苺のリキュールとココナッツのリキュール
以前、デザートを仕込む時に使うリキュールについて、お話ししたことがありますが、これまでに使ったことがないものを、
先日、仕入れて来ました。左側が、
苺のリキュールで、右側が、
ココナッツのリキュールです。
これまで使っていた苺のリキュールは、
こちらでしたが、仕入れ先の酒屋さんによれば、風味が良いとのことでしたので、試しに使ってみることにしました。
一方、ココナッツのリキュールは、
このような乳白色をしており、ココナッツミルクの香りがします。
そして、今日、このリキュールを使って、
ココナッツミルクのムースを、
仕込みました。これまで使っていたのが、
『ディサローノ・アマレット』という銘柄で、アマレットは、アーモンドのような甘く香ばしい香りが、特徴で、アーモンドを使っていると思われがちですが、実際には、杏子の種子を使っているのが、殆どです。
また、種子系のリキュールということもあり、胡麻を使ったデザートを仕込む時にも、アマレットを使ったことがあります。アマレットは、ココナッツのリキュールの香りと、よく似ていますが、ココナッツの風味を、より感じたいので、これからは、ココナッツのリキュールを使うことにしました。
今回お話しした苺のリキュールと、ココナッツのリキュールのように、まだまだ知らない食材は、沢山あり、さらに、それらを使いこなすには、まだまだ勉強する必要があるのを感じました。まだまだ、努力の余地が、大いにありなのは、確かです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
ありありの定休日
今日は、定休日でしたが、明日(23日)は、
沼津の魚市場が、
休みということもあり、仕入れに行って来ました。少ないながらも、金目鯛(御前崎)が、
良さげでしたので、
1,5キロのものを、1枚仕入れることにしました。また、
真鰯(沼津)も良かったので、
仕入れました。この他にも、冷凍ものや小物などを仕入れ、『佳肴 季凛』に戻りました。
先ほどお話ししたとように、今日は定休日でしたが、ランチの御予約だけでなく、お弁当のご注文も頂いていたので、お昼だけ営業しました。
ランチの営業時間中、合間を見ながら、
刺身の妻を剥いたり、
“サラダ素麺”の野菜を、包丁出来るように、準備しておきました。
そうこうしていると、ランチの営業時間も、終わったので、デザートをお出しする頃には、
お弁当の煮物や焼物も、仕上がっていました。ラストオーダーとなり、他のお客様のお料理の目途がついたので、女将兼愛妻(!?)の真由美さんは、
厨房に、折を並べ、
お弁当の盛り付けを始めました。お客様もお帰りになったので、自分は買い出しに出掛けました。戻ると、
このように仕上がっていました。買い出しに行って来たのは、
豚肉のロースで、戻ると、真由美さんは、明日のお弁当の折を、準備していました。豚肉のロースは、お弁当の揚物に使うので、包丁し、
塩、胡椒をしたら、
真由美さんに、
パン粉をつけてもらいました。その後、
西京漬に仕込む3本の銀鱈(アラスカ)と、
お弁当用の鶏肉の照焼を仕込んだものを、冷凍庫から、出しておきました。
また、とんかつと鶏肉の照焼入りのお弁当で、しかも、
ボリューム重視のお弁当ですので、白米を研いでおきました。
そして、真由美さんの誕生日が、25日ということで、少し早めでしたが、家族で、
鱈場蟹の蟹すきを食し、仕入れ、ランチの営業、お弁当、様々な仕込みと、“ありありの定休日”は、終わったのでした。
3日分のお弁当の準備
今日は、お弁当のご注文はありませんでしたが、明日から3日連続で、お弁当のご注文を頂いているので、
煮物の仕込みをしました。冷めたら、
それぞれの日ごとに、数を振り分けました。日によって、数も違うので、
バットの側面に、
曜日と数を書いたものを、貼っておきました。3日分ですが、一つだけ、蒟蒻が無いのに、お気づきかと思いますが、月曜日は、数も少ないので、
