秋らしい『特別会席』
Vol.3784
“身体に優しい、美味しい日本料理”を、
信条とする『佳肴 季凛』店主兼
熱血料理人の志村弘信です。
当店のコース料理の
『特別会席』(おひとり121,00円~)は、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/image-6.png)
御覧のように、
お客様のご予算、ご要望に応じて、
献立を決めさせて頂いています。
その内容は、千差万別ですが、
いわゆる“お任せ”となると、
俄然、力が入ってしまう自分です。
今日の『特別会席』の献立も、
そんな感じのもので、
しかも、“昼特”こと、
昼間の『特別会席』でした。
ということで、今日のお話しは、
タイトルにもあるように、
【秋らしい『特別会席』】についてです。
秋とは言っても、
夏の名残と秋の走りの
端境(はざかい)ですので、
どちらの食材も味わえる
“好いとこ取り”の献立でした。
先付は、
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もろこし豆腐で、
名残の食材ということになります。
二品目は、
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鱧の天ぷら(夏)で、
鱧料理の中でも、
人気のあるものだけでなく、
個人的にも、夏になると、
ついつい・・・。
夏の食材が続いた後は、
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鱧と松茸の土瓶蒸しで、
夏と秋のコラボとも言えます。
日本料理では、
“鱧松(はもまつ)”なる言葉もあり、
ゴールデンコンビとも言っても、
過言ではありません。
また、このような組合わせのことを、
“出会いもの”とも呼んでおり、
同じ季節に出回る
相性が良い食材のことです。
自分が仕立てる土瓶蒸しは、
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鱧と、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG4115-1.jpg)
松茸のみで、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG4150.jpg)
出汁は、焼いてから、
じっくり煮出した
鱧の出汁がベースです。
鱧の出汁は、コラーゲン豊富なので、
美しくなれる、
美味しい食事にして、
文字通りの美食です。
熱々の出汁を注ぎ、
蒸すこと15分弱。
蓋を取り、日本酒を数滴たらし、
三つ葉を散らしたら、蓋をし、
酢橘(すだち)を添え、
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お客様の下へ。
松茸はChina産ですが、
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多めに入れることで、その点はカバー。
“昼特”ということもあり、
料理の進み具合は早く、
続けざまに、
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ふぐ刺(秋~冬)を。
ふぐは、
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木曜日に卸したものなので、
歯応えと旨味が、ちょうど
黄金比率に達した状態で、
この中の
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どれかです。
また、今日は、
生ものを控えている
お客様もいらっしゃったので、
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先程のふぐ刺の代わりに、
真空調理で仕立てた
ふぐ刺をお出ししました。
真空調理は低温調理とも
呼ばれているように、
加熱したものです。
ふぐ刺の次は、
季節を問わない
当店の看板の一つでもある
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『西京漬』の中でも、
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大将格の銀鱈の西京焼でした。
器は、当店オリジナルの
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/image-7.png)
ポーセラーツの器です。
軽い雰囲気がする器ですので、
当初は抵抗があったものの、
最近では、
この器の方が
喜ばれることも多いので、
極力使うようにしています。
西京焼と言えば、
御飯が欠かせず、
秋の御飯となれば、
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松茸御飯。
炊き上がったら、
一度お出ししてから、
下げ、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG4163.jpg)
混ぜ合わせたのち、
茶碗に取り分け、
お新香と共にお出し、
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セルフでお代わりをして頂くよう、
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土鍋ごと、
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お出ししておきました。
そして、
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国産牛のしゃぶしゃぶを、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG4117.jpg)
小鍋仕立てでお出しし、
しゃぶしゃぶは、
季節感こそないもの
日本料理の中では、
御馳走の一つでもあるので、
『特別会席』の定番でもあります。
具材は、玉ねぎ、えのき
人参、湯葉、くずきりで、
温めた出汁を入れてから、
お出しし、
出汁は、
![](https://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2022/09/s-RIMG4166.jpg)
一番出汁に、
日本酒、塩、
薄口醤油を加えたもので、
つけだれと薬味は、
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ぽん酢、ねぎ、紅葉卸しです。
そして、〆のデザートは、
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夕張メロンのアイスで、
夕張メロンと言えば、
初夏の頃になると、
その初競りの様子が、
報じられることもしばしばです。
「親方、お疲れ様。」と、
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ミニふぐ達。
「お疲れさん。
土鍋で御飯を炊いたから、
今日は、いつもよりも、
神経を使ったよ。」
「どうしてなの?」
「普段、雑穀御飯を、
![](http://www.kakoh-kirin.jp/blog/wp-content/uploads/2020/09/s-RIMG3141.jpg)
鍋で炊いているから、
大丈夫なんだけど、
今日は、お出しするタイミングを
考えなくちゃならないし、
仕込みの時とは、
流れが全く違うからね。」
「へぇ~。
それにしても、
今日の献立は、美味しそうだよ。」
「こういう献立は、
かなり短い時季だし、
王道的な食材が揃ったしね。」
「うんうん♬」
実際、あと一か月もすれば、
鱧を用意するのは、
難しくなってしまいます。
そういう儚(はかな)さにして、
季節の移ろいも、
日本料理の魅力ですので、
それを伝える使命も
自分の仕事として、
肝に銘じながら、
日々の仕事に臨む所存です。
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