水槽の鮑(あわび)は、天ぷら用
調理方法に関わらず
食材、とりわけ魚介類の鮮度は
仕上がった料理の
美味しさの決め手です
天ぷらも例外ではなく
それ用の鮑を
直前まで活かしておく理由が
あります
2026年8月30日
Vol.4950

いらっしゃいませ
マクロビオティック
(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい
美味しい日本料理”を信条とし
魚菜食文化でもある
和食文化を
支えてくれる漁師の
代弁者として
静岡県富士市の
日本料理店【佳肴 季凛】の
店主兼熱血料理人の
志村弘信が認(したた)めます

先日、沼津魚市場で
仕入れた韓国産の鮑(あわび)です
鮑に限らず
どんなものでも
自分好みのものでないと
納得というより
モチベーションが上がらない性分ですので

この中から
選びました
佳肴 季凛に戻ると
鮑を見たふぐゑびすさん曰く

「このサイズってことは
天ぷら用?」
「そうだよ
明日の『特別会席』の
揚物だよ」
と、自分
「明日ってことは
水槽に入れておくの?」
「明日は市場が休みだからね
水槽に入れておくのは
いいんだけど

水が変わると
落ちる(死ぬ)のが
心配なんだよ」
「へぇ~
でも、どうして
籠に入れておくの?」
「じゃ~ん

鱧(はも)が
いるからだよ」
「もしのもしかして

ハモがアワビを
食べちゃうから?」
「鋭い歯があっても
鮑の殻を砕くことは
出来ないはずだよ
放し飼いにして
取り出そうとした時に
手を噛まれると困るから
籠に入れたんだよ」
「そっかぁ
でも、このハモの数
ヤバくね?」
「急に鱧料理の予約とか
予約じゃなくても
問い合わせがあるから
活かしておく必要があるんだよ」
「ふぅ~ん」
先程お話ししたように
鮑は天ぷらにして
お出ししました

天ぷらと言えば
天つゆ、もしくは塩で
召し上がって頂くのが
一般的ですが

鮑の天ぷらは
その肝を蒸して
裏漉してから
味をを調えた
肝醤油で召し上がって頂きます
鮑に限らず
貝類は原則として
活きた状態ものでないと
食べることが出来ません
原則というのは
然るべき衛生管理のもとで
急速冷凍されたものは
問題ないからです
なので、加熱する天ぷらでも
鮮度が良くなくてはならず
そのため、直前まで
活かしておかなくてなりません
また、鮑の肝には
海藻の成分や
旨味の成分が濃縮されているので
一口食べるだけでも
濃厚なコクと
海の香りが広がります
天ぷらの衣で
鮑の旨味が閉じ込められ
それを肝醤油で食せば
得も言われぬ味わいゆえ
自分は
KING OF 天ぷら
と、呼んでいます
この鮑は
韓国産の養殖ものなので
国産の天然ものよりも
味は劣るのは
否定出来ませんが
養殖もののメリットは
小さいサイズのものが
あることです
どんな食材であっても
その特性を活かし切るのが
料理人の仕事であり
仕入れの面白さでもあります
天然であれ
養殖であれ
目の前にある命と向き合い
最高の状態でお出しするのが
料理人の使命で
それは、魚菜食文化の
日本料理を支えてくれる漁師の
代弁者たらんとする
自分の使命でもあるのです
















コメントを残す