鰻(うなぎ)の蒲焼のアレンジ料理色々
昨日お話ししたように、今回のお話しは、鰻の蒲焼をアレンジした料理についてです。
使っているのは、既製品の蒲焼ですが、蒲焼はそれだけでも、味になっているので、一手間を加えると、その味をバージョンアップさせることが出来ます。
蒲焼は、ご飯との相性は抜群で、白御飯を食べるための料理と言っても過言ではなく、鰻重や鰻丼に次ぐ、蒲焼を使った御飯ものが、名古屋名物のひつまぶしで、
刻んだ蒲焼を白御飯の上に乗せ、蒲焼と白御飯の間には、刻み海苔をちらしたら、蒲焼の上に、万能葱、胡麻をあしらい、温玉を乗せたら、出来上がりです。
温玉のとろりとした食感が、蒲焼の甘辛く、濃厚な味を和らげてくれるのが、温玉乗せのひつまぶしの美味しさとも言えます。
白御飯の上に乗せるのがオーソドックスですが、蒲焼を炒飯の具にした鰻炒飯も、
一興の味わいで、こちらも、先程と同じ理由で、温玉を乗せてあります。
また、以前お話ししたことがありますが、蒲焼と、すき焼き風に仕立てた牛肉を乗せた“うな牛”なる丼は、
贅沢な味わいで、機会があれば、またやってみたいものです。
白御飯だけでは、面白味が欠けるので、ここ最近、シリーズ化しつつある冷たい蕎麦コレクションに加えるがため、
冷やしうなとろ蕎麦や、
冷やしうな蕎麦なるものも作ったことがあります。
どちらも、ざる蕎麦のつけ汁をいくらか薄めにし、酢を少し加えたものをかけ、薬味を多くすることで、清涼感が増し、濃厚な蒲焼の味わいを和らげてくれます。
まだまだ、色んなアレンジが出来るので、色々試してみたいと思いますし、賄い作りの良いところは、何よりも、気分転換になり、結果として、お客様にお出し出来る料理に格上げされる可能性があるからです。
料理が好きで料理人になった以上、その道を全うするための努力というか、姿勢を貫き、日々厨房に立ち続けます。
★☆★ 日本料理の匠 ★☆★
【佳肴 季凛】店主兼熱血料理人の自分が、
このように紹介されております。ご興味、ご関心のある方は、上の写真をクリックして、ご覧下さい。
平宗田(ひらそうだ)丼
今日のお話しは、昨日のお話しの続きで、昨日の賄いで堪能したひらそうだ丼の仕立て方についてです。
魚の名前は、片仮名で表記されことが多いのですが、片仮名で表記されると、もろに魚のような気がしてならず、基本的に、自分は漢字で表記し、それが出来なければ、平仮名にしています。
平宗田(ひらそうだ)は、丸宗田(まるそうだ)と共に、宗田鰹と呼ばれており、一般手季には、鮮魚で流通する機会が少ない魚ですが、鰹節のように、宗田節として流通しており、宗田節は、蕎麦(そば)屋さんで使われることが多く、鰹節にはないコクが特徴で、『佳肴 季凛』でも、一番出汁を取るために使っています。
前置きはここまでにしておき、
本題である平宗田丼ですが、『佳肴 季凛』のお昼の賄いは、殆どの場合、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんと2人分です。
頭を落とし、水洗いをし、三枚に卸したら、
背と腹と、柵取りをしておき、1キロ程度のものながらも、
薄く白い色を帯びているように、脂も乗っていました。
三枚に卸したら、
炙った時に、皮目が反らないようにするため、金串で穴を開けておき、
氷を敷いたバットに、
柵取りをした身を並べ、
バーナーで一気に炙ったら、皮目をひっくり返し、粗熱が取るため、そのまま冷蔵庫に入れておきました。
粗熱が取れたら、
血合いを外したのですが、宗田鰹の血合いは、ヒスタミンと呼ばれる食中毒を引き起こす物質が多く含まれるので、あえて身の部分も多目に取り除き、
切り付けておきました。
そして、器に酢飯をよそったのですが、紫色をしているのは、黒米のアントシアニン色素が酢と反応したからで、
その上に、
ちぎった海苔を乗せ、
隙間無く、平宗田を盛り付けていき、こちらの器が自分用で、女将兼愛妻(!?)の真由美さんは、
ひと周り小さい器に、盛り付けました。
最後に、
