春色間近
今日は、
沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。この売場から離れ、
別の売場に向かうと、
春が旬の蛍烏賊が、入荷していました。ご覧のように、富山産で、
今年初めて、仕入れることにしました。富山産以外の日本海産の蛍烏賊は、もっと早くから、入荷していますが、富山産のものに比べ、小さく、味もそれなりですので、自分は、使うことは、全くありません。
その後、別の売場に行くと、御前崎産の鰆が入荷しており、
この中から、
4,5キロのものを仕入れることにしました。以前、お話ししたことがありますが、御前崎産の鰆は、質が良く、自分のお気に入りの産地でもあります。
さらに言うと、自分は、焼物にする魚の中では、鰆が、一番好きな魚で、それについても、同じくお話ししたことがあります。
鰆は、魚へんに、春と書くのですが、寒鰆という言葉もあるように、真冬でも、十分すぎるくらい美味しい魚で、鰆に春がつく有力な説は、春に、産卵のために沿岸にやってくることによるものです。
そうこうしていると、セリが始まる時間になっていましたが、
特に、仕入れるものなく、帰るりの準備をすることにしました。ちなみに、上の写真は、今朝の金目鯛のセリの様子ですが、仕入れるつもりもなかったので、産地については、不明です。
3月半ばを、過ぎたこともあり、
6時を過ぎると、完全に日が昇っていました。市場に来て、最大の関心事は、必要な魚の入荷があるかどうかであり、さらに、それを仕入れることが出来るかどうかですので、普段は、全く気にすることはありません。たまたま時間を確認したら、この明るさでしてので、改めて、冬から春に、変わったことを、感じました。
『佳肴 季凛』に戻り、仕込みを始めたのですが、卸し終えた鰆は、
西京漬にするため、
切身にしました。鰆は、魚の中でも、もっとも身割れしやすいのですが、完璧に出来たので、ひと安心しました。また、乳白色をしているように、脂も程良く乗っていることも確認出来ました。
その頃、女将兼愛妻(!?)の真由美さんは、
蛍烏賊の目玉などを掃除してくれていました。この時、蛍烏賊のトレイの下には、
気温も段々と上がって来たので、鮮度が落ちるのを防ぐため、氷を敷いてあります。こういうところでも、春の訪れを感じてしまうものです。
また、春を感じてきたこともあり、先付も、
グリンピースで作った“うすい豆腐”にしました。うすいとは、えんどう豆の別名のうすい豆のことです。
切身にした鰆は、
西京味噌と一緒に、真空パックしておきました。
少し前までは、冬そのものでしたが、ここにきて、かなり暖かくなり、「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものです。めっきり春色となるのも、すぐそこかもしれません。
石川県能都町産のミンク鯨
昨日、富山県氷見から、真鰯が入荷したことをお話ししましたが、その真鰯の発泡スチロールに、
一緒に入っていたのが、
この塊でした。袋から取り出すと、
ミンク鯨の赤身でした。このミンク鯨は、氷見産ではなく、お隣の石川県能都町産のものです。能都町は、能都半島の中北部にあり、能登の都ということに、その地名は、由来しているとのことで、誤字ではないのでを、御承知下さい。
1988年3月から、沿岸捕鯨は、国際捕鯨委員会(IWC)により、禁止されているので、鯨の水揚げと流通量は、非常に少ないのですが、定置網にかかったもので、能登半島や佐渡島周辺では、時々かかるのです。鯨に限らず、定置網にかかったものは、流通が可能で、現在、流通している鯨の多くは、南氷洋の調査捕鯨による冷凍ものです。
その鯨が、氷見の市場に送られ、
このように、部位ごと、適当な塊に分けられ、セリにかけられるのです。この写真は、一昨日の氷見の市場での様子で、この中のどれかが、昨日の赤身でした。鯨とイルカは、哺乳類ですが、魚市場で、取り扱いており、その理由は、水産物によるものなのかもしれません。
その赤身の部分を、
少し厚めに包丁して、盛り付けました。薄めのものは、
こんな感じに、してみました。試食を兼ねて、仕入れたこともあり、今日のお昼は、
