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もっとおいしいお話し

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身欠き鰊

 ここ最近、会席コースの煮物でお出ししているのが、”鰊(にしん)、干し椎茸、車麩の炊き合わせ”です。
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 ちなみに、”炊き合わせ”とは、別々に煮た食材(味付もそれぞれ異なります。)を、一つの器に盛り付けた料理のことを言います。
 この三種類は、どれもが乾物です。その中でも、仕込みに時間がかかるのが、”鰊”です。
 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、干した”鰊”は、”身欠き鰊”と呼ばれています。
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 自分が知る限り、国産の”身欠き鰊”は聞いたことがありません。
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 この”身欠き鰊”はアメリカ・アラスカ産です。その他の産地では、ロシア、カナダがあります。
 自分が買い求めるものは、”4L”サイズの大きなものです。
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 また、”身欠き鰊”には、完全に干した”本干”と、半生の”ソフト”があります。自分が使うのは、”ソフト”の方です。その理由は、”ソフト”の方が、仕込みに時間がかからないのが一番の理由です。
 とは言っても、一日半~二日はかかります。
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 前日のうちに、”身欠き鰊”を、米のとぎ汁に漬けておきます。米のとぎ汁に漬けることで、苦味やえぐみを取り除くことが出来ます。
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 その後、お腹の部分の汚れや、鱗を取り除きます。
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 丁寧に一つずつ、掃除をします。
 この次に、”身欠き鰊”を湯がくのですが、仕込み同様、お話しするのに時間がかかるので、今日はここまでにしておきます。
 志村

日本料理店の酢味噌

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 この時季の定番料理の一つである”蛍烏賊と分葱(わけぎ)の酢味噌和え”です。
 ”蛍烏賊”と”分葱”が中心素材ですが、それ以上に味の決め手となるのが、”酢味噌”です。
 ”酢味噌”というと、味噌、酢、砂糖を混ぜれば出来ると思われていますが、(もっとも、一般家庭ではこれで十分です。)”佳肴 季凛”のような日本料理店でいうところの”酢味噌”は、全く違う代物です。
 味噌が違います。とは言っても、値段が高い銘柄の味噌ではありません。
 日本料理では、”玉味噌”というものを作って、それを”土佐酢(とさず)”で伸ばしたものが”酢味噌”なのです。
 ちなみに、”土佐酢”とは、鰹出汁に酢、砂糖、醤油などの調味料を入れて、作ったもので、簡単に言えば、”酢の物”用の酢のことです。
 ”玉味噌”は、味噌、卵の黄身、砂糖に調味料を入れて、火にかけて、練り上げたものです。自分は、隠し味にメープルシロップを入れます。何はともあれ、作り方をお話しします。
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 田舎味噌、白味噌、卵の黄身、練り胡麻(胡麻のペースト)を、合わせます。
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 よく混ざったら、日本酒、砂糖、みりん、を入れます。
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 均一に混ざったら、火にかけ、練り上げます。
 鍋の中に入っているものは、焦げやすいものばかりなので、火加減に注意します。また、卵の黄身が入っていますから、完全に火を通さなければなりません。
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 鍋肌についた味噌が焦げつかないよう、注意が必要です。弱火で練るのですが、今回の分量(仕上がりで1,5キロ位)で、約20分かかります。
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 練りあがったら、今度は裏ごしにかけます。滑らかにするためです。これも、15分くらいかかります。
 ”玉味噌”は、”酢味噌”に使うだけでなく、木の芽を叩いて入れれば、”木の芽味噌”になりますし、出汁、日本酒で伸ばして、”田楽(でんがく)味噌”を作って、豆腐の上にのせて焼いたりもします。
 卵の黄身が入っているので、コクと風味が豊かで、その用途は上に挙げた以外にも、基本の合わせ調味料として、重宝します。
 ちなみに、赤出し味噌で作ったものは、その色から”鉄火味噌”と呼ばれています。
 ですから、”佳肴 季凛”でお出しする”葱ぬた”を召し上がったお客様は「田舎の”葱ぬた”と違う。さすが、日本料理店だね。」とほめてくださいます。
 ”本鮪”や”ふぐ”などは、日本料理店の金看板というべき素材です。これらを使うことは料理人として、醍醐味を感じます。しかしながら、これらだけでは、献立を立てることは出来ません。
 そのためには、”葱ぬた”のような料理が不可欠です。こういう単純な一品を逸品に仕立てるのが、料理人としての腕を振るい甲斐があります。
 丁寧な仕事が施された”葱ぬた”のような料理を食べると、自分はその後に出される料理に、期待をします。いつまでもそういう心持ちで仕事をしたいものです。
  志村
 