玉葱、茗荷、万能葱、紅蓼、胡麻をちらし、天に卸し生姜を盛り付けたら、
出来上がりです。
空腹で高鳴る鼓動を抑えつつ、
生姜を醤油に入れ、混ぜ合わせたら、
一気呵成にかけ回し、
穿(ほじ)るが如く、
完食し、堪能。
実を言うと、鰹に比べ、平宗田の値段はかなり安いのですが、 鰹と食べ比べなければ、その違いは分からないほどで、平宗田の美味しさを再確認しました。
そんなこともあり、仕入れ先の沼津魚市場で目にしたら、また賄いで登場するかもしれません。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
次回は、8月1日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
バスツアーの日に、三重県安乗産のひらそうだ
今日は、ランチタイムに、バスツアーのお客様がお見えになるので、
朝から、その準備に追われており、ひととおりの準備を終えると、
天然とらふぐの仕入れ先の一つである三重県安乗から、荷物が届きました。
中を開けると、
ひらそうだが入っており、
ひらそうだは、そうだがつお(宗田鰹)とも呼ばれており、鮮魚としては、流通することが少ない魚ですが、宗田節として流通し、何らかの形で、口にしている魚でもあります。
実を言うと、自分が注文したわけではなく、無類の鰹(かつお)好きの自分のために送ってくれたもので、いわゆる鰹とは違うものの、長い間食べておらず、機会を見て、食べたい魚の一つでもありました。
バスツアーのお客様がお見えになることもあり、中を確認したら、そのまま冷蔵庫にしまっておき、
ランチタイムは、フリーのお客様とバスツアーのお客様に専念し、
お帰りになり、片付も終わった後、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんと、お昼の賄いとして堪能し、
近所の常連さんに、刺身にして、差し上げました。
予期せぬ賄いに堪能しただけでなく、予期せぬお遣い物を仕立て、いい男にしてくれた安乗の魚屋さんには、感謝の念が尽きないのは勿論のこと、こういう縁が生まれたことは、尊いことでなりません。
ネットが一つのインフラになって久しく、こちらの魚屋さんと繋がったきっかけは、Facebookでしたが、結局のところ、商売の付き合いだけでなく、色んなやり取りを続けることが、人には大切なことだと思います。
ひらそうだ丼については、 今回お話しするつもりでしたが、ハードな一日だったので、この辺りで、失礼させて頂きます。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
続・賄いの冷たい蕎麦コレクション
7月とは言え、雨降りにして、気温の上がらない日も多く、夏野菜の生育だけでなく、秋のコメの収穫を懸念する声も目にし、食材の供給以上に、不作による農家の方達への不安も気になっています。
とは言え、傍観するしかない自分ですが、暑過ぎない程度の例年らしい天候であって欲しい限りです。
そんな昨今は、気温だけでなく、湿度も高い日もあるので、冷たい蕎麦を賄いで食する機会も増えており、今回のお話しは、賄いの冷たい蕎麦についてですが、以前お話ししたこともあるので、その続篇です。
ラーメン以外の麺類に欠かせないというか、あって欲しいのが天ぷらで、
海老、鯵、下足の天ぷらを乗せたものや、
鱧(はも)、海老、ズッキーニ、隠元(いんげん)を乗せたものを作りました。
天ぷらを乗せた変わり種が、
鱧とズッキーニの天ぷらと、滑子(なめこ)とアボカドをあしらったもので、アボカドのねっとりとした食感が、予想通りの美味しさでした。
滑子と天ぷらのコラボの蕎麦と言えば、
えのき、湿地(しめじ)、舞茸の天ぷらの冷やしきのこ蕎麦を作ったのですが、きのこ好きには嬉しいものがありました。
天ぷらには天ぷらの良さがありますが、麺類の揚物は、
かき揚げが一番だと思っているので、
その美味しさは、普通の天ぷらにはない美味しさがあり、かき揚げは、天ぷらのオーケストラのような味わいがあります。
