台風18号接近中の沼津魚市場
台風18号が、
接近していたこともあり、今朝の沼津魚市場は、
魚の入荷も少なく、
構内の床が濡れていない所すら、ありました。
また、活魚売場の生簀に入っていたのは、
地物の平目が、
殆どで、3列しか、魚が入っていませんでした。
こんな状況ですので、
誰もが、
井戸端会議中でした。それでも、他所の漁港や市場から届く陸送便の荷物は、
そこそこ入荷があり、
別の売場も、同様でした。
ただ、今日は、
東京・築地などの中央市場が、休みということもあったので、
普段よりも、入荷が少ないのは事実でした。
その後、既にセリが終わった売場に向かうと、
そこでも、井戸端会議をしていました。隣に山積みされていた発泡スチロールには、
山口と書かれており、
中に入っていたのは、
鯵でした。週末の御予約用に、1ケース仕入れることにし、他の仕入れを終え、市場を後にしたのでした。
『佳肴 季凛』のある富士市では、早朝から昼過ぎにかけて、雨が強く降っただけで、日本海に抜けた台風18号は、温帯低気圧に変わったとのことでした。
明日以降、魚の入荷が、かなり少なくなり、高値になる可能性がありますが、こんな時に備えて、真空して、冷凍したものもあるので、特に、困ることはないとはいえ、そのしわ寄せが、何らかの形で出るのが、魚の相場です。
自然相手ゆえ、避けられないことなのですが、出来る限り、支障が出て欲しくないのは、本音です。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★
(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は7周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた会席コースを御用意致しております。
なお、お召し上がり頂ける期間は、10月4日(日)までです。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。
週末は、魚三昧
今朝は、沼津の魚市場に仕入れに行って来ました。最初に向かったのは、
貝類を扱う売場でした。9月に入ったこともあり、夏が旬の岩牡蠣の入荷も少なくなっていましたが、
今日は、思ったよりも入荷がありました。ここに積まれているのは、
宮崎県産のものでした。
ただ、今シーズン、何度も仕入れた宮崎県産でしたが、8月くらいから、身の状態も、イマイチのものが多かったので、とりあえずパスすることにしました。
ただ、その手前にあったものの方が、
良さそうな感じがしたので、ここから選ぶことにし、この岩牡蠣の産地は、
徳島県でした。さらに、この中から、自分が選り抜いたのが、
この8個で、この売場で、帆立(岩手)も仕入れ、別の売場で、
小肌(舞阪)、鱧(大分)も仕入れ、さらに、別の売場に向かうことにしました。次の売場では、
揚物に使う鯵を、仕入れました。この鯵の産地は、
島根県でした。そのまま、鯵の箱を持って向かった売場では、
西京漬に使うサーモンを、仕入れることにし、この中から、
この1本を選び、氷詰めにしてもらい、
車まで、届けてもらうことにしました。これで、大方の仕入れは終わったのでしたが、最後に向かった売場では、
和歌山県産の活かしの鱧を、
1本仕入れ、市場を後にしたのでした。
そして、市場からの帰り道に、立ち寄ったのが、
宅配便の営業所で、東京・築地から届くことになっていた鮪を、
受け取り、今朝の仕入れは、ようやく終わりました。【佳肴 季凛】に戻り、活かしの鱧は、
袋から取り出し、
そのまま水槽へ。その他の荷物も、仕込みを出来るように、段取りをし終えました。最後に、宅配便で届いた鮪を取り出したのですが、今日のは、
青森県大間産の生の本鮪で、赤身と中とろのバランスが、ちょうど良い感じでした。
