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もっとおいしいお話し

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からとり

 この時季になると、殻つきの鳥貝が入荷してきます。この殻つきの鳥貝のことを、市場では”からとり”と呼んでいます。
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 主な産地は愛知県で、こんな風に海水の中に入ったままで、入荷してきます。
 ですから、仕入れる時は、その大きさ等に注意するだけでなく、水が貝殻に入ったまま、量りにかけないように、逆さにして、水をこぼします。中に入ったままですと、目方が増えてしまうから、こうするのです。
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 殻つきですから、殻から身を外さなければ、なりません。
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 今度は身を開くのですが、まな板の上で直にのせてしまうと、鳥貝の命と言うべき、黒い色が剥げ落ちています。これを、”はげとり”と呼んでいます。
 ”はげとり”は、自分が勝手に呼んでいるだけです。(笑)
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 そのため、アルミホイルやラップの上で開くのです。
 その次に、中の”わた”の部分を、塩と酢の入った水の中で洗ってから、塩と酢の入った熱湯で、軽く湯がきます。
 時間は大きさにもよりますが、ほんの数秒程度です。
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 こちらが、鳥貝の刺身になります。
 ところで、鳥貝はこんな風に、開いたもの売られています。
 
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 同じように愛知県産ですが、加工地は千葉県と書かれています。また、鳥貝は輸入物もあります。それがこちらです。
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 韓国産です。
 両方とも、生のものですが、開いてあるものはどうしても、風味に欠けます。ですから、美味しくありません。
 さらに、鳥貝というと、固いというイメージを持っている方が多く、固いだけでなく、味も素っ気もないものと、思われています。
 ここには、写真がありませんが、開いたものを冷凍したものが、固い鳥貝の正体で、”ゴムトリ”とか、”ガムトリ”と呼んでいます。これまた、自分が勝手に呼んでいるだけです。
 文字通り、ゴムやガムのように固いという意味です。
 鳥貝に限らず、どんなものでも、最初に食べた時の印象で、その本当の美味しさを知らないでいてしまうことが、多いものです。
 ”佳肴 季凛”では、素材の持つ本来の味を堪能できる食材を、自ら選んで仕入れていますので、鳥貝に限らず、本物の美味しさを味わって下さい。
 ちなみに、”からとり”は入荷もまちまちなので、ない時はご勘弁を。
  志村

トルコ産のまぐろ

昨日、沼津魚市場のまぐろのセリ場に、こんな風に、卸した状態のまぐろが並んでいました。
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近くに、寄ってみると、こんな札が貼られいました。
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”トルコ 畜養” ”246,8”と書かれています。
トルコ産の畜養の、本まぐろのことで、目方が246,8キロもある大型のものです。
畜養というのは、ある程度の大きさの魚(この場合、まぐろ)を獲って、生簀で餌を与えて育てることです。養殖と似ていますが、どちらも区別されています。
簡単に言えば、養殖とは、稚魚から育てることです。どちらも、厳密に定義されているので、詳しくはこちらを
以前、自分も”メキシコ産の畜養まぐろ”についてお話ししたことがあります。
今朝、このまぐろをセリ落とした魚屋さんに値段を聞くと、”佳肴 季凛”で普段使っている”生の本まぐろ”より、多少安かっただけでした。
畜養のまぐろは、トロの部分が多いのですが、味はどうしても落ちますし、正確な言い方ではありませんが、養殖臭がします。また、赤身の色も鮮明さに欠けます。
赤身とお話ししましたが、赤身が美味しいからトロが美味しいのです。当然、生の天然物は、その風味も格別です。
ちなみに、今日、”佳肴 季凛”に入荷した本まぐろは、長崎・壱岐産です。やはり、赤身が違います。
まぐろに限らず、良い魚は高いのですが、それに比例して味も良いものです。
自分は値段そっちのけで、つい仕入れてしまいます。お客様が喜ぶ顔が見たいのと、自分自身のモチベーションを高めていたい気持ちからそうなってしまいます。
ただ本音をお話しすると、後者の方が正しいのです。平たく言えば、自己満足のために、仕入れているようなものです。
さらにさらに、”佳肴 季凛”は全てが手作り自家製である前に、自己満足そのものなのです。
志村

日本料理店の串焼(その2)