天ぷらのような揚物ではありませんが、
油揚げを煮含め、素揚げした茄子を盛り付けた冷やしきつねも作ったことがあり、今度は、揚げ玉も乗せた冷やしたぬき&きつねも作ってみたくなりました。
また、暑くなると、先程お話ししたネバネバ系も捨て難いものがあり、
滑子卸し蕎麦や、
とろろ昆布、めかぶを乗せたものや
モロヘイヤ、納豆、若布、アボカドに、胡瓜、茗荷の薬味増し増しの蕎麦も、さっぱりしつつも、食べ応え十分な味わいでした。
写真には収めてはいない蕎麦も沢山あり、どれもこれも、自分好みというか、食べたい時に食べたいものを作れる料理人の唯一の特権を利用しているので、その時の気分を考慮すると、優劣はありません。
蕎麦に限らず、賄いで作る料理は、商売抜きゆえ、お気楽極楽で、しかも美味しいのが、何よりです。
夏真っ盛りの手前ですので、まだまだ冷たい蕎麦を作る機会があり、そのコレクションもまだまだ増えそうで、機会を見て、お話しさせて頂きます。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
石垣島産の生の目鉢鮪(めばちまぐろ)
今日は、バスツアーの団体のお客様がお見えになることになっていたので、
7時前から仕事を始め、ある程度の目途がついたら、
宅配便の営業所に行き、
川崎北部市場から届くことになっていた荷物を取りに行って来ました。
その荷物とは、
沖縄県石垣島産の生の目鉢鮪で、
沖縄県というか、沖縄本島産の生の本鮪はこれまでに、何度か仕入れたことがあり、先月の最初に、
東京・豊洲から入荷しました。
一般の方には、沖縄産というと、ピンとこないかもしれませんが、それなりの水揚げもあり、マグロを扱う人にとっては、 周知の産地、漁場でもあります。
当然、マグロ漁を行う漁師も多く、今日入荷した目鉢鮪は、その地域の漁師が合同会社を立ち上げ、
出荷したもので、黒い点がついているように、
征徳丸という船が水揚げしたものでした。
さらに、漁師と船の名前を見ると、
恵美丸という船の漁師の名前が具志堅用治さんなる方で、ボクシングの世界チャンピオンだった具志堅用高氏と一文字違いということもあり、
気になったので、鮪屋の社長に訊くと、従兄弟とのことでした。
今でこそ、バラエティー番組に登場し、芸人のような感すらしますが、自分が子供の頃、氏の強さは驚くほどで、その凄さを見たいがため、テレビに釘付けになり、最後の試合で、セコンドからタオルを投げられたのは、衝撃的なシーンで、今でも覚えています。
お話しを本題に戻しますが、秋口に宮城県塩釜で水揚げされる東物と呼ばれる目鉢鮪とは異なり、脂の乗り、色目も、
薄めですが、柔らかな舌触りにして、軽めな味わいは、いくらでも箸が進みそうで、そんな勢いで、バスのお客様が到着し、戦争状態になる前に、
腹が減っては何とやらということで、
早お昼にし、蛸、小肌の切り落しと共に、クオリティ・チェック。
器の準備、腹ごしらえも終わり、程なくすると、
バスが到着し、戦場と化したものの、無事に全ての料理をお出しし終えることが出来、
お帰りの際には、皆でお見送りをしました。
その後、店内は再び、
後片付けの戦場と化したのですが、無事に終わり、休憩を取り、夜の営業に備えたのでした。
★★★ 佳肴季凛謹製 鰯の丸煮 ★★★
当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な【鰯の丸煮】をご用意いたしております。
5パック(10本)入 2,250円 ※クール便にて発送可
“大羽(おおば)”と呼ばれる大きめの真鰯を使用し、店主の“熱き想い”と共に、煮詰めた逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
外国産の生の鮪で作った丼
昨日、外国産の生の鮪について書きましたが、今回はその続篇で、それらで作った賄いの丼についてのお話しで、日が新しいものから遡っていきます。
先週の土曜日に入荷したのが、
