定額給付金
今日、ポストを開けると、こんな封筒が入っていました。

富士市役所から届いたものです。
色々と物議をかもした”定額給付金”の申請書です。その是非はともかく、とりあえず封を開けてみました。

「・・・定額給付金を希望されない場合には、・・・。」と書かれていますが、当然希望するので、申請書を出します。
ただ、何でも人に言わなければ気が済まない”口から先に生まれた”自分は、つい”佳肴 季凛”の女将にして家内の真由美さんに、話してしまいました。
ちなみに、我が家では合計で64,000円も支給されるのです。

「このお金で、今度夕飯でも食べに行こう!」
「・・・。ダメ!何でそういうことしか、浮かばないの。」
「せめて、どっかランチでも・・・。それに、富士市で食べれば、地域の経済が活性化されるし、麻生さんだって言っているじゃん。」
「駄目です。」今度は、漢字で”だめ”です。
「そんなこと言わないでさ・・・。」
「DAMEです。」いよいよ、ローマ字で”だめ”です。
万事休す。完全に諦めました。
今思うと、業者さんからの請求書の振りをしておくべきでした。世の殿方は、自宅のポストを開けることは、あまりないかもしれませんが、開けることがあっても、自分みたいなことのないようにして下さい。
志村
しょうさいふぐの唐揚げ
今朝、沼津の魚市場のセリ場には、こんなふぐが並んでいました。

”しょうさいふぐ”という名前のふぐです。以前のブログで、”しょうさいふぐ”に似ている”こもんふぐ”のお話しをしましたが、今日のは、正真正銘の”しょうさいふぐ”です。
”佳肴 季凛”に戻ってきてから撮った写真をご覧下さい。

”しょうさいふぐ”は、小型のふぐで、食べられる部分は、”身”と”白子”だけです。
皮などは食べられないので、卸し方も”とらふぐ”の時とは、若干違います。

小型で、皮も食べれないので、こんな風に、頭と皮と内臓を全部一緒にしたまま、身の部分と分けるのです。この卸し方を、”ぐるむき”と呼んでいます。
参考になるかどうか分かりませんが、”とらふぐ”の卸し方と見比べて見てください。
今朝仕入れた”しょうさいふぐ”は、野締めのものなので、刺身でなく、唐揚げでお出ししています。

”とらふぐ”の唐揚げよりは、幾分味が劣りますが、ふぐ独特の味わいがあります。単品ものだけでなく、会席のコースの一品としても召し上がれます。
早起きして、富士市から沼津の魚市場まで仕入れに行くのですから、”しょうさいふぐ”のように、珍しくて美味しい魚を、見つけて、お客様に食べて貰えるのが、自分にとっては、最高の喜びです。
志村
追伸 ”しょうさいふぐ”に関しては、ひと足先に、携帯会員の方にはお知らせしました。時々、”しょうさいふぐ”のような変り種の入荷情報をはじめ、お得な情報を送らせて頂きますので、是非登録してみて下さい。
各ページにあるQRコードから、登録のページに入って、空メールを送ってください。
ころがし
沼津の魚市場は、漁港も隣接しているので、その場で水揚された魚もセリ場に並びます。

左側が、”スルメイカ”で、右側が”ウマヅラハギ”です。

これは、”ホウボウ”です。三月の”旬の素材”でもあります。この箱には、15本くらい入っています。
これらのように、数や目方がまとまると、それだけでセリにかけられますが、同じ種類の魚がそれなりに獲れるわけではありません。

