一転した生の本鮪(宮崎県油津産)
今日、東京・築地から届いた生の本鮪は、
宮崎県油津産のものでした。
油津は、同じ宮崎県の川南と並び、大正から戦前にかけて豊漁で賑わった漁港で、鮪を語る上では、避けて通れない産地の一つで、この二つの産地を知らずして、鮪について語るのは、もぐりと言っても、過言ではありません。
昨日発注した時点で、鮪屋の社長に、「季凛さん好みで、年間ランキング入り確実です。」と言われたように、この時季の太平洋産のものらしく、上品な脂の乗り具合と赤身のバランスは、文句無しでした。
嬉々としながら、皮目を見たら、
万事休すにして、絶句・・・。
この傷は、延縄に掛かっている時に、鮫(さめ)によってつけられたもので、自分が通う沼津魚市場では、ヤイトと呼ばれています。
すぐに、鮪屋の社長に電話すると、「え゛っ!?うっかりして、そこを出しちゃいました。すみません。どうにか、使ってください。」と、言われたのですが、声色からして、確信犯ではなく、明らかなチョンボのような感じでした。
本心を言えば、「ふざけなるなよ!返品するから、取りに来やがれ!」と言いたいのですが、仮に言ったところで、事が収まるわけではありませんし、自然相手のものゆえ、良い時もあれば、悪い時もあります。
商売上の付き合いですので、お互い我慢も必要ですし、それが出来るからこそ、信頼が生まれるのであって、それが出来てこそ、一端の商売人であり、大人の対応とも言えるのです。
そんな鮪屋の社長との信頼関係について、お話ししたことがあるので、それについては、こちらをお読みください。
良い時は良い旨を、悪い時は悪い旨を伝え、その理由も聞くことで、お互いの言い分を認め、次からの仕入れに活かすのが、大事なのは言うまでもありません。
今日のように、チョンボみたいなこともあれば、明らかに欠陥があるような時は、発注する時点で、その旨を伝えられることもあり、以前、そのようなことをお話ししたことがあり、それについては、こちらをお読みください。
今日の本鮪は、あまりに良かっただけでなく、社長の誠意ある態度に怒るどころか、笑いすらでてしまう感じで、卸したところ、
案の定にして、
ポッカリと穴が開き、
向こう側の様子も、見ることが出来ました。
これで良しと思いきや、
反対側に、おまけが見つかり、ありゃりゃ・・・。
それでも、身質はかなり良かったので、クオリティ・チェックを兼ねての“お疲れちゃん♪”で、
その良さを堪能し、一緒にあるのは、
室鯵(むろあじ)の開きで、つまみにもおかずにもなる焼物は、自分にとっては、一番の肴にして、おかずでもありますが、今日の本鮪の味わいは、格別でした。
傷は、血合いや皮の部分が大きかったと思うことにし、年間ランキング入りの候補なのは、間違いありません。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
4月は、5日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
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