ぬか漬け
こんにちは、真由美です。
“佳肴 季凛”の料理は、全てが親方である志村さんの手造りですが、唯一、私が作っているものがあります。デザートではありません。

ぬか漬けです。盛り付けたのは、志村さんですけど・・・。
これが、ぬか漬け造りには、欠かせないぬか床の、樽です。

今回、漬けたのが、胡瓜と大根です。

ふたを開け、樽の底から、かき混ぜます。これが結構重労働です。

よくかき混ぜてから、野菜を入れます。野菜を入れ終えたら、ぬかをかぶせて、周りをきれいにふき取ります。汚れているのが、見つかると、志村さんに怒られますし、私のぬか床だと思うと、いい加減には出来ません。

きれいにふき取ったら、ふたをして、入れた野菜のメモを入れておきます。入れる野菜は、その日によって、違います。これは志村さんが、決めています。

メモを置いておかないと、忘れてしまい、これまた志村さんに怒られてしまいます。
ところで、なぜ私がぬか漬けをやるのかというと、志村さんが作ると美味しくないからです。
志村さんによれば、板前の作るぬか漬けは、美味しくないとのことです。原因はよく分からないのですが、料理人としての経験上、そうだと言うのです。
ということで、私の役目になってしまいました。今度、“佳肴 季凛”にいらして、ぬか漬けを、召し上がる機会がありましたら、是非ご感想を聞かせて下さい。
真由美
鱧(はも)の出汁
鱧(はも)の頭、骨、ひれを焼いたものです。

これを煮出すと、鱧の出汁が取れます。ただ、水から煮出すのでは、旨味が乏しいので、一番出汁を取った鰹節と昆布も使います。

この中に、先程の焼いたアラを入れ、弱火で煮出します。この時、沸騰させないようにします。沸騰させると、濁ってしまうからです。
ちなみに、一般の方が作るおでんの汁が、濁ってしまうのも、沸騰させてしまうのが原因です。おでんは煮込むというより、汁の中でゆっくり煮含めるものだと思って作ると、美味しく、見た目もきれいに作ることが出来ます。

約一時間ほど、煮出したら、キッチンペーパーを敷いて、漉します。

漉し終えた鱧の出汁です。

鱧は白身なので、クセもなく、上品な出汁が取れます。“佳肴 季凛”ではこの出汁を、ランチや夜の会席料理でお出ししている“小鍋”に使ったり、煮物を作る時に使っています。
特に、これからの時季、鱧を使うので、鱧の出汁も毎日取ります。鱧は、全ての部分を使うことが出来ます。そういう意味では、マクロビオティックで言うところの、一物全体の考えにも合致します。
しかも、天然ものですし、旬の食材でもあるので、身体に優しいこと、この上ありません。
鱧の身そのものを食べなくても、“佳肴 季凛”の料理には、鱧の旨味が詰まっています。鱧に限らず、季節の美味しいものをお出しするのが、季凛流です。
「鱧は梅雨の雨を飲んでから、美味しくなる。」という言葉もあるくらいですから、これからますます美味しくなります。是非、旬の味をご堪能下さい。
今日で鱧シリーズは、六回となりました。まだまだ、鱧シリーズは続きます。
志村
お昼御飯
以前、自分の朝ごはんについては、お話ししたことありますが、「親方って、どんなものを食べているの?特に、お昼。」とか、「やっぱ、刺身がおかずなの?」と、ここ最近、お客さんによく聞かれます。
そんな質問への答えが、今日のお話しです。

昨日仕入れた本鮪(紀州 勝浦産)ですが、味を見るために、一切れぐらい食べることはあっても、まさか、これをおかずにするわけにはいきません。そんなことしたら、商売上がったりです。
では?
今日のお昼御飯がこちらです。