右側が、”ごまさば”です。左側が、”タイ”と”?”。”?”は”エボダイ”のような・・・。分かりません。

その先には、”カワハギ”、”カマス”、”?”。これまた分かりません。
これらのように、数や目方が揃わない魚のことを、沼津の魚市場では”ころがし”と呼んでいます。
”ころがし”は、それこそ小物ばかりなので、買い手もほとんどつかないので、値段も二足三文どころか、子供のお小遣いにも劣ります。
鮮度は良いのですが、使い勝手はてんでダメで、それこそ、賄い用のためのようなものです。自分も何度か仕入れましたが、今お話しした通りでした。
魚市場には、普段使っているような言葉が、特殊な意味というか、市場の中でしか通用しない意味で使われることもしばしばです。
最近では、そんな言葉も聞き慣れましたが、その語源や本当の意味はどこにあるのか、と思うこともよくあります。
そう思うと、魚市場はある意味”ミステリーワールド”なのかもしれません。そんな場所に、心惹かれる自分は、一体・・・?
志村
ちょっぴり贅沢なランチ
どうもお疲れ様です。真由美です。今週も無事終えることが出来ました。
予約営業(日曜日)と仕込み(月曜日)があったので、”佳肴 季凛”の先週の定休日は、お休みを取ることができませんでしたが、明日は、久しぶりにお休みです。ちょっと、ほっとしています。
けれども、志村さんは仕込みです。そばで見ていて、気の毒のような気もしますが、時間に追われることもないので、気楽に仕込みに没頭するでしょう。
ところで、今日のお昼御飯は、志村さんにお願いして、こんなものを作ってもらいました。

作ってもらったと言っても、お金はしっかり払います。というより、最初に請求されるのですが・・・。
”ちらし寿司”です。
上に乗っているのは、本まぐろ(中とろ、赤身)、平目、すずき、こはだ、いか、たこ、白魚の超豪華版です。
でも、この”ちらし寿司”は、普通のものとちょっと違います。何となくお気づきかと思いますが、御飯が違うのです。
”佳肴 季凛”は、マクロビオティックを基本にしているので、御飯と言えば、玄米中心の雑穀御飯です。
ですから、”ちらし寿司”の御飯も、雑穀御飯でつくった酢飯です。

初めて食べた時は、不思議な感じでしたが、今ではそんな感じもしませんし、これはこれで、OKという感じですね。
普段のお昼は、雑穀粥や子供のお弁当の残りものを食べていますが、たまには、こんな贅沢なお昼御飯というか、ランチを食べて、ちょっぴり幸せな気分を感じています。
これも日本料理店ならでは、特権ですかね?
真由美
からとり
この時季になると、殻つきの鳥貝が入荷してきます。この殻つきの鳥貝のことを、市場では”からとり”と呼んでいます。

主な産地は愛知県で、こんな風に海水の中に入ったままで、入荷してきます。
ですから、仕入れる時は、その大きさ等に注意するだけでなく、水が貝殻に入ったまま、量りにかけないように、逆さにして、水をこぼします。中に入ったままですと、目方が増えてしまうから、こうするのです。

殻つきですから、殻から身を外さなければ、なりません。

今度は身を開くのですが、まな板の上で直にのせてしまうと、鳥貝の命と言うべき、黒い色が剥げ落ちています。これを、”はげとり”と呼んでいます。
”はげとり”は、自分が勝手に呼んでいるだけです。(笑)

そのため、アルミホイルやラップの上で開くのです。
その次に、中の”わた”の部分を、塩と酢の入った水の中で洗ってから、塩と酢の入った熱湯で、軽く湯がきます。
時間は大きさにもよりますが、ほんの数秒程度です。

こちらが、鳥貝の刺身になります。
ところで、鳥貝はこんな風に、開いたもの売られています。

同じように愛知県産ですが、加工地は千葉県と書かれています。また、鳥貝は輸入物もあります。それがこちらです。

韓国産です。
両方とも、生のものですが、開いてあるものはどうしても、風味に欠けます。ですから、美味しくありません。
さらに、鳥貝というと、固いというイメージを持っている方が多く、固いだけでなく、味も素っ気もないものと、思われています。
ここには、写真がありませんが、開いたものを冷凍したものが、固い鳥貝の正体で、”ゴムトリ”とか、”ガムトリ”と呼んでいます。これまた、自分が勝手に呼んでいるだけです。
文字通り、ゴムやガムのように固いという意味です。
鳥貝に限らず、どんなものでも、最初に食べた時の印象で、その本当の美味しさを知らないでいてしまうことが、多いものです。
”佳肴 季凛”では、素材の持つ本来の味を堪能できる食材を、自ら選んで仕入れていますので、鳥貝に限らず、本物の美味しさを味わって下さい。
ちなみに、”からとり”は入荷もまちまちなので、ない時はご勘弁を。
志村
トルコ産のまぐろ
昨日、沼津魚市場のまぐろのセリ場に、こんな風に、卸した状態のまぐろが並んでいました。