ボストン産の本鮪で、その切り落しや手くずで作ったのが、
釜揚げしらす(愛知産)とのハーフ&ハーフ丼で、食べる時に、しらすには大根卸しを添えるだけにし、しらすの部分には、醤油をかけず、酢橘(すだち)を搾りました。
その前の鮪も、ボストン産の本鮪で、
この前の日に、
神奈川県横須賀・佐島の知人から、色々と頂き、その中にあった蛸(たこ)と共に、
ハーフ&ハーフ丼にしました。
三浦半島に位置する佐島は、蛸の産地としては、東日本ではトップレベルで、佐島産の蛸については、こちらをお読み下さい。
連続で入荷したボストン産の前が、
同じく本鮪でしたが、ニュージーランド産で、
この時は、【鰯の丸煮】を仕込む時に失敬した真鰯を酢締めにして、これまたハーフ&ハーフ丼で、酢締めにした魚は、そのままでも美味しいのですが、鮨屋の仕事ゆえ、やはり酢飯に合わせてこそ、真価を発揮するものです。
料理の世界に転がったのが鮨屋だったこともあり、光物は避けて通れませんし、小魚や貝類の仕込みを覚えられたのは、今となっては、大きな財産以外の何ものでもありません。
そして、グアム産は、
〆鯵と共に、ハーフ&ハーフ丼で、〆鯵を使った丼については、以前お話ししたので、こちらをお読み下さい。
今回お話しした丼の中で、優劣をつけることは出来ません。というのも、魚には、それぞれの美味しさがあるからで、それこそが魚の魅力で、魚は肉と異なり、生食も可能です。
魚の消費を肉のそれを越えて、10年ぐらいになりますが、 四方を海に囲まれた日本に住み、 日本料理を生業としている以上、その美味しさを多くの人に再認識してもらい、日本人こそ、魚食文化である日本料理文化を重んじてもらいたい限りでなりません。
連休初日におかず作り
お知らせはしていませんでしたが、日曜日の今日は、野暮用が重なったこともあり、お休みさせて頂くことにし、結果として、明日が定休日なので、連休初日ということになりました。
そんな今日ですが、
じゃが芋を沢山もらったので、ポテトサラダを作っただけでなく、知人に差し上げるため、
肉豆腐も作りました。
休日というか、商売抜きで作れる料理は、諸々のことを気にする必要もなく、それこそ、お気楽極楽のこと、この上ありません。
最後に、洗い物をして、
おかず作りは終了。
こうやって見ても、二つの料理を作るだけでも、道具類を使うことを改めて感じた次第で、冒頭でお話ししたように、今日、明日と連休させて頂きますので、宜しくお願い致します。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
日本料理文化を体験したオーストラリア人留学生
昨日お話ししたように、定休日の今日は、オーストラリアから長女の高校に来ている留学生(以後 彼女)が、【佳肴 季凛】に来ることになっていたので、
放課後、娘と彼女を高校へ迎えに行って来たのですが、昨日会っていたこともあり、すぐに分かり、仮に会っていなくても、欧米人らしい容姿ゆえ、すぐに分かったかもしれません。
2人を車に乗せたら、道中は、彼女との“英会話教室”の時間となったのですが、楽しい時間が過ぎるのは早く、あっという間に、【佳肴 季凛】に着いてしまいました。
着いたら、制服から私服に着替えるよう促すと、偶然にも、実母と祖母と遭遇し、「My grandma is over 90 years ! (うちのおばあさんは、90歳以上だよ。)」と伝えると、
「Wow great,big grandma looks young!(凄い、大お祖母ちゃん、若い!)」と、彼女は予期せぬ出会いを喜んでいました。
今日は、日本料理文化つまり、異文化体験をしてもらうので、すぐにその準備をし始めることにしたのですが、今日の課題は、見るものと作るものの二本立ての企画の豪華版です。
見るものは、厚焼玉子と桂剥きですが、焼くことは出来なくても、
卵と出汁(一番出汁、てん菜糖、薄口醤油、日本酒、味醂、赤酒)を菜箸で、よく混ぜ合わせてもらうことにしました。