こんな感じで、週末の金曜日の仕入れは、魚三昧となり、休憩時間もなくなるほど仕込みに追われたのですが、実はこれら以外にも、魚がありました。それは、
知り合いの漁師さんからもらっためじな(西伊豆・仁科)で、店用にはせず、子供達の夕飯のおかずとして、
フライにしました。一枚味見をしたのですが、刺身で食べられるような鮮度のものでしたので、ホクホクとしており、ちょっとした御馳走感のあるおかずで、子供達は、あっという間に平らげていました。
こうして、魚三昧の一日は、終わったのですが、一人仕事ゆえ、魚の仕込みが重なると、どうしても、時間が足りなくなってしまうのですが、これも、市場に行っていることの楽しみというか、醍醐味の一つでもあります。
★☆★ 鱧(はも)料理 ☆★☆
秋の気配を感じられますが、まだまだ、鱧料理をご堪能いただけます。
『鱧彩々』 (おひとり 6,000円)と銘打った美食の極みでもある鱧の味を、是非ご賞味下さいませ。
詳細は、【鱧料理】のページをご覧下さい。
新子
光物の定番の一つが、
小肌(こはだ)で、沼津の魚市場に入荷してくる小肌の殆どは、
佐賀県有明海産です。小肌は、一年を通じて、入荷してくるのですが、6月の半ばを過ぎた頃になると、小肌の幼魚の新子(しんこ)が、
入荷し、
一緒に、売場に並ぶこともあります。大きさの違いは、
一目瞭然です。小肌は、鮗(このしろ)の若魚で、新子、小肌、なかずみ、鮗と名前が、変わります。しかしながら、出世魚とは呼びません。
というのも、小さければ、小さいほど市場価値があり、出世魚というのは、大きくなるにつれ、値段も上がるからで、小肌には、このことがあてはまりません。特に、出始めの新子のキロ単価は、入荷量も、ほんのわずかということもあり、天然の生の本鮪以上で、それこそ、目が飛び出るほどの値段なのです。
光物である小肌は、『佳肴 季凛』のような日本料理店では、なくてはならない魚ということもあり、ある程度、値段が落ち着いてから、自分は使うようにしています。
ただ、料理の道の始まりは、鮨屋でしたので、新子を見ると、妙な胸騒ぎを覚えてしまうのです。この日は、値段もそこそこでしたので、
この一袋を、仕入れることにしました。ただ、小さくて、数が多い新子の仕込みは、職人泣かせですので、それなりの覚悟の上でした。
仕入れた新子は、500グラム入っており、大きさはまちまちでしたが、
大雑把に仕分けたところ、このような3つの大きさでした。鱗を取ってから、
頭を落としたら、
塩水の中に入れます。この時の塩水の濃さの目安は、海水程度です。終わったら、
氷水で、素早く、
2,3度、
水洗いします。まな板をきれいにしたら、開くのですが、その前に、
バットに細かくした氷を敷き、
別のバットを置き、
大きさごとに分け、開いていきます。言うまでもありませんが、こうするのは、鮮度が落ちるのを防ぐためです。
開き終えると、
全部で、64枚ありました。つまり、64匹開いたことになります。開いた新子は、それぞれの大きさが分かるように、
塩を敷いた盆ざるに乗せたら、量を加減しながら、塩を振ります。塩の溶け具合をみながら、
酢の入ったバットに昆布を浸します。酢は、
新子を仕込むので、穀物酢とりんご酢を同割りにしてあります。昆布が、
しんなりしたら、合わせ酢から、あげておきます。そうこうしていると、新子の塩が溶けてくるので、
水洗いをします。大きさも違うので、一度にこの仕事は出来ませんので、その都度、
様子を見ながら、やらなくてはなりません。全て水洗いをしたら、
今度は、
一度酢〆に使った二番酢で、それぞれを、
酢洗いします。その後、
先程、昆布を浸した合わせ酢に、大きさごとに付けていくのですが、大きいものから漬け、漬け終えたら、酢から上げ、その後、次の大きさのものを漬けていきます。
今回のように、一番小さいものは、酢だけでは、味が強くなってしまうので、
氷を入れ、酢の具合を加減してから、