 日本料理店である”佳肴 季凛”にも、串焼のメニューがあることを、お話ししました。こちらを、ご覧下さい。
 ”鮪の串焼”ですが、それこそ何ヶ月か一度に、レアものの串焼が、お品書きに並ぶことが、あります。
 それがこちらの串焼です。
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 何の串焼でしょうか?
 こちらが、串に刺す前のものです。
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 蛸(たこ)の口と、くちばしの部分です。
 そのままですと、ヌメリもあるので、きれいに落とさなくてはなりません。また、生ですと、固いだけです。
 これを適当な大きさに包丁して、串に刺して、塩を振って焼いたものが、”蛸の口の串焼”です。
 蛸独特の歯ごたえと甘味が、なんとも言えません。
 また、”佳肴 季凛”で召し上がったことのあるお客様は、数える程度のはずです。
 蛸の大きさにもよりますが、蛸1パイから、2本しか取れません。このレアものの串焼を召し上がることが出来たら、かなりラッキーだと思って下さい。
  志村

鳴き声の源

 ”佳肴 季凛”の3月の旬の素材は、”ほうぼう”です。
 ”ほうぼう”は、あまり大きくならない魚ですが、刺身にするには、0,5キロ以上のものが、理想的です。言うまでもありませんが、美味しいからです。
 ですから、自分が仕入れる”ほうぼう”は、それ以上のものです。
 
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 この”ほうぼう”は、2本で1,4キロですから、1本0,7キロのもです。
 小さいものですと、こんな感じの大きさです。
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 1本が0,2キロなります。こんなに小さいと刺身にとれるのは、ほんの少しで、一人前が精一杯といった感じです。
 
 ところで、”ほうぼう”は、自身の浮き袋をつかって、”ボウボウ”と、鳴くのです。これが転訛して、”ほうぼう”と言う説もあります。
 ”ほうぼう”を水槽から出したところです。
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 これが、締めたばかりの”ほうぼう”の姿です。
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 卸すと、お腹の中にこんな感じの浮き袋が入っています。
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 最初の写真のように、市場の生簀にいる時は、なかなかその鳴き声を聞くことができませんが、水槽にいれておくと、はっきりとその鳴き声を聞くことが出来ます。
 ちなみに、こちらが”ほうぼう”の身です。
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 2種類並んでいますが、上が”ほうぼう”で、下が”ひらめ”です。一般の方で、これを見ただけで、その魚が分かったら、かなりの白身通です。
 一口に白身といっても、色々ありますが、自分が一番好きなのは、この”ほうぼう”です。
 だから、こんなふうに、お話ししたくなるし、写真に収めたくなるのです。
 今が旬の”ほうぼう”を、是非召し上がってみて下さい。ただ、自分の気に入ったものが無い時は、仕入れてこないので、お許しを。
  志村
 

湾内もの

 毎年2月の終わり頃から、ホタルイカが入荷してきます。
 ホタルイカと言うと、富山湾が有名ですが、ホタルイカは北陸から山陰にかけての日本海でも獲れます。
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 こちらが、富山湾産のもので、”湾内もの”と呼ばれます。
 一方こちらが、日本海産のものです。
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 これだけでは、分からないので、もう少し近くに寄ってみます。
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 ご覧のように、兵庫県産です。
 
 どちらも、ホタルイカですが、”佳肴 季凛”では、富山湾産のものしか使いません。理由は美味しいからです。
 ということは、日本海産は美味しくないのでしょうか?
 語弊はあるかもしれませんが、美味しくありません。当然値段も、大きな差があります。この時季ですと、3~4倍くらいの差があります。
 また、この時季になると、スーパーの鮮魚コーナーにもホタルイカが並び、その殆どが日本海産です。ご覧いただければ、お分かりになると思います。
 その違いは、まずその大きさです。富山湾産のものは、一回り大きく、ホタルイカの味の決め手である”わた”の量、甘味も全然違います。
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 ”佳肴 季凛”では、昨日お話したように、目玉、くちばし、軟骨を取り除いてあるので、食べやすいはずです。
 これから旬を迎える、富山湾産のホタルイカを、是非味わって下さい。
 志村
 
 

