野の魚屋さんに、メールを転送し、正解を待つこと数分、この魚が、“ダイナンウミヘビ”なる魚というこことが分かりました。

 

“ウミヘビ”と名がつく以上、「毒があるのか?」、それとも「魚なのか?」でしたが、魚にして、毒もなく、普通に食べられるとのことでした。

 

となれば、早速卸すことにしたのですが、鱧、鰻(うなぎ)、穴子(あなご)同様、ヌメリが多かったのですが、長いので、ヌメリを取るのに、かなり手間取りました。

 

はらわたを抜き、卸した始めたものの、まな板には乗りきらないので、途中まで開いた時点で、

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このように、まな板から下ろし、

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開きました。

 

ようやく、3分の2まで開いても、まだ、

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最後の3分の1は、開くことが出来ないくらいの長さでした。

 

この時点では、まだ半身は、骨に付いているので、今度は、完全に身と骨を切り離したのですが、先ほどと同じく、長すぎるゆえ、かなり手間取り、胴体を、半分にしてから、

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卸し終え、このように、4つの柵が出来ました。

 

鱧に似ていることもあり、身を触ってみると、

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骨切りが必要ということが分かり、

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骨切りをしました。魚体もそれなりでしたので、骨の太さを感じました。それでも、食べられない程度のものではないような感じだったこともあり、

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適当な大きさに包丁してから、天ぷらにし、食べてみると、

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おかずレベルでは、まずまずでした。また、皮も、少し硬かったのですが、骨同様、セーフでもありました。

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自分は、骨切りをしながら、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、揚げてもらい、腹骨の部分も、

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素揚げしたところ、

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骨っぽいながらも、まずまずでしたので、

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一緒に盛り付け、友人の夕飯というか、晩酌の共に、持たせてあげました。

 

自分に限らず、料理人が扱う魚は、意外と限られていて、それ以上に、食べることが出来ても、知らない魚が、あるものだと、再認識させられました。

 

もっと言えば、料理というよりも、料理を取り巻く環境は、かなり広く、深過ぎるゆえ、まだまだ大いに、勉強の余地ありです。

 

★☆★ 夏期限定 鱧(はも)料理 ☆★☆

只今、夏期限定コースとして、鱧料理をご堪能いただけるコースをご用意して、皆様のお越しをお待ち申し上げております。

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『鱧彩々』 (おひとり 6,000円)と銘打ちました。この時季の美食の極みでもある鱧の味を、是非ご賞味下さいませ。

詳細は、【鱧料理】のページをご覧下さい

魳(かます)の利休焼

一昨日、沼津の魚市場に行った時のことです。

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南伊豆・妻良産の魳(かます)が、

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入荷していました。鮮度も良く、型も大きかっただけでなく、

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そこそこ数も出ていたので、仕入れられそうな予想はしていたものの、あえなく撃沈の憂き目に・・・。

 

どうしても必要なものではなかったとは言え、自分としては、ちょっとしたストレスになっていました。そんな昨日、ふぐ類の仕入れ先の一つの富山県氷見で、水揚げがあったという連絡があったので、

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送ってもらうことにしました。

 

そして、あくる日の今日、仕込みをする前に、

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宅配便の営業所に、

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荷物を取りに、行って来ました。【佳肴 季凛】に戻り、

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予定通り、魳が入っており、どれも、

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これぐらいの大きさのもので、

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1本あたりの目方は、

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300グラムでした。

 

その後、

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鱗を取り、頭を落としてから、

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水洗いしました。

 

鮮度も良いので、刺身にも使えるのですが、焼物にするため、三枚に卸してから、

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出汁、薄口醤油、日本酒、赤酒を同割にしたものに、10分程漬け込みました。ちなみに、日本料理では、この漬け地のことを、若狭地と呼んでいます。調味料の割合は、料理人によって、様々ですし、使う魚によって、割合を変えたりもします。

 

漬け地から取り出したら、

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中骨を抜き、

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皮目に包丁を入れ、

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串を打ち、焼きます。このまま、焼き上がったものをお出しすれば、“魳の若狭焼”となるのですが、今回は、途中で、胡麻を振り、

