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THE鱏(えい)②~料理人生3分の1世紀で、初めて卸したエイ~

Vol.4092

いらっしゃいませ


マクロビオティック(玄米菜食)

基本に据えた 

“身体に優しい美味しい日本料理”

を信条とし


天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を

こよなく愛す

【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の

志村弘信です。


今日(7月23日)は

初めて卸したエイについて

お話しします。


先ずは

昨日のお話しをお読み下さい。


料理人になって

約30年になりますが

エイを卸したことがありません。

というよりも

触れたことはあっても

魚市場で

触った程度です。


虫の息状態で

持ち帰ったので

とりあえず、締めるため

えらに包丁を入れました。 

実は、この直前というか

持ち帰った時に見たのが


お腹から

赤ちゃんエイが

出て来たことでした。



もし、釣り上げた時に出て来たら

海に返してあげることが出来たと思うと

残念でなりません。


エイは胎生魚(たいせいぎょ)と呼ばれ

稚魚=赤ちゃんを産みます。

エイは軟骨魚類に属し

軟骨魚類の70%が

胎生魚です。


さらに、軟骨魚類とは

エイ、サメ、ギンザメの仲間が含まれ

全身の骨格が

軟骨で形成されています。



また、この様子からして

赤ちゃんエイは

尻尾の方から

出て来るようですが


人間だったら

逆子になるので

生き物というものは

種によって違いがあり

面白いものです。 


締めたら

氷で冷やします。


「親方、どうして

色が変わっちゃったの?」

と、ふぐとらちゃん。


「それこそ

血の気が失せるってことかな。」

と返すと

「なるほどね~。」


また、氷で冷やすのは

自身の体温上昇によって

身が焼けるのを防ぐためです。 



肛門から包丁を入れたら

肝=肝臓を取り出します。 


聞いたところでは

エイの肝は珍味とのこと。

取り出したら

氷で締めておきました。


この時、注意しなくてはならないのが

普通の魚と違って

苦玉(にがだま)とも呼ばれる胆のうが

肝臓の中に隠れている点です。


初めて卸すので

その位置が分からず

包丁したことで

分かりました。 


エイの表面には

ぬめりが多いので

熱湯をかけてから

金たわしで

こそげ取ると

まるで、烏賊(いか)の親分🦑


お腹の部分も同様にしたのですが


ぬめりが取りにくく

断念しました。


内臓を取り除いたら

ひれを切り落とし

ひっくり返します。


尻尾に沿って

包丁を入れたら


頭というか顔の部分に沿って


包丁を入れます。

魚なのに

尾びれではなく

尻尾と呼ぶのも

初めてのことです。 


顔の部分は固くて

丸いので

ラケットのようで

これまた魚らしからぬ形。 


顔の硬い部分を外すと

こんな感じで



どうやら、これらが

使えそうな部位です。

初めてですので

全てが手探りなので

こういう言葉しか出て来ません。 





左右半分に分けたら


骨に沿って

包丁を入れていきました。


この動きは

平目(ひらめ)を卸す時と

全く同じです。

身の雰囲気も

平目の縁側と

似たり寄ったり。

ちなみに、平目の縁側は 

ひれを動かすための筋肉で

👆この手前4つの部分です。


エイも平目のように

平べったい魚で

左右のひれを使って泳ぐので

似たような構造になるのは

当然かもしれません。 

お腹の方の白い方は

背の黒い部分よりも薄いので

このままにしておきました。 


尻尾は

ぶつ切りにしたのですが

軟骨ゆえ

すんなりと、ぶつ切りに出来ました。


すると、ふぐとらちゃんが

「普段の魚の仕込みとは違って

かなり苦戦しているみたいだけど・・・。」

と、言ってきました。


「そうだよ。

卸し方もだけど

身の状態も

全く違うからね。」

「例えば?」


「皮は加熱しても

硬そうだから

霜降りをして

皮の下処理をすることにしたよ。」

「へぇ~。」


沸騰したお湯で



霜降りをしたら

氷水の中へ。 


粗熱が取れたら

女将兼愛妻(!?)の真由美さんと

薄皮を取ることにし


背はいくらか薄いのですが


腹の方は

手で取るには厄介な感じだったので

骨抜きの出番。

この厚さでは

食感を損ねるので

しないわけにはいきませんでした。 




骨付の身を見ると


「やっと、下処理が終わったね。

で、どういう風な料理に

仕込むの?」

と、ふぐとらちゃん。


「そうだねぇ~。

骨付の身は煮付にするのが

一般的って聞いたことがあるけど


ゼラチン質も多いし

淡泊な味だから

すっぽん鍋みたいにしようと

思っているんだよ。」


「へぇ~。

想像もつかないなぁ~。」

「仕込む自分だって

そうだよ。」

「でも、親方

一般的って言ったけど

エイ自体がキワモノに近いから

一般的という言い方は

正しくないんじゃね?」

「言われてみれば

確かに、そうかも・・・。」 


とりあえず、下処理が終わり

ひと段落。


エイという魚を知ってはいたものの

仕込む機会に恵まれるとは

予想もしていませんでしたが

こういうことが為せるのも

自ら魚市場に行っているだけでなく

さらに、変な探索心があるからです。


見ず知らずの食材に触れることが出来るのは

料理人にとっては

有難いことで


そのチャンスはもちろんのこと

命ある食材を粗末にしないための

心持ちで仕事に臨み続けます。



「おっ、出刃包丁が戻って来て

良かったじゃん。


じゃ、明日はエイは

お休みだね。」 by ミニふぐちゃん

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