私も仕込み

 お久しぶりです。真由美です。
 更新しようとは、思っていたのですが・・・。
 今日、”佳肴 季凛(かこう きりん)”は定休日だったのですが、明日は沼津魚市場の休みなので、志村さんは市場へ。
 昨日も仕事が終わると、志村さんが、「明日、何かある?」
 嫌な予感です。
 「・・・・・。ないけど・・・。仕込み?」
 「お願いね。」
 悪い予感は的中するもので、私も仕込みを手伝うことに・・・。
 下の娘を託児所に、送って店に戻ると、志村さんと仕込みが待っていました。
 店に着くと、早速志村さんが、「その海老の背わた抜いといて。」
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 ということで、仕事に取り掛かり始めました。
 終わった頃、「次はたこ、お願い。」
 ”たこ”とは、たこのヌメリ取りのことで、大根おろしと炭酸水の入ったボールの中で、たこを揉みます。
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 ヌメリが取れるまで、普段は20分ぐらいかかるのですが、今日に限って、いつもよりも、時間がかかってしまいました。
 それが終わると、これからが旬の”ほたるいか”の掃除です。掃除とは、目玉、背骨、くちばしを取る作業のことで、この時季の私の仕事の定番の一つでもあります。
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 それが終わると、本日のメインイベントの”海老しんじょう”です。ここで、一番最初にやった海老の出番です。
 私の仕事は、海老しんじょうを丸めて、形に取る仕事です。
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 これを、今日は120個ほど作りました。
 こういう単純な作業が、意外と好きな私ですが、終わったのは、4時を過ぎていましたが、志村さんは、まだ仕事をしていました。
 飲食店の仕事は、今日のように仕込みなしでは成り立ちませんが、お客様の「美味しかった。」、「また来ます。」といった言葉を、頂けるとそんな苦労も吹き飛びます。
 そんなお言葉が、何よりも励みであり、喜びです。何だか、志村さんみたいに熱くなってしまいました。
 真由美

魚の産地

 活魚とは、文字通り活きている魚のことです。沼津の魚市場の場合、地元産が中心ですが、ふぐをはじめとする活魚は、同じ静岡県でも、御前崎産のものが多く、良い魚が多く入荷します。
 ただ、魚(ふぐ、はも、養殖の平目など)によっては、中国、韓国産の入荷もあります。
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 今朝は、鯛(たい)、鱸(すずき)をはじめ、何種類か入荷していました。”佳肴 季凛”で刺身に使う白身は、このような魚を仕入れてきます。
 言うまでもありませんが、市場に入荷する魚は、活きたものだけではありません。野締め(死んだ魚)や、冷凍のものの方が、ずっと多く、それらが殆どです。
 特に、干物のような加工した魚の産地は、様々です。
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 ”鰯(いわし)の丸干し”です。千葉県産、三重産です。
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 この”カワハギの醤油干し”は、ベトナム産です。
 その隣には、”カレイの干物”が並んでいました。
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 オランダ産です。
 これだけでは、ありません。ノルウェー、中国、アラスカ、タイ、チリ、韓国、モロッコ、・・・。地理の授業ではありません。すべて、魚の産地です。
 ここにはありませんが、干物の定番と言えば、”鯵(あじ)”です。現在、普通に売られている鯵(あじ)の産地の殆どが、オランダ産です。
 また、冷凍エビは、東南アジア産が、殆どです。
 これらの写真には、書かれていませんが、加工地も日本国内だけではありません。そうでないものの多くは、中国です。
 これが、今の日本の水産業の現状です。もっと言えば、農業も同様です。その是非を話し始めてしまうと、きりがないのでやめておきます。
 本物の素材の味を、ご堪能して頂き、満足してもらうのが、料理人です。
 何度もお話ししていますが、料理人とは、料理を作る人ではありません。美味しい料理を、作ってこそ料理人です。
 そのために、不肖・志村は日々料理道に邁進するのです。
  志村

ふぐの卵巣

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 3月になると、ふぐの入荷も少なくなってきますが、昨日久しぶりにふぐを卸しました。
 この時季になると、生殖腺である白子や真子(まこ)は、かなり大きくなっています。お腹が大きいふぐを見ると、「白子か真子か?」と、思わざるを得ません。
 昨日のふぐもお腹が大きかったので、多少期待していたのですが、残念なことに、真子でした。真子、つまり卵巣は、猛毒なので、食べられません。
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 自分の手で持っているので、その大きさもお分かり頂けると思います。
 猛毒のふぐの卵巣ですが、石川県ではふぐの卵巣を、糠漬け及び塩漬けにすることで、毒素を消失して、食べられるようにして、売られているのです。
 また、いつ頃から作られ始め、食べられるようになったのかは定かではないと言われています。
 その期間は、2,3年にも及ぶのです。自分も詳しいことはよく分からないのですが、ある微生物がふぐの毒である”テトロドトキシン”を分解すると、言われているそうです。いろいろ検索していたら、その作り方が書かれていました。
 作り方は、こちらを。
 石川県だけが、この糠漬けを作ることが許可されていて、出荷の際には、 石川県予防医学協会という、公的機関の検査を受けなくてはなりません。
 猛毒であるふぐの卵巣を、こんな形で食べること出来るようにした先人の知恵には、感心させられます。
 ふぐを卸している時に、卵巣や肝臓を見ると、食べてみたくなる気がします。それくらい、美味しそうに見えるのです。同じように思ったからこそ、先人も糠漬けにしたはずです。
 自分は、まだ食べたことはありませんが、今度取り寄せて食べてみます。感想はその時に。
    志村
 
