備忘録として、大間の鮪(マグロ)
今日も、
沼津の魚市場に行き、
大分県産の鱧(はも)などを仕入れて来ましたが、その帰りに、
宅配便の営業所に立ち寄り、
築地から届いた鮪を受取り、『佳肴 季凛』に戻りました。
今日の鮪は、
青森県大間産の生の本鮪だとは、昨日の時点で分かってはいましたが、電話でのやり取りですので、実際の身の状態は開けるまで分かりません。
ただ、電話した時の鮪屋の社長が言うことには、「ビンビンで、バリバリ!季凛さんのブログの年間ランキングで、上位確実です。」でした。
ビンビンで、バリバリとは、身の状態が活きた状態で、それなりの味と色が出るには時間がかかり、鮮度が良いことを言いますが、水揚げされてからの時間にも左右されるものの、どこまでいっても、個体差が一番のウェイトを占めます。
ですので、間違っても産地などは、全く関係なく、産地はあくまでも、目安にして、売るためのツールでしかないのです。
大間は有名な産地ですが、一番ではありませんし、これまでに何度も使ったことがありますが、名前が邪魔して、厄介な部分が多く、本物を求める自分にとっては、疎ましいのが本音でもあります。
ただ、お客様にお出しすると、それほど良くなくても、喜ばれるのは確かで、自分としては複雑です。
ところで、鮪屋の社長とは、開店以来9年の付き合いになり、信頼関係はあるものの、様々な条件が重なると、所謂“ババ”を引くというか、引かされるというか、付き合わざるを得ないこともあります。
その一方で、信頼関係を崩すわけにはいかないため、売ってくれなかったこともあり、それについては、こちらをお読み下さい。
さて、今日の大間の鮪ですが、
このようなものでした。
社長の言った通りで、嬉々としながら、
血合いを外しました。
また、この本鮪の部位は、腹の下ですので、
小さいながらも、
大とろが取れ、もちろんのことゆえ、嬉々としながら包丁するわけで、良き素材は、否が応でもモチベーションは上がり、柄でもなく、♪~・・・~♬・・・♪~・・・~♬
骨の部分と、
筋の強い部分を外すと、
ミニサイズの大とろ、
中とろ、
赤身に、
分かれました。
そして、筋の強い部分は、
お弁当用の生の本鮪の南蛮漬に仕込むため、
包丁して、
真空パックしておき、血合いの部分も、
日本酒、濃口醤油を同割りしたものの共に、真空パックしておきましたが、血合いの部分は、自分のつまみ行きです。
皮と、
骨の部分に残っている身は、
それぞれ、
レンゲで、
こそげ取っておきました。
残った骨と皮は、
両面をこんがり焼いてから、
一番出汁を取った鰹節、昆布、干し椎茸の足、野菜の手くずなどと共に、出汁を取るため、鍋の中に。
肝心の身の部分は、
キッチンペーパーで包み、弱めの真空パックしてから、
氷詰めにし、
保冷剤を乗せてしまっておきましたが、一連の下拵えは、普段やっていることで、このようにすることで、鮮度を保つことが出来ますし、特に、今日のような良質なものなら、どの程度持つのか、楽しみでもあります。
そして、しまっておかなかったものを、ランチメニューの“凛”の刺身や、
夜の会席料理の刺身で、
お出ししました。
そして、クオリティ・チェックを兼ねて、
“お疲れちゃん♪”
大間、戸井などの津軽海峡産というよりは、春から初夏にかけて、水揚げされる那智勝浦、油津などの太平洋産の本鮪に近い感じで、脂が薄いながらも、濃厚な味わいでした。
大間だからといって、全てが良質のものであるとは限りませんし、先程お話ししたように、個体差がかなりのウェイトを占め、時季、漁法によって、身の状態は大きく変わり、大間は有名な産地ですが、一番とは限りませんし、球界の盟主である巨人が、常勝とは限らないことと一緒です。
実際、お客様に産地である大間を伝えると、どんな産地よりも、喜ばれるのいは確かですが、自分は、産地は全く興味はなく、どこまでいっても、その身質が全てで、むしろそちらの方が、大事です。
悪い大間なのか、良い他の産地なのか、どちらを取るかと訊かれたら、後者を取るのは、ごく普通のことで、産地であるブランドは、あくまでも目安でしかありません。
昨今、海産物に限らず、ブランドを重視する傾向がありますが、少なくとも、料理という自分の専門分野においては、本質を見極める眼力を磨き続ける姿勢を失わぬよう、日々の仕事に臨みたいものです。
☆★☆ 【とびっきり食堂】に出演 ★☆★
先日、静岡あさひテレビの情報番組『とびっきり!しずおか』(夕方4:45~)のコーナー『とびっきり食堂』で、
当店が紹介されましたが、8月9日(水)の6時40頃に、
再放送されます。
放送エリアは限られますが、お時間が許す方は、是非ご覧下さい。
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