蒟蒻の代わりに、白滝を使うことにしました。白滝は、蒟蒻のような濃い目の味つけではないので、野菜と一緒に、煮含めてあります。
煮物以外には、
つくねの蕃茄煮を仕込みました。蕃茄とは、トマトのことで、トマトケチャップを使った味付けにしてあります。仕込んだのは、
月曜日と火曜日の分でした。というのも、明日は、つくねの代わりに、
生の本鮪の南蛮漬を使うからです。
また、海老の酒煮も、
明日と明後日の分しか、
仕込みませんでした。火曜日も使うのですが、煮物のように、当日火を入れることもないので、仕込むのは、明日か、明後日です。
海老の酒煮同様、明日と明後日分しか、準備しなかったのが、
焼物に使うサーモンの西京漬で、これも、海老の酒煮同様、明日以降の予定です。
お弁当に使う料理の仕込みは、こんな感じでしたが、営業が終わってから、女将兼愛妻(!?)の真由美さんは、
折の準備をしていました。曜日ごとに、
数を書いておいたのですが、明日のお弁当は、法事用のものですので、
紐は、白と紫のものです。火曜日のものは、
料理内容も違うので、別の容器も、準備しておきました。また、月曜日と火曜日のお弁当は、
お茶付ですので、お茶も準備しておきました。
そして、お客様がお帰りになった後、
明日の16個分の折を、テーブル席に、並べておきました。あとは、明日、仕上げるのみです。
ランチを休んで、お弁当
今日は、
夕方までに仕上げなくてはならないお弁当のご注文を、沢山頂いたので、お昼の営業を、お休みさせて頂きました。
数にして、約70人前でしたので、昨日の夜の営業が終わった時点で、
テーブルをつなげ、
折を並べたのですが、並べきれないものは、
カウンターで、盛り付けるように、準備しておきました。
そして、明くる日の今日、ひと通りの仕込みを終えてから、最初に取り掛かったのが、玉子焼で、1本あたり、20人分ですので、
4本焼かなくてはなりません。焼き上げる間、隣りのガス台では、
煮物の蒟蒻の仕上げるため、火にかけ、
先ずは、1本目を焼き上げました。
その頃、
離れた別の厨房では、同じく煮物用の牛蒡とさつま揚げを、火にかけており、その様子は、揚物に使う鶏肉に、片栗粉をつけていた女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、
任せることにしました。蒟蒻が煮上がると、牛蒡とさつま揚げの入った鍋を移動し、
自分は、再び玉子焼に、取り掛かりました。これらが煮上がったら、今度は、
人参を火にかけました。その頃には、
玉子焼きも仕上り、人参を火にかけている頃、
揚物の烏賊の新挽揚げに、取り掛かり始めました。
揚げ上がった頃には、
ようやく人参も煮上がりました。その後、サーモンの西京焼が仕上がった頃、バイトも
盛り付けに参戦し、
一気に仕事が、
はかどりました。そうこうしていると、
ひじき御飯も炊き上がったので、第二弾用に、
別のバットに移し替えておきました。
その頃、洗い場では、普段から、諸々の雑用をしてくれている義母が、
洗い物をしてくれており、ひと通りのものを仕上げた自分は、
日曜日以降のお弁当に使うバットなどを、準備しておきました。ここまできたら4コーナーを周ったようなものです。
煮物と御飯、
焼物などを盛り付けた口取りと揚物が、
このように仕上がり、それぞれを組み合わせたのが、
こちらです。それぞれを、
上下二段に重ねたら、
蓋をかぶせ、
紐を掛け、
箸を乗せ、
箱に詰めました。カウンターと、
テーブル席に、
お茶と一緒に置き、お客様が取りに見えるのを、待つばかりとなりました。
ところで、お弁当とは全く関係ありませんが、ランチの営業をお休みさせて頂いたこともあり、天気も良かったので、
色が落ちていた玄関周りの柱を、
ペンキ屋さんに、塗装し直してもらいました。
お弁当のご注文は、これまで、何度も頂いているのですが、今日のような数は、初めてでしたので、仕上がるまで、少し不安というか、緊張感がありましたが、かつて勤めていた店のことを思い出しながら、仕事をしていました。そんな思い出については、こちらをお読み下さい。