鯨丼にしてみました。
鯨は、見た目は、馬刺のような感じですが、その味わいは、魚でもなく、肉でもない、中間とも言えるもので、脂もないので、いくらでも食べられるようなものです。生の鯨ですので、その風味は格別です。
鯨の入荷に関しては、全く分かりませんし、これまでにも、お客様にお出ししたことは、数える程度です。ご興味、ご関心のある方は、お問い合せ下さい。
刺身の九種盛り
日本料理の華とも言われるのが、刺身です。『佳肴 季凛』の会席料理などで、お出しする刺身は、コース料理のお値段に応じて、品数と内容が変わります。
ランチの【凛】や会席料理の【季】などの刺身は、
三種盛りで、この時は、生の本鮪、湯葉、小肌でした。
夜の会席料理の【凛】などの会席料理の場合、
四種盛りで、先ほどの三種盛りに、帆立を加えています。大葉に隠れてしまっていますが、赤身ではなく、中とろを使っています。というのも、コース自体のお値段が違うので、このような差をつけています。
同じ四種盛りでも、夏の美食でもある鱧料理のコースは、
このようなものです。
また、料理内容を、自分とお客様のご相談の上で決めさせて頂く【特別会席】では、
生の本鮪と、
ふぐ刺のハーフサイズのものをお出ししたりすることもあります。また、夏場では、
先程のふぐ刺と共に、生の本鮪と鱧をお出しすることもあります。刺身に限ったことではありませんが、ご予約の際に、ご希望を頂ければ、可能な限り対応させて頂いております。
刺身に関するご要望と言えば、男性のお客様で、意外と多いのが、「ある程度の予算で、質はまずますで、刺身の分量を、多目にして欲しい。」というお声です。そんな御用望を頂いた時に、御用意したのが、
九種盛りの刺身です。
その内容は、
生の本鮪(那智勝浦)、小肌(佐賀)、帆立(北海道)、鯣烏賊(石川)、湯葉、
サーモン(ノルウェー)、甘海老(ロシア)、鳥貝(千葉)、蛸(愛知)でした。
この中で、甘海老、鯣烏賊、鳥貝は、冷凍もので、サーモンと帆立は、養殖ものでした。これらのうち、帆立意外は、刺身でお出ししたことは、殆どありませんが、先ほどもお話ししたように、お客様の御要望の刺身を御用意するために、使いました。
どんなに良いものでも、お客様に評価されなければ、全く意味はありませんし、お金を頂くことは出来ません。料理の評価は、どこまでいっても、召し上がるお客様なのです。
料理人は、あくまでも、お客様のために料理を作るのが、仕事ですし、その料理を喜んで頂くことが、最大の喜びにして、評価でもあります。ただ、生の天然もので、さらに、その中でも、可能な限りの良いものを、追い求める自分にとっては、冷凍ものや養殖ものは、不本意であるのは、事実でもあります。
ですが、使う食材は、自分が納得したものですので、そんな自分の姿勢を感じて頂ければ、料理人冥利に尽きること、この上ありません。
★☆★ 日本料理の匠 ★☆★
【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、
このように紹介されております。ご興味、ご関心のある方は、上の写真をクリックして、ご覧下さい。
ありありの定休日
今日は、定休日でしたが、明日(23日)は、
沼津の魚市場が、
休みということもあり、仕入れに行って来ました。少ないながらも、金目鯛(御前崎)が、
良さげでしたので、
1,5キロのものを、1枚仕入れることにしました。また、
真鰯(沼津)も良かったので、
仕入れました。この他にも、冷凍ものや小物などを仕入れ、『佳肴 季凛』に戻りました。
先ほどお話ししたとように、今日は定休日でしたが、ランチの御予約だけでなく、お弁当のご注文も頂いていたので、お昼だけ営業しました。
ランチの営業時間中、合間を見ながら、
刺身の妻を剥いたり、
“サラダ素麺”の野菜を、包丁出来るように、準備しておきました。
そうこうしていると、ランチの営業時間も、終わったので、デザートをお出しする頃には、
お弁当の煮物や焼物も、仕上がっていました。ラストオーダーとなり、他のお客様のお料理の目途がついたので、女将兼愛妻(!?)の真由美さんは、
厨房に、折を並べ、