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焼き上げ、赤紫蘇の酢に漬け込んだ牛蒡をあしらい、

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“魳の利休焼”が仕上がりました。

 

利休とは、安土桃山時代の茶人・千利休のことで、千利休が、胡麻を好んだことにちなんで、胡麻を使った料理に、利休とつけられるのですが、彼の死後、名付けられたというのが、実際のところのようで、休という字を忌避して、久という字があてられることもあり、利が久しく続くことの願いを込めて、利久という縁起を担いだ表記されることも、あります。

 

胡麻の香ばしい香りと、魳の上品な脂の具合が、何とも言えません。魳は、小型の魚で、水分が多いのが特徴で、焼くことで、その真価が発揮されます。食材には、それぞれの得意分野があり、それを最大限に引き出すのが、料理人の役目です。

 

ところで、日本料理の焼物は、余分な水分、脂を落とした料理で、旨味が凝縮されたもので、ふっくらとした味わいは、日本料理特有のもので、健康的な調理法とも言えます。

 

それに対して、フレンチやイタリアンのようなフライパンのソテーには、何かしらの油を使い、油の美味しさは加わるものの、後味として、どうしても、その油が残ってしまうのです。

 

また、昨今では、脂が乗っていることが、美味しさの基準のように思われていますが、脂も油も、美味しさを引き出すための要素であるに過ぎないと、自分は思っています。

 

先ほどお話ししたように、美味しさを引き出すのが、料理人の役目で、そこを一途に、全うするよう、日々、精進するのみです。

 

★★★ 佳肴季凛謹製 西京漬 ★★★

当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な【西京漬】をご用意いたしております。

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銀鱈、サーモン各3切入  3,480円     ※クール便にて発送可

店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。

嗚呼、鰹(かつお)

“ふぐに魅せられし料理人”の自分が、刺身で一番好きな魚は、

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天然のとらふぐではなく、

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ブランド中のブランドの“大間の鮪(まぐろ)”と同じ生の本鮪でもなく、

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夏の美食の鱧(はも)でもありません。では、一体・・・?

 

何を隠そう、ありとあらゆる刺身の中でも、一番好きなのが、

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鰹(かつお)です。自分が通う沼津の魚市場に限らず、魚市場では、魚は、1本とか、1ケースとか、それなりの単位で、買わなくてはなりませんし、

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このように、山積みにされています。

 

ただ、市場内の売場には、小売り店に近いような問屋もあり、

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そういう問屋では、

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色んな魚が、所狭しと、並べられています。並べ終わった発泡スチロールの中を見ると、

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既に卸した状態の鰹の柵が、

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ありました。鰹は、色変わりが激しい魚ですので、1本で仕入れても、使いきれなので、割高を承知で、買う人達も多いのです。

 

割高とは言っても、鰹に限らず、魚の値段は相場次第ですので、かなりのお値打ちの値段の時もあります。そんな時は、迷わず仕入れ、自分のおかず行きです。この日は、そんな状況で、願ったり叶ったりの状況となりました。

 

卸してあるとは言っても、下拵えは必要で、

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バーナーで、皮の部分を、一気に炙ります。あとは、もう好き放題です。

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鰹丼にしたり、

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晩酌の肴にもし、それでも余った場合、

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次の日のお昼のおかずとなります。傍で見ている女将兼愛妻(!?)の真由美さんも、最初の丼は喜びますが、鰹が続くと、飽きてしまいますし、これが、普通の人です。

 

飽きるというより、飽きれてしまうのは、自分の様子を見れば、言わずもがなですが、真由美さんが、飽きれてくれたとなると、自分の食い分が増えるので、しめたものです。

 

これまでに、

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こんな食べ方をしたのは、

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何度もあり、

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鰹の味に酔いしれたことか・・・。

 

嗚呼、鰹・・・。

 

酸味すら感じる赤身の味わいが、堪りませんし、秋口になって、脂が乗る“戻り鰹”よりも、この時季の鰹の方が、自分は好きです。

 