玉子焼を焼き終えたら、出来立てを試食させてあげたら、「ヤワラカァ~イ、オイシイ!」と、大絶賛。
その次に桂剥きをし、刺身用の妻を作ったら、
その薄さと細さに、「ワー、 ウスイ、ホソーイ!」と、これまた大絶賛。
そして、この妻を使い、手巻き寿司用の寿司種というか、刺身を盛り付けると、
「オイシソー、タベタァーイ♬」と、ニコニコの表情。
そして、今度は、作るというか、体験するもので、今日のメインともいうべき期企画で、彼女が楽しみにしていたものでした。
作るものは、巻物と天ぷらで、巻物とは、巻き簀で、巻寿司を作ることです。
巻寿司と言うと、海苔巻と思われているのですが、海苔巻というのは、本来、干瓢(かんぴょう)巻を指し、寿司屋卒というか、中退の自分としては、この呼び方は、今でも違和感極まりなく、どこまで言っても巻物でしかありません。
また、寿司というと、握り寿司というのが一般的で、寿司体験にはもっともらしいのですが、握り寿司というのは、実を言うと、一週間も練習すれば、素人でも、それなりの形になるもので、自分としては、面白味が欠けるので、巻物を選んだのです。
というのも、握り寿司に対して、巻物は、一年以上、毎日練習しても、なかなか上達しないからで、その難しさを具体的に言うと、真ん中に寿司ねたを乗せ、ちゃんと巻いて、6切に包丁することで、かつては、寿司屋の仕事の基本でもありました。
先程お話ししたように、寿司屋のキャリアがあるので、やはり寿司は巻物で、その難しさが、体験としての面白味があり、後述しますが、そこに自国と他国の違いを見ることになったのです。
先ず、自分が見本を巻くことにし、
巻き簀に海苔をおき、
真ん中に鮪があり、ちゃんとした形であるだけでなく、6つに包丁し、とりあえず見本が出来ました。
ちなみに、酢飯は、
黒米を混ぜてあるので、鮮やかな紫色をしているのですが、このような色になるのは、黒米のアントシアニン色素と酢が反応するからで、そんなこともあり、あえて黒米を入れて酢飯を作ることにしています。
見本が出来たら、彼女に「You try?(やってみる)」と訊くと、即座に、「ヤリタァーイ、ヤリタァーイ♬」
ということで、見様見真似でやり始めたのですが、酢飯を手に取ると、分量も和からなかっただけでなく、手に酢飯がついてしまい、
どうにもこうにもならなくなってしまい、泣きそうな表情をしたのには、可笑しくてなりませんでした。
素手で御飯を触ると、手についてしまうのは、日本人なら、子供でも分かっているのですが、そこはオーストラリア人ゆえ、想像だに出来なかったことで、文化の違いというものは、ほんの些細なことに現れるのを実感せざるを得ませんでした。
さて、巻き始めると、
案の定、悪銭苦闘し、
どうにかこうにか巻いたのですが、それに対し、拙い英語力ゆえ、説明するのに、悪戦苦闘するも、
辞書と事典を駆使し、そこはどうにかこうにかクリアし、彼女も、予定の3本をクリアし、
奥が最初に巻いたもので、真ん中が2番目、手前が最後の3本目で、3本巻いただけで、それなりの進歩というか上達したような感じがしました。
怪我をすると困るので、包丁をすると、
こんな仕上がりでしたが、見比べると、
違いは一目瞭然ですが、初めてにしては上出来で、彼女も大満足のようでした。
そして、作る体験のもう一つが天ぷらで、女将兼愛妻(!?)の真由美さんが見本を見せた後、
手取り足取りというか、手を添え、
天種の海老を油の中に入れてくれたのですが、通訳は欠かせないゆえ、自分がその説明をしていると、
同窓である長女が写メ。
ちなみに、長女は日本料理店の娘ではあるものの、調理に関しては、未体験のことが殆どですが、食レポに関しては、一家言もあり、頭を悩まされるということも過去に何度もあり、誰に似たのかというか、恐るべしDNA。
天ぷらを揚げ終えたら、
彼女が盛りつけてくれ、
体験企画のメインイベントである晩餐会の準備が整い、
先ずは、
皆で乾杯♬
ところで、自分には2人の娘がいるのですが、次女は林間学校に行っているので、今日は、次女抜きでの夕食です。