雑穀御飯、そば、豆乳、山東菜(さんとうな)のお浸し、です。
「これで、お腹一杯になるの?」と、思われるかも知れませんが、これで十分です。
雑穀御飯には、いろんな栄養素が含まれているので、これだけで十分とも言えますが、たんぱく質が足りないので、豆乳を飲むことにしています。
個人的に麺類が好きなので、そばの時もあれば、うどんの時もありますが、ラーメンは間違っても、ありません。マクロビオティックが、自分自身の食生活のスタイルでもあるので、卵が入っているものは基本的に食べることはしません。
また、麺類は茹でるだけなので、仕込みに追われている時には、好都合です。冷たいつゆにつけて食べるのが、殆どですが、時には温かいつゆの時もあります。
食べるのも、作るのも、殆ど一人のことが多いので、こんな食事になることが多いのですが、ただ麺類を茹でるだけでも、新しい料理が浮ぶヒントになることもありますし、つゆの味を、思いつくまま変えるだけでも、そんなヒントにもなります。
ルーチンワークとも言える、どんな些細な仕事でも、毎日繰り返すことで、料理人としての勘が磨かれるものだと、自分は思っています。ですから、お客さんに出さない料理の方が、かえって面白みがあるものです。
また、自分で作るものは、自分が食べたいものを作るわけですから、より美味しいと感じられますし、ある意味、心にも優しい食事とも言えます。
食事というものは、空腹を満たすだけのものでなく、心を満たす役目もあるわけで、そんな料理を、先ず自分が食べることで、初めてお客さんに、美味しいものを提供できるものだと思っていますし、その気持ちを忘れずにいたいものです。
志村
今朝の市場
今朝の沼津の魚市場の様子です。

久しぶりに、沢山の“金目鯛”が入荷していました。これほど入荷があると、相場も高くなることもありません。こういう時は、買い時なのですが、今日はあえて仕入れませんでした。
というのも、鮪(紀州・勝浦産)が入荷するからです。

ただ、個人的に気に入ったのが、こちらの“金目鯛”です。

ちなみに、2キロ以上ないと、旨味に欠けます。
また、ここ最近入荷が多いのが、“あおりいか”です。

別の所にも並んでいました。

ちょうどこの時季は、夏の魚も出始めます。

近くで見てみます。

“鯵(あじ)”です。鯵は一年中出回るのですが、夏に旬を迎えます。

そんな自分が今朝仕入れたのは、鱧(はも)です。国産の鱧もあったのですが、大きさが不揃いなので、中国産の鱧にしました。鱧の産地については、こちらを。
ところで、ここ最近自分は、「ブログって、いつ書いている?」と、よく聞かれます。殆どが、ランチが終った後、休憩中に書いています。
ただ、「料理の合間に、ブログを書いているのではなくて、ブログの合間に、料理をしている。」と、冗談を言うと、半ば本気にするお客さんもいらっしゃいます。
また、「よく話題が続くよね。」と、言われたりもします。そんな時は、「市場には、店で使う魚を仕入れに行っているんじゃなくて、ブログネタを仕入れに行っているんです。」と、応えるのですが、自分自身もそんな気がしてなりません。
ですから、市場に気に入った魚がないことや、魚の値段が高いことは、何より不愉快なのですが、ブログネタがないと、どうもすっきりしません。
やっぱり、ブログの合間に仕込みをしているということになるのでしょう。
志村
鱧(はも)の肝焼き
鱧(はも)は、色んな調理方法があり、また身だけに限らず、いろんな部分も食べることが出来ます。今日は、そんなお話しです。

鱧の内臓です。

これは、鱧の肝、つまり肝臓です。

これは、胃袋です。

これは、浮き袋ですが、この形、何かに似ていると思いませんか?この形から、“鱧笛(はもぶえ)”と呼ばれています。

これは、胆のうです。苦玉(にがだま)とも呼んだりもします。食べられないわけではありませんが、苦いので、普通は食べません。鱧に限らず、どんな魚にもありますし、頭を卸す時は、つぶさないよう注意が必要です。

胆のう以外部分を串に刺します。これに軽く、塩を振って焼くだけです。内臓なので、若干クセがありますが、ちょっとした酒の肴です。

“鱧のもつ焼”といった感じです。鱧笛はゼラチン質が強く、胃袋はコリコリとした食感がアクセントです。肝は独特のコクがあります。
こんな料理をお出し出来るのも、毎日鱧を卸しているからですが、この串一本が、鱧一本分ですから、ある意味貴重です。
たまには、こんな酒の肴はいかがなものでしょうか?鱧シリーズはまだまだ、続きがあります。
志村
鱧(はも)の卸し方
今回も、鱧(はも)シリーズです。
鱧(はも)のように長い魚は、和食では“長物(ながもの)”と呼ばれています。“長物”には、鰻(うなぎ)、穴子(あなご)なども入ります。
これらは、それぞれ卸し方が違います。特に、鱧は他の二つに比べ、大きいので、普通の魚のように、三枚に卸します。長いから三枚という感じではないのですが・・・。