 

しめ鯖

 今朝、仕入先である沼津魚市場から、帰ろうとしていると、こんな光景に出くわしました。
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 ちょうど、鯖(さば)が水揚げされていました。次々に箱に入れて、量りにかけられていき、並べられていきます。もちろん、水揚されたばかりの鯖なので、鮮度は抜群です。
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 そうこうしているうちに、セリが始まりました。
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 一気に値段が付けられていきます。
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 今朝はラッキーなことに、このうちの一本だけ、分けてもらうことができました。
 これがその鯖です。
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 早速卸して、しめ鯖にしました。
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 鯖は魚の中でも、最も身割れしやすい魚の一つなので、卸す時は注意が必要です。先日お話しした”鰆(さわら)”も同様です。
 かつて鮨屋に勤めていた頃、身割れさせたことがあり、ひどく怒られたことがあり、鯖を卸す時、そのことを思い出さずにはいられません。
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 卸した鯖は、”強塩(ごうじお)”といって、見えなくなるくらいの塩をします。このまま、二時間ほどおきます。
 その時間は、鯖の脂の乗り具合によって、変わってきます。それでも、脂のない鯖でも、一時間半は塩をします。
 時間が経ったら、塩を落とすため、水洗いします。その時も身割れさせないように、注意が必要です。
 そうしたら、二番酢(一度使った酢)で洗い、腹骨を取ります。
 
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 その後、二十分ほど、酢に漬けます。これも塩と同様、時間も多少異なります。
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 こんな感じに仕上がりました。しめ鯖が好きな方には、この赤い色が、何よりも喜ばれます。
 そういう自分も、しめ鯖が大好きなので、この赤い色はたまりません。鮨屋での修業時代、自分で練習して、食べたいがために、築地の市場で、一本、4,000円もする鯖を買ったものでした。
 練習をする時は、高いものを買わなければ、上達しないと自分は思っています。というのも、人間は卑しいもので、自分のお金で買ったものとなると、殊更大事に扱います。
 たかが、練習といっても、真剣になるのは当然です。その真剣さこそが、上達への第一歩なのです。
 仕事を覚えるには、数をこなすことも必要ですが、それ以上に、丁寧な仕事を覚えるためには、質も大事なのです。
 ですから、自分は修業していた鮨屋で使っている魚よりも、ずっと高い魚を使って練習したものでした。そういう時は、心の中で、「俺の魚は、今日ここにある魚よりも、ずっといい魚だ。」と独りほくそ笑んでいました。
 仕事が終わってから、その魚を卸して、鮨を握る練習して、自分で食べたのですが、沢山ある時は、その鮨を持って、夜の新宿・歌舞伎町に繰り出し、飲み屋のお気に入りの女の子に、ご馳走したものでした。
 そんなことばかりやっていたので、独身時代の財布はいつも、スッカラカンでした。若気の至りとはいえ、思い出すと、自分のことながら、あきれてしまいます。
  志村
 

盛り箸

 日本料理では、当ブログの表紙のイラストのように、料理を盛り付けます。と言っても、分かりにくいでしょうから、こちらの写真をご覧下さい。
 
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 角度を変えてみます。
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 大体、お分かりいただけでしょうか?特に、この箸に注目して下さい。この箸は、盛り付け専用の箸で、”盛り箸(もりばし)”と呼んでいます。柄は木などで出来ていて、その先はステンレス製です。
 ステンレスを使っているので、普通の菜箸よりも重く、若い頃は使いこなすまで、時間がかかりました。
 また、先端はたいへん鋭く、とがっています。
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 普段自分が使っている”盛り箸”は、最初の写真のものですが、これとは別の”盛り箸”も持っています。
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 柄の部分が、”黒檀(こくたん)”で出来ています。”黒檀”については、自分はあまりよく分からないので、こちらを
 見た目から想像がつくかと思いますが、値段も普段つかっているものよりも、ずっと高いです。また、先の部分が長く、使いにくいので、しまい込んであります。
 普段使うには、もったいないのと、何かあって壊れたら嫌なのが、本当のところです。
 「じゃぁ、いつ使うのか?」と思われるかもしれません。
 粋がって、格好つけたい時に使うのです。こういうどうでもいいことに、価値観を見出すのが、志村流です。
 ところで、先日普段使っている”盛り箸”の柄の部分が壊れてしまいました。
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 が、”盛り箸”に限らず、我々プロが使う道具は、大体の場合、修理できるので、長い間、使うことが出来ます。
 この”盛り箸”も、かれこれ、二、三回程、柄が壊れてしまい、その都度直して、使っています。
 包丁と同じく、使い込んだ”盛り箸”は手になじんでいるので、使いやすく、仕事も速く出来ます。
 今更ながら、プロの使う道具は、よく出来ています。
  志村

