【佳肴 季凛】 謹製 『西京漬』に限らず、市販の西京漬けや粕漬けの美味しい焼き方
ギフト用であれ、お取り寄せであれ、
『西京漬』のご購入の際に、
リーフレットを同封し、中には、
焼き方をはじめ、素材などについて書いてあるのですが、より美味しく召し上がるため、機会を見て、お話ししようと思っていました。
3種類のうち、サーモンを焼いてみることにし、冷凍になっているので、必ず解凍してから、焼かなくてはなりません。
リーフレットにも書いてあるように、西京味噌を洗い流すため、袋から取り出すのですが、
切口から開けると、
身割れする場合があるので、
袋の三辺、
もしくは全て、
切ってから、
切身を取り出します。
流水で味噌を洗い流すことはせず、
ボウルに水を入れ、その中で手早く、西京味噌を落としたら、
乾いたタオルやキッチンペーパーで拭き取り、洗い流しても、十分に味がしみ込んでいるので、何ら問題ありません。
西京味噌が焦げてしまい、見た目も損なわれるので、洗い流すのですが、そのまま焼いてしまう方も多いの実情のようで、結果として、西京漬というか西京焼は、大して美味しくないと思ってしまうようです。
焼く時は、熱源がガスであれ、IHであれ、必ずグリルを使わなくてはなりません。
というのも、焼くという調理方法は、直火で加熱することによって、余分な水分や脂分が落ち、旨味が凝縮されるからです。
それこそが、和食の焼物という料理の特徴で、ふっくらとした食感 にして、健康的な調理方法が、世界に広く知れ渡ったら、鮨、天ぷらの代表的な日本料理以上に、日本料理の美味しさと素晴らしさに感動してもらえると思います。
ただ、一番美味しく焼き上げる熱源は、炭火であるのですが、一般のご家庭では不可能に近いので、あえて言及しませんし、当店の焼物も、
業務用のガスのグリルで焼いており、この焼物は、先日お話しした【葉血引(はちびき)の西京焼】です。
また、グリルやフライパンにクッキングシートやホイルを敷いた調理方法は、焼くとは言わず、蒸し焼、もしくは炒めるというのが正しく、自ら魚市場で仕入れて、仕込んだ魚を、そのようにされると、火が入るにつれ、美味しさが限りなくゼロに近づき、身を切られるほど悲しいので、そのようなことは、くれぐれもなさらないで下さい。
今回は、ガスのグリルを使用し、
受けに水をはり、
そこに切身を乗せます。
通常、盛り付けた時に上になる方の表から焼くのですが、ご家庭の場合、焼きやすさというか、盛り付けやすさを考えて、盛り付けた時に下になる裏から焼き、盛り付けやすさとは、そのまま器に盛り付けられるという利点で、このお話しをするまでには、気付きませんでした。
西京味噌を洗い流しても、魚自体に脂が乗っているだけでなく、味醂や赤酒の味がついているので、焦げやすいので、火加減は一番弱くしなくてはなりません。
IHは機種により、色々なモードがあるようですが、切身なるモードだと、すぐに焦げてしまうことが予想されますので、どんな機種であれ、一番弱い火加減にする必要があります。
焼き始めて、7分ほどしたら、
一度焼き加減を確認し、焦げ始めた部分があったら、そこにホイルをかぶせ、
約2分、
このような感じになり、裏側が焼き上がり、その後、裏返すのですが、今回は表になる方を後から焼くので、表返しというのが正しいかもしれません。
焼き始めよりも切身が、温まっているというか、生焼状態になってい
5分程度焼いたら、
脂が乗った腹の部分が焦げ始め、
ホイルをかぶせ、2分ほど、同じような感じで焼き上げます。
これで、
焼き上がり、
そのまま、器に盛り付けます。
普段、お客様に出す場合は、照りをつけるため、刷毛で味醂(みりん)を塗り、
仕上がりがかなり違ってきますが、味醂を塗るのは、焦げやすくなるので、あえておすすめはしません。
ちなみに、照りをつけるための味醂を塗るのは、3回が基本で、
手前が味醂を塗ったもので、家庭用のグリルだったので、
1回だけにし、右側が味醂を塗ったものです。
サーモン以外の、銀鱈、鯖も同様の焼き方ですが、どちらも、サーモンよりも脂が乗っているので、それぞれの時間よりも短めにすることが、宜しいかと思います。
また、時間はあくまでも目安で、メーカーや機種の違いなどにより、差があるのは、ご承知下さい。
今回のお話しを修得して頂くと、粕漬や当店以外の西京漬にも応用が可能で、ご家庭での食卓に幅が生まれます。
時短料理、レンチン料理なる言葉が使われるようになり、片付の問題など、焼く、揚げることをしなくなった方が多くなったようですが、先程お話ししたように、焼物は、他の国の食文化にはない調理方法で、揚物よりは調理技術が不要ですので、魚をもっとも美味しく食べる調理方法だと思っています。
さらに、焼物一般だけでなく、焼物の中でも、最も美味しい焼物が西京焼と確信している以上、その美味しさを、一人でも多くの方に知って欲しい限りでなりません。
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