今更ながら、職人仕事は、身体で憶えることゆえ、いつまで経っても、忘れないことを感じました。“雀百まで、踊り忘れず”とは、よく言ったものです。仕事の殆どは、師事した親方や先輩達に教わったものばかりですし、自分オリジナルの料理であっても、それらが基礎となっています。
これからも、日本料理の伝統を受け継ぎながら、日々、仕事をし続ける姿勢だけは、失いたくないものです。
真鰯の丸煮の仕込み
一昨日、昨日と、真鰯についてお話ししてきましたが、今日は、“三部作”の最後です。
頭を落とし、水洗いした真鰯は、生臭みを取るだけでなく、煮崩れにくくするため、
塩をしておきます。1時間ほどすると、
このように、水が出て来ます。その後、
水洗いして、
ざるに上げておき、一晩冷蔵庫にしまっておきます。これも、煮崩れにくくするためです。明くる日の昨日、
鍋に入れたら、
水をはり、骨を柔らかくするため、
酢を入れ、そこに、
昆布を入れ、
火にかけます。火加減は、
煮崩れさせないために、弱火です。しばらくすると、
アクが出てくるので、
丁寧に取り除きます。この作業をしながら、2時間くらい経つと、
このようになり、このまま冷ましておきます。鍋肌は、
アクで汚れているので、
別の鍋を用意し、
移し替え、煮汁にも、
アクやかすが残っているので、
キッチンペーパーで濾し、
このまま一晩おいておきます。そして、今日、
水を足し、日本酒も加え、
再び火にかけます。まだアクも出てくるので、
丁寧に取り除きます。アクが出て来なくなったら、
砂糖を入れます。マクロビオティック(玄米菜食)を基本に据えているだけでなく、自然な甘味をつけたいので、
てんさい糖を使っています。その後、
濃口醤油を加えます。ご覧のように、有機丸大豆で作った醤油です。その後、煮汁の詰まり具合を見ながら、
たまり醤油、
赤酒、
仕上げに、味醂を入れ、煮詰めて、
仕上げます。熱々でも美味しいのですが、濃い目の味付けですので、冷めても、十分美味しいのが、“丸煮”の良さでもあります。お出しする時は、
天に白髪葱をあしらいますが、針生姜や木の芽なども、あしらうこともあります。また、御飯のおかずだけでなく、酒の肴にも、相性がよいだけでなく、それほど、値段も高くないのも、真鰯の良さでもあります。
和食離れが進んでいると、よく耳にしますが、こういう料理こそ、後世に残し、日本料理の伝統を受け継ぎ、伝えていけるよう、日々の仕事に、打ち込む姿勢を、持ち続けたいものです。
沼津産真鰯の水揚げ&氷見産真鰯の南蛮漬
昨日、富山県氷見から、真鰯が入荷したことをお話ししましたが、今朝、沼津の魚市場では、真鰯が、160トンも水揚げがありました。一口に160トンと言っても、想像がつきません。
キロ換算すると、16万キロということになりますが、これまた想像がつきません。5キロ入りの発泡スチロールなら、32000ケース出来たことになり、またまた想像がつきません。
昨日の真鰯の目方が、70~100グラムでしたので、大まかに計算すると、160万本ということになります。実際には、大小様々ですので、200万本位の可能性もあります。結論として、どんな計算をしても、想像がつかいないことだけは、分かりました。
そんな今朝の水揚げの様子ですが、
船から、網に入った真鰯が、クレーンゲームさながらに、釣り上げられ、
卸されると、
コンベアに乗せられ、
次々と、
移動し、
ダンベと呼ばれる容器に、入れられていきました。この後、セリにかけられ、箱詰めされて、再び売場に並ぶのは、明日になります。
料理の世界に入ってから、築地を始め、色んな魚市場に通い、行ったことはあっても、このような光景を見るのは、実は、初めてのことで、社会科見学のような気分でした。
ここからは、昨日の続きで、タイトルにもあるように、真鰯の南蛮漬の作り方について、お話しします。
水分をきれいにふき取った真鰯に、
片栗粉をつけたら、