最初にヌメリをとり、はらわたを抜き、水洗いした鱧の頭ぬ部分に目打ちをします。

頭から肛門にかけて、骨が三角形になっているので、斜めに包丁を使います。

肛門から尾の先までは、平べったいので、包丁もまっすぐに、入れます。

目打ちを抜いて、反対の身を卸します。今度は尾の方から、包丁を入れます。

先程とは逆に、肛門のところまで来たら、包丁を斜めに入れていきます。

今度は、身が上になるようにしたから、腹骨をとります。この時出刃包丁では、やりづらいので、刃渡りのある牛刀や柳刃包丁に変えます。

腹骨を取り終えたら、背びれから身を外します。

次に背びれを取ります。反対の身も、同じ様に腹骨を取れば、仕上がりです。

身の部分は、落とし(湯引き)を始め、色んな料理に使いますが、頭や骨の部分は、こんがりと焼きます。

焼いた骨は、出汁を取るのに使います。煮物をはじめ色んな料理に使います。鱧の出汁は、淡白なのですが、味が深いのが特徴です。
今朝も鱧を卸したのですが、危うく鱧に咬まれるところでしたが、先日お話ししたように、先端を切り落としていたので、事無きを得ました。
もし咬まれたら、無理に引っ張らず、喉のほうに押し返すと、鱧はすんなり口を開けるのですが、やはり咬まれたくないものです。
志村
幼稚園のお迎え
こんにちは、真由美です。五月も半ばを過ぎ、爽やかな季節がやってきましたね。
昨日は定休日だったので、家族三人で、下の娘を幼稚園まで迎えに行きました。入園して、一ヶ月半程経ちましたが、志村さんは、今回が初めてのお迎えでした。

幼稚園に着いたのですが、時間も早かったので、まだ門は開いていませんでした。上の娘は、ランドセルをしょったまま来てしまいました。

この幼稚園は、上の娘も通っていたので、本人は懐かしそうに、園内を眺めていました。

先月入園した時は、寂しそうに通い始めたのですが、今ではそんなことは、全然ありません。かえって、私の方が寂しいくらいです。そばで見ているつもりでも、子供の成長は早いものですね。
真由美
鱧(はも)の産地
以前、日替わりの単品物は、毎日書くことを、お話ししました。そのお話しは、こちらを。
刺身でお出しするものは、こんな風に、書きます。

どの魚にも、産地を書くようにしています。勿論、値段も書きますが、今が旬の鱧(はも)は、こんな書き方をします。

ご覧のように、「今日の産地は、あえて記しません。・・・・・。」とあります。何故だと思いますか?
昨日の鱧は、中国産だからです。国産もの、天然ものにこだわる自分が何故使うのか、疑問に思うかもしれません。
というのも、国産の鱧の入荷は、まちまちだからです。

先日、入荷していた鱧です。大分県産です。その日は、この籠とは別に、もう一個だけあっただけです。本数で、15本弱です。
一方、中国産はこの5倍程度は、入荷してきます。しかも、国産は、籠一つ(最低でも5、6本)で仕入れなくてはなりません。
当然、全てが良い鱧とは限りません。場合によっては、全部イマイチということもあります。
しかし、中国産は、沢山ある中から、良いものを選ることが出来ます。国産の方が、良いものが多いのは事実ですが、中国産の一番良いものでしたら、語弊はありますが、ほぼ同じと言えます。
実際、今月の初め入荷した御前崎産の鱧は、半分あがった(死んだ)ようなものでした。
勿論、国産もので良いものがあれば、当然そちらを仕入れます。どちらを使うにせよ、“佳肴 季凛”で使うのは、どちらも活きているものばかりですから、鮮度は抜群です。
ちなみに、中国産はこんな箱に入って来ます。

