夕方の日課は、鱧
例年、5月の半ば過ぎから秋口までの日課とも言うべき仕事が、鱧の下処理です。
水槽へ行き、その日に使う本数を、取り出し、
締めてから、
噛み付かれても、怪我を最少限にとどめるために、口の先端の部分を、切り落とします。その後、脊髄に、細い針金を突き通し、
神経を抜きます。一般的には、死後硬直を遅らせるために、こうするのですが、締めた直後に卸すので、自分の場合、当てはまりません。ただ、神経を抜くことによって、卸す時に、動かなくなり、仕事がはかどるので、こうしています。
神経を抜いたら、
お腹を開きます。ちなみに、この日の鱧は、メスでした。卵は、“鱧の子の煮凝り”にするので、下拵えをしれから、真空して、冷凍しておきます。鱧の子の下拵えについては、こちらをお読み下さい。
きれいに水洗いをしたら、
卸してから、
骨切りをして、冷蔵庫にしまっておきます。鱧は、色んな料理に仕立てることが出来る素材ですが、
鱧料理の代名詞でもある“落とし”にする時は、その日に卸したものしか使いません。というのも、このように、花が咲いたようにならないからです。
一方、揚物や焼物などにする場合は、身が活きた状態だと、身がはじけてしまい、味だけでなく、見た目も、お客様にお出しするには、望ましくないので、締めた翌日や、翌々日に使うようにしています。
ところで、鱧料理が始まると、「鱧って、いつまで食べられるの?」とか、「いつ食べれば、いいの?」というお問い合わせを受けることが、多いのですが、「なるべく早い時季が、いいです。」と、応えています。特に、お盆を過ぎる頃になると、骨や皮が固くなり始めます。
また、週末などは、市場の休みと重なり、鱧の入荷をお約束でないこともあり、予め仕入れて、水槽で活かしておいても、死んでしまうこともあるだけでなく、これからの時季、台風が接近したりすることもあるのが、実際のところです。自然あっての素材ですので、この辺りに関しては、ご理解頂けると、幸いです。
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