肝醤油添えの薄葉剥(うすばはぎ)の薄造り
今朝仕入れた
西伊豆・仁科(にしな)産の
薄葉剥は
活かしのものでしたので
その鮮度を活かして
肝醤油を作り
薄造りに仕立てました
2025年1月5日
Vol.4551
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい
美味しい日本料理”
を信条とし
魚菜食文化でもある
和食文化を
支えてくれる漁師の
代弁者として
【佳肴 季凛】の
店主兼熱血料理人の
志村弘信が
今日も認(したた)めます
「おはよう、親方🐡
今年最初の魚市場は
どうだった?」
と、ふぐとらちゃんが
訊いてきました
「おはよう🐡
どうもこうも
寒かったよ
行く時なんて
フロントガラスが
少し凍っていたからね」
と、自分
「・・・・・
なんで、そういう答えを
するのかなぁ~」
「質問の仕方が
漠然としているから
そう答えただけだよ」
「ありゃ・・・
今朝の沼津魚市場には
魚があったとか
なかったとか
あと、どんな魚を
仕入れて来たとか
こういう訊き方なら
OK?」
「そうだよwww
で、今朝一押しの
仕入れが
この薄葉剥(うすばはぎ)だよ」
「首のところに
切れ目があるってことは
活〆にして来たの?」
「そうだよ
西伊豆・仁科(にしな)の
定置網の魚だよ
知り合いの漁師だから
昨日の時点で
入荷が分かっていたから
他の魚の入荷次第で
仕入れるつもりでいたんだよ」
「この連携
すごくね?」
「そう?
折角、魚市場に
行っているんだから
漁師と仲良くなって
より新鮮な魚を
仕入れなきゃ
意味ないじゃん!
あと、いつも言っているけど
料理人は
漁師の代弁者に
ならなきゃならないから
それを実践しているまでよ」
「そうなんだけど
で、今朝の市場は
どんな感じだったの?」
「じゃあ
市場時間に
時計の針を戻すよ」
「わぁ~い♬」
ということで
今朝の沼津魚市場です
初市ということで
各売場には
初市の幟(のぼり)が
立てられていました
もちろん
活魚売場にも
ありました
生簀には
全部で7つのマスに
仕切られた薄葉剥(ウスバハギ)が
並んでいました
①7,0キロ
②7,0キロ
③7,0キロ
④5,0キロ
⑤3,5キロ
⑥4,7キロ
⑦4,7キロ
ウチワとあるのは
沼津近隣では
ウチワハギとか
ウチワと呼ばれているからです
また、その姿ゆえ
地方によっては
ラケットとか
ハゴイタ
とも呼ばれています
漁師の親方からも
売場の担当者に
連絡が入っていたので
3,5キロのものを
すんなりGETし
すぐに締め
血抜きのため
海水の中へ
こんな寒い時季でも
氷を入れてあるのは
締めた時に
自身の体温で
身焼けをするのを
防ぐためです
身焼けとは
加熱したように
身が柔らかくなった状態で
使い物になりません
って感じだったんだよ
「そうだったんだぁ
で、どんな風に
仕込むの?」
「薄葉剥は
皮剥(カワハギ)の仲間で
身だけじゃなく
肝も美味しいから
それを使って
刺身に仕立てるよ」
「何だか期待しちゃうよ」
「期待する価値
大いにありだよ」
頭と胴体を
切り離したら
肝を取り出します
その時に
注意しなくてはならないのが
胆のうを傷付けないことです
黄色っぽいのが
胆のうで
胆のうのは
苦玉とも呼ばれているように
つぶすと
苦い液体が出て来るので
注意しなくてはなりません
胆のうなどを外し
肝だけにしたら
軽く塩を振って
20分ほどおいておきます
その後
軽く水洗いしたら
日本酒で洗い
バットに入れ
15分ほど蒸すと
こんな感じです
水気を切っておくと
脂がしっかり
固まっています
肝を裏漉し
ぽん酢と醤油で
味を調えたら
つけ醤油にするため
小皿に取り分けておきました
肝の素材感を見せたいので
こんな感じです
身の方は
手で表面の硬い皮を
剥いでいきます
この皮は
煮ても焼いても
使い道がありません
頭も同じように
皮を剥いておきます
水洗いしたら
三枚に卸し
腹骨を欠いたら
背と腹に柵取りし
皮を引いておきました
頭や中骨のあらの部分は
焼いてから
出汁を取るため
下処理をしておきました
「あのゴワゴワした
ザラザラの皮の下の身が
こんな透き通っているなんて
ビックリだよ」
「ちゃんと活〆にして
血を抜いてあるから
肝にも
血が回っていないし
嫌な味とか、雑味は
一切無いんだよ
下処理一つで
魚の味は別もので
こういう活〆の方法は
刺身っていう
生食の文化がある
日本料理ならではの
下処理なんだよ」
「ここまでくると
下処理の次元じゃなく
ちゃんとした技術
って言っても
間違いないんじゃね?」
「そうだね
魚菜食文化の和食ならではの
テクニックだね」
「日本料理
万歳\(^o^)/」
薄葉剥に限らず
皮剥の仲間は
白身でも
とらふぐのような
身質ではないので
卸したてでも
すぐに薄造りにすることが
出来ます
というのは
とらふぐは
繊維質が強く
水分が多く
他の白身とは
全くの別ものだからです
「そんなにも
違うんだね
ところでさぁ
親方って
沼津の魚市場に着くと
一番最初に
活魚売場に行くって
よく書いてあるけど
どうしてなの?」
「活魚が好きだからだよ」
「そりゃ、そうだろうけど
他には・・・?」
「料理の道の始まりが
東京の鮨屋だったんだけど
その店の売りが白身で
当時、築地の市場から
毎日、色んな白身を
仕入れていて
その時に
色んな白身を覚えたから
自分の中では
魚の原点みたいなんだよ
そこから
何年か経って
天然のとらふぐ
夏場の鱧(はも)みたいな
日本料理のスター食材も
活きたものを扱うから
その流れが
ずぅ~っと
続いているんだよ
だから、仕入れるものが
有っても、無くても
必ず覗かないと
気が済まないんだよ」
「三つ子の魂、百まで
雀、百まで踊り忘れず
って感じだね」
「気の利いたこと
知っているじゃん!」
「えへへ・・・♬」
今日の
肝醤油添えの
薄葉剥の薄造りは
“昼特”こと
昼間の【特別会席】で
お出ししました
薄葉剥のような魚を
多く目にすることが出来るのも
地元や近隣の漁師が
いてくれるからこそのことです
再三再四お話ししているように
漁師の代弁者として
魚菜食文化の日本料理の魅力を
これからも
伝え続けます
「ってことで
今日の献立は
明日、話してくれるんだって
そんじゃ、また🐡」
⭐⭐ コエタス ⭐⭐
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