嗚呼、鰹・・・。

 

GWということもあり、市場も休みになるので、鰹を味わうことは出来ませんが、それ以降、再三再四どころか、再百くらいまで、味わいたいものです。

 

嗚呼、鰹・・・。

今季2回目の岩牡蠣は、宮崎県産の特大サイズ

昨日、

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沼津の魚市場の貝類を扱う売場に行くと、

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宮崎県産の岩牡蠣が、入荷していました。先月から、入荷はあったものの、仕入れたのは、3月の最初に入荷した宮崎県産のもので、一回だけでした。というのも、それほど大きいものでもなかったからです。

 

ただ、昨日は、

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こんな大きさのものでしたので、迷わず仕入れることにしました。

 

また、昨日は、『特別会席』のお客様にお出ししたのですが、

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一番大きいものは、

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こんな感じですので、

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4つに包丁しました。

 

また、小さいものとの差は、

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明らかですので、お出しする時は、

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全体のバランスがとれるようにしています。

 

このように、生でお出しすることが、多いのですが、焼いたものも、捨てがたいものですし、個人的には、焼いた方が、好きです。もちろん、生でも、食べることは出来ますが・・・。

 

4月も終わりになり、夏の味覚の一つでもある岩牡蠣が、ようやく美味しくなってきました。少し前まで、冬の寒さが残っていましたが、季節は、夏間近です。

鯵(あじ)な一日

今朝は、沼津の魚市場へ、仕入れに行って来ました。仕入れた魚の一つが、

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三重県産の鯵でした。この鯵は、

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ランチの【季】(おひとり 1,500円)の主菜の“鯵と茄子の揚げ出し”などの揚物に、使うためのものですが、刺身でも十分食べられるほどの鮮度のものです。それくらいのものでないと、食べて美味しくありません。

 

鯵の下拵えですが、鱗を包で取ったら、“ぜいご”と呼ばれる尻尾の付近の硬い棘の部分を、

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取ります。その次に、

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頭を落とします。落し終えたら、

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身(胴体)と、

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頭に分けます。頭の部分は、通常なら捨ててしまうのですが、自分は、

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半分に割ります。この後、きれいに掃除したら、こんがり焼いて、出汁を取るためです。身の方は、

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きれいに水洗いしてから、三枚に卸します。卸し終えたら、バットに並べるのですが、

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その時、氷が入ったバットの上に、

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卸したものを入れるバットを重ねます、こうするのは、身が冷たい状態を保ち、鮮度が落ちるのを防ぐためです。バットに、

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キッチンペーパーを敷いたら、

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卸しながら、並べ、一杯になったら、キッチンペーパーを、再び敷いて、

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卸します。全て卸し終えたら、冷蔵庫にしまいます。

 

頭と中骨は、

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女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、

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いつものように、掃除してもらい、

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終わったものは、

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それぞれ、

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網に乗せ、弱火で、焦がさぬように、

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出汁を取るために、焼きます。

 

捨ててしまうような部分も、ひと手間を惜しまぬことで、一つの食材に、することが出来るのです。ちなみに、このような下拵えは、他の魚でもしており、もうじきすると、入荷してくる鱧についても、お話ししたことがあります。

 

そうこうしていると、ランチの営業も終わり、お昼を食べることしました。そんな今日のお昼の賄いは、

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もちろん、鯵丼です。生姜の風味で、鯵の美味しさが、一層引き立てられ、つい食べ過ぎてしまいました。

 

また、毎週水曜日は、下の娘が、スイミングスクールに通っていて、お弁当持参ですので、

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そのお弁当にも、鯵をフライにして、入れました。

 

使いきれないものは、

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真空パックして、冷凍しておきました。こうすることで、入荷が無い時や、急なご予約にも、ちゃんとしたものをお出しすることが出来ます。

 

こんな風に、鯵に始まり、鯵に終わった一日の〆は、

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揚げたての熱々の鯵フライを肴に、再び鯵の美味しさを、堪能し、“鯵な一日”は、終わったのでした。

