本気のあおりいか
今更ながら、魚市場の魚の値段は、”セリ”で決まります。ですから、予想以上に高い時もあれば、その逆もあります。
”セリ”で値段が決まるということは、”セリ”合う相手がいるということです。最初は大勢で、値段が上がるにつれ、その数は減っていきます。最後は二人で、”セリ”合うことになります。
相手も強気、こっちも強気となると、値段は天井知らずです。言い換えれば、お互い欲しいから、”セリ”合うのです。
市場に行って、欲しくてたまらない魚があると、どんな高値になろうとも、仕入れて来てしまうことが、よくある自分です。図らずも、今朝もそんな仕入れをしてしまいました。
この”58”の札がついているのが、そんな”セリ”で仕入れた”あおりいか”です。
”58”という番号は、自分の仲買人のもので、今回のタイトルではありませんが、”本気”で欲しい時は、仲買人に「いくらでもいいから。」と伝えます。この言葉が、一蓮托生を意味するのは、言うまでもありません。
勿論、その日の相場、魚の質、入荷状況によっては、二番手、三番手で、値をつけていくこともあります。
ただ、先程お話ししたように、本気で”セリ”あって、周囲の予想以上の値が付くと、その場が妙な雰囲気となります。
今朝の場合ですと、「お前ら二人には、GDP年率12,7%減なんて、関係ねえな!」なんて声が出たり、「ウォー!」の声と共に拍手が出ました。
自分が素材選びに関して、無頓着ならば、こんなことにはなりません。でも、”本気”である以上、こうならざるを得ないのです。
”本気”で仕入れて、”本気”で料理を作れば、食べ手であるお客さんも、”本気”で、自分の料理を食べてくれるのは、ごく自然のことです。
こちらが、”本気のあおりいか”です。味ですか?
美味しいに決まっています。
志村
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