松花堂弁当

以前、”佳肴 季凛”のお弁当のお話しをしました。詳しくは、こちらを
今日のお弁当は、こんな感じのものでした。先ずは、その器から。
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二段になっています。ふたを開けると、こんな料理です。いわゆる松花堂弁当です。ちなみに、松花堂弁当とは、中に十字の仕切りがしてある弁当のことです。
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左上の仕切りに入っているのは、揚物です。白い方が”いかの新挽揚げ”で、ピンクの方が”帆立の新挽揚げ”です。
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右上の仕切りが、”煮物”です。人参、蓮根、ごぼう、こんにゃく、椎茸、絹さやです。
s-画像 146.jpg  右下の仕切りが、焼物ほか色々です。お弁当の定番である”玉子焼き”、”めかじきの照焼”(上に乗っているのは、酢ばすです。)、”つくね”、”海老の酒煮”が入っています。
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左下の仕切りが、御飯と香の物です。今回は、”桜海老の御飯”です。
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このお弁当箱とは、別にもう一品あります。”鳥もも肉の塩焼”です。粒マスタードをかけると、より美味しく召し上がれます。
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会社の会議、お花見、ご自宅での会食など、ご予算、ご要望に応じて、色々作らせて頂きますので、何なりとお申し付け下さい。

ただ、お弁当に限らず、”佳肴 季凛”の料理は、全て自分の手作りですので、前もってのご注文をお願いいたします。
志村

妻いろいろ

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 日本料理の華と言えば、やはり”刺身”です。この写真は”佳肴 季凛”の会席コース”凛”の刺身です。
 この日の刺身は、”本鮪(博多)”、”平目(由比)”、”蛸(愛知)”、”青柳(北海道)”の四種盛りです。ちなみに、”会席コースの”季”は、三種盛りです。
 ところで、今日のお話しは、刺身に使われている魚のことではありません。
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 刺身についている、この花と紫色の葉っぱについてです。
 先ずは、この花から。この花は、”花穂(はなほ)”と呼ばれています。正式には、”はなほじそ”と言います。
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 ”しそ”とついているように、”しそ”の花のことです。当然食べられます。今風に言えば、”エディブルフラワー(食用花)”ってやつです。
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 しかも、こんな風に木の箱に入っています。ですから、安いものではありません。
 食べると、”しそ”の香りがします。
 今度は、”花穂”の隣の紫色の葉っぱです。
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 ”紅蓼(べにたで)”と言います。”蓼”とありますが、ことわざの「蓼食う虫も好き好き」の”蓼”と同じものです。パック入りですから、”花穂”よりは、安いです。ちなみに、”鮎(あゆ)の塩焼き”に付いている蓼酢(たでず)も同じものです。
 当然、”紅蓼”も食べられます。食べると、苦味と辛味がします。
 ”花穂”や”紅蓼”は、日本料理では”芽もの”とか、”あしらい”と呼ばれています。これら以外にも、”花丸胡瓜(はなまるきゅうり)”、”青芽(あおめ)”などがあります。
 別の言い方では、これらを”妻もの”と呼んだりもします。”妻”というと、大根や人参などを細かく切ったものを、思い浮かべますが、刺身についている野菜類は、どれも”妻”なのです。当然、”山葵(わさび)”も”妻”なのです。
 また、献立を書く時、これらを総称して、”妻一式”とか、”妻いろいろ”とも、書いたりします。
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 このように 、”佳肴 季凛”では、大根だけでなく、人参、胡瓜、アーリーレッド(赤玉ねぎ)、などを入れています。特に、今の時期”茗荷竹(みょうがたけ)”という茗荷の茎も入れています。
 こうすることで、見た目にも鮮やかですし、サラダのように美味しく食べることが出来ます。
 もちろん、HPのトップページのフラッシュ画像にあるように、全て自分が桂剥きしてから、包丁しています。
 日本料理では、器に盛り付けられているものは、全て食べられます。先程お話ししたように、”花穂”、”紅蓼”然りです。
 でも、お客様の中には、召し上がらない方も多いのが現実です。ですから、自分は、こんな風にして盛り付けています。
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 ”花穂”はこんな風に。そして、”紅蓼”も同じ様に。
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 こうすると、お客様は食べられるものだと思ってくれるので、刺身と一緒に食べてくれます。
 ただ、日本料理店の多くは、”佳肴 季凛”のような盛り付けはしません。
 冒頭の写真のように、盛り付けるのが一般的です。そういう時は、こんな風にして下さい。
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 このようにして、取った花は醤油の小皿に落として、召し上がれば、より刺身を美味しく味わえることができます。
 たかが”妻”です。されど”妻”です。脇役あってこその主役です。自分を含め、”妻”君をお持ちの殿方諸氏。”妻”が居なくなったら、困りません?
 で、今回は終わりにしようと思いましたが、・・・。
 