お弁当の盛り付けを始めました。お客様もお帰りになったので、自分は買い出しに出掛けました。戻ると、
このように仕上がっていました。買い出しに行って来たのは、
豚肉のロースで、戻ると、真由美さんは、明日のお弁当の折を、準備していました。豚肉のロースは、お弁当の揚物に使うので、包丁し、
塩、胡椒をしたら、
真由美さんに、
パン粉をつけてもらいました。その後、
西京漬に仕込む3本の銀鱈(アラスカ)と、
お弁当用の鶏肉の照焼を仕込んだものを、冷凍庫から、出しておきました。
また、とんかつと鶏肉の照焼入りのお弁当で、しかも、
ボリューム重視のお弁当ですので、白米を研いでおきました。
そして、真由美さんの誕生日が、25日ということで、少し早めでしたが、家族で、
鱈場蟹の蟹すきを食し、仕入れ、ランチの営業、お弁当、様々な仕込みと、“ありありの定休日”は、終わったのでした。
紅鮭の粕漬
一月の半ば頃のことです。コンビニの入口で、
こんな幟を見た時から、無性に紅鮭が、食べたくなり、心のどこかに根付いていました。
そんな先日、
沼津の魚市場にある冷凍ものや、干物などの塩干ものを取り扱う問屋さんの店先に、
紅鮭が入った発泡スチロールが、
ありました。
御覧のように、甘口とあるように、すでに塩味がついており、アメリカ産です。他には、カナダやロシア産のものがあり、国産はありません。北海道産など国産ものとして、販売されている紅鮭は、正確には、北海道の沖、つまりロシア海域の紅鮭を、主に船内で加工して、北海道で陸揚げされたものです。
というのも、紅鮭は、北緯50度以北の海域でしか生息することが出来ず、生息できる海域の南限を超えているため、一切遡上していないからです。
この箱を見るや否や、紅鮭のことを思い出し、仕入れるというというより、自分のおかず用に、
買いました。味付けされているので、そのまま切身にして、焼くだけで、食べることが出来るのですが、昨年の暮れ、遊び半分で、新巻鮭を粕漬にして、食べたところ、殊のほか、美味しかったので、今回も、粕漬にしてみました。
酒粕を、
そのままフードプロセッサーにかけたら、
日本酒、赤酒、味醂で、
伸ばしていき、持ち上げたら、落ちそうになるくらいの固さにします。これを、
切身にした紅鮭と一緒に、
真空パックします。このまま、3日ほど、冷蔵庫におけば、粕漬の出来上がりです。食べる時は、
酒粕を水で洗い流して、キッチンパーパーで、水分を拭き取って、弱火で焼くだけです。水洗いすると、味が抜けてしまうように思われますが、そのようなことは、一切ありませんし、
綺麗に、焼き上がります。もちろん、おかずというかつまみ用ですので、
熱燗は欠かせません。(笑)
粕漬にすることで、塩味がまろやかになり、食べやすくなり、そのままよりも、ずっと美味しく感じられました。このひと手間は、素材と料理との境界線で、料理というものは、一工夫で、全く違うものになることを、再認識出来ました。
身近なものでも、未体験の事柄は、まだまだあるはずで、勉強する余地は、際限なくありそうです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
牡蠣めし(牡蠣の炊き込み御飯)の作り方
この時季、沼津の魚市場の貝類専門の売場には、
様々な産地や、
色んな分量にパック詰めされた牡蠣が、
並んでいます。この中から、
牡蠣めし(牡蠣の炊き込み御飯)を作るために、
広島県産の加熱用のもの(500グラム入り)を仕入れることにしました。広島県産ですが、加工地は、静岡県焼津市と書かれています。
牡蠣めしの作り方は、人それぞれですが、自分が使う材料は、
もちろん牡蠣は、欠かせません。牡蠣だけですと、出汁の出方が弱いだけでなく、味に膨らみを持たせるため、
油揚げを加え、見た目も大事ですので、
この時季らしく、京人参も加えます。
作り方ですが、
ざるに上げた牡蠣を、
ぬめりと汚れを取るため、沸騰したお湯の中に入れ、すぐに取り出し、
氷水に落とし、粗熱が取れたら、ざるに上げ、
油揚げも、油抜きをし、京人参も、下茹でをしておきます。これらに、下味をつけるのですが、牡蠣のクセをやわらげ、風味づけのため、
生姜も加えます。そして、これらを、
