魚の仕込みに追われた日曜日
料理が好きで、料理人になって、3分の1世紀。そして、誰が名付けたのか、熱血料理人。
そんな料理への想いや日々の様子を、 熱血料理人の店主・志村弘信が3504回目の今日も認(したた)めます。
毎週土曜日と、月に1、2回、火曜日が休みになるのが、ホームグランドの沼津魚市場の暦で、
日曜日の今日は、開市日でした。
構内を物色していると、
山口県萩産の鰆(さわら)が入荷しており、一番大きかったのが、
この4,5キロの2本です。
目方は同じでも、腹の周りや背の幅を見ると、右側の方が良かったので、
右側の方を仕入れることにしました。
鰆は、コース料理の焼物の西京焼にしてお出しし、焼物の中で、自分がもっとも好きなのが、鰆の西京焼です。
にもかかわらず、
当店謹製の【西京漬】にしないのは、いくつかの理由があり、それについては、改めてお話しします。
その後、
別の売場で、
愛媛県宇和島産の鯵(あじ)を仕入れ、今朝の仕入れが終了。
これ以上の仕入れをしなかったのは、
【西京漬】同様、謹製の【鰯の丸煮】用の真鰯(千葉県銚子産)を解凍しておいたからです。
『佳肴 季凛』に戻り、出汁を引くなどの普段の仕込みを済ましたら、
鯵の下処理に取り掛かり、
いつものように、女将兼愛妻(!?)の真由美さんが、
水洗いをしてくれ、そんな様子を尻目に、
真鰯の下処理を始めました。
15キロの冷凍ものを目安で半分にしたので、7~8キロ程度の分量で、鯵同様、
真由美さんが水洗いしてくれ、頭は焼いてから、出汁を取るため、
えら等を外し、身同様、水洗いしてくれました。
鯵と真鰯の下処理を終えたら、
【西京漬】用のノルウェー産の鯖(さば)の下拵えをすることにし、冷凍ものですが、包丁が入るぐらいの解凍状態になったら、
腹骨を欠き、
上(かみ)と下(しも)に包丁したら、
脱水シートに挟み、冷蔵庫へ。
それまでに、
鯵を三枚に卸し、ひときわ大きいものは、
後ほど、お話しする賄い行きで、それについては、これまた後ほど。
そうこうしていると、鰆の下処理に辿り着き、
軽く鱗を取り除き、頭を落とすと、
乳白色の身が現れ、鰆の身の乳白色は、脂が乗っている証拠です。
嬉々としながら、水洗いをし、
卸すと、身割れ無し。
そもそも、魚の中でも、鰆は最も身割れしやすいので、卸す時には細心の中止が欠かせません。
残りの半身も、
身割れ無し。
腹骨を取り除いたら、
切身にしたら、鯖同様、冷蔵庫へ。
ようやく、魚の仕込みの山も見え始め、真鰯の腹に残っている胆のうの痕を包丁したら、
先程の水洗い同様、
真由美さんが仕上げの水洗いをしたら、
クッキングシートを敷いた鍋に並べ終えたら、
水と酢を注ぎ、火にかけ、火加減は超々弱火です。
普段なら、明くる日に仕上るのですが、明日は定休日であるだけでなく、明後日仕上ります。
その後、真由美さんは、
まな板周りとカウンター内の掃除をしてくれたのですが、
このような状況ゆえ、ランチの営業をお休みさせて頂きました。
また、年内は、このような状況になることもしばしで、御歳暮のご注文が続いているので、場合によっては、急遽、ランチ、夕席とも、お休みすることがございますので、予めお問い合わせを頂けると、幸いです。
ようやく仕込みの目途が着いたので、
昼ごはんを取ることにし、今日は、鯵フライカレーにし、脂が乗っている鯵ですので、ふわふわとしており、その美味しさは何とも言えません。
こういう鯵フライを食べてしまうと、その美味しさの虜になること、必至です。
休憩を取り、夜の営業の準備をしながら、鯖と、
鰆を有機JAS認証済の西京味噌をベースにしたオリジナルの西京味噌と共に、
真空パックしました。
鰆はコース料理用ですので、入数を書いておき、尾の部分は、
お弁当用で、形が違うので、袋を分けておき、かまや切り落としの部分も、
西京漬にし、こちらは賄い行きですので、鰆好きの自分としては、楽しみでなりません。
それ以上に、魚は種類が多いので、味も多彩で、調理方法が異なれば、同じ魚でも、3、4種類の料理にすることも可能です。
魚食文化でもある日本料理文化に携わる身として、その魅力を多くの方に知ってもらえるような努力を怠るわけにはいきません。
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