ふぐの入荷は終わっても・・・
寒い日もあったりもしますが、少しずつ、春が近づいています。何度かお話ししているように、沼津の魚市場も同じです。
冬が旬のふぐの入荷も段々少なくなってきました。昨日の入荷は、2本でした。そのうちの一本は、3,1キロもある大きなふぐでした。
この大きさのふぐですと、刺身で10人前位出来ます。
ふぐの大きさは、1キロから1,8キロくらいが殆どですから、倍以上の大きさです。
ちなみに、”佳肴 季凛”で仕入れるふぐは、1キロ前後が殆どです。ただ予約の状況やふぐの質によって、大きさを変えることもあります。
このふぐは、傷もなく、良さそうなので、仕入れてきました。”セリ”ですから、値段もその時によって、まちまちです。
ラッキーなことに、高値もつかず、仕入れることが出来ました。
自分の”セリ”を担当している秋山さんの札がついています。
「志村さん、今日のふぐは安くて良かったですね。」と秋山さん。
後は、自分で発砲スチロールに入れ、活きたまま持って来ました。
今朝、このふぐを卸したのですが、例の如く真空して、冷凍庫へ。ふぐの入荷が少なくなるこれからの、時季に備えてのことです。
以前にもお話ししたように、”佳肴 季凛”では、一年を通じて、ふぐ料理を食べることができます。
真夏にクーラーを、ガンガンきかせた部屋で、ふぐ料理を食べるのも、なかなかです。以前、自分も食べましたが、結構いけました。
志村
携帯会員
いきなりですが、”佳肴 季凛”のホームページの一部が新しくなったことにお気づきでしょうか?
こちらが、当店のトップページなのですが、左側にQRコードが新しくアップしました。
このQRコードを携帯電話で読み込んで頂ければ、”佳肴 季凛”の携帯サイトにつながります。
また、会員登録すると、”佳肴 季凛”からの取っておきというか、旬の食材や、以前お話しした”タラバモドキ”のような珍しい食材の情報が、送られてきます。
また、こんな感じのショップカードも新たに作りました。
パソコンの”お気に入り”だけでなく、携帯電話にも是非登録してみてください。
そうなると、魚市場に行ったら、ますます変り種を仕入れてくる感じがするのは、自分だけでしょうか?
志村
旬はまだですが・・・
魚市場には、時季外れの魚も、入荷してきます。時季外れだからといって、必ずしも味が落ちるということはありません。
そんな魚の一つで、ここ最近入荷が多いのが、伊佐木(いさき)です。伊佐木の旬は夏で、”夏の伊佐木は、鯛より美味しい”という言葉もあるほどです。
この伊佐木は、伊豆大島産なので、鮮度も抜群です。魚に限らず、食材は鮮度が命です。当然刺身でも、食べられますが、刺身にするには、”活け”のものでないと美味しくありません。
また、昨日は、”活け”の伊佐木も入荷していました。
ただこの伊佐木は、養殖もの(愛媛産)です。
養殖の伊佐木は、天然ものに比べ、黄色の背びれが、鮮やかです。
自分は、昨日のような伊佐木は、焼物用に仕入れてきます。鮮度もいいので、そのまま塩焼でお出ししています。
単品ものは、このように姿のままです。一本が、300グラム位の大きさです。また、会席のコースの焼物でも、召し上がれます。
会席の場合は、三枚に卸し、このように半身(はんみ)を、一人前としています。
前から、何度かお話ししていますが、この時季は端境にあたるので、伊佐木に限らず、食材選びには、幾分苦労します。
そんな悩みも魚市場に、足繁く通うことで、解消できるわけで、それが自分の中では、ある意味”ストレス解消”でもあります。
志村
養殖の銀鱈
以前、銀鱈についてお話しをしたことがあります。
その時に生で食べられる養殖の銀鱈についてもふれました。今朝、沼津の魚市場へ行くと、その銀鱈がありました。
”カナダ産 養殖”と書かれています。
こんな風に、ポップつきです。魚市場の人に聞けば、なかなかの人気とのことです。そうと聞けば、後の展開は予想がつくと思います。
そうです。”食べたことのないものは、一度は食べなければ気が済まない”シリーズです。
ただ、この銀鱈に関しては、買うのに躊躇しました。というのも、養殖ものだからです。養殖ものですから、味に関しては、予想がつきます。