漬けます。言い忘れましたが、酢〆の理屈は、塩で、余分な水分を取り除き、取り除かれたところに、酢が入り込むというものですので、塩加減が、キーポイントなのです。
全て、酢に漬けたら、余分な水分などを拭き取るために、
キッチンペーパーを、盆ざるに敷き、新子をおいてから、
その上にも、キッチンペーパーを乗せます。しばらくしたら、
穴開きのバットに新子をおき、
余分な水分を取り除くのと、旨味を補うために、先程の昆布を乗せます。これで、ようやく新子の仕込みが終わりました。
昆布で挟んでおくのも、半日程度が目安で、
頃合を見て、昆布を外したら、このまま冷蔵庫にしまっておきます。コース料理をメインとしている当店ですので、
鱧料理コースのお客様には、このような四種盛りで、お出しし、新子以外のものは、生の本鮪(大間)、鱧(和歌山)、湯葉でした。
新子だけの場合は、
大中小のバランスを考えながら、このように、盛り付けてみました。
脇役に近い小肌ですが、新子の出回る一時季は、主役になります。こういうのも、季節を重んじる日本料理の趣の一つかもしれません。
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只今、夏期限定コースとして、鱧料理をご堪能いただけるコースをご用意して、皆様のお越しをお待ち申し上げております。
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期せずして、鰹
昨日のことです。ランチの営業中に、
宅配便で、荷物が届きました。中には、
鰹が、入っていました。
鰹と言えば、自分が大好きな魚の一つで、それを知っている三重県熊野の魚屋さんからのプレゼントで、全く予想しておらず、まさに、期せずして、鰹と言うべき感じでした。ちなみに、自分の無類なほどの鰹好きについては、以前お話ししたことがあります。
秤に乗せると、
2キロちょうどで、自分にしてみれば、一度で食べきれるくらいの大きさです。お昼のおかずも決まっていなかったので、早速、食べることにしました。そのまま、卸してから、
皮目をバーナーで炙り、
半身を、包丁しました。ちなみに、
卸した時の頭と、中骨などのアラの部分は、
こんがり焼いてから、出汁を取れるようにしておきました。
肝心の身の方ですが、器に、
酢飯にした雑穀御飯(玄米、押麦、黒米、小豆、あわ、ひえ、きび)を、まず盛り付けたら、海苔を乗せ、
包丁した鰹を、ここぞとばかりに、盛り付け、
大葉、万能葱、生姜をあしらい、鰹丼が仕上りました。これが、自分の分で、女将兼愛妻(!?)の真由美さんの分は、鰹3切れと、西京漬に仕込んだサーモンの切り落としでした。
何も、自分が独り占めしたわけではありません。言うまでもなく、自分の鰹好きのことを、真由美さんは、知っており、その食べ方が尋常ならざるのを見て、いつも呆れていますし、普通の人なら、この程度で十分なはずです。
そんなことはさておき、卸し生姜を醤油に入れ、かけたら、
本能の赴くまま、食べるのみです。食べ終わったものの、何となく満足していなかった気がしただけでなく、
盛りきれなかった鰹もあったので、
今度は、鰹の刺身定食として、食べました。これで、どうにかこうにか、頭もお腹も、満足して、休憩時間に入りました。
夜の営業も終わり、お客様のお帰りを待ちながら、
お昼に、食べなかった腹の部分を、包丁し、
厨房で、晩酌をして、一日が終わりました。
そして、あくる日の今日は、最後の一節を、刺身にして、
お昼御飯にしました。
普段、朝食を食べない自分ですので、3連荘(レンチャン)で、鰹を食べたのですが、この際、自分としては、何連荘出来るのか、やってみたいものです。どうせなら、八連荘(パーレンチャン)で、役満が、理想です。
何だか分かりにくい結末でしたが、麻雀を知っている方なら、ご理解頂けるということで・・・。
★★★ 佳肴季凛謹製 西京漬 ★★★
当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な【西京漬】をご用意いたしております。