薄口醤油、塩、味醂、日本酒で味を調えた一番出汁で、煮含めます。この時、注意しなくてはならないのは、牡蠣に火を入れ過ぎないことです。ちなみに、【佳肴 季凛】の一番出汁は、鰹節、昆布、干し椎茸の足で取ったものです。
火から外し、冷めたら、バットなど別の容器に移し、さらに味を含ませるため、明くる日まで、冷蔵庫にしまっておきます。これで、下拵えは、完璧です。
炊く時は、牡蠣などの具と出汁を、
別々にし、
この出汁だけで、御飯を炊きます。
土鍋に、1割ほどのもち米を加えた白米5合を入れ、そこに、
先程の煮汁を注ぎ、
蓋をし、強火で一気に加熱します。しばらくすると、湯気が立ち始め、穴から、
煮汁が出始めます。この状態になったら、火加減を、中火にします。その後、土鍋の中の煮汁が無くなり、パチパチと乾いた音がしてきたら、
別にした具を入れ、外火だけの弱火にし、
再び蓋をし、5分程度したら、火を止め、しばらく蒸らし、
蓋を開けると、
このように、炊き上がりました。牡蠣の身がつぶれないように、
注意しながら、
混ぜ合わせたら、茶碗によそり、
刻んだ万能葱を、天に盛り付けたら、牡蠣めしの仕上がりです。
さらに、この牡蠣めしをおにぎりにして、焼いてから、お茶漬にした“牡蠣めしの焼おにぎり茶漬”も、
一興の味わいでもあります。
ただ、牡蠣の身は、他の貝類と比べ、水分が多いこともあり、牡蠣本来の旨味を味わうには、ちょっとしたハードルがあるのは否定出来ませんし、この牡蠣めしも、然りであるのは、否定出来ません。
機会があれば、というより、春までのシーズンのうちに、バージョンアップした牡蠣めしを、作ってみたくはなったものの、果たして、自らの疑問点を越えられるかどうか、不安ではありますが・・・。
ジャンボ海老フライ
先日、友人から、
貰った海老です。冷凍ものですが、
見るからに太くて、長いものでした。これだけで、
1,5キロの目方で、その数は、
わずか9本ですから、1本あたりの目方は、150グラム以上ということになり、まさにジャンボサイズです。
この海老は、
冷凍海老の中でも、最も有名な種類の一つであるブラックタイガーで、
産地は、バングラデシュです。
調理するため、
そのまま流水で、解凍することにしたのですが、今回は、頂きものということで、賄い用に、海老フライにしてみました。
解凍したら、
ざるに上げ、
頭の部分の殻を外し、
胴体の部分の殻を、剥きました。その後、尻尾の先端を切り落とします。
こうするのは、仕上がった時の見た目の良さと、揚げている時に、油がはねないようにするためです。
その後、
包丁で、背わたを取り除き、揚げた時に、身がまっすぐのまま、縮まないようにするために、
切り込みを入れ、関節を、
伸ばしていきます。普通のサイズの海老と比べてみると、
その大きさは、一目瞭然です。
伸ばし終えたら、軽く塩、胡椒をします。その次に、打粉をし、
パン粉を付け、
160度くらいの油で、揚げます。火が入ってくると、
色が付き始め、泡が小さくなっていきます。揚がったら、
次々に、取り出していきます。生野菜を器に、
盛り付け、そこに、
海老を盛り付けたら、出来上がりです。
先程お話ししたように、賄い用ですので、そのまま熱々を、食べたのですが、サクサクで、プリップリッなのは、勿論のことで、ジャンボサイズゆえ、その食べ応えは、何とも言えませんでした。
機会があったら、また食べたいので、早めにサンタさんに、お願いしておくことにします。(笑)
★★★ 冬の特別献立 ★★★
女性のお客様に限り、会席料理“冬ごもり”を、御用意致しております。
(お一人 3,000円 食事、デザート付 全9品)
なお、“冬ごもり”は、ご予約なしでも、お召し上がり頂けますが、11月24日~12月17日までの金、土曜日以外の御用意となっております。
みょうが貝ではなく、かめのて
今朝は、
沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。構内を歩いていると、
見慣れないものが、
目に入り、
手に取って見ました。見慣れないとは言っても、市場で見ることが、殆どないというだけです。これまでに、海の岩場などで見たことがあり、案の定、