“活海鰻”と書かれています。中国語で、どのように発音するかは、分かりませんが、自分は“かつかいまん”と、音読みしています。

福建省産です。福建省は、この辺です。ですから、この鱧は東シナ海周辺で取れたものです。
お客様や、今回のお話しをお読みになった方の中には、あえて中国産なんて書かなくたって、分からないし、大して気にならないと、思う方もいらっしゃるかもしれません。
その通りだと思います。ですが、自分の性分として、産地が分からないものや、それを隠したり、もっと言えば偽装することは、出来ません。
「商売は売って、なんぼ。儲けて、なんぼ。」、「ばれなければ、何をやってもかまわない。」、「ちょっとぐらい、かまわない。」などと言う人もいます。それが、“商売人”かもしれません。
それはそれで、構いませんし、他人(ひと)は他人(ひと)です。事実、自分は商売をしていますから、商売人です。ですが、その前に料理人であり、もっといえば一人の人間です。
一人の人間として、嘘をついてまで、お金を頂くことが出来ません。そういう意味では、“商売人”失格かもしれません。
真っ当なことをするだけでなく、自らの腕を拠所として、お金を頂くのが、自分にとっては、商売人であって、“商売人”でないのです。
話しが、変に堅苦しくというか、熱血料理人の魂に火がついてしまい、つい熱くなってしまいました。
先程、お話ししたように、“佳肴 季凛”で使う鱧は、自らの目利きで選らんだものばかりです。今が旬の鱧を是非、ご堪能下さい。
鱧は長い魚。まだまだ、続編があります。
志村
新笹
料理に使うのは、食材だけではありません。盛り付けをする時、その季節ごとに、いろいろと飾りになるものを使います。これを、”あしらい”と言います。
そんな一つが笹の葉です。先週の休みの日に、取りに行って来ました。

笹の葉は、この時季になると生え変わり、新笹が生え始めてきます。見にくいので、もう少し近づいて見ます。

去年生えた笹は、右側のもので、周りが白く枯れています。左側が新笹で、青々としています。

新笹が生え始めてから、まだ日も浅いので、数も少ないのですが、あと二週間もすると、殆ど新笹に生え変わります。
この笹のことを、日本料理では、“やま”と呼んでいます。理由は単純です。山に生えているからです。
ちなみに、日本料理では“やま”には、もう一つの意味があります。売り切れになることも、“やま”と言います。山の頂上に上れば、お仕舞ということが、語源のようです。

笹の葉の使い道は、焼物の下に敷くことが殆どです。時には、弁当などの折り詰めに使うこともあります。
一年を通じて、笹の葉を使うのですが、秋には、色づいた柿の葉、紅葉、いちょうを使ったりもします。
季節を味わうのが、日本料理ですから、こういう自然のものを使って、料理に華を添えるのも、プロならではの料理ですし、それこそ、目で楽しむことも出来ます。
“佳肴 季凛”にいらしたら、こんなところにも、気付いていただければ、料理人として、嬉しい限りです。
志村
鱧(はも)の歯
これから旬を迎えるのが、鱧(はも)ですが、鱧の大きな特徴の一つが、その鋭い歯です。

口も長く、細かい歯が沢山のこぎりのように、生えています。
上あごはこんな感じです。

口の真ん中に、5、6本大きめの歯が生えています。一方こちらが、下あごです。

先端に、歯が3本あり、そこから、細かい歯がいくつも生えています。
また、鱧は活きたものを使うので、締めたり、卸す時は、この歯に咬まれないように、注意が必要です。鱧は、性格も獰猛なので、時には向かってくることもあります。ですから、締めたらすぐに、神経を抜いて、動き回らないようにします。

また、万が一に備えて、先端を切り落とします。

先日も市場の活魚のセリ人も、鱧に咬まれ、病院で指を縫ってもらっていました。それほど、恐ろしいのが鱧です。
そんな性格ゆえ、鱧という名前の由来は、食む(はむ)が転じて、はもになったとも言われています。
自分は咬みつかれたことはないのですが、水洗いする時に、指が引っかかって、切ってしまったことがあります。卸してしまえば、全く心配ないのですが、活きた鱧を扱う時は、ともかく注意が必要です。
長い魚ゆえ、鱧にまつわるお話しは、まだまだ続きます。
志村