そんな風に悩んでいると、次々に売れていくのです。とうとう最後の一本になってしまいました。そうなってくると、買いたくなるのが人情というものです。
”だめもと”で買うことにしました。
店に戻り、まな板の上に置いたところです。頭というか、顔はこんな感じです。また、ノルウェー・サーモンのように、はらわたは抜いてあります。初めて、見る姿です。
お腹の様子も、冷凍の銀鱈と同じです。早速卸してみました、”生”で食べられるのが、この銀鱈の”売り”ですから、一応食べることにしました。これが、卸して、皮を引いた身です。
ご覧のように、白身ですが、銀鱈だけあって、脂が乗っています。ただ、皮を引いてから、匂いを嗅いでみると、やはり養殖の魚の匂い(養殖臭)がします。
乗り気はしませんでしたが、味見をしなければ、意味がありません。一切れ、食べてました。
「・・・・・。」
養殖の魚そのものです。美味しくありません。試しに焼いてみましたが、案の定美味しくありません。生で食べても、美味しくなければ、煮ても焼いても美味しくないのは、ごく当然のことですし、やはり、皮目の養殖臭が気になります。
でも、一つだけ、長所がありました。冷凍の銀鱈と違って、見割れしにくいのと、水分が多くないことです。ただ、自分は使う予定もないので、どうということはないのですが・・・。
食べたのは、ほんの数十グラム。残った身は、子供のお弁当用に、”佳肴 季凛”の女将にして、志村家の母である真由美さんに、買い取ってもらいました。
何はともあれ、食べたことで、納得しました。もっとも、そのため”だけ”に、仕入れてきたのは、お分かりだと思いますが・・・。
志村
何故か一枚
日本料理は、色んな種類の器を使います。色、形も様々なので、器を見ているだけでも、十分楽しめます。
”佳肴 季凛”にも、大小様々の沢山の器があります。
どの器も、最低でも10枚は揃っています。多いものでは、40枚位あります。
別の棚を開けてみます。
ご覧のように、色、形が不揃いです。殆どが一枚、あっても4,5枚です。この棚に入っている器の一部がこちらです。
ところで、何故数が少ないのでしょうか?
限定もの?割れてしまって、残った一枚?
これらは、器屋さんが、サンプルとして店内に置いてあった器で、一定の時期が過ぎると、格安で売るのです。格安なのは、数が少ないからです。
これらの器を、自分は沼津の魚市場にある、芹沢パッケージという、器屋というより、厨房道具の専門店で、買ってきます。
今日、買ってきたのが、先程の写真にも写っていたこの器です。
この器を真上から撮ったのですが、よく見て頂くと、周りの柄がついた箇所が、均一になっていないのに、気付かれると思います。
不良品ではありません。横から見ると、お分かり頂けます。
盛り付ける時、手前になる方が、低くなっています。こういう変わった感じの器が、自分の好みです。「良いな。」と思う器は、殆どの場合、値段も高く、この器も例外ではありませんでした。
ですが、一枚しかないので、値段も正規の四分の一でした。ここぞとばかり、つい買ってくるのですが、一枚しかないので、単品ものの注文の際には、使えるのですが、コース料理の時は使えません。
個人的な好みで買って来るだけでなく、一番の目的は、写真撮影用です。同じ器を、違った料理で使うわけにはいきません。日本料理では、同じ器をコースの中で、一度しか使いません。ですから、普段と同じようにするのです。
高い器を使うには、限度がありますが、出来る限り、良い器を使いたいものです。かの有名な北大路魯山人が、生前言っていたように、「器は料理の着物。」である以上、自分は料理と同じように、重きを置いています。
ですから、今日のように、気にいった器があると、買うというより、買いすぎてしまい、月末に来る請求書を見て、青息吐息になることは、よくあることです。
志村
早過ぎです。
魚市場にはいろんな魚が並んでいます。旬の魚、別の言い方をすれば、”さかり”の魚が中心となります。とは言っても、時季はずれの魚が、沢山入荷することもあります。