今シーズン初入荷の岩牡蠣は、宮崎県産

今朝は、沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。

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構内にある貝専門の売場に行くと、

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三重県鳥羽産の牡蠣をはじめ、

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蜆(しじみ)や、蛤(はまぐり)、

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北海道産の北寄(ほっき)貝、

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“カラホ”と呼ばれている殻付の帆立や、“ムキホ”と呼ばれる殻を外した帆立が、並んでいました。どちらも、産地は、三陸や北海道です。

 

これらは、この時季の定番のものですが、その中に、あるものが、

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目に留まりました。

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御覧のように、宮崎県産の岩牡蠣です。

 

例年、3月になると、九州などから入荷してくるのですが、今シーズン初めてということもあり、自分好みの良さそうなものを、

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選り抜き、この5個を仕入れることにしました。

 

そんな今夜、お品書きには書きませんでしたが、5個のうちの2個を剥き、

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常連のお客様に、

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お出ししました。剥いた時点で、大体の様子は分かっていましたが、営業終了後に、

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残りの3個を剥きました。“走り”とはいえ、3個とも、

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このような感じでした。写真のような乳白色が、濃いほど、味も濃厚になります。

 

試食したところ、幾分早いような感じはしましたが、岩牡蠣特有の風味と旨味を味わうことが出来ました。自分が市場に行って、良さそうなものがあれば、仕入れてくるつもりですが、恥ずかしくないものとなると、夏が旬の鱧(はも)の入荷が、増えてくる頃になりそうです。

 

★★★ 期間限定 会席料理 ★★★

2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。

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先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。

沼津産のあぶらぼうず

二日連続で、今朝も、

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沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。構内を歩いていると、

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かなり大きい魚が4本、並んでいました。近付いて、見てみると、

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このうちの3本は、

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30キロ前後のもので、もう1本は、

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85キロの超特大サイズのものでした。この魚は、“あぶらぼうず”と呼ばれる魚で、南伊豆産のものでした。

 

これだけ大きい魚ですので、【佳肴 季凛】のようなところでは、使い切ることが出来ませんので、入荷があっても、普段は素通りするのですが、どんな食材でも、知りたがりの自分ですので、色々と調べてみることにしました。

 

その名の通り、身にかなりの脂肪分があるのが特徴です。また、沼津近辺では、“おしつけ”と呼ばれてもいます。“おしつけ”という名前を、初めて聞いたのは、とある飲食店だったのですが、その店のお勧めの一品を、強くセールスしたいがための名前だと、自分は思ったことがあります。

 

色々と調べてみると、元々、おしつけという言葉は、宮中などのお屋敷で、女中が毒見をすることを意味し、脂が多い“あぶらぼうず”が、食べると、お腹がGuruGuruをする場合もあることから、毒見を要する魚の意味が、一つの説のようです。

 

GuruGuruの意味するところは、このブログには相応しくない言葉ですので、ご察し下さい。

 

“あぶらぼうず”は、当店のでもお出ししている【西京漬】の“銀鱈”と同じギンダラ科の魚であるので、脂が多いのも、納得がいきます。

 

ただ、そのような“あぶらぼうず”ですが、食品衛生法によって、市場や魚屋では販売禁止となっている“ばらむつ”や“あぶらそこむつ”のワックスエステル(蝋)とは違う脂質のトリグリセリドなので、流通が可能なのです。

 

また、“あぶらぼうず”は、神奈川県小田原市で多く消費されることもあり、“小田原のソウルフード”とも呼ばれており、スーパーなどの鮮魚コーナーでも、売られているようです。刺身だけでなく、脂もあるので、煮たり、焼いたりするには、恰好の魚で、近い将来、もっとメジャーになる可能性もあるかもしれません。

今日のお昼の賄いは、沼津産の歯鰹(はがつお)の丼

今朝、沼津の魚市場に行くと、

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市場専用のコンテナに、

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地物の歯鰹(はがつお)が、入荷していました。昨日の午後水揚げされたので、今朝のセリにかけられました。また、この売場だけでなく、