かめの手(香川県産)でした。その横に、みょうが貝とも書かれていましたが、実際には、この二つは、
別物です。また、
こんな注意書きも、添付されていました。
先程お話ししたように、見たことはあっても、食べたことはなかったので、折角の機会ですので、試しに食べてみることにし、塩茹でや味噌汁などが一般的とのことで、自分は酒蒸しにしてみることにしました。
真水で、
きれいに洗ってから、
ざるに上げ、
バットに入れました。そこに、
アルコールを飛ばした日本酒を入れ、
そのまま、
10分程度蒸しました。
ある程度冷めたら、
下の茶色の部分を外し、
この部分を食べてみました。
貝のような味わいで、見た目は貝のような感じもしますが、分類上は、海老や蟹の仲間である甲殻類で、以前お話ししたこともあるふじつぼの近縁でもあるのです。
ただ、一つ残念なのが、身が小さいことで、もう少し大きければ、最低でも、浅蜊(あさり)ぐらいの大きさだったら、食べ応えもあり、濃厚な味がしそうな感じでした。
お客様にお出しするかどうかはともかく、料理人である以上、どんなものでも、一度は食べてみないと、本当のことは分かりませんし、少なくとも、一般の方よりは、詳しくないことには、プロとしては失格ですし、魚市場のような現場に通うことで、経験出来るものです。
やはり、料理の道は奥深く、未熟ゆえ、まだまだ修練の余地は、大いにあります。というより、無限大にして、未知数です。
★★★ 佳肴季凛謹製 西京漬 ★★★
当店では、贈り物に最適な【西京漬】をご用意いたしております。
銀鱈、サーモン各3切入 3,480円 ※クール便にて発送可
店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
秋刀魚(さんま)御飯の作り方
夕べのことです。たまたま見ていた番組が、
TBS系列で放映されている『新チューボーですよ!』でした。今の番組名になる前の『チューボーですよ!』も含めて、20年以上も放映されており、ご存じの方も多いかもしれません。
昨日の放送で作った料理が、
サンマの炊き込みご飯でした。
和食の料理人でありながら、今まで作ったことがない自分でしたので、作って食べてみることにしました。ところで、サンマの炊き込みご飯では、呪文とまではいかないまでも、少し長いだけでなく、表記も日本料理らしくないので、秋刀魚御飯として、お話しさせていただきます。
明くる日の今日、
沼津の魚市場に行き、
山積みにされていた発泡スチロールの中から、
北海道産の秋刀魚を仕入れて来ました。この発泡スチロールには、
2キロの目方で、13本入っていました。秋刀魚以外の魚の仕入れを終え、『佳肴 季凛』に戻り、秋刀魚御飯の仕込みをすることにしました。
先ず、身についている鱗を取ります。ただ、秋刀魚の鱗は、殆ど取れているので、そんなに神経質になる必要は、ありません。頭を、
落としたら、
腹を裂き、
内臓を取り除きます。その後、
きれいに水洗いをし、
三枚に卸したら、
小骨を取り除くのですが、この時の小骨は、
捨てずに取っておきます。また、頭だけでなく、
中骨と腹骨の部分は、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、掃除をしてもらったら、
焼台に乗せ、
こんがり焼きます。
焼き終えた頭や骨は、
鍋に入れます。そこに水を入れ、
昆布、椎茸の足、長葱の青い部分だけでなく、先ほどの小骨も、
加え、火にかけます。程なくすると、
アクが浮いて来るので、丁寧に取り除きます。この時の火加減は、強火から、中火にし、アクが殆どでなくなったら、弱火にします。その後、頃合を見て、
鰹節を入れ、火を止めます。そのまま、
濾すと、
秋刀魚の出汁が取れました。
これに、日本酒、薄口醤油、塩で、味つけをしました。番組では、素焼にしたものでしたが、秋刀魚は青魚ということもあり、照焼にした方が、より美味しく食べられると思ったので、出汁は、かなり薄目にしました。
身の部分は、
このように、串を打ちました。米1合に対して、秋刀魚1本、つまり身が2枚を目安にして、
4合炊くように準備をし、
