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HOME ≫ ブログ ≫ 判別不能の天然トラフグの白子(精巣)

判別不能の天然トラフグの白子(精巣)

前回のお話のお話しの続編です。

 

昨日卸した天然のとらふぐは、

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静岡県焼津産の6本でしたが、11月も終わりに近づき、寒さも増してきたこともあり、

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白子と呼ばれるオスの生殖腺(精巣)が、成長してきました。

 

ただ、この白子の形が、通常のものよりも、形が不自然で、裏返しにしてみると、

s-PB240332

表面よりも、不自然でしたので、

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包丁を入れて、中を見ると、

s-PB240326

空洞のようになっていました。

 

通常の白子は、空洞になっていることばなく、空洞になっている場合は、真子(まこ)と呼ばれる卵巣で、その有無が、白子か真子の判別の基準です。

 

ただ、とらふぐの場合、雌雄同体と呼ばれ、精巣と卵巣の両方を持つ生殖腺もあり、これまでにも、何度か目にしたことがあります。それについては、こちらをお読み下さい。

 

また、白子の中に、卵巣が包まれている場合もあるので、生殖腺の判別には、殊更に注意が必要です。というのも、白子は無毒で、食用が可能ですが、真子は有毒で、食用不可だからです。

 

先ほどの白子の別の場所を、包丁してみると、

s-PB240333

このような感じで、

s-PB240335

空洞になっておらず、白子と判別することが出来るような形でしたし、他の場所も、

s-PB240337

同様でした。

 

“ふぐに魅せられし料理人”を名乗る自分ですが、生物としてのふぐに関しては、専門家ではないので、懇意にさせて頂いているふぐの専門家の方に訊ねたところ、「生物学的には、奇形と言い難いものですが、形態学的には奇形、組織学的には異常として処理され、両性トラフグとして分類されると思います。」と、回答してくださいました。

 

ちなみに、現在、この方は、現役を退いていますが、かつては、天然のとらふぐの種苗、放流について研究をされてきたこともあり、自分にとっては、先生とも呼ぶべき方なのです。

 

結果として、この白子と思しき白子は、処分しましたが、以下のようなご回答も頂きました。

 

>>>貴重な写真です。両性トラフグについて、過去の論文を調べたところ、志村さんが卸したような個体の説明文がありました。トラフグの雌雄同体の性腺は一般に雌性先熟型で、機能的には雄で性腺の大部分が精巣構造を示し、その中央部に少数の未熟卵を含む卵巣部が認められる。両性腺はさまざまなタイプがあるようです。今回の写真は、学術的に貴重な事例ですので、事例集として記録保存されるとよいですね。>>>

 

いずれにせよ、一年を通じて、かなりの本数の天然のとらふぐを卸している以上、昨日のようなこともありますし、今後も、珍しい事柄に出くわすこともあるかもしれません。これも、“ふぐに魅せられし料理人”の勲章かとも思い、ほくそ笑む自分なのでした。

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