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別の売場にも、かなりの数の歯鰹が、入荷していました。これだけ入荷していたので、お値打ち価格で、仕入れることが出来ました。

 

【佳肴 季凛】に戻り、

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まな板に乗せ、卸すことにしました。このように、顔が長いことから、“キツネ”とも呼ばれていますが、歯鰹という名前は、歯が犬歯状で鋭いことから、付けられたようです。

 

卸すと、

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身は、このような淡いピンク色をしています。

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お腹の部分は、バーナーで炙り、

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背の部分と、盛り付けました。淡い色と変わらない味わいは、春の訪れの気配を、感じぜずにはいられません。

 

また、今朝は、予想外のお値打ち価格で、仕入れることが出来たので、

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お昼の賄いを、はがつお丼にしました。赤身の魚でありながらも、淡白な味わいですので、酢飯と合うこと、この上なく、こんな賄いが出来るのも、市場に通う者の特権ですし、“早起きは三文の得”とは、よく言ったものです。

 

また、頭などのアラの部分は、

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こんがり焼いて、出汁を取るように、しておきました。

 

明日も、市場に行きます。思う魚が仕入れられ、今日のような賄いにありつけられたら、三文が倍でなく、2乗となり、九文となるでしょう。

仮説『鯵(あじ)の不漁と鰤(ぶり)の豊漁の相関関係』

2月10日(火)の【産経新聞】に、

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こんなことが書かれており、

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そのページを開きました。そこには、

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「消える?アジフライ」という見出し共に、鯵(アジ)の水揚げ減少について、書かれていました。冒頭に、漁獲量のグラフがあり、

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その説明と、

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考えられる原因が、書かれていました。結論としては、不明ということでした。ただ、自分としては、これまでに何度もお話ししていように、水産資源そのものの枯渇ということが、一番の原因としか考えられません。

 

改めて、このような記事を目にすると、週に何度か、沼津の魚市場に通っている自分としては、すんなり納得出来ませんし、とかくマスメディアは、誇張した記事を書くのも、どうかと思います。

 

鯵に限らず、市場で取り引きされる魚は、セリによって取引され、入荷が少なく、欲しい人が多ければ、値段は上がります。逆の現象も、あります。また、前日まで、安かったものが、次の日には、倍以上の値段がつくこともしばしばで、気象条件、曜日、季節など様々な要因が絡んで、値段がつくものなのです。

 

そんな記事を読んでから、鯵については、多少気にかけていたところ、昨日、市場に行くと、

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セリが終わったにもかかわらず、鯵がこんなに残っていました。産地も、

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神奈川県・真鶴をはじめ、

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島根県・浜田、

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富山県・新湊、

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鹿児島県、

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千葉県・銚子と全国各地のものでした。セリで売れ残ったとは言え、浜値(水揚げされた漁港での値段)があるので、それ以下で、買うことは、不可能です。これらの行先は、ともかく、鯵の不漁が、本当かどうかが、疑わしくなると思わざるを得ないと一般の方は、思うかもしれませんが、自分としては、これが、自然相手にしている相場ものの一面なのです。

 

ただ、鯵の不漁に関して、市場で、色んな人と話をしていると、ある仮説が成り立ちました。それは、ここ2、3年、豊漁の鰤(ぶり)に原因があるということでした。そんな鰤の漁獲高の推移については、こちらをご覧ください。

 

今朝の市場には、

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この写真の端まで、鰤の発泡スチロールが並んでしました。産地は、

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三重県・志摩、

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同じく尾鷲、

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長崎県・松浦、

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同じく長崎市、

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高知県と、並んでいました。また、別の売り場にも、

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長崎県・壱岐のものが、

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入荷しており、産地だけでも、日本全国のかなりの広範囲でした。しかも、魚体は、10キロ弱から、15キロUPまでのかなりの大型のものばかりでした。

 

鰤は、鰯、鯵などの小魚をエサにしているのですが、中でも鯵を好むらしく、それが、鯵の不漁につながっているのですが、さらに、その原因は、鰤の養殖と関係があるのです。

 