このように、焼き上げました。一般のご家庭では、照焼のたれではなく、市販の鰻の蒲焼のたれを使うと、簡単に出来ると思います。
土鍋に、
1割程度のもち米を混ぜた白米を入れ、
出汁を注いだら、
蓋をし、
強火で、一気に加熱します。蒸気が上がり、
出汁が無くなってきたら、
照焼にした秋刀魚を乗せ、
外火の弱火にし、8分経ったら、炊き上がりました。炊き上がったら、
針生姜を乗せ、10分ほど蒸らしたら、
細かく包丁した万能葱をちらし、
混ぜ合わせたら、
茶碗に盛り付け、再び万能葱をあしらいました。
冒頭にお話ししたように、初めて作ったのですが、予想以上の美味しさで、生姜の風味が、照焼にした秋刀魚の味わいを引き立ててくれ、つい食べ過ぎてしまい、番組のような言い方をするなら、「☆☆☆(星3つ)頂きました!」の言葉が、ぴったりでした。
ご存じように、『チューボーですよ!』と『新チューボーですよ!』は、“巨匠”と呼ばれるプロの料理人が、作り方を説明しているので、納得することだけでなく、気付かなかったことも、多々あり、意外と勉強になることもあります。
やはり、まだまだ勉強すべき点は多く、料理の道は、終わりがないとしか言い様がありません。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★
(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は7周年を迎えました。そんな感謝の想いを込めた会席コースを御用意致しております。
なお、お召し上がり頂ける期間は、10月4日(日)までです。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。
新子は、真空&冷凍
今日は、定休日でしたが、
沼津の魚市場に仕入れに行って来ました。明日でもよかったのですが、仕込みが間に合いそうもないので、今日行くことにしたのです。
仕入れて来たのは、
佐賀産の新子などでした。この発泡スチロールの下にもあり、自分が仕入れたのは、
この2つ(計1キロ)でした。その後、ひと通りの仕入れを終え、【佳肴 季凛】に戻り、新子を仕込み始めました。鱗を取り、頭を落とし、
開きました。小さい魚ゆえ、鮮度が落ちやすいので、バットの下には、
氷を入れたバットをおいてあります。
全部で、55枚あった新子ですが、数が多かったので、
バットの左側のものだけを仕込みました。一枚ずつ、塩をした盆ざるに乗せ、
おいていきます。その後、塩を振り、
暫くおいておきました。ちなみに、新子の仕込み方については、こちらをご覧下さい。
塩がまわり、水洗いするまでの間に、仕込まなかった新子は、
専用の袋を用意し、
真空パックしてから、冷凍しておきました。このようにしておけば、天候不順だったり、市場が休みで、入荷が無い時や、急なご予約の時に、対応することが出来ます。
ですので、新子が出回らない時季に、新子をお出しすることもあり得るので、お客様に驚かれたりもします。もちろん、そんな時は、このような理由を、お話しします。
また、冒頭でお話ししたように、他の仕込みもしました。仕込んだのは、
先付の南京豆腐(南瓜で作った豆腐)や、
デザートのブルーベリーのムースでした。最後に、
雑穀御飯の玄米や小豆を水に浸け、
ひじき御飯に使う米(白米、押麦、もち米)を研いで、仕込みは終わりました。
先週の定休日もそうでしたが、一人仕事ゆえ、休みが休みでなくなることも、よくありますが、その時にお話ししたように、美味しい料理を作り、召し上がったお客様に、喜んで頂いてこそ、お金を頂くことが出来るので、今日のようなことは、承知の上です。
また、自分自身が、お金を払いたくないような料理を作るのは、悪魔に魂を売ることとしか思えませんし、料理を作ることが好きで、料理人になった以上、愚直な方法こそが、自分の歩くべく道なのです。
★★★ 佳肴季凛謹製 西京漬 ★★★
当店では、贈り物に最適な【西京漬】をご用意いたしております。
銀鱈、サーモン各3切入 3,480円 ※クール便にて発送可
店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。