銀鱈、サーモン各3切入 3,480円 ※クール便にて発送可
店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
3日連続で、市場へ
先日お話ししたように、今週は、定休日の月曜日に、沼津の魚市場に仕入れに行って来ました。明くる日の火曜日は、行きませんでしたが、
一昨日の水曜日、
昨日の木曜日、そして、
今日と、3日連続で、行って来ました。
一週間に2回、多くて3回というのが、普段のペースですが、7月に入り、御中元用の【西京漬】のご注文が増えただけでなく、【鱧料理】の御予約やお問い合せも頂いたので、3日連続、そして一週間で、4回行ったのでした。
毎週土曜日は、沼津の魚市場は休みですので、明日は、仕入れに行きませんし、日曜日も、御予約の関係で、余程のことがない限り、行きませんが、
今度の火曜日(7日)は、
休みですので、前日の月曜日は、今週同様、定休日ですが、行かなくてはなりません。
当然、仕込みもすることになりますが、どんな状況であれ、出来る限り美味しい料理を作るのが、料理人の本分ですので、自分としては、譲れないのです。間違っても、料理を作るのが、料理人だとは、自分は思っていません。
ただ、自分も、欲深い人間ですので、休みの日に、仕事をしたくないのは、本音です。しかしながら、そんなことより、ひとりでも多くのお客様が満足してくれるような料理を作りたいという想いを実現するために、今の立ち位置を求めたので、実は、他人(ひと)が感じるほどではありません。
何ゆえに、料理の虜になったというより、料理という伏魔殿に入り込んでしまったのかは分かりませんが、料理を作ることが、自らのアイデンティティそのものなのは、確かなはずです。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
長崎県・壱岐産の赤烏賊で始まり、終わった一日
今朝、沼津の魚市場に行くと、
このように、自分の立っているところから、赤い服を着ている人(市場の職員)のところまで、同じ発泡スチロールが並んでおり、中身は、
赤烏賊でした。赤烏賊とは、関東圏での呼び名で、標準和名(正式名)は、剣先烏賊(ケンサキイカ)です。
そのまま職員が仕事をしているところまで行くと、
まだ荷物を、並べている最中でした。こんな状況を、市場では、“お祭り”だとか”フェア”と呼んでおり、否が応でも、相場は、お値打ちになります。
ちなみに、これら全ての産地は、
長崎県・壱岐で、それぞれに、
船の名前が書かれており、
色んな船から、
水揚げされたことが、
分かります。水揚げした船は、これらだけでなく、赤烏賊の数同様、数えきれないくらいでした。
セリが始まる直前に、
蓋が開けられると、それこそ鮮やかな赤褐色が、目に飛び込んで来ました。直前まで、蓋を開けないのは、空気に触れると、色が変わる、つまり鮮度が落ちるのが、早くなるからです。
これだけあると、大きさも大小様々で、大きいものは、
1ケースに、2列ならんで、12ハイ入っており、小さいものは、、
同じく4列で、40ハイ入っています。ちなみに、2列のものは、2立て、4列のものは、4立てと呼ばれています。写真には、ありませんが、それぞれの中間の大きさのものもあり、そんな時は、〇立て半などとも呼んでいます。
料理屋、鮨屋、魚屋など、それぞれの使い勝手や、売りやすさもあるのですが、一番高値がつくのは、大体の場合、大きいもので、理由は、味が良いからです。そうこうしていると、セリが始まり、
自分が、セリ落としてもらったのが、
2立ての12ハイ入りでした。
この他の仕入れも済ませ、【佳肴 季凛】に戻り、赤烏賊の仕込みをしたのですが、先ほどお話ししたように、空気に触れたことで、身の色は、
このように、変わってしまいました。さらに、身についた墨を落とすために、水洗いをすると、