160度位の油で、
揚げます。揚げ上がりは、
このような感です。揚がった真鰯を、
盆ざるに乗せます。この上から、
沸騰したお湯を、
油抜きのため、回し掛けます。掛け終えたら、
バットに並べていきます。お湯を掛けた片栗粉が糊状になってしまうので、手際よく、やらなくてはなりません。
並べた真鰯の上に、立塩(たてじお)と呼ばれる海水程度の塩水につけて、しんなりさせた玉葱を乗せたら、
再び、
真鰯を乗せ、
同じ要領で、玉葱を乗せ、
お湯で戻した鷹の爪を入れ、
土佐酢を注ぎます。土佐酢とは、鰹出汁に、酢、砂糖、薄口醤油などの調味料で、味を調えた合わせ酢のことで、その割(レシピ)は、人それぞれです。
ひたひたになるまで、
注いだら、
落としラップをして、
蓋をして、
冷蔵庫にしまいます。2,3日すれば、味が染み込み、出来上がりです。昨日仕入れた70グラムサイズの真鰯を全て、南蛮漬に仕込んだわけではなく、残ったものは、
三枚に卸して、
おきました。刺身でも食べられるものですが、自分は揚物に使うので、一度に使い切れないものは、
真空パックして、冷凍しておきました。
とりあえず、真鰯については、中編までお話ししましたが、後編は次回の予定で、骨ごと食べられるように、煮上げた“丸煮”についてお話しします。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
お弁当の後は、富山県氷見産の真鰯の下拵え
昨日お話ししたように、今日は、
お弁当の仕上げから、一日が始まりました。数もそれほど多くなかったので、ひと通りの料理が出来上がったら、明日のお弁当用の煮物を仕込むため、盛り付けを始める前に、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに、
人参など野菜の皮を剥いてもらい、
包丁し、
煮含めておきました。このまま、冷蔵庫にしまい、明日、煮上げます。この間に、真由美さんは、盛り付けをしてくれ、揚物と焼物などが入った口取りは、
このように仕上り、御飯と煮物は、
このように仕上がり、
それぞれを組み合わせ、完全に出来上がりました。その後、しばらくすると、
宅配便で、富山県氷見から、荷物が届き、
中には、真鰯が、10キロほど入っており、その数は、約100本でした。そのうちの約半分の真鰯の大きさは、
100グラム前後のもので、残りは、
ひと回りくらい小さい70グラム前後のものでした。先ず、
頭と腹の部分を落としました。身の部分は、
100グラムサイズ(写真左)と、70グラムサイズ(同右)に分けておきましたが、少数派として、
この2つのサイズよりも小さいものが、5本と、豆鯵が2本と、鰯は鰯でも、別の種類のうるめ鰯が、1本いまいした。
通常というより、殆どの料理人が捨ててしまう頭ですが、
使い道があるので、包丁目を入れ、取っておきました。こんがり焼いてから、
一番出汁を取った鰹節、昆布、干し椎茸の足と、野菜の手くずと一緒に、3時間以上かけて、ゆっくり煮出すのですが、昨日仕入れた鹿児島県産の鯵の頭と中骨の部分もあったので、これだけの量になってしまいました。
これらのあらの部分を、掃除するのは、
いつものように、
真由美さんとバイトの役目です。その後、あらの掃除を終えた真由美さんは、
水洗いし終えた70グラムサイズのものを、きれいに拭き上げてくれました。この真鰯は、揚物と南蛮漬に仕込むことにしました。
一方、100グラムサイズの方は、
水洗いをし終えたら、
丸ごと煮るための下拵えとして、2時間ほど、塩をしておきました。
この後の仕込みについては、次回以降お話ししますが、今日のお昼は、
今朝のお弁当の余りものと、真鰯の塩焼をおかずにしました。小さいながらも、脂も程良く乗っているでかけでなく、身の質も良かったので、他の料理の仕上りも、期待出来そうです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
お弁当と夕飯の準備