ちなみに、鰤の若魚を、関西では、はまちと呼びますが、関東では、養殖の鰤を、はまちと呼んでいます。関東でいうところのいなだが、関西のはまちサイズのもののことです。ただ、ここでは分かりやすくするため、鰤のまま、お話しします。

 

鰤を養殖する場合、もじゃこと呼ばれる稚魚を獲り、それを生簀に入れ、成長させていきます。何年か前までは、養殖魚の代名詞みたな存在でしたが、勘八(かんぱち)や、縞鯵(しまあじ)が、人気になり始めました。

 

さらに、養殖魚の中で、赤丸急上昇的に、人気が出て来たのが、

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当店の【西京漬】でも御用意しているサーモンや、その仲間でもあるトラウトサーモンなどです。

 

サーモンは、鮮やかなオレンジ色をしており、盛り付けた時の色目も良いのが特徴で、色が変わりにくいのも、使う側にとっては、都合が良いのです。それに対して、鰤は、色が変わるのが、かなり早く、刺身でお出しするには、時間的な制約が、生じてしまうのです。

 

色目と言えば、赤い色が特徴の鮪類は、刺身になくてはならない魚でしたが、原価率を押し上げることもあり、サーモンの使用頻度が、高くなり始め、今では、鮪以上の人気もあるのが、実状です。

 

また、日本人の食生活が欧米化したことにより、魚本来の味よりも、脂の乗りを求める傾向が強くなったことも、サーモンの人気に拍車を、かけました。

 

つまり、鯵の不漁は、鰤の豊漁の裏返しでもあり、自然現象のように見えるのですが、その背景には、日本人の食生活の変化という人為的なものが、大きく関与しているとも言えます。

 

ただ、どんな魚でも、所謂“当たり年”と、そうでない年がありますが、市場という現場に通うことによって、本当の状況を見て、考える姿勢は、今後、食に携わる者にとっては、ますます重要かもしれません。

 

★★★ 期間限定 会席料理 ★★★

2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。

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先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。

ミハラハナダイ

今朝は、

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沼津の魚市場に、行って来ました。いつものように、構内を歩いていると、

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こんな風に並べられた魚が、目に入って来ました。しばらく、この場に立っていると、売場の担当者が、やって来て、「季凛さん、この魚って、知っています?」と、訊かれました。

 

「知らないし、初めて見たよ。」と、応えると、担当者は、「もしかすると、分かるかと思ったけど・・・。この魚の名前を知っていたのは、一人だけでしたよ。」と、言いました。

 

「それはそれとして、何て名前なの?」と、自分が訊くと、「ミハラハナダイっていう魚です。」と、応えてくれました。

 

その後、一通りの仕入れを終え、【佳肴 季凛】に戻ると、『日本産魚類大図鑑』という本を取り出し、

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“ミハラハナダイについて、調べることにしました。この本は、日本近海に棲んでいる全ての魚類が載っている学術書で、これに載っていない魚は、新種のものとされると、言われています。一介の料理人の自分が、何故持っているのかというと、水産学部を卒業したものの、現在は、違う分野の仕事をしている友人にもらったからです。

 

先ずは、図版の方を開くと、

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このページの上に、

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写真があり、

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ページの一番下に、“ミハラハナダイ”と、書かれています。 その次に、解説の方を開くと、

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こんな記述がありました。ただ、これだけでは、分からないので、こちらのサイトも、読んでみることにしました。

 

今朝の時点で、仕入れて、試食してみたかったのですが、既に、売れてしまっていたので、出来ず仕舞いでしたが、機会があれば、次回は是非、仕入れてみたいと思います。とは言っても、先ほどのサイトにもあるように、珍魚のレベルで、流通することは、ごく稀とのことですので、いつになるのやら・・・。

 

★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★

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(全9品  お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は六周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた夜の会席コースを御用意致しました。

 

なお、お召し上がり頂ける期間は、10月5日(日)までとなっております。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。

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