頂きものの三重県安乗産の鰤(ぶり)で仕込んだ西京漬
生涯、一料理人を貫くためが想いを、『佳肴 季凛』店主兼熱血料理人の志村弘信が、3634回目の今日も認めますので、お付き合いのほど、宜しくお願いします。
昨日、「おはよう御座います 。お世話になります。少しですが、ブリを送りました、どうぞ宜しくです 。」というメッセージがあり、あくる日の今日、
宅配便で届きました。
送り主は、天然のとらふぐの仕入れ先の一つでもある三重県安乗(あのり)の魚屋さんで、
沼津魚市場の問屋とも取引があるので、とらふぐ以外の魚なども仕入れたことがあります。
鰤の実際の状態は分からないものの、ここ最近のこの魚屋さんのSNSの投稿を見る限り、十分脂が乗っていることが分かっていたので、半身をコース料理の西京焼にすることにしました。
ということで、
冷凍庫から、
【西京漬】用のノルウェー産の鯖(さば)を出し、
扇風機の風をあてること、20分足らずで包丁が入るようになったので、
腹骨の一部をすき取ったら、
上(かみ)と下(しも)に包丁したら、
脱水シートに挟み、冷蔵庫へ。
届いた発泡スチロールからを開け、
鰤を取り出すと、
活〆にされていたことが分かりました。
すると、ジャンボちゃんとふぐ子ちゃんがやって来て、
「おはようございます、親方♬鰤を仕入れるなんて、珍しいよね。」
「おはよう。っていうか、普段の行いが良いから、もらったの。」
「えっ~、凄いじゃん!普段の行いが良いかどうかは分からないけど・・・。(笑)」
「あはは・・・。僕たちと比べてもいい?」
「熱烈歓迎!」
「長さ的には同じだけど、目方は?」
「もらい物だから、分からないけど、自分の感覚からすると、6キロぐらいかな?ジャンボちゃん達は4129(良いふぐ)グラムだから、鰤の方が大きいね。」
「あと一つ訊いてもいい、親方?」
「何?」
「鰤って、大きくなるにつれて、名前が変わるから出世魚なんだよね。」
「間違ってはいないけど、必ずしも正解というか、100点満点の答じゃないよ。」
「え゛っ~!?」
「出世魚って、歴史上のある人物になぞらえているんだよ。」
「初耳学!誰、だれ?」
「豊臣秀吉だよ。」
「理由は?」
「豊臣秀吉は、元々、武士の生まれではないのは、知っているよね?」
「農民ってことになっているって、歴史の授業で教わったよ。」
「イエ~ス!所説あるけど、それは抜きね。その時の名前は?」
「日吉丸。その次が、木下藤吉郎、羽柴秀吉、豊臣秀吉。」
「何回、変わった?」
「4回。」
「農民の生まれで、天下統一を成し遂げて、武士の頂点になったわけだから、大出世だよね。」
「うんうん。」
「となると、出世魚っていうのは、4回名前が変わらないと、厳密に言うと、出世魚じゃないんだよ。」
「で、鰤は?」
「東日本と西日本では、呼び方に違いがあるけど、東日本の場合、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリって変わるよ。」
「ワカシは聞いたことがないけど、他はあるなぁ。」
「ワカシは市場価値が低いから、流通するケースは少ないね。でも、沼津の魚市場は漁港もあるから、水揚げされて、売場にも並んでいるよ。」
「ほぉ~。」
「あと、出世魚は、成長するにつれて、市場価値つまり値段が高くなるのも、大事な点だね。」
「じゃあ、僕や私たちは?」
「一般的には、とらふぐだよね。でも、大きさによって、チビとら(0,5キロ以下)、並とら(0,6キロ以上2,5キロ未満)、BIGちゃん(2,6キロ以上4キロ未満)、ジャンボちゃん(4キロ以上)って、自分は呼んでいるよ。」
「親方の中では、とらふぐは出世魚なんだね。ふぐに萌え燃え・・・ 💖 が座右の銘だけあるね。」
「そうだね。時間も押しているから、授業はこの辺でおしまいね。」
「はぁ~い♬」
ちょっと長めの脱線になってしまいましたが、再び本線に戻ります。
鱗が細かい鰤は、
包丁を使うすき引きという方法で、鱗を取り除いてから、頭を落とし、水洗いしたのち、 三枚に卸しました。
予想通り脂が乗っていたので、西京漬にするため、
切身にし、残りの半身は、
皮に包丁目を入れたら、
バーナーで炙り、
粗熱を取るため、
すぐに返し、しばらく、このまま冷蔵庫へ。
鰤の下処理が終わったら、掃除をし、ランチの営業に備え、ランチの営業の合間を見ながら、
出汁を取るため、頭や中骨を焼いておきました。
ランチの営業が終わったら、
酢飯の上に、鰤、
蛍烏賊(ほたるいか)を乗せ、ハーフ&ハーフ丼を作り、
堪能し、しばし休息。
夕方になり、夜の営業の準備をしながら、
切身の部分は、西京漬にし、
小さめの切り身は、娘達のお弁当用にしたり、
あらの部分も、
西京漬にし、おまけアイテムや後々の賄いとなります。
鯖も同様にし、
どちらも冷蔵庫へ。
また、娘達の夕飯に出してあげると、
大満足のようでした。
元々はSNSで繋がり、 その後、縁あって、取引させてもらうようになり、さらには、お互いの行き来が出来ることは、何よりも尊(とうと)いことで、“袖振り合うも他生の縁”という諺(ことわざ)があるように、人との縁を大事にしていきたいものです。
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