月曜日の今日は、定休日でしたが、沼津の魚市場に、仕入れに行って来ました。仕入れて来たのは、
鹿児島県産の鯵をはじめ、
冷凍ものなどでした。少ない仕入れのように思われるかもしれません。というのも、ここ2,3日の強風の影響で、鮮魚の入荷が少なかったからでした。
この鯵も、鮮度が良く、刺身に出来るものですが、自分は、殆どの場合、鯵は、揚物に使います。鮮度の良いものほど、加熱することによって、旨味は深まりますし、鮮度が落ちたから、加熱調理しても、美味しくはありません。そういう使い方は、決して間違ってはいませんが、自分の選択肢に入るケースは、滅多にありません。
そんな状況とは言え、自分の仕入れには、さほど影響がなく、『佳肴 季凛』に戻り、鯵を仕込むことにしたのですが、定休日ということもあり、夕飯用のおでんも、
ついでに、仕込むことにしました。
ただ、定休日の仕込みは、休み返上で、憑りつかれたようにすることもあれば、最低限にすることもあります。その程度というか、量は、仕入れ、御予約状況を基本に、様々な条件が重なった上でのことですが、最終決断は、どこまでいっても、自分ですので、その時の気分次第で、かなりいい加減なものです。
そんな今日の仕込みは、
鯵を卸しておくだけにしましたが、鮮度が良いうちに、使い切るのは出来ませんので、
半分以上は、真空パックして、
冷凍しておくことにしました。こうすることで、この2,3日のような天候不順の時だけでなく、急なご予約に対応することが、出来ます。
これで、仕込みは終了したので、
包丁を砥ぎ、
片付け終わりました。最後に、
米を研ぎ、お弁当のお新香などを、盛り付けておき、
道具類も、用意しておきました。夕方近くになり、
おでんに、白はんぺんを入れ、お弁当用の折を準備し、
きれいな袋を、
かけておきました。
そして、夜は、
おでんを味わい、無事に一日を、終えたのでした。
★☆★ 日本料理の匠 ★☆★
【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、
このように紹介されております。ご興味、ご関心のある方は、上の写真をクリックして、ご覧下さい。
紅鮭の粕漬
一月の半ば頃のことです。コンビニの入口で、
こんな幟を見た時から、無性に紅鮭が、食べたくなり、心のどこかに根付いていました。
そんな先日、
沼津の魚市場にある冷凍ものや、干物などの塩干ものを取り扱う問屋さんの店先に、
紅鮭が入った発泡スチロールが、
ありました。
御覧のように、甘口とあるように、すでに塩味がついており、アメリカ産です。他には、カナダやロシア産のものがあり、国産はありません。北海道産など国産ものとして、販売されている紅鮭は、正確には、北海道の沖、つまりロシア海域の紅鮭を、主に船内で加工して、北海道で陸揚げされたものです。
というのも、紅鮭は、北緯50度以北の海域でしか生息することが出来ず、生息できる海域の南限を超えているため、一切遡上していないからです。
この箱を見るや否や、紅鮭のことを思い出し、仕入れるというというより、自分のおかず用に、
買いました。味付けされているので、そのまま切身にして、焼くだけで、食べることが出来るのですが、昨年の暮れ、遊び半分で、新巻鮭を粕漬にして、食べたところ、殊のほか、美味しかったので、今回も、粕漬にしてみました。
酒粕を、
そのままフードプロセッサーにかけたら、
日本酒、赤酒、味醂で、
伸ばしていき、持ち上げたら、落ちそうになるくらいの固さにします。これを、
切身にした紅鮭と一緒に、
真空パックします。このまま、3日ほど、冷蔵庫におけば、粕漬の出来上がりです。食べる時は、
酒粕を水で洗い流して、キッチンパーパーで、水分を拭き取って、弱火で焼くだけです。水洗いすると、味が抜けてしまうように思われますが、そのようなことは、一切ありませんし、
綺麗に、焼き上がります。もちろん、おかずというかつまみ用ですので、
熱燗は欠かせません。(笑)