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マクロビオティックのお餅

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 いきなりですが、これは何でしょう?
 これがお分かりになる方は、かなりの”マクロビオティック”通です。
 答えは、もち米の玄米でつくられたお餅です。つまり、”マクロビオティックのお餅”です。
 もち米で作られていますから、ちゃんと伸びますし、食感も普通のお餅と全く変わりません。
 ただ、玄米で作られているので、普通のお餅よりは、ずっと味とコクがあります。
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 こんなパッケージに入っています。
 裏を見てみます。
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 食べ方、調理方法も、普通のお餅と全く同じですが、先程お話ししたように、味とコクがあるので、ただ焼くだけで、何もつけずにそのまま食べられます。
 ただ、このお餅は、普通のスーパーでは売られていません。大体の場合
、自然食品を扱っているお店で買うことが出来ます。
 自分は、富士宮市にある”富士グリーン”さんで、買っています。特に年末になると、いろんなメーカー、種類の玄米のお餅が、店頭に並びます。
 玄米は苦手という方でも、玄米のお餅は食べられるはずなので、マクロビオティックに興味のある方は、玄米のお餅を手始めにするのも、一つの手かもしれません。
 機会があったら、是非一度お試し下さい。
  志村
 
 
 

生の本鮪(ほんまぐろ)の血合い

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昨日入荷した”本まぐろ”(福岡県博多産)です。この部分は、大トロの取れる”腹”側の”シモ”と呼ばれる部分です。
”シモ”というのは、下の方つまり尾に近い部分です。ちなみに、頭に近い部分を、”カミ”、真ん中を”ナカ”と呼びます。
このように塊で仕入れると、刺身では使えない部分があります。”皮”と”血合い”が、それにあたります。刺身にならないからと言って、その部分はタダというわけではありません。世の中、そんなに甘くはありません。
つまり、刺身にならない”皮”も”血合い”も、トロや赤身と同じ値段なのです。もったいなくて、捨てられません。
”血合い”というのは、上の写真でいうと、右側の黒い部分です。別の位置から見てみます。
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まぐろを柵取りする時は、最初に”血合い”を取ります。
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包丁で身の方から、めくるようにして切り離します。
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刺身にはならないのですが、”血合い”は焼いて食べると、その血生臭さも気になりません。醤油に漬け込んで、天日で干してから、焼くとより美味しいのですが、干しておくと、野良猫に食べられてしまうので、そうしません。
実際、何度も野良猫に食べられてしまったので、この先、未来永劫干す予定はありません。野良猫に何千円も、あげたようなものです。まさに「豚に真珠」ならぬ「猫に血合い」です。
本まぐろの”血合い”だけあって、美味しいのですが、会席のコースの焼物にするわけにもいかないので、殆どの場合、賄いになってしまいます。
ただ、常連のお客様の中には、”血合い”が好きな方も多く、「今日、”血合い”ある?あれば、焼いて。」と、尋ねてきます。そんな時は、焼いてお出しししています。
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”血合い”を、切り分けたところですが、下の赤い部分は、その色からして、トロと同じように脂が乗っています。焼いて食べると、その美味しさは、
以前お話しした”鮪の串焼”と同じ味わいがあります。
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今回は塩焼にしてみました。レモンを絞り、大根おろしと、本わさびを、あしらいました。機会がありましたら、”佳肴 季凛”の裏メニューの”血合いの焼物”を、召し上がってみて下さい。
ただ”血合い”は稀少部位ゆえ、ないことが殆どです。召し上がれたら、かなりラッキーでもあります。ある意味、運試しの料理かもしれません。
志村

折り紙ではありません

 もうすぐ、三月もおしまいです。一足先に、四月の”旬の素材”を、アップしましたので、ご覧下さい。
 さて、今日のお話しです。揚物の下に敷く紙のことを、”天紙(てんし)”と呼んでいます。
 普通はこんな風に、使っています。
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 ちなみに、この揚物は”しょうさいふぐ”の唐揚げです。
 盛り付け方に変化が欲しい時は、こんな風に”天紙”を使ったりもします。
 
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 こうすると、立体感が出るので、盛り映えします。ちょっとした工夫で、目先を変えることも出来ます。
 また、このように盛り付けてあると、”天紙”の使い方が気になる方もいて、召し上がった後、”天紙”を手に取ったりもしています。
 その折り方は、こんな感じです。
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 ”天紙”はこのような正方形をしています。
 先ず、これを三角形になるように、折ります。
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 出来た三角形の右半分を、さらに折ります。
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 これを内側から、広げます。
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 この形の”天紙”をもう一つ作ります。その二つを、互い違いになるように、重ねれば出来上がりです。それこそ、単純です。
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 先程もお話ししたように、目先が変わるのが利点なのですが、バランスをとりにくいのが欠点なので、数が多い時には不向きです。
 この盛り付けのように、料理は盛り付け一つで、ガラリと変わるものです。見映えがして、食べやすい盛り付けというのは、なかなか思いつくものではありません。
 包丁捌きもさることながら、盛り付けは奥深いもので、ある意味料理人泣かせでもあります。
  志村
 

小肌(コハダ)の仕込み

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 小肌(こはだ)は、鮨屋さん専用の魚で、”佳肴 季凛”のような日本料理店では、あまり使いません。
 今現在、和食の世界に身を置いている自分ですが、料理の道に入ったのは、鮨屋が最初なので、小肌をはじめとする”酢〆”にする魚も、使う機会も自ずと多くなります。
 今朝も、なかなかの小肌が入荷していたので、仕入れて来ました。佐賀県・有明産です。
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 小肌の良し悪しや大きさを確認するため、どんなに寒い冬の日でも、必ず自分で小肌を、選り(より)ます。
 そんな冬の日は決まって、「親方、こっちでやりますから、・・・。」と言われる自分ですが、そんなことを、熱血料理人こと、不肖・志村が頼むわけありません。
 それどころか、「自分でやるから、気にしないで。」と相手にしませんし、もっと言うと、他人の触った魚なんて仕込む気になれないのが本当のところです。
 さて、その仕込み方です。まず鱗を包丁を使って取ります。
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 それから、頭と腹を切り落としてから、水洗いします。その後、この様に小肌を開いていきます。
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 文字通り小さい魚なので、丁寧に手早く開いていきます。
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 開き終えた小肌です。
 今度はこれらに、塩をあてます。先ず、盆ざるに塩を振り、そこに小肌を並べていきます。
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 並び終えたら、今度は身に塩を振ります。
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 これですと、どの程度塩を振ったのか、お分かりにならないので、もう少し近くでご覧下さい。
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 塩の分量は、魚の大きさ、脂の乗り具合、季節によって異なります。この小肌の大きさは、1匹が40~50グラム位です。
 今の時期ですと、大体20分位、塩を振った状態で置いておきます。その後、水洗いをして、一度使った酢(二番酢と言います。)で洗います。こうすることで、小肌の水っぽさが抜け、酢が馴染みやすくなります。
 その後、酢に漬けます。
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 今日の場合、6,7分位です。ちなみに、酢に漬ける時間は塩の三分の一が目安です。これも、魚の状態、季節によって多少変わってきます。
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 酢から上げたら、身の部分だけ昆布の上においておきます。こうすることで、余分な水分を昆布が吸い、昆布が小肌の味を引き立ててくれます。
 小肌のように、手のかかる仕事というものは、今の時代、敬遠されがちですが、こういう仕事こそ、料理人として、腕の振るい甲斐があるものです。
 こういう仕事が決して廃れることのないよう、後世に伝えるのも、料理人の使命と思って、包丁を握り続けたいものです。
  志村
 

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