また、時季はずれというより、旬を先取りした”はしり”の魚の入荷も、ここ最近、目にします。
そんな魚が”かつお”です。
向こうも、”カツヲ”です。
試しに仕入れてきたのですが、イマイチでした。というのも、水揚げされて、その日にセリ場に並んだものではないからです。こういう魚のことを、”トメ”と言います。
ただ、今日和歌山産の鰹を、仕入れてみました。鮮度は抜群で、鰹独特の風味を、味わえました。ただ、お客様にお出しするのは、自分としては、気乗りしませんでした。
ですから、ここで写真もアップしません。というより、お客様に出せないようなものを、見せるわけにはいきません。やはり、幾分早過ぎます。
恐らく、もう少しすると、お出しできるような鰹も入荷するはずです。今しばらく、お待ち下さい。
志村
本気のあおりいか
今更ながら、魚市場の魚の値段は、”セリ”で決まります。ですから、予想以上に高い時もあれば、その逆もあります。
”セリ”で値段が決まるということは、”セリ”合う相手がいるということです。最初は大勢で、値段が上がるにつれ、その数は減っていきます。最後は二人で、”セリ”合うことになります。
相手も強気、こっちも強気となると、値段は天井知らずです。言い換えれば、お互い欲しいから、”セリ”合うのです。
市場に行って、欲しくてたまらない魚があると、どんな高値になろうとも、仕入れて来てしまうことが、よくある自分です。図らずも、今朝もそんな仕入れをしてしまいました。
この”58”の札がついているのが、そんな”セリ”で仕入れた”あおりいか”です。
”58”という番号は、自分の仲買人のもので、今回のタイトルではありませんが、”本気”で欲しい時は、仲買人に「いくらでもいいから。」と伝えます。この言葉が、一蓮托生を意味するのは、言うまでもありません。
勿論、その日の相場、魚の質、入荷状況によっては、二番手、三番手で、値をつけていくこともあります。
ただ、先程お話ししたように、本気で”セリ”あって、周囲の予想以上の値が付くと、その場が妙な雰囲気となります。
今朝の場合ですと、「お前ら二人には、GDP年率12,7%減なんて、関係ねえな!」なんて声が出たり、「ウォー!」の声と共に拍手が出ました。
自分が素材選びに関して、無頓着ならば、こんなことにはなりません。でも、”本気”である以上、こうならざるを得ないのです。
”本気”で仕入れて、”本気”で料理を作れば、食べ手であるお客さんも、”本気”で、自分の料理を食べてくれるのは、ごく自然のことです。
こちらが、”本気のあおりいか”です。味ですか?
美味しいに決まっています。
志村
”ショウサイフグ”でなく・・・
2月も半ばを過ぎると、ふぐ(特にとらふぐ)の入荷も少なくなってきました。今朝の沼津の魚市場には、とらふぐは一本だけでした。
そんな今朝の入荷状況でしたが、活魚のセリ場の生簀に、こんなふぐが入荷していました。こういう珍しいふぐがいる時は、「早起きして、富士市から沼津の市場まで来た甲斐があった。」と思い、小躍りしたくなるものです。
札には、こんな風に”ショウサイフグ”と書かれていました。ちなみに、この写真は、”佳肴 季凛”に戻ってきてからのものです。
”ショウサイフグ”は入荷量の少ないふぐ(特に活きたまま)です。また、自分も食べたことがないので、仕入れてみました。
”ショウサイフグ”のように普段目にしないふぐを扱う時は、万が一があるといけないので、こんな本を必ず開くことにしています。
いろんなふぐの特徴が書かれています。有毒な内臓の部位、有毒なふぐの種類に関する記述を確認するための手引き書で、ふぐ免許の試験の時に、買ったものです。
自分の記憶の中では、”ショウサイフグ”は、ふぐ特有のトゲがないのですが、この”ショウサイフグ”には、トゲがあるのです。ということは、”ショウサイフグ”ではないことになります。新種のふぐ!?
ふぐには、似たような姿、形をしているのも多く、その時は、ひれの形状やトゲの有無を見ながら、確認するのです。そうして、確認したところ、このふぐが、”コモンフグ”というふぐであることが分かりました。
何故、こんなことになるのでしょうか?