さらに、色は落ちてしまいました。赤烏賊に限らず、魚介類の水洗いは、出来るだけ最小限にしないと、鮮度だけでなく、味も落ちてしましいますので、細心の注意が必要なのです。
一方の下足(げそ)は、掃除してから、
軽く湯がき、
調味料と共に、真空パックし、
スチームコンベクションオーブンで、低温で、加熱しました。こうすることで、旨味が逃げないだけでなく、保存性も高まり、この調理法を、真空調理と呼んでいます。仕上がった下足は、
このようになりました。
また、身の部分は、皮を剥き、
刺身で使えるようにしたのですが、これだけあると、一度に使うことは出来ないので、
真空パックして、マイナス40度で、冷凍しておきました。このようにするのは、急なご予約や、天候不順により、魚の入荷が思わしくない時に備えてのことです。
ただ、真空してあるとは言え、冷凍するので、味が落ちるのは、否定出来ませんが、商売である以上、一定のレベルで、料理を提供するとなると、色んな形での工夫は、どうしても必要なのは、ご理解して頂けると、幸いです。
そんな赤烏賊ですが、
身と下足を、このように盛り付けてみました。歯切れの良い食感と、甘味のバランスは、濃厚かつ繊細の極みという表現が、相応しいとしか言えません。
また、お客様にはお出し出来ない下足、くちばし、みみの部分は、墨を混ぜてから、炒め、
晩酌のつまみにしました。
また、お昼は、一緒に仕入れてきた鯵(三重)を叩きにし、みみの部分と一緒に、酢飯に乗せ、
二色丼にしました。
こうして、朝の仕入れから、夜遅くのブログの更新まで、今日は、赤烏賊で、終わったのでした。
超特大の岩牡蠣は、三重県鳥羽産
今日(23日)は、
沼津の魚市場が、
休みでしたので、昨日は、定休日でしたが、仕入れに行って来ました。
構内の貝専門の売場に
行くと、
宮崎県産の岩牡蠣と、
三重県産の岩牡蠣が、入荷しており、南北に長い三重県でも、
鳥羽産のものでした。
超特・6入と書かれた蓋を、
開けると、
このように入っており、どれも、良さそうでしたので、仕入れることにし、これ以外には、
鱧(大分)、金目鯛(伊東・川奈)をはじめ、西京漬用の銀鱈(アラスカ)、鯖(ノルウェー)などを、仕入れて来ました。
明くる日の今日、
ご注文を頂き、剥いたところ、
どれも、
肉厚のプリップリッで、5つに包丁してから、
レモンをあしらい、
氷の敷いた器に盛り付け、ぽん酢と共に、お出ししました。また、焼いたものをご希望のお客様には、
焼いてから、包丁し、
お出ししました。
ご注文を頂いて、お出しするときは、ご希望の召し上がり方を伺うのですが、自分としては、焼いたものをお勧めしております。焼くことによって、余分な水分が抜け、旨味が凝縮され、食べやすくなるからです。
、生の魚介類は、どうしても、旨味が乏しく、加熱してこそ、美味しさを感じられるものだと、自分は思っています。ただ、加熱することで、味が落ちるものもあり、生が一番だと言えるものも、幾つかあります。
どんな食材でも、向き不向きの調理法があり、それを引き出すのが、料理人の役目です。分かっていながらも、つい迷いが生じ、余計なことを考えてしまうのは、未熟な証しだと思っています。やはり、精進の余地、大いにありです。
なお、コース料理をメインにしている当店ですので、岩牡蠣は、コースとは、別途となっているだけでなく、気に入ったものが無ければ、仕入れてこないので、100%の御用意は、約束出来ませんので、宜しくお願い致します。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
ダイナンウミヘビ
今日の昼間、友人から、こんな写真が、
送られてきました。
彼によれば、かなり長く、鱧らしいとのことでしたが、実物を見るまでは、正解は保留となり、到着を待つことにしました。
袋から取り出し、
顔を見ると、似てはいるものの、明らかに、鱧とは違いましたし、異常なほど、
細長く、