手巻き寿司と天ぷらだけでは、日本料理の一部でしかなく、色んなものを味わって欲しいこともあり、会席料理などの先付でお出ししているうすい豆腐(グリンピースで作った豆腐)や、
蒸物の鰯つみれ錦糸蒸しも、
食べさせてあげました。
もちろん、どちらの料理も作り方などについて、説明したところ、非常に興味深く聞いてくれ、それが、さらなる美味しさに繋がったようでした。
また、手巻き寿司の作り方も教えてあげたのですが、先程の巻物同様、酢飯の分量の加減が分からず、一番最初のものは、手巻き寿司では、寿司サンドになってしまい、「Like a sushi sandwich!(寿司サンドみたいだよ)」と言うと、「ムズカシイネェ~。」と苦笑い。
食事中は、色んなことについて、訊いたり、訊かれたりだけでなく、真由美さんたちの通訳もしたりと、普段とは違う食事を、皆で楽しむことが出来ました。
楽しい時間はあっという間で、彼女をホストファミリー宅まで送らなくてはならないので、自分と真由美さんは片付けをし、その間、長女と彼女は、デザートのマスカットのアイスを食べながら、
今時の女子高生らしく、
ポーズを決めては、2人で自撮り。
それでも、アイスのことが気になった彼女は、「Oh,good taste.Did you make this ice?(美味しいですけど、アイスは、手作りなの。)」と訊いてくれ、「Yeah,of course handmade !(もちろん、自家製だよ。)」と答えると、驚くとともに、ニッコリ。
そうこうしていると、後片付けも終わり、彼女をホストファミリー宅まで送り、自分にとっても、久々に貴重な体験をすることが出来ましたが、久々というよぷうに、3年前、2人のドイツ人のカメラマンに、ふぐの卸し方を見せてやって以来のことです。
日本料理文化がユネスコの世界文化遺産に登録されて時間が経ちましたが、日本料理を生業とする以上、国内外の人達に、日本料理の素晴らしさを伝えられるよう努力し、その担い手でありたいことを、改めて感じたのでした。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
次回は、6月6日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。
皐月最後の日曜日
定休日前ということもあり、日曜日は、仕込みが少ないことも多く、今日もそんな日でした。
ただ、明日はちょっとした企画を立てたので、その仕込みをしたのですが、その企画とは、長女が通っている高校に、オーストラリアから女子留学生が来ており、日本料理を作り、試食するという和食体験企画のようなものです。
そんなことが持ち上がったのは、ゴールデンウィーク中のことで、自分が長女と留学生に、天丼弁当を作った時、そのようなことを手紙で伝えたことが始まりで、それについては、こちらをお読み下さい。
さて、明日のメインは、
手巻き寿司で、
真鯛と海老を仕込み、姿作りにするため、
頭と中骨もきれいに下処理をしておきました。
また、魚だけではなく、
胡瓜、貝割、茗荷も用意しておき、これら以外のものは、手持ちのものから失敬させて頂くことにし、手巻き寿司の仕込みが終わりました。
また、玉子焼も実際に見せてあげるので、
玉子焼用の出汁も仕込み、
蒸物(鰯つみれ錦糸蒸し)の器も用意し、酢飯用の米も、
研いでおき、黒いのは黒米で、黒米を入れるのは、酢飯にすると、アントシアニン色素が酢と反応して、淡い紫色になるからです。
ちなみに、アントシアニン色素とは、 活性酸素を除去するアンチエイジング効果や眼精疲労を回復する効果があり、ブルーベリー、茄子などの紫色の食物に多く含まれています。
また、マクロビオティック(玄米菜食)を自らの料理スタイルの一つに据えていることもあり、黒米は不可欠な食材の一つでもあり、常備している雑穀御飯にも入っているので、
もっとも身近な食材の一つでもあります。
ちなみに、雑穀御飯に入っているのは、玄米、押麦、黒米、小豆、あわ、ひえ、きび、はと麦、もち麦の9種類です。