近くに、寄ってみると、こんな札が貼られいました。

”トルコ 畜養” ”246,8”と書かれています。
トルコ産の畜養の、本まぐろのことで、目方が246,8キロもある大型のものです。
畜養というのは、ある程度の大きさの魚(この場合、まぐろ)を獲って、生簀で餌を与えて育てることです。養殖と似ていますが、どちらも区別されています。
簡単に言えば、養殖とは、稚魚から育てることです。どちらも、厳密に定義されているので、詳しくはこちらを。
以前、自分も”メキシコ産の畜養まぐろ”についてお話ししたことがあります。
今朝、このまぐろをセリ落とした魚屋さんに値段を聞くと、”佳肴 季凛”で普段使っている”生の本まぐろ”より、多少安かっただけでした。
畜養のまぐろは、トロの部分が多いのですが、味はどうしても落ちますし、正確な言い方ではありませんが、養殖臭がします。また、赤身の色も鮮明さに欠けます。
赤身とお話ししましたが、赤身が美味しいからトロが美味しいのです。当然、生の天然物は、その風味も格別です。
ちなみに、今日、”佳肴 季凛”に入荷した本まぐろは、長崎・壱岐産です。やはり、赤身が違います。
まぐろに限らず、良い魚は高いのですが、それに比例して味も良いものです。
自分は値段そっちのけで、つい仕入れてしまいます。お客様が喜ぶ顔が見たいのと、自分自身のモチベーションを高めていたい気持ちからそうなってしまいます。
ただ本音をお話しすると、後者の方が正しいのです。平たく言えば、自己満足のために、仕入れているようなものです。
さらにさらに、”佳肴 季凛”は全てが手作り自家製である前に、自己満足そのものなのです。
志村
日本料理店の串焼(その2)
日本料理店である”佳肴 季凛”にも、串焼のメニューがあることを、お話ししました。こちらを、ご覧下さい。
”鮪の串焼”ですが、それこそ何ヶ月か一度に、レアものの串焼が、お品書きに並ぶことが、あります。
それがこちらの串焼です。

何の串焼でしょうか?
こちらが、串に刺す前のものです。

蛸(たこ)の口と、くちばしの部分です。
そのままですと、ヌメリもあるので、きれいに落とさなくてはなりません。また、生ですと、固いだけです。
これを適当な大きさに包丁して、串に刺して、塩を振って焼いたものが、”蛸の口の串焼”です。
蛸独特の歯ごたえと甘味が、なんとも言えません。
また、”佳肴 季凛”で召し上がったことのあるお客様は、数える程度のはずです。
蛸の大きさにもよりますが、蛸1パイから、2本しか取れません。このレアものの串焼を召し上がることが出来たら、かなりラッキーだと思って下さい。
志村
鳴き声の源
”佳肴 季凛”の3月の旬の素材は、”ほうぼう”です。
”ほうぼう”は、あまり大きくならない魚ですが、刺身にするには、0,5キロ以上のものが、理想的です。言うまでもありませんが、美味しいからです。
ですから、自分が仕入れる”ほうぼう”は、それ以上のものです。

この”ほうぼう”は、2本で1,4キロですから、1本0,7キロのもです。
小さいものですと、こんな感じの大きさです。

1本が0,2キロなります。こんなに小さいと刺身にとれるのは、ほんの少しで、一人前が精一杯といった感じです。
ところで、”ほうぼう”は、自身の浮き袋をつかって、”ボウボウ”と、鳴くのです。これが転訛して、”ほうぼう”と言う説もあります。
”ほうぼう”を水槽から出したところです。