ふぐは、その地方ごとによって、呼び名が変わることが非常に多い魚なのです。だから、こういうことになるのです。ただ、ふぐの場合、命に関わることなので、本来は呼び名を統一する必要があるべきなのですが・・・。
これが、”コモンフグ”に関する記述の一部です。赤線を引いてあるのは、試験勉強の時のものです。
”一般には食用とはしない”と書かれています。食用可能なふぐなのですが、三陸の一部で獲れる”コモンフグ”は、食用禁止とされているのです。つまり、ある海域では有毒で、ある海域では無毒ということです。
この”コモンフグ”は沼津産なので、食べられることは出来るはずですが、もしかすると、毒があるかもありません。
食べて、お腹の具合が悪くなる程度なら、いいのですが、身体がしびれて、命を落としたら、シャレにもなりません。
ですから、今日は、卸さずに、そのまま処分しました。先日の”ふぐの白子”のお話しのようなことも、あるからです。
ちなみに、”ショウサイフグ”は食用可能なふぐです。今度入荷したら、仕入れて来るつもりです。また、もう少しすると、”アカメフグ”や”ヒガンフグ”といった変り種のふぐも、入荷してくるので、機会があれば、是非試してみて下さい。
マクロビオティックのチョコレート
今日は、2月14日。バレンタインデーです。バレンタインと言えば、チョコレートです。
普段から、素行の悪い自分は、義理チョコすらもらえません。ということはないのですが、「親方がチョコレートなんて、食べるわけがない。」、「甘いものは、食べなそう。」と言われるので、あまりもらう機会がないのが、実際のところです。
事実、志村家の女性陣(妻、娘たちの3人)にも、「パパは、チョコよりも、お酒の方がいいよね?どうせ普通のチョコレートなんて、食べないしね。」と言われています。
普通のチョコレート。
・・・・・。ということは、”普通でない”チョコレートがあるってこと?
そうなんです。世の中には、自分と同じ位変わったというか、”普通でない”ものがあるのです。勿論、チョコレートもです。
これが”普通でない”チョコレートです。何がどう”普通でない”のでしょうか?
ここからのお話しは、想像がつくことと思います。
オーガニックのチョコレートです。このチョコレートは、アメリカから輸入されています。
中を開けてみます。それぞれ、微妙に色が違います。
またカカオの含有量が、どれも高いので、ただ甘いだけのチョコレートではありません。
左上のが”コナカド”、その隣が”へーゼルナッツ”、手前左が”ミルク”、その隣が”ローズベリー”です。ご覧のように、”DAGOBA”と書かれています。詳しい説明は、こちらを。
どれも美味しいのですが、この中でも、自分の一番のお気に入りは、黄色いラベルの”へーゼルナッツ”と”コナカド”です。普通のチョコレートと違って、後味がすっきりしているので、つい食べ過ぎてしまいます。
この”DAGAOBA”のチョコレートを売っているのが、”もっと美味しいお話し”に度々登場する、富士宮市にある”富士グリーン”さんです。
今日、”佳肴 季凛”で使う食材と一緒に配達してもらったのですが、「このチョコレートどうするんですか?ランチのデザートを作るのに使うんですか?」と聞かれました。
「自分で食べます。やっぱ普通のは美味しくないし・・・。」と答えたのですが、この会話のやりとりを聞いていた妻の真由美さんは、「これだもん、普通のチョコレートをあげても、しょうがないじゃん。ねぇ 富士グリーンさん?」と同意を求められると、富士グリーンさんも、「分かるような気がします。」
どんなものであれ、美味しくて、身体にやさしいものを食べることは、料理人として、大事なことだと、自分は思っていますし、美味しいものを食べなければ、美味しいものを作ることは出来ません。
それも料理人としての修業ですし、”料理人は一生勉強”とも言われる所以だと思います。
志村
のれそれ
立春を過ぎると、段々と春の魚が入荷してきます。先日も入荷していたのですが、ここ最近は全然なかった魚がこちらの”のれそれ”です。
”のれそれ”というのは、穴子の稚魚の名称です。この”のれそれ”は愛知産です。
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真っ白です。写真の撮り損ないではありません。こちらがその姿です。
左側に目がついているのですが、このままでは分からないので、もう少し近づいて見ます。
”のれそれ”については、以前のブログ”美味しいお話し”で、去年の今頃、お話ししているので、詳しくは、こちらを。
そのまま盛り付けて、ポン酢ともみじ卸しで、食べるのが一般的です。こんな感じで春が、段々と近づいて来ました。市場に行くことで、自分は季節を感じる不思議な生き物です。
志村
追伸 ここ最近入荷する鮪は、産地がまちまちで、そんな産地の違いも自分には新鮮です。
こちらが、本日入荷した長崎・壱岐産の本鮪です。