明日の仕込みも終わり、ランチの営業時間となったのですが、訳ありでランチの営業を早仕舞させて頂き、
長女と留学生が所属する吹奏楽部のサロンコンサートなる演奏会が行われるので、【富士市交流プラザ】に向かいました。
開演時間となったのですが、屋外で行われる演奏会ですので、
かなりラフというかカジュアルな雰囲気で、クラッシックの楽曲は一切なく、生演奏のカラオケのような感じで、ずぶの素人の自分でも、楽しむことが出来ました。
そして、全ての演奏が終わった後、留学生と初対面をしたのですが、既にSNSで繋がっていて、色々とやり取りをしていたこともあり、すぐに打ち解け、会場を後にしました。
仕事柄、なかなか二人の娘の行事に出向くことは出来ないのですが、今日は、娘が二人になった気分で、普段行けないのを挽回してくれた気になっただけでなく、明日のことも考えると、それこそ演奏会だけに、 🎼 🎹 🥁 🎷 🎺🎸 🎻 ・・・♬
★★★ 『佳肴季凛』謹製 【鰯の丸煮】 ★★★
当店では、お中元、お歳暮、手土産などの贈り物や、お取り寄せに最適な【鰯の丸煮】をご用意いたしております。
5パック(10本)入 2,250円 ※クール便にて発送可
“大羽(おおば)”と呼ばれる大きめの真鰯を使用し、店主の“熱き想い”と共に、煮詰めた逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。
銀鱈の切り落しの粕漬
お弁当の御注文は、午前中のことが多いのですが、時には、夕方のこともあり、今日のお弁当は、夕方上がりだったので、
ラストオーダーの時間を30分早めさせて頂き、
お弁当の準備に取り掛かり、仕上がった料理を盛り付けるのは、
いつものように、女将兼愛妻(!?)の真由美さんでした。
仕上がったお弁当は、
二段に重ね、蓋をし、
紐を掛けたら、
箱詰めをし、お客様が取りに見えるのを待つばかりとなりました。
お弁当の料理は、全て加熱したものが基本で、日本料理のお弁当で欠かせないものの一つが焼物で、『佳肴 季凛』では、
サーモンの西京焼を使うことがもっと多く、当店の看板の一つでもある『西京漬』を焼いたものですが、時には、銀鱈を使うこともあり、銀鱈を使う時の様子については、こちらをお読みください。
ところで、当店の『西京漬』をはじめ、下味を漬けた魚のことを、一般的に漬魚(つけうお)と呼んでおり、根強いファンがいて、自分もその一人で、先日も正規である『西京漬』の仕込みとは別に、いくつか仕込みました。
その時に、脱水シートに挟んでおいた銀鱈の切り落しを、
酒粕、西京味噌、
日本酒、味醂、赤酒で伸ばしたものと共に、
漬け込み、
専用の袋に入れ、
真空パックしておきました。
3日ほどで、
仕上がり、焼く時は、必ず水洗いしてから、
焼きます。
というのも、漬魚は、水洗いしてはならないと思っている方も多いのですが、味噌などがついたまま焼くと、焦げやすいだけでなく、仕上がった時の見た目も、非常に悪いからで、今日のお弁当のサーモンの西京焼も、
然りでした。
ただ、洗う時は、味が染みこんでいても、必要以上に水に触れるのは、御法度ゆえ、手早く洗わなくてはなりません。
洗い上げたら、
タオルやキッチンペーパーで水分を拭き取り、
串を打ち、
このように、
焼き上がり、
お昼の賄いに・・・。
酒粕の風味が何とも言えず、魚料理の中でも、焼物が一番好きな自分にとっては、一番の御馳走でもあります。
焼物は、 焼くことで旨味が凝縮されるので、 刺身よりも食べやすく、おかずだけでなく、つまみにもなるからです。
賄い用に仕込んだ漬魚のお話しは、機会を見て、またお話しさせて頂きます。
☆★☆ ラジオエフ 『うまいラジオ』に出演中 ★☆★
毎月第一木曜日 昼2時頃から、ローカルFM局ラジオエフの番組『うまいラジオ』で、旬の魚について、店主兼“熱血料理人”の自分が、熱く語ります。
次回は、5月2日(木)の予定です。
放送エリアは限られますが、お時間のある方は、是非、お聴き下さい。