 

市場にあっても・・・。

 ”築地編”のお話しが続きましたが、今朝はホームグランドである沼津の魚市場へ、仕入れに行って来ました。
 沼津の魚市場は、漁港も隣接しているので、その日に水揚された魚も、セリ場に並びます。
 ちょうど、市場に着くと、伊佐木(いさき)が沢山水揚されていました。
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 伊佐木は夏が旬なのですが、ここ最近、よく入荷しています。また、自分も良いものがあれば、仕入れています。先月お話しした伊佐木については、こちらを。
 これだけあると、相場も安そうなので、仕入れようと思って、近づいてみました。
 よく見ると、この伊佐木は、”トメ”です。”トメ”とは、遅れて入荷した古いものを言います。
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 ご覧のように、目は白く濁っています。船の中の生簀で、”トメ”られていた魚です。
 鮮度も落ちていますし、味も同じです。仕入れるまでもありません。このように、市場に並んでいるからといって、新鮮なものとは限りません。
 魚の良し悪しを見極める目を養うため、自分は市場に行くのです。そうして、出来るだけ良い魚を求めるのです。それが、いわゆる”目利き”です。
 料理人としては、まだまだです。というより、いつまでもまだまだという気持ちを持ち続けて、いきたいものです。
  志村

お土産

 築地でのお話しが続きましたが、その番外編が今回のお話しです。
 東京へ行くと、決まってデパートに寄ります。先ず行くのが、地下の食品売場です。惣菜コーナーや、贈答用のお菓子売り場など、一通り歩いて回ります。
 一番の目的は、ランチやデザートを始め、料理の参考のためです。ただ、我が家には、女三羽烏がいるので、お土産なしで帰るわけにはいかないので、寄らざる得ないのも、立ち寄る理由の一つです。
 先日は、銀座の三越に寄りました。ちょうど、開店直前で、ちょっとした行列が出来ていました。
 その行列は、ロールケーキを買うためのもので、時間に余裕もあったので、自分も並んで、買ってきました。こちらが、そのロールケーキです。
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 ”堂島ロール”というロールケーキです。
 中を開けてみるとこんな感じです。
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 真ん中には、これでもかというくらいの生クリームです。マクロビオティックが基本の自分には、ちょっとといった感じです。それでも、一切れ食べました。
 一切れで十分ですが、志村家の女三羽烏は、あっという間に平らげてしまいました。
 ところで、そのロールケーキ売り場の前に、ちょっと変わったものが売られていました。
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 サイダーです。とは言っても、そんじゃそこらで売られているのとは、違います。
和三盆で作られているサイダーなのです。
 和三盆の詳しい説明は、こちらを
 当然買ってきて、飲んでみました。和三盆の味が最後に、口に残る自然の風味が広がります。
 ただ、一つ気になったことがあったので、店員の人に、ある質問というか、要望をしました。
 「ここまで、素材にこだわっているのなら、水にもこだわって、倍の値段で売るのは、どうでしょう?」と伝えました。
 店員さんも、少し驚いた様子でした。さらに、自分はこう続けました。
 「こんなこと言う人他にも、いますよね?」
 「いえ、初めてです。」
 「・・・・・。」
 「でも、貴重なご意見なので、上には伝えておきます。」
 と、こんな風なやりとりをしたのですが、素材への飽くなき探究心というより、執念の固まりの自分としては、そんなサイダーが出来たら、買って飲まずにはいられません。
 早く作ってくれないかなぁ~。というより、いつか自分で作ってしまうような気がするのですが・・・。
 志村
追伸 デパートに行くのが好きな理由には、もう一つあるのです。1階の化粧品売り場の、香水の匂いが大好きなのです。嫌がる人も多いようですが、自分に言わせてもらえれば、あの匂いは、単なる香りでなく、”フェロモンの香り”なのです。

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