国産のあんきも
12月の旬の素材は、”あんきも”です。
実を言うと、この”あんきも”の産地は、中国です。その中でも、自分は可能な限り、良いものを仕入れてきます。
中国産と言っても、値段もそれこそ”ピンキリ”です。中国産より、劣るのがアメリカ・ボストン産です。では、国産の”あんきも”は?
残念ながら、国産の”あんきも”は、全て東京・築地行きです。
先日、沼津の魚市場で、国産の”うに”の話をしていたらか”あんきも”の話題になり、築地から高値を承知で仕入れました。ちなみに、国産の”あんきも”に触れるのは、約10年ぶりです。
いわゆる”別ルート”というやつです。
ご覧のように、”北海道産”と書かれています。
中を開けると、こんな感じで入っています。
氷詰めにされています。
仕上がった”あんきも”は、先程の写真と、それほど変わらないので、”生”の状態での違いをお話しします。
薄くピンクというか、オレンジ色をしているのが、”脂”の部分で、この”脂”が”あんきも”の味を左右します。
薄皮や血をきれいに取り除くのが、”あんきも”の下ごしらえです。
写真の右側にある、赤いのが血の部分です。これを取り除かないと、食べたときに、生臭い感じがします。
下ごしらえしていて、自分が一番感じたのが、触っている時から、すでに”脂”がまとわりついてくるのです。肉の脂身を手で触っている感じです.とろけるような、やわらかさです。
試食してみても、その食感は、触ったときの感覚と全く同様です。
まさに、”食感”=”触感”。
召し上がったお客さんの感想は、「何このあんきも?」、「全然違う!」といったものばかりです。
中には、「親方、どう違うの?」と聞かれたりもします。
答えは、一言です。「国産だから。」
先程、高値とお話ししましたが、”佳肴 季凛”で使っている”大間のまぐろ”よりも、ずっと高いです。
自分自身も、その値段には驚きました。正確なことは言えませんが、築地での値段もトップクラスです。ということは、日本でもトップクラスの”あんきも”と、胸を張って言えます。
おそらく、日本全国で、50番以内に入るはずです。
”大間のまぐろ”のお話しと同様ですが、こういう本物こそを、地元の富士市や富士宮市の人たちに少しでも食べて欲しいのです。
はっきり言いますが、採算度外視です。ただ、コース料理の一品としてお出ししているので、こんなことも出来るのです。
ご存知のように、”佳肴”とは、辞書にも載っているれっきとした熟語です。それこそ看板にふさわしい仕事を、とにかくしたいのが本音でもあります。
また、”佳肴 季凛”開店の最初の暮れということもあるので、自分としては、わずかばかりの感謝の気持ちの一片です。
多目に仕込んで、しかも伝家の宝刀の真空調理をしてありますので、年明けにも、お出しできそうです。
なくなったら、また仕入れるつもりです。
ちなみに、”佳肴 季凛”の年内の営業は明日30日までです。年明けは、1月6日(火)からです。宜しくお願いします。
志村
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