2メートル近くありました。
これまで、色んな魚を見てきましたが、この魚は初めてで、名前すら分からなかったので、自分がふぐや鱧を仕入れている三重県熊野の魚屋さんに、メールを転送し、正解を待つこと数分、この魚が、“ダイナンウミヘビ”なる魚というこことが分かりました。
“ウミヘビ”と名がつく以上、「毒があるのか?」、それとも「魚なのか?」でしたが、魚にして、毒もなく、普通に食べられるとのことでした。
となれば、早速卸すことにしたのですが、鱧、鰻(うなぎ)、穴子(あなご)同様、ヌメリが多かったのですが、長いので、ヌメリを取るのに、かなり手間取りました。
はらわたを抜き、卸した始めたものの、まな板には乗りきらないので、途中まで開いた時点で、
このように、まな板から下ろし、
開きました。
ようやく、3分の2まで開いても、まだ、
最後の3分の1は、開くことが出来ないくらいの長さでした。
この時点では、まだ半身は、骨に付いているので、今度は、完全に身と骨を切り離したのですが、先ほどと同じく、長すぎるゆえ、かなり手間取り、胴体を、半分にしてから、
卸し終え、このように、4つの柵が出来ました。
鱧に似ていることもあり、身を触ってみると、
骨切りが必要ということが分かり、
骨切りをしました。魚体もそれなりでしたので、骨の太さを感じました。それでも、食べられない程度のものではないような感じだったこともあり、
適当な大きさに包丁してから、天ぷらにし、食べてみると、
おかずレベルでは、まずまずでした。また、皮も、少し硬かったのですが、骨同様、セーフでもありました。
自分は、骨切りをしながら、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、揚げてもらい、腹骨の部分も、
素揚げしたところ、
骨っぽいながらも、まずまずでしたので、
一緒に盛り付け、友人の夕飯というか、晩酌の共に、持たせてあげました。
自分に限らず、料理人が扱う魚は、意外と限られていて、それ以上に、食べることが出来ても、知らない魚が、あるものだと、再認識させられました。
もっと言えば、料理というよりも、料理を取り巻く環境は、かなり広く、深過ぎるゆえ、まだまだ大いに、勉強の余地ありです。
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魳(かます)の利休焼
一昨日、沼津の魚市場に行った時のことです。
南伊豆・妻良産の魳(かます)が、
入荷していました。鮮度も良く、型も大きかっただけでなく、
そこそこ数も出ていたので、仕入れられそうな予想はしていたものの、あえなく撃沈の憂き目に・・・。
どうしても必要なものではなかったとは言え、自分としては、ちょっとしたストレスになっていました。そんな昨日、ふぐ類の仕入れ先の一つの富山県氷見で、水揚げがあったという連絡があったので、
送ってもらうことにしました。
そして、あくる日の今日、仕込みをする前に、
宅配便の営業所に、
荷物を取りに、行って来ました。【佳肴 季凛】に戻り、
予定通り、魳が入っており、どれも、
これぐらいの大きさのもので、
1本あたりの目方は、
300グラムでした。
その後、
鱗を取り、頭を落としてから、
水洗いしました。
鮮度も良いので、刺身にも使えるのですが、焼物にするため、三枚に卸してから、
出汁、薄口醤油、日本酒、赤酒を同割にしたものに、10分程漬け込みました。ちなみに、日本料理では、この漬け地のことを、若狭地と呼んでいます。調味料の割合は、料理人によって、様々ですし、使う魚によって、割合を変えたりもします。
漬け地から取り出したら、
中骨を抜き、
皮目に包丁を入れ、
串を打ち、焼きます。このまま、焼き上がったものをお出しすれば、“魳の若狭焼”となるのですが、今回は、途中で、胡麻を振り、
焼き上げ、赤紫蘇の酢に漬け込んだ牛蒡をあしらい、
“魳の利休焼”が仕上がりました。