これが、締めたばかりの”ほうぼう”の姿です。

卸すと、お腹の中にこんな感じの浮き袋が入っています。

最初の写真のように、市場の生簀にいる時は、なかなかその鳴き声を聞くことができませんが、水槽にいれておくと、はっきりとその鳴き声を聞くことが出来ます。
ちなみに、こちらが”ほうぼう”の身です。

2種類並んでいますが、上が”ほうぼう”で、下が”ひらめ”です。一般の方で、これを見ただけで、その魚が分かったら、かなりの白身通です。
一口に白身といっても、色々ありますが、自分が一番好きなのは、この”ほうぼう”です。
だから、こんなふうに、お話ししたくなるし、写真に収めたくなるのです。
今が旬の”ほうぼう”を、是非召し上がってみて下さい。ただ、自分の気に入ったものが無い時は、仕入れてこないので、お許しを。
志村
湾内もの
毎年2月の終わり頃から、ホタルイカが入荷してきます。
ホタルイカと言うと、富山湾が有名ですが、ホタルイカは北陸から山陰にかけての日本海でも獲れます。

こちらが、富山湾産のもので、”湾内もの”と呼ばれます。
一方こちらが、日本海産のものです。

これだけでは、分からないので、もう少し近くに寄ってみます。

ご覧のように、兵庫県産です。
どちらも、ホタルイカですが、”佳肴 季凛”では、富山湾産のものしか使いません。理由は美味しいからです。
ということは、日本海産は美味しくないのでしょうか?
語弊はあるかもしれませんが、美味しくありません。当然値段も、大きな差があります。この時季ですと、3~4倍くらいの差があります。
また、この時季になると、スーパーの鮮魚コーナーにもホタルイカが並び、その殆どが日本海産です。ご覧いただければ、お分かりになると思います。
その違いは、まずその大きさです。富山湾産のものは、一回り大きく、ホタルイカの味の決め手である”わた”の量、甘味も全然違います。

”佳肴 季凛”では、昨日お話したように、目玉、くちばし、軟骨を取り除いてあるので、食べやすいはずです。
これから旬を迎える、富山湾産のホタルイカを、是非味わって下さい。
志村
私も仕込み
お久しぶりです。真由美です。
更新しようとは、思っていたのですが・・・。
今日、”佳肴 季凛(かこう きりん)”は定休日だったのですが、明日は沼津魚市場の休みなので、志村さんは市場へ。
昨日も仕事が終わると、志村さんが、「明日、何かある?」
嫌な予感です。
「・・・・・。ないけど・・・。仕込み?」
「お願いね。」
悪い予感は的中するもので、私も仕込みを手伝うことに・・・。
下の娘を託児所に、送って店に戻ると、志村さんと仕込みが待っていました。
店に着くと、早速志村さんが、「その海老の背わた抜いといて。」

ということで、仕事に取り掛かり始めました。
終わった頃、「次はたこ、お願い。」
”たこ”とは、たこのヌメリ取りのことで、大根おろしと炭酸水の入ったボールの中で、たこを揉みます。

ヌメリが取れるまで、普段は20分ぐらいかかるのですが、今日に限って、いつもよりも、時間がかかってしまいました。
それが終わると、これからが旬の”ほたるいか”の掃除です。掃除とは、目玉、背骨、くちばしを取る作業のことで、この時季の私の仕事の定番の一つでもあります。

それが終わると、本日のメインイベントの”海老しんじょう”です。ここで、一番最初にやった海老の出番です。
私の仕事は、海老しんじょうを丸めて、形に取る仕事です。

これを、今日は120個ほど作りました。
こういう単純な作業が、意外と好きな私ですが、終わったのは、4時を過ぎていましたが、志村さんは、まだ仕事をしていました。
飲食店の仕事は、今日のように仕込みなしでは成り立ちませんが、お客様の「美味しかった。」、「また来ます。」といった言葉を、頂けるとそんな苦労も吹き飛びます。
そんなお言葉が、何よりも励みであり、喜びです。何だか、志村さんみたいに熱くなってしまいました。
真由美