粕漬にすることで、塩味がまろやかになり、食べやすくなり、そのままよりも、ずっと美味しく感じられました。このひと手間は、素材と料理との境界線で、料理というものは、一工夫で、全く違うものになることを、再認識出来ました。
身近なものでも、未体験の事柄は、まだまだあるはずで、勉強する余地は、際限なくありそうです。
★★★ 期間限定 会席料理 ★★★
2月、3月限定、しかも女性のお客様限定の会席料理(夕席)『春支度』を、御用意致しました。
先付に始まり、食事、デザート付の全9品(お一人 3,000円)のコースとなっております。
なお、ご予約なしでもお召し上がれますが、土曜日以外のお支度となります。
週末用の仕込み色々
昨日、沼津の魚市場に仕入れに行ったこともあり、今日の仕込みは、魚のものは、数えるだけでした。だからと言って、仕込みが楽というわけではなく、野菜中心となるので、それはそれで、手間がかかるものです。特に、今日は、木曜日ということもあり、週末用に、色々と仕込みをしました。
先ずは、
コース料理の先付に使う“南京豆腐”を、流しました。“南京豆腐”とは、南瓜で作った豆腐のことです。
その次に、
明日の『特別会席』のお食事でお出しする“牡蠣めし”の仕込みをしました。先日、お出ししたものと全く同じ食材で仕込んでいるので、
このように仕上がる予定です。
その次に仕込んだのが、
団体のお客様だけでなく、お子様料理でお出しする“鳥の唐揚げ”で、鶏のもも肉を掃除してから、薄口醤油と日本酒を同割りにしたものに、1時間半ほど漬け込んでおきました。お出しする時は、片栗粉をつけてから、揚げるだけで、至ってシンプルなものです。
漬け込んでいる間、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんは、蒸物でお出しする“蟹しんじょう蒸し”を、仕込んでくれていました。
その次は、お弁当に使う“生の本鮪の南蛮漬”の仕込みをしたのですが、
この鮪は、
今日、東京・築地から入荷した銚子産の生の本鮪で、刺身ではお出し出来ない筋っぽい部分を、南蛮漬に、
仕込みました。詳しい仕込み方については、こちらをお読み下さい。
仕込みは、まだまだ続き、
コース料理の小鍋に使う野菜や、
ふぐちり用の野菜を包丁しました。また、小鍋用には、
ささがき牛房を包丁しました。
まだまだ、仕込みは続き、
デザート用に、“林檎のコンポート”や、
先付用の“フルーツトマトのお浸し”も、仕込みました。
デザートと言えば、“林檎のコンポート”だけでなく、
“苺のムース”も仕込みました。これで、大体の目途がついてので、
休憩を取ることにし、お昼の賄いは、野菜や魚介類の手くずのかき揚げと赤飯を、食べました。
普段なら、休憩時間は、グータラするのですが、
2月11日の今日は、
下の娘の誕生日でしたので、
お誕生日会を、
しました。
そうこうしていると、夜の営業時間となり、下の娘同様、誕生日のお客様が、ご来店し、ふぐ料理を召しあがったのですが、先付には、
銚子産の生の本鮪をお出ししました。
休憩時間前には、仕込みの殆どは、終わっていましたが、夜の営業時間中、合間を見ながら、真由美さんは、昨日仕入れた三重県産のとらふぐ(天然)の皮の掃除をしてくれ、
自分は、酢の物に使う“蛇腹胡瓜”を、
仕込んだり、
ふぐ刺の前盛に使う葱を、包丁していました。
そして、全ての料理をお出ししたので、
ふぐ皮の棘を取ったり、
ひれ酒に使うひれを、包丁しておき、最後に、
刺身で使う“妻”を包丁し、ようやく仕込みが、終わりました。だからと言って、明日、明後日の仕込みが、全くないわけではありませんし、当然あります。
状況に応じて、仕込みの仕方や手順を変えなくてはならないものの、お客様にお出しする料理は、限りなく100%に近いものでなくてはなりません。その狭間こそに、料理人の能力が問われる箇所ゆえ、手を抜くことは、出来ません。
分かってはいても、料理の道は、やはり険しいものですし、まだまだ精進の余地は、大いにあります。