利休とは、安土桃山時代の茶人・千利休のことで、千利休が、胡麻を好んだことにちなんで、胡麻を使った料理に、利休とつけられるのですが、彼の死後、名付けられたというのが、実際のところのようで、休という字を忌避して、久という字があてられることもあり、利が久しく続くことの願いを込めて、利久という縁起を担いだ表記されることも、あります。
胡麻の香ばしい香りと、魳の上品な脂の具合が、何とも言えません。魳は、小型の魚で、水分が多いのが特徴で、焼くことで、その真価が発揮されます。食材には、それぞれの得意分野があり、それを最大限に引き出すのが、料理人の役目です。
ところで、日本料理の焼物は、余分な水分、脂を落とした料理で、旨味が凝縮されたもので、ふっくらとした味わいは、日本料理特有のもので、健康的な調理法とも言えます。
それに対して、フレンチやイタリアンのようなフライパンのソテーには、何かしらの油を使い、油の美味しさは加わるものの、後味として、どうしても、その油が残ってしまうのです。
また、昨今では、脂が乗っていることが、美味しさの基準のように思われていますが、脂も油も、美味しさを引き出すための要素であるに過ぎないと、自分は思っています。
先ほどお話ししたように、美味しさを引き出すのが、料理人の役目で、そこを一途に、全うするよう、日々、精進するのみです。
★★★ 佳肴季凛謹製 西京漬 ★★★
当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な【西京漬】をご用意いたしております。
銀鱈、サーモン各3切入 3,480円 ※クール便にて発送可
店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
嗚呼、鰹(かつお)
“ふぐに魅せられし料理人”の自分が、刺身で一番好きな魚は、
天然のとらふぐではなく、
ブランド中のブランドの“大間の鮪(まぐろ)”と同じ生の本鮪でもなく、
夏の美食の鱧(はも)でもありません。では、一体・・・?
何を隠そう、ありとあらゆる刺身の中でも、一番好きなのが、
鰹(かつお)です。自分が通う沼津の魚市場に限らず、魚市場では、魚は、1本とか、1ケースとか、それなりの単位で、買わなくてはなりませんし、
このように、山積みにされています。
ただ、市場内の売場には、小売り店に近いような問屋もあり、
そういう問屋では、
色んな魚が、所狭しと、並べられています。並べ終わった発泡スチロールの中を見ると、
既に卸した状態の鰹の柵が、
ありました。鰹は、色変わりが激しい魚ですので、1本で仕入れても、使いきれなので、割高を承知で、買う人達も多いのです。
割高とは言っても、鰹に限らず、魚の値段は相場次第ですので、かなりのお値打ちの値段の時もあります。そんな時は、迷わず仕入れ、自分のおかず行きです。この日は、そんな状況で、願ったり叶ったりの状況となりました。
卸してあるとは言っても、下拵えは必要で、
バーナーで、皮の部分を、一気に炙ります。あとは、もう好き放題です。
鰹丼にしたり、
晩酌の肴にもし、それでも余った場合、
次の日のお昼のおかずとなります。傍で見ている女将兼愛妻(!?)の真由美さんも、最初の丼は喜びますが、鰹が続くと、飽きてしまいますし、これが、普通の人です。
飽きるというより、飽きれてしまうのは、自分の様子を見れば、言わずもがなですが、真由美さんが、飽きれてくれたとなると、自分の食い分が増えるので、しめたものです。
これまでに、
こんな食べ方をしたのは、
何度もあり、
鰹の味に酔いしれたことか・・・。
嗚呼、鰹・・・。
酸味すら感じる赤身の味わいが、堪りませんし、秋口になって、脂が乗る“戻り鰹”よりも、この時季の鰹の方が、自分は好きです。
嗚呼、鰹・・・。
GWということもあり、市場も休みになるので、鰹を味わうことは出来ませんが、それ以降、再三再四どころか、再百くらいまで、味わいたいものです。
